第二章

 神界編 最終

 

を制裁する者〜

 

終末の日の前日にロキとクロミエが姿を消した・・・

そして次の日・・・

俺が目を覚ますと隣にはとルシファーの姿が無い・・・

俺は心臓の脈が上がるのを感じながら・・・

ルシファーを家中、探した。

しかし、彼女はどこにもいなかった・・・

そして、よく見ると台所のテーブルに紙切れと

あの銀のドラゴン・オーブが置かれているのに気が付いた。

・・・嫌な予感がする・・・

俺は紙切れに書かれている内容が

少し出かけてきますとかであるように願っている・・・

その内容を見るとその内容は・・・

俺が一番恐れていたものだった・・・

俺は急いで家の外に出た。彼女を追いかける為に・・・

家の外に出た俺は現在の状況を思い知らされて膝をついた

家の外に広がるのは闇に侵食されていた地上界だった・・・

 それは終末の日の予兆現象だった・・・

おそらく、ルシファーが冥界に向かったのだ・・・

冥王ハデスと一つになる為に・・・

闇がタルタロスから侵食されているのは・・・

イヤだ・・・考えたくない・・・

ルシファールシラフェルが一つとなったからだ・・・

終末の日が始まったからだ・・・

こうなる事は覚悟していたつもりだ・・・でも・・・それでもはい、そうですかと割り切れるわけがなかった・・・

紙切れにはこう書いてあった・・・

は希望というものを知らされずに生きているんです。私が兄の居場所を奪ってしまったのに・・・それでも兄はいつも影ながら私を守ってくれました・・・

そして今、その兄が神皇になってしまうかもしれないんです・・・

だから私は行きます。兄の元へ・・・

だから今度は兄には幸せになって欲しいんです・・・

私を行かせてください、未来の為に・・・

私はきっとタクトさんの事を忘れませんから・・・」

俺は泣かないって決めていた・・・

でも出てくるのものは止められなかった・・・

「・・・う・・・ぅぅ・・・はぁ・・・くく・・・!!」

泣き叫びたいのを我慢すると喉が痛かった・・・

胸も苦しかった・・・

「はぁ・・・は!ぐ!ぐぐ・・・う・・・・!!」

叫ぶのを我慢する為に、地面を掻き毟る・・・

指が土をかき集めてくる・・・その土を握り締めた・・・

ルシファー・・・ロキ・・・ダイル・・・マナ・・・

この世界でできた大切なかけがえの無い者達・・・

皆いなくなってしまった・・・

楽しかった日々が頭の中を走馬灯の如くかけていく・・・

もう、あの日には戻れない・・・

そして・・・・おれは・・・全てを吐き出すように叫んだ・・・

「ルシフアァァーーーーー!!!!」

・・・・・・・・・・

それからどのくらい泣いていただろうか・・・

俺は泣くのを止めた・・・

そう、俺には果たさなければならない使命がある・・・

その時がきたのだ・・・

俺はロキの部屋に向かう、そしてその部屋の中には彼の手紙と・・・

 決戦の為の装備と・・・あの赤いハチマキがおかれてあった・・・

俺はまず、用意されてあったプレートメイルを装備した・・・

遂にロキの元から巣立つ時がきたんだ・・・

部屋に置いてあった金のペンダントとルシファーが残していった銀のペンダントを

二つのドラゴン・オーブを持って家から出た・・・

視界に広がるのは地下から侵食している神々の闇・・・

もうじきここも神々の闇に飲まれるだろう。

俺は家を改めて振り返った・・・

ロキアバジェスそしてエレナさんが建てた家・・・

ルシファールシラフェルが生まれた家・・・

ロキルシファーが暮らしていた家・・・

俺より先にこの家を出て行った先住人達は何を思ってこの家を振り返ったのだろうか・・・?

それとも何を思って振り返らなかったのか・・・?

そしてここは、ルシファーロキとクロミエが住んでいた家だ・・・

俺は最後の住人として家に1分間の礼をした・・・

そして、俺はここでの家を後にした・・・

俺が目指すのは天界 エリュシュオン・・・

そして、今、目指しているのは・・・・

まだ残っている最後の冥界・・・エレナさんのお墓の森だった。

 

桜の花は今だに咲き続けている・・・

それはそうだろう・・・ここは外部と違い時間が止まっているのだから・・・

ルシファーとルシラフェルの力によって・・・

母親に永遠に桜の花を見せてやりたいと思った二人の子供の願いによって・・・ここの時は止まっているのだ・・・

ここはルシファーと二人きりで話した場所・・・

ルシファーから好きだと言われた場所・・・

 

俺はロキの手紙に従い

二つのドラゴン・オーブを重ねた。

すると墓石の後ろの空間にスリット(割れ目、隙間)ができた。

ここからエリュシュオンへと向かうのだ・・・

スリットを抜けていくとそこはエリュシュオンへと続く岩壁だらけの一本道だった・・・

俺は迷わず進んでいく・・・使命を果たす為に・・・

俺は道のりの中でロキの手紙に書かれていた事を思いかえしていた。

 

我々の起源は絶対者 因果律・・・

因果律が望む事は正義でも悪でもなく強き生命・・・

まだ、時間という概念がなかった時代に・・・

一番最初に作られた生命 混沌は完全な無から生まれた・・・

混沌は無限の創造力を与えられたが混沌には決まった意思が無く・・・先が見えない失敗作だった・・・

そこで・・・未来から意思の象徴、人間を

一人混沌の海に落として、混沌を動かす神を創った。

その人間がロキと同じ世界から選ばれた・・・

最初の神皇 タイラントだった・・・

こうして我々の共通の世界(混沌)に時間という概念と

生と死という概念ができた・・・

しかし、混沌を操るには自身も常識に囚われて混沌を否定し

混沌の中で決まった思念になると自身も混沌に抗う邪魔者とされ、混沌に排除される・・・それ故に神皇は常に、何かを創造しては何かしらの理由で創造したものを破壊してしまう・・・まさに混沌そのものだった・・・・

その一つがロキの世界を焼き払った。

白い太陽ことビッグ・バーンだった・・・

そこで因果律は次に混沌の力を一部的に扱う神を創造した。

混沌に一時的に接触しその無限の力を借り受ける神

それが神王である・・・別名 構築者・・・

これでようやく知恵(運用)という概念が成り立った・・・

黄龍は次々と人々の世界を豊かなもの住み易いものに変える為に配下に四大元素を司る四神獣達をまず創った・・・

こうして混沌の中に神界といわれる世界が誕生した。

そう・・・意思が散漫している神皇に混沌を乖離する事はできない・・・

混沌を乖離して天地創造を行ったのは___である・・・

そしてこの理不尽なシステムを・・・枷を植えつけたのも・・・

次に神界の創造物達の生活や文化を預かる十二傑集と呼ばれる創造物の神を造った・・・

そして創造物達の本格的な運用が始まった・・・

創造物達は地上界 アスポデロスにて運用される・・・

そして壊れた者達は冥界にてこれからの運用を決められる。

これの選定をするのが冥王ハデスである。

使える者は天界 エリュシュオンに送られ、まだ見込みはありそうな者は再び地上界に戻され、使えない者が奈落タルタロスにて処分されるのだ・・・

そして、それらを試行錯誤して運用する神々が住まうのが

天界 エリュシュオンだった・・・

ところがこの世界を破壊したのが混沌の神皇だった・・・

神皇は気まぐれで黄龍を追い出し神王を自分が認めた者にやらせる事にしたのだ。

結果 黄龍でないものが神王になったところで新しい創造物は得られず、結局神界は構築者不在の中での運用をせざるを得ない状況になった・・・

追い出された黄龍はアバジェスとエレナとに分裂して存在を継続する事になった・・・

これが男と女という概念の誕生であった・・・

そんな時に混沌のミスで神界にロキが入ってきてしまった

・・・

完全に神皇の創造物であったロキは天界の創造物とは違う異質な存在で遂には黄龍の片割れエレナと恋に落ちた。

これが感情と生殖行為という概念の誕生だった・・・

しかし、因果律は慎重派でいくつもの結末を用意し並行世界という保険をかけていた・・・

並行世界は創造物には無縁のものであり、神達にとっては最大の障害であったのだ。

並行世界は別名無限の可能性だ。

未知数である故に決まったルート(結末)が・・・次へのステップが踏めずに因果律の世界が止まってしまったのだ・・・いわば永遠にリセットしてはやり直す世界・・・

ところが誰にも予期せぬ創造物達がここに産まれた。

それはルシファーとルシラフェルと呼ばれる

ロキとエレナの行為により生まれた神界最初の創造物により生まれた創造物である・・・

ここでようやく因果律は覚悟を決め、並行世界という保険を廃棄する事にしたのだ。

それがルートの一本化、ルートの選定・・・

絶対的な始まり終わりという概念の始まりだった・・・

そして、そのルートを選定するものを因果律は選んだ。

それが、時の神 ルシファールシラフェルの始まりだった・・・

並行世界が存在する為には

並行世界を認知できる者が必要だ。

それは因果律とその世界で唯一の存在。

それが混沌の神皇だった・・・

当然ながら神皇がルートの選定などできるわけが無い・・・

そこで因果律は三つの候補者を選び

力比べをさせる事にした。

そして、勝ち残った者の望むルートを・・・

因果律のルートにしようという訳だ。

それは並行世界の終わりをも意味する・・・

 

それが因果律の最後の審判だ。

 

候補者は奇跡の体現者完全の体現者・・・

そして、どちらにも属さない混沌の神皇の三人だ。

三人の候補者は因果律の命令により

絶対に戦い合うのだ。

最初の完全の体現者アバジェスだった・・・

しかし、アバジェスはロキに敗れ候補者から外され、

その後継者にはルシラフェルが選ばれた。

最初の奇跡の体現者はエレナさんだった・・・しかし、彼女は予知の力により、自分の息子が完全の体現者に選ばれてしまう事に気が付いてしまった。

奇跡の体現者完全の体現者は必ず殺しあう・・・

エレナは苦悩し続けた彼女は兄と息子のいずれかと殺しあわねばならないのだ。

彼女は奇跡の体現者として完全の体現者に呼ばれるかのようにフィノリアで兄と殺し合いに行った・・・

しかし、兄と殺しあう事などできなかった彼女は・・・

兄の前でグングニルで自分を突き刺し自害した。

そして、エレナの後に奇跡の体現者に選ばれたのがロキだった・・・

混沌に縛られてこれを止める事のできなかったアバジェスはこれを悔やみ続けた・・・

ちなみにアバジェスがルシラフェルを連れ去ったのは

奇跡の体現者ロキが息子を殺してしまわない為だった・・・

そして、遂に奇跡の体現者完全の体現者は殺しあった・・・

しかし、二人は手順を誤った・・・

否、その時は体現者の存在すら知らなかったのだ・・・

混沌はどちらか片方では倒す事はできない・・・

何故なら混沌は混沌故に過去と未来により代というアンテナがあればいつでも逃げる事ができるのだ・・・

その為には未来と過去への道を閉ざさなければならない・・・

それを可能とするのが・・・

時の神

未来のルシファー過去のルシラフェルであった・・・

手順を間違えようがどうしようがどちらにしろ

ロキとアバジェスには混沌を滅ぼす事など不可能だった・・・

最初から因果律は

ルシファーを奇跡の体現者に

ルシラフェルを完全な体現者

にするつもりだったのだ・・・

勝ち残ったロキはこちらにきたレイ・桜葉により

全ての真相を知らされて悔やみに悔やみ続けた・・・

レイ・桜葉は過去と現代を幾度も行ききしては

ロキとアバジェスに干渉し続け混沌を滅ぼす方法を画策した・・・

そして、ロキとアバジェスはレイの言う事を信じて共に

混沌を滅ぼす事を考えた・・・

そして、構築者 アバジェスの力を借りて創られたのが

最初の紋章機 ラグナロクだった・・・

 

そして今、ルシファーと体液の交換をした俺は奇跡の体現者となり

混沌のアバジェスを制裁しに向かっている・・・

ちょっと待てよ・・・俺は何かを見落としてないか?

やがて道の終わりに青い龍が待ち構えていた・・・

クロミエだ・・・驚かない・・・ロキがここにクロミエを連れてきたのだ。

クロミエはとてもとても大きいドラゴンへと成長していた・・・

いや、この姿こそが本当の姿だ・・・

四神獣 青龍・・・

黄龍の弟分に当たる神である。

ロキはクロミエをこの時の為にアバジェスから譲り受けていたのだ。

・・・俺は今、ある事に気付かないフリをしている・・・

しかし、俺はアバジェスを倒さなければならない・・・

「クロミエ、俺をエリュシュオンへ連れて行ってくれ。」

クロミエは俺に頭を下げる。

そして俺はクロミエの頭にのってその角を掴んだ。

そして、クロミエは天へと昇っていく・・・

昇龍

幾ほど昇ったのだろうか・・・

俺は天界 エリュシュオンへと辿りついた。

エリュシュオンは空中にそびえる神殿の集落だった・・・

俺はその中でも一番大きい神殿へと連れて行かれている・・・

分かる・・・・あそこにアバジェスはいる・・・

俺を待っているんだ・・・

「・・・よ、俺が奴を倒してもいいのか?」

「・・・できるのらな・・・あいつは俺達を倒す為にここにきたんだ。」

「ふ・・・そろそろ奴がここに来る・・・」

「そうか・・・俺はここで待っている・・・・後は頼んだ・・・」

「相変わらず意地の悪い奴だな・・・」

「自覚しているつもりだ・・・」

 

神殿入った俺は呼び寄せられるように奥へ奥へと進んでいく・・・

他の者には目もくれない速さでかけていく・・・

とは言ってもこの巨大な神殿には護衛の者が一人もいない・・・

神王の神殿ともあろう場所なのにだ・・・

答えは分かっている・・・全員、消されたのだ。

十数年前にここに来た復讐の鬼によって・・・

ロキとの修行がここで生かされているのだ・・・

神殿は本当に大きかった・・・

ここに来るまでに俺は大きい巨神達を幾度と無く見てきた・・・

しかし、雑魚に用は無い・・・

目指すはアバジェスの間だ・・・

そして・・・高さ20メートルの巨大な門へと辿りついた・・・

そこには黄龍と思われしレリーフと

右にはムーンエンジェル隊

左にはルーンエンジェル隊

紋章が描かれている・・・

間違いないここが黄龍の間だ・・・神王 アバジェスの間だ・・・

待て・・・なら・・・神皇は・・・

俺はまだ気付かないフリをしている・・・

そして、二つのペンダントは丸いオーブとなって龍の目に収まった

ルシファーの銀のオーブは左目に

ルシラフェルの金のオーブは右目に

はまり・・・扉が開いていく・・・

そして、俺は神王の間について少し唖然とした

無限に広がる回廊・・・

辺りは無限の支柱で覆い尽くされている・・・

虹色の絨毯が敷かれたところだけを歩いて正面へ進んでいく。

ここには天上と床が無いのだ。

幾ほどあるいたか・・・天にまで突きつける程の階段へと変わり俺はその階段を駆け上っていく・・・

そして途切れた階段を更に上ると俺は空の上を歩いていた・・・

そして、そこには黄金の玉座があり、

そこに黄龍が・・・

黄金の騎士

神王 アバジェスがいた・・・

 

「よく・・・来た・・・」

アバジェスは昔と同じ黄金の鎧をまとって玉座に鎮座していた。

黄金の騎士 アバジェス・・・

かつて神界最強と言われた英雄

黄龍の化身

前の完全の体現者

肩肘を突いている姿には王者の風格が漂い

その姿は俺を威圧している・・・

「・・・アバジェス・・・俺はお前を倒す為に未来から神界へきた。」

俺はそれに臆さずに言い放った・・・・

「ふ、知っているよ・・・お前の知っているレイから聞いたからな。」

「俺は奇跡の体現者としてここに来たわけじゃない・・・

お前を倒して元の世界に帰る為に・・」

「・・・御託はいい・・・殺り合うんだろう?」

アバジェスが玉座から立ち上がる・・・

いや・浮いている・・・俺にはここでの戦い方が分からない・・・

状況は俺が不利だった・・・

しかし、ロキは言った・・・自分で考えろと・・・

これを想定してあいつはそう言っていたのか・・・

俺はエクスカリバーを召還して構えた・・・

かつてこいつが創造した最強の聖剣

こいつはすぐには本当の武器を出してこない筈だ・・・

「・・・タクト、始める前に言っておく・・・お前は一つ勘違いをしている・・・」

やめろ・・・・・

「お前は、まだ奇跡の体現者ではない。まだ、奇跡の体現者は生きている・・・」

俺は即座に斬りかかりに出た!

しかし、アバジェスの姿は消えた・・・

そして、背後に僅かな・・・気配を感じて俺はすぐに飛びのいた

俺のいたところを見えない刃が走った・・・

「かわすか・・・あいつの言った通り良い直感を持っている・・・」

アバジェスは何かを握っている・・・

俺はその正体を知っている・・・・

龍の髭・・・黄龍3つの秘宝の一つ・・・

見えないのはそれは極細の線だからだ・・・・

その髭には切断能力があり、そのアバジェスを見た者達はこれを剣だと思い込みアバジェスを剣の魔術師と呼び、最強の剣士だと称した。

ロキはその体で避けきれずに受けきったが、俺はどうすればいい・・・

すかさず襲い掛かってくる龍の髭・・・

直感だけを頼りに俺は剣で防ぐ・・・

見えない・・!見えない・・・!!

「直感だけで・・・どこまでもつかな?」

ヒュンと飛んでくる激しい斬撃。

「く・・・!!」

そして、右の頬に激しい痛みが走った・・・

ついに斬られたのだ・・・

血が流れているのが分かった・・・

あれ?何だ・・・意外とどうと言う事はない・・・

「・・・化け物め・・・」

アバジェスは忌々しげにつぶやいた・・・

「うおおおおぉぉぉぉーーー!!」

ここは空中地面が無い為に力の重心が取れない為に

打撃系の攻撃は意味をなさない・・・

ならば・・・剣で立ち向かうしかない!

俺は空中を走りぬけていく・・・

俺のイメージ通りに俺は空を走っていくアバジェス目がけて・・・

アバジェスが龍の髭をを振り回して、俺を牽制してくる。

体の何箇所が斬られるが気にしないで距離を詰めていく

龍の髭が鞭ならば近距離の敵には意味を成せない・・・

鞭ならばその有効射程は中距離、遠距離だ。

遂に俺はアバジェスの剣を抜かせた

接近した俺はアバジェスが召還した剣にエクスカリバーを叩きつけてその一撃を防いだ。アバジェスが召還したのは魔剣 ダインスレイブ・・・そう、アルフェシオンの剣だ・・・

魔剣 ダインスレイブは神を脅かす者・・・

神王を追われたこのアバジェスが混沌に対抗する為に創り上げた剣だ。

「面白い・・・」

アバジェスは俺の剣を受け止めたまま呟いた。

次の瞬間、俺はアバジェスの蹴りが来るのを先読みして上に飛んだ。

そしてアバジェスに剣を振り下ろした。しかし、アバジェスは後ろに逃げる・・・

俺はロキの手紙に書き残されたアバジェスへの対処法を実行に移した。それは・・・アバジェスとの距離を離すなという事だった・・・

「アァァバジェェース!!」

ひたすら距離を詰めようとするが・・・アバジェスは素早い!

俺との距離を空を優雅に駆けながら自分のものにしている・・・

さすがはあの二人の師匠なだけはある・・・

「ふふふ・・・そろそろいくか!」

アバジェスは手を俺に向けて掲げ握り締めた・・・

それには見覚えがあった・・・

アバジェスに向かって猛ダッシュした!!

途端に後ろからゴン!といった音がした。

恐らくは後ろの空間を圧縮したのだろう・・・

「ヘル・バイス・・・」

アルフェシオンはイメージした対象を縮退化して

アバジェスはイメージした空間を縮退化する。

アバジェスは最強の魔術師だとロキは書き残していた・・・

「・・・本当に面白い!!」

アバジェスは距離を離しながらまたしても手をかかげてきた。

俺はまた猛ダッシュをかけるが・・・

今度はゴウ!と俺を炎が包み込んだ!

本来は即死しかねない程のダメージなのだろうが

運良く軽い火傷程度の熱さだ。

例えれば熱いに鉄板に手を触れた程度だ。

死にいたるようなダメージではない・・・・

(・・・なるほど・・・ルシファーの加護か・・・魔法は役にたたないか・・・本当に・・化け物だよ・・お前もあいつも・・・)

次の瞬間、今まで空中にいたと思っていた俺はいつの間にか地面についていた・・・いや、あたり一面の青空が、辺り一面の支柱が広がっていた・・・

さっきのもアバジェスの魔術だったのか・・・

目の前にはアバジェスがいた・・・

その目には先ほどまでの軽薄な感じはない・・・

「お前はとんだ化け物だ・・・」

(俺では何を仕掛けても・・・無駄か・・・)

「何・・・?」

「お前は自覚してないかもしれないがその体はすでにロキと同じものだ・・・一切の間接攻撃(魔法)を無効にしてしまう奇跡の体現・・・・常に完全を脅かすものか・・・」

アバジェスが右手に再びダインスレイブを召還して初めて構えた。

「・・・タクト・マイヤーズ・・・いざ尋常に勝負!」

ロキはこう書き残していた

アバジェスは正真正銘最強の剣士であると・・・

俺は冷や汗を流しながらエクスカリバーを構える・・・

互いの剣の破壊力は無限大、喰らえば

いかなるものも切断される。

まさに生身の斬り合いだ・・・

アバジェスが疾風の如くかけてきて斬りかかってきた。

早い剣戟!俺は守るのが精一杯だ!!

アバジェスを様々に動き、

俺をかく乱しながら様々な角度から斬りつけてくる!

まさに無限の剣戟

終わりは無い・・・

ロキですら剣では勝負にならなかった・・・

それは俺もだ・・・

命の危機に心臓の回転数があがる・・・

「どうした!?」

剣戟を休めない、アバジェス・・・

疾風怒濤の剣戟の嵐

剣の舞・・・死の舞・・・

俺に残された勝機はただ一つ・・・

ロキに養われたこの拳を駆使するのみ

アバジェスが次に少し大振りに剣を振り上げるのが分かった!

俺は博打覚悟でアバジェスに踏み込みボディに一発いれた!

「ぐ!!」

声は両方が上げたものだ・・・

俺はその黄金の鎧の固さに・・・

アバジェスは鎧を伝わってきた振動に・・・

ロキが残したアバジェスの対処法 

アバジェスの鎧は絶対に破壊されない鎧・・・

完全の体現・・・完全な鎧・・・

ならば・・・中の体に振動を叩き込むしかない・・・

「うおぉぉららあああぁぁぁぁーーー!!」

俺は手を休めずに疾風怒濤のラッシュでアバジェスの鎧に拳を叩きこんでいく!

ロキとの打ち込みで培った打ち込みを今活かせ!

この振動でアバジェスの動きを固めて動かせない!

少しでも手を休めれば俺は真っ二つにされる!

「チぃ!!」

次の瞬間、俺は悪寒を感じて距離を離した・・・

ブバァ!!

俺の胸元を何かが切り裂いた!

ダインスレイブで斬ったのではない・・・

俺は遂に

アバジェスの本当の武器 ゴッドハンドを抜かせたのだ・・・

アバジェスは最強の剣士であり、最強の拳士でもある。

しかし、これこそが本気のアバジェス

アバジェスが構えるその構えはロキを襲撃した暗殺者の構え・・・

阿部陰月流の構え・・・ガードの事は一切考えていない・・・

こちらの急所を狙っている構えだ。

暗殺こそが阿部陰月流だ・・・

「・・・見事・・・!ならば!見せてやろう!我が、陰月流をな・・・!」

ロキが夢の中で見せた動きのようにアバジェスは残像を残しながら目にも止まらぬ速さでこちらに攻めこんで来た。

暗殺の理想、前手の拳 阿部陰月流・・・

アバジェスの手刀が襲いかかって来る。

常識外れの拳圧!

それはゴッドハンドが生み出す無限大の威力

俺はアバジェスの拳が勢いを増す前にガードしてその威力を殺していく・・・

アバジェスの上段回し蹴りがガードの上から弾き飛ばす!

龍の雷!!

腕が痺れる程度で済んだのはロキの攻撃を受け続けた成果だろう・・・本来の威力は計り知れない・・・人間の体なら腕は千切れていただろう・・・

攻撃に特化したアルフェシオンの原型アバジェス・・・

ならば・・俺は後手の拳で応戦するのみ

格闘の理想 後手の拳 古牙陽輪流

アバジェスの足に自分の体を巻きつけてその動きを止めさせてひたすらアバジェスを殴り続ける!

「オラオラオラオラオラオラオラアァァーーー!!」

アバジェスの強烈な拳があちらこちらに被弾するが

俺は手を休めないロキの言葉は常に

威力を落とさず打ち込み続けろ!だった・・・

俺はアバジェスと根比べに入ったのだ!

防御に特化した七番機の原型 ロキ・・・

やがてアバジェスが根を上げ俺を抱え挙げて投げて距離を取り、俺はそのまま追跡してアバジェスの鎧に渾身のボディブローを叩きこんで・・・

ベキィィッ!!!

「ぐああああぁぁぁーーーーーーー!!」

俺の左手が破壊された・・・骨は粉々だ・・・

アバジェスは究極の盾を発動させたのだ

丸い魔方陣に描かれた時計周りに描かれた12の文字とその中に描かれた東西南北に描かれた文字 そしてその中央に描かれたほかの文字とは違い二つの紋章が重なったようなもの・・・

ムーンエンジェル隊とルーンエンジェル隊の紋章が重なっていた・・・

「ぐぅぅ・・・!」

「これは神王の盾 インフィニティシールド・・・お前等がASフィールドと呼ぶものの原型だ・・・因果律の加護を受けた盾・・・如何なるものも遮断する混沌の無であろうとシャイニング・サンであろうとオメガ・ブレイクであろうとな・・・」

俺は追い詰められている状況下でロキの手紙を思い出していた・・・

アバジェスは狼牙一閃を知っていると・・・

それ故に果たして間抜けにも拳を打ってくるか・・・

だあが、俺は踏ん張って立ち上がる・・・

俺はミルフィーと再会する為に・・・

「・・・・・・」

こいつを倒さなければならないのだから・・・

アバジェスは絶対的有利な立場にいる余裕からか

そんな俺をジッと直視していた・・・

「・・・今すぐ葬ってやろう・・・陽輪流の者よ・・・」

アバジェスが一気に距離を詰めて俺の内股に足をかけてかがませて・・・オイ!これは・・・!?

ゴッドハンドの渾身のアッパーカットが俺の顎めがけて飛んでくる!

アバジェスが放ったのは

阿部陰月流 最終奥義 神威昇天・・・

前手の拳

そして俺は逃げられない一撃必殺に対して

さっき砕けた左の拳を当てる、左腕は死んだ・・・

そして・・・アバジェスの鳩尾に振り下ろした俺の渾身の右ストレートが・・・

ドスッ!!

「ぐぅっ!」

アバジェスの鎧を突き破り、鳩尾に突き刺さった・・・

俺が放ったのは

古牙陽輪流 最終奥義 狼牙一閃・・・

後手の拳

別名 神威昇天 返し 

ロキが逃げられない一撃必殺に対抗する為に編み出した

肉を切らせて骨を断つ必殺の一撃だった・・・

そして、アバジェスはそれを知っていた筈なのにあえてそれを使ったのだ・・・

 

俺達はお互いに動けなかった・・・

急所を打ち抜かれたアバジェスは既に虫の息で・・・

俺は足を絡めたまま腰を回転させたもんだから・・・

腰はすでに壊れていた・・・

「・・・何故、わざとやられた・・・!?」

俺は隣に倒れているアバジェスを問い詰めた・・・

「私・・・ではか・・・てないか・・らだ・・・」

「嘘をつくな!!」

「嘘・・・で・・・は・・・ない・・・たとえ・・・わたしが・・・おま・・・えを・・・かんぜんに・・・ころ・・・しても・・・おまえは・・・なんどでも・・・よみがえる・・・

「なに・・・・?」

「るし・・ふぁー・・・に・・・あらた・・・な・・・・・・をやどし・・・た・・ものには・・・契約の証として不死・・・がもたらさられる・・・」

「・・・・・」

「そう・・・エレ・・ナと交わ・・った・・・かつての・・・ロキ・・が・・そうで・・・あったように・・・」

「・・・・っ!!!」

という事は・・・

駄目だ!考えるな!!

「・・・タクト・・・」

アバジェスが俺の名前を呼ぶとさっきの二つのオ−ブが飛んで俺の前で静止し、それが俺の胸の中に吸収されていった。

「・・・・ッ!」

次の瞬間痛みは消え去り・・・力がグングンとみなぎってくる・・・

ドラゴン・ソウルが君を・・選んだ・・・君は・・・これで奇跡の・・・体現者・・・の候補に・・・あがった・・・・

「アバジェス・・・お前は・・・・最初から・・・・」

俺は立ち上がり死に逝くアバジェスを見下ろしている・・・

「私は・・・あいつと・・・エレナ・・・・から全てを・・・奪った・・・弱者よ・・・混沌に・・・負けた・・・・駄目な・・・あに・・だった・・」

「そ・・んな事はない・・・!!」

あの二人はそんな事を思ってはいなかった筈だ!

アバジェスはよろよろと立ち上がるとダインスレイブを召還した・・・

一体何を・・・?

「むん!」

そして、黄金の騎士は最後の1振りを放った・・・

最強の剣士により、空間にスリットができた・・・

「・・・この奥に・・・神皇がいるんだな・・・」

「ああ・・タクト・・私が紋章機を・・・創造したのは元凶を滅ぼす為だ・・・」

「ああ・・・神皇は必ず倒す!」

「・・・タクト・・・俺は・・・確かに・・・優れてはいた・・・しかし、恐ろしくて強いのは・・・あいつだ

「・・・あんただって強かったよ・・・」

「・・油断するなよ・・・あいつのストレートは一撃喰らえばそこで終わりだ・・・あいつは本気だ・・・」

「ああ・・・俺だってそのつもりさ・・・」

「・・・ふ・・・さぁ・・・あいつを・・・すくって・・・やってくれ・・・あいつはこの先でお前を待っている・・・」

アバジェスはそのまま仰向けに倒れた。

「アバジェス!!」

「・・・行くがいい・・・この世界の神皇の下へ・・・」

「・・・・・・」

タクトはアバジェスの方を振り返えらずに

スリットの中に消えていった・・・

アバジェスはタクトが消えたのを見送って呼びかけた。

「いるん・・だろう?ルシ・・ラフェル・・・」

「はい、マスター・・・」

倒れている、アバジェスの横にタクト達の時代のレイ・桜葉が現われた。

「お前が・・・ここに・・・くるのは・・・」

「234回目です・・・」

タクト・・・に・・・ロキの・・・魂を・・・いれたな?

「・・・はい、入れる前のあいつは本当のヘタレでしたから・・・」

「なるほど・・・」

アバジェスははは・・・と力なく笑う・・・

「マスター・・・」

修羅は・・・悪鬼羅刹の元へ・・・向かった・・・こ・・・の・・・勝負・・・かつ・・・のはどちらかな・・・」

「私は勝ちあがった方と戦い、勝つだけです・・・」

「お前らしい・・・な・・・そんなに不確かが許せんか・・・?」

「俺が憎むのは混沌だけです。あの馬鹿の事など知った事ではありません。」

「よく、聞け・・・おれ・・もかつては・・・完全こそが真理と思い・・・戦ってきた・・・しかし・・・気付いた時には・・・完全というものに・・・疑問を・・・もちはじめた・・・」

「完全が無ければこの世は成り立ちません・・・」

「・・・そうだな・・・しかし・・・時には・・・息抜きも・・・必要だ・・・」

アバジェスの体が霧散していった・・・

レイは・・・それに敬礼をして見送った・・・

「完全を脅かすのが奇跡と言うのなら俺が奇跡の存在を否定させて見せましょう・・・その為の・・・俺のオペレーション・ラグナロクですから・・・」

 

回想

〜復讐の鬼〜

 

これは天使達に決して話してはならないの記憶だ・・・

その鬼は天界 エリュシュオンにたった一人で乗り込んできた・・・

はまさに悪鬼羅刹・・・

神王を守ろうとした者を次々と殺していった。

の武器はその体のみ・・・いかなる金属の鎧もこのの前では紙の鎧となる。

ある者は鎧ごと切り裂かれ、ある者は鎧ごと砕かれる。

が目指すのはただ一人・・・神王であるこの俺だ・・・

は復讐の為だけに来たのだ。

復讐のの前では俺達神族でさえも無力だった・・・

神族が生みだした武器防具も魔法もこのの前では何の意味もなさなかった・・・

立ちはだかる者、立ちはだからない者全ても殺された・・・

その様は獲物に襲い掛かるだった・・・

このは娘を誘拐しようとした同じ街の人間でも躊躇無く殺した・・・

娘の前で八つ裂きにして・・・

だからこそこいつはと呼ばれるようになったのだ。

しかし、誰にもこのを止める事などできない・・・

復讐・・・それは最も強く進化を促すものであり。

全ての起源が望むものだ・・・

その褒美として復讐を成す者には快楽が備わる・・・

それは、まさに甘美な果実だ・・・

それは本能と言う名の果実・・・

誰も抗えない感情だ・・・

そしてこの鬼がこの世界に来たのも神皇の最初で最後の情けだったのだ。

神皇はと同じ元人間だ・・・

そしてその神皇と鬼は切っても切れない仲なのだ・・・

そして、は俺の前に現われた。

人からかけ離れた姿で・・・

その体には様々な返り血がこびりついている。

は何も語らずに俺に襲い掛かってきた。

俺は持てる全ての死力を出し尽くしたが、所詮、神如きが抗える存在では無く、長きに渡る死闘の末に俺は遂に動けなくなってしなった・・・

体はすでにボロボロだ・・・ガードした右腕はガードした瞬間に吹き飛んでいる・・・

は俺とマウントポジションを取ると、その鬼の拳を振り上げた。

おそらく俺の頭を砕くのだろう・・・今まで殺してきた者と同様に・・・

そしてその後は自分の意思では無く、その奥底に眠っている元凶の意思でこの奥に隠してある、鬼の息子を殺す気なのだろう・・・

俺は最後の力で剣を相打ち覚悟でその鬼の心臓に突き刺そうとした・・・その時・・・

その時、鬼の拳をそっと掴んだ者がいた。

幾ほどの肉片を見ても表情一つ変えなかったが初めて驚愕したのだ。

鬼の拳を止めたのは俺の妹の面影を残した少女だった・・・

少女は悲しそうな顔でを見つめていた。

この少女は運命の三女神の転生体一人ゆえに未来を垣間見る事ができる・・・

運命の三女神・・・時を司る者達・・・

全ての起源を産み出した者でもあり・・・

元凶が最も憎悪する者達・・・

そしてこの少女をここに連れてきたのはこの奥の部屋に隠してある同じ三女神のうちの一人だろう・・・

少女の涙が返り血にまみれた鬼の腕におちる・・・

そしては娘を抱きしめて泣いた・・・

妻を失ってから二年ぶりに・・・

は既に復讐心を無くしていた・・・

そして、その時、未来からの使者が来た。

死神のメシアと名乗る者が・・・

その男は鬼と妹の間に双子が生まれてから俺に接触してきて色々な技術を教えてくれた者だ・・・何でもEDENより来たものだとか・・・

そして、そこで死神のメシアはルシファーの記憶を消去して、鬼に俺に話した内容と同じ事を伝えた。運命の三女神の事と元凶について・・・

鬼は最初は信じてなかったが、奥に隠れていた息子とのDNAが一致した事に驚愕して死神のメシアが未来からきた自分の息子だという事を信じた・・・

鬼の世界でDNA鑑定があったのは救いだった・・・

そして死神のメシアはいずれ訪れる終末の日の事を話し始めた。

終末の日

偉大なる神々の暗闇について・・・

それは決して我々が知ってはならない禁断の五文字だが、その死神のメシアはこの神界で作った人型戦闘機に敢えてその名前をつけた・・・

その意図は俺にすら教えてはくれなかった・・・

そして、その人型戦闘機は後に紋章機と呼ばれる事になる・・・

この紋章機の役目は元凶を倒す事である・・・

いずれ全てを喰らい尽くす元凶を殲滅する為に・・・

この死神のメシアは時を越えて手に入れた技術を結集してこの紋章機を造った・・・

もっとも、それはタルタロスの最深部に眠ってあった物を真似たに過ぎないが・・・

俺達はその発掘品を全ての起源・・・オリジナルと呼んでいる・・・

そしてその誓いの紋章の一つは神界に住まう月の天使を模った鳥の紋章が・・・

まぁ、後に元凶も真似てもう一つの紋章を生み出してしまったのだ・・・

それは運命の天使・・・

二つの命が交わってその使命をまっとうする俺達の最後の敵だ・・・

簡単に言うと・・・

月の天使を率いる者が俺達の紋章機

運命の天使を率いるの者がオリジナルだ・・・

そしてその鍵を握るのが運命の三女神の三女 フェイトとその騎士だ。

 

 

〜奇跡VS??〜

 

神王の間を抜けたタクトは神皇を目指して天の川を走り抜けていく・・・

ここは、宇宙・・・混沌の体内・・・存在を許されるのは

絶対者の混沌・・・始まりの奇跡終わりの完全の三つのみ

始まりのルシファーの細胞が宿ったタクトはその恩恵でここに存在できる。

ここは混沌・・・いかなる時代、場所につながり

エネルギーを排出している

・・・迷えばどこに出るか分からい・・・

ここは天の川・・・ミルキーウェイ・・・

タクトを呼んでいる混沌が道しるべにだしたものだ・・・

タクトは既に混沌が“誰”であるかに気付いている・・・

タクト混沌を倒す為に向かう・・・

混沌と戦う覚悟はできている・・・

そして混沌が待つ場所に出てきた・・・

 

俺は夢でみた場所に出てきた・・・

俺はこの場所を知っている・・・

この荒れ果てた場所を知っている・・・

空には綺麗な夜景と不吉な赤い月・・・

まさに混沌だ・・・

神皇はここフィノリアの跡地にいる・・・

混沌が俺を城で待っているのが分かる・・・・

辺りは後始末がされていない白骨死体の山・・・

ここには__以外入ってこれないのだ・・・・

ここに入れる者は・・・あいつを除けば

混沌しかいない・・・

終末の日はここを残している・・・

因果律は俺にここでもう一人の__と戦えと言っている・・・

最強の狼が俺を待っている・・・

最強の鬼が俺を待っている・・・

城の最上階・・・王の間であいつが待っていた・・・

「よう・・・待ちくたびれたぜ・・・」

「・・・・・・」

そこにはいつものジーパンだけをはいた男が待っていた・・・

「ロキ・・・」

「アバジェスを倒したんだな?」

「ああ・・・」

「そうか、そうか・・・」

ロキは俺にゆっくりと近づいてくる・・・

の神界最強の男が近づいてくる・・・

「そこで、止まってくれ・・・

俺は威嚇するようにロキを制止するが

ロキは無視して俺に近づいてくる・・・

「断る・・・俺達は今から殺し合うんだからな・・・」

ロキは足を止めない・・・

「止まれ!」

「嫌だね・・・」

「・・・・・・」

「ルシファーはお気にめしたかい?」

「何・・・?」

「俺が脅してけしかけたんだよ・・・」

ロキルシファーと同じ事をしようとしている・・・

わざと俺に嫌われようとしている・・・親子だな・・・

「挑発しなくても戦うさ・・・だから・・・そこで止まってくれ・・・聞きたい事がある・・・」

「やれやれ・・・」

ロキはため息をつくとそこで止まった・・・

「ち、何だよ?」

「お前がこの時代の神皇なのか?」

「聞かなくてもお前は分かっているだろう?」

「答えてくれ・・・!」

「・・・・・・ああ・・・」

ロキは自分が神皇であることを白状した。

「いつからだ?」

「さぁな・・・俺が知りてぇよ・・・」

「あの手紙にかいてあった世界の仕組みは本当の事か?

本当さ・・・」

「お前が望むのはどんな世界だ・・・」

「んなもんに興味はねぇよ・・・」

「そうか・・・わかったよ・・・なら次だ・・・

お前は奇跡の体現者でありながら混沌の体現者でもあるんだな?」

「おうともさ・・・」

「何故、選ばれたんだ?」

「俺はな・・・体の100%が神皇の細胞でできているんだ・・・そして、完全のアバジェスを倒してしまった事により、因果律神皇の両方から選ばれちまった・・・」

「・・次にいくぞ・・・毎晩ここで何をしていたんだ?」

「・・・それは今は教えたくないな・・・他にはもう無いか?」

「これで、最後だ・・・お前を倒せば俺が奇跡の体現者になって元の時代に、戻れるんだな?」

「俺を倒せればね・・・」

「倒してみせるさ・・・・」

「まぁ・・・頑張れや・・・さて今度はこっちの番だな?」

「ああ・・・・」

ルシファーが未来のルートを決め、失敗すればルシラフェルが過去に戻り修正をしている・・・それが今の現状だ・・・・しかし、神皇が滅べば二人は候補者として戦う事になる・・・ここでお前が勝てばお前がルシファーの代理として認められて

お前は奇跡の体現者として認められて

完全の体現者のレイ・桜葉と戦う事になる。

そして、勝った方の信念が因果律の信念となり

これからの道となる・・・

それが絶対領域での戦い・・・最後の審判の時だ・・・」

「・・・・・・」

「そして、因果律はまだ迷っている・・・

俺とお前のどちらの奇跡の体現者を候補者にするのかを・・・」

「決めるのは俺達だろう?」

「そうだ。」

 

奇跡VS奇跡

 

 

「なら始めようぜ・・・」

俺はロキを相手に構える・・・

「そうだな・・・」

ロキも構える今まで俺に見せた構えとは違う・・・

プレッシャーを与える為の策だろうか?

ロキは俺の癖を知り尽くしているが、俺はロキの本当の戦い方を知らない・・・

何せ、あのアバジェスより強い相手だ・・・

俺にとっては何より怖い相手だ・・・

(上段のパンチはタブーだ・・・)

俺は自分からロキの懐に飛び込んでいくが・・・

ロキは横にスウェーでかわして俺のミドルキックを打ち込んできた。

「!」

俺は直感的にガードをするが俺は軽々と吹っ飛ばされた。

俺の体が壁に叩きつけられた。

「ぐは!」

「・・・馬鹿かお前は・・・?」

冷徹なロキの声・・・まるであいつを思い出させる・・・

ガードした手がジンジン痺れている・・・

こいつはまだ本気なんて出しちゃぁいない・・・

アバジェスの言う事は正しかった・・・

恐ろしくて強いのはこいつの方だった・・・

「どうした?もう、終わりならとどめを刺すぜ?」

ロキがあっという間に倒れている俺に接近してきて俺の体を蹴り飛ばそうと足を振り上げた俺はその足にしがみついて、防ごうとしたが・・・

ゴン!

「がっ!!」

という音と共に背中に信じがたい激痛が走り血が口から飛び出た・・・

そしてロキは俺の体を持ち上げるとまた壁に投げつけた・・・

「ぐ!」

俺はそれでも立ち上がる・・・

頭がぐるぐると回っていてるのが分かる・・・

ぐらぐらする視界の中でロキが近づいてくるのが分かる・・・

かなり・・・こたえている・・・俺はふらふらしながらかまえるが・・・

「あら、よっと・・・」

ロキのローキックが俺のすねを刈り・・・俺の内股と脇の下に手を入れて頭の上で俺を一回転させて投げ飛ばした・・・それだけでは終わらない・・・更に投げ飛ばした俺にハイキックを食らわした。あばらの骨が砕けたのが分かった・・・・

俺はまるでサッカーボールのようにロキに蹴り飛ばされた。

俺の意識は早くも限界を迎えようとしていた。

「どうした?そんなもんで俺を倒せるつもりだったのか・・・」

ロキが軽く鼻で笑った・・・

「もう、あきらめんのか?」

「な、なにを・・・」

俺はよろよろと立ち上がる・・・

「ルシファーの夢を叶えるんじゃないのかよ?」

・・・そうだ・・・

「・・・・」

「まぁ、こんなんじゃこれから先も勝ち残れまい・・・ここで死にな・・・」

ロキの足が鎌のように振り上げられて・・・

「ふざけるな!!」

「む・・・」

俺はロキの軸足を掴んで倒した、朽木倒しという投げ技だ。

そして、マウントポジションをとろうと・・・

するとロキが目にも止まらぬ速さで俺の足に自分の足を絡めて・・・

まずい!・・・締め技・・!?

「俺相手に柔道やろうなんて大した自信だぜ・・」

ロキが俺の首をへし折るかの如き怪力で絞めてきた。

頚動脈をしっかり圧迫していて一気に決めてくる・・・

「ぐ・・・ぐぅ!!」

「俺は別に呼吸なんかしなくても平気だけどお前はそうもいかないんだよな?それに知ってるだろ?完全に決まった寝技を破る方法なんて無いんだよ。」

俺は背後から締めているロキにパンチで引き剥がそうとするが、ロキの体は堅くて、おまけにこの体勢からだと上手く力が入らない・・・俺の意識が遠のいていく・・・

「あきらめて死ぬか?」

その言葉で俺は我にかえった・・・んな訳あるかよ!

俺は締め上げているロキの豪腕を掴むと強引に引き剥がしにかかる。

「力任せか?無駄なこ・・・」

「あきらめてたまるかぁぁぁーー!!」

「む・・・」

火事場の馬鹿力だった・・・俺の手がロキの手を引き剥がしてそのまま放り投げた!!

ロキは片足で着地して俺の方を向いて笑っていた。

「・・・凄いよ・・お前は・・腕力で俺を退けるとはな・・・」

心なしかロキから発せられている敵意が強くなっていく感じがする・・・

「タクト・・・格闘家の理想は一撃必殺だと教えたよな?」

「・・・ああ・・・」

「ならば格闘家が目指さなければならないものが何か分かるか?」

「それは勝利だろ?」

「いい答えだ・・・しかし、闇雲に勝つだけではいつか越えられない壁にぶちあたる時が来る・・・だからこそ・・・格闘家たるものは明鏡止水の心得を身につけるんだ・・・」

「め、明鏡止水・・・?」

澄んだ心という意味だ・・・澄んだ心で戦えばそれまで見えなかった相手の癖、自分の悪い癖が見えるようになってくる・・・その域に達すればお前はもっと強くなれるぜ・・・」

「お、お前は・・・」

「気付いていたか?俺が明鏡止水の域で戦っている事が?お前の動きがまる見えだったぜ?」

「くそ・・・馬鹿にするな・・・」

「ああ・・・待て待て・・・さっきので俺の血が騒いじまった・・・

そろそろ、本気出してもいいか?」

「本気、本気って!普段から10割の力を出さない奴はいざって時にその力を発揮できないんだよ!」

「あはは・・・確かにお前の言う通りだ・・・しかしなぁ・・・

俺はそんな生易しいもんじゃないぜ・・・

見せてやるよ・・・本当の姿をな・・・」

そう言うとロキの髪の毛が逆立ち、筋肉が膨張していく・・・頭から鬼のような角が生え、口元には狼のような牙がはえてきて・・・

遂にロキ狼鬼と化した・・・

(イメージ曲 MELTY BLOOD )

「・・・それがお前の本気なんだな・・・」

この鬼のような姿こそがロキの本当の姿だったのだ。

「ああ・・・俺は生まれつきこんな訳のわからねぇ化け物だったんだよ・・・それにな・・・」

ロキの右の頬に上を向いた矢印が現われる・・・

「何だ?その文字は・・・」

「おいおい、酷い事を言うなぁ・・・これはルーン文字さ・・・因果律の候補者の顔の一部に現われるものさ・・・・俺の文字は“teiwaz”・・・戦士と勝利って意味さ・・・ちなみにお前やルシファーだって同じ文字が描かれているんだぜ?」

「そんなものはない・・・・」

「そりゃあ分からないだろう、お前やルシファーに現われる文字は“blank”・・・意味は未知と運命だ。そしてその刻印は何も表記されないんだからよ・・・ちなみにレイには“sowelu”・・・完全という文字が現れる筈だ・・・」

「おまじないかよ・・・」

「タクト・・・この文字が現われたって事はな・・・候補者に因果律が戦って決着を付けろって言う意味なんだ。負けた方は文字が失われて候補者から外れる事になる・・・」

ロキの金色の眼が俺を離さない・・・

「分かるだろう?こうなれば勝負するしかないんだ・・・

この神界から現代に蘇られるのは俺かお前のどちらかしかない・・・」

「・・・いいぜ・・・こいよ!!」

次の瞬間ロキの姿が消えた!

「が!」

そして気が付いたらロキは俺の頭を掴んで壁に投げた。

「ぐぅぅぅーーーー!!」

自分が今どうなっているのかも分からないほどの速さで

俺は投げ飛ばされた頭に痛みを感じて目を開けるとそこには

夜空赤い月だった・・・

なんと俺は城の外まで投げ飛ばされていたのだ!

俺は空中で体勢を立て直して身近にあった民家跡の屋根に着地した俺は反射的に上を見上げたそこには・・・

赤い月を背景にしてこちらに飛んでくるロキの姿だった。

夜中の赤い月ぼ光を浴びた狼鬼が俺に襲い掛かってくる。

俺は民家から飛び降りた。そのすぐ後で民家は粉々に砕け散った・・・ロキが着地した衝撃で潰れたのだ・・・

俺は民家の方に向き直る。

互いにもう、後戻りなんてできはしない・・・

「タクトォ!!」

狼鬼が距離を詰めてきて遂にその拳を放った

俺は運良くかわす事に成功したが、頬がざっくりと裂けた

「ぐっ!!」

なんという拳圧

狼のような速さで放たれた鬼のような一撃!

その威力はアバジェスのゴッドハンドすらも凌駕している!

あんなものを喰らえばひとたまりもない!

ガードしようものなら腕が千切れてしまうだろう・・・

「化け物め・・・!」

「ああ、よく言われるよ!」

ロキが再びその狼のような俊敏さで襲い掛かってくる!

俺は地形を生かしてロキの攻撃から逃げていく・・・

「俺から逃げられると思うな!」

瓦礫をものともせず破壊しながら進んでくるロキは

悪鬼羅刹そのものだ!

目の前にいる狼鬼は間違いなく神界最強の神だった・・・

その実力はアバジェスをも凌駕する!!

まさに混沌が神界に送り込んできた奇跡である!

「くっ!!」

俺は狼鬼の追及を振り切れそうになかった・・・

「観念しろ・・・」

別人のように殺気を込めた声をだしながら狼鬼が迫ってくる。

・・・待て・・・逃げてどうする・・・?

俺は勝たなきゃならないんだ・・・!

生きて皆の元へミルフィーの元へ帰らなきゃならないんだ!!

恐怖如きに舐められてたまるかよ!

狼鬼のストレートが来るのが何となく見えてくる・・・

そして、ゴウっという音と共に狼鬼のストレートが襲ってきた!

俺はかがんでアッパーを放とうとし・・・

ドゴォ!!

「グ!!!」

俺は狼鬼に蹴り上げられ、遠くの瓦礫に激突した・・・

口からまた血が吐き出された。

鬼はすぐさまに追いついてくる・・・

だが、俺だってこのままやられぱなしにはならない!

俺に追いついた狼鬼がかけてきて宙を舞った!

俺は嫌な予感がして前転してその場から離れた・・・

次の瞬間俺が背中を預けていた瓦礫が縦に五枚にスライスされた。

この技からは・・・陰月流の匂いがしてきた・・・まさか・・・

「・・く・・・さっきのは陰月流の技か?」

「ああ・・・陰月流 空蝉 時雨だ。」

「陰月流の技まで会得していたのか・・・」

「俺の師はアバジェスだぜ?俺は陰月流の極意を見極めて陽輪流を編み出したんだ・・・だから・・陰月流の事もよく知っているさ・・・」

「何て奴だ・・・」

「悪く思うなよ・・・俺は勝つ為になら何でもやるんだ・・・」

「・・・どこかの陰険野郎と同じような事を言ってくれるなぁ・・・」

俺はあいつの顔を思い出して少し笑った・・・

「だが、その言葉で俺にも火がついた・・・もう逃げない・・・!存分にやろうぜ!!」

「おう!!来いや!!」

俺にはもう、恐怖などは無い・・・

この鬼に勝ってここから戻るんだ!!

ロキの見えない動きが見えてくるようになる・・・

ロキの重心のバランスの取り方まで・・・

何か楽しくてしょうがない・・・

今のこの境地は明鏡止水と言えるのだろうか?

俺はロキの動きを見切っていき確実に攻撃を加えていく・・・

しかし、ロキの体は尋常じゃないほど堅い

いくら殴ってもびくともしない・・・

それに対してロキの攻撃はまさに一撃必殺・・・

状況は圧倒的にこちらが不利だ・・・・

しかし、俺に焦りや恐怖は無い・・・

凄い・・・ロキはやはり凄い!

こんな化け物とここまでやり合えている自分も凄いと思う・・・

「オラー!!」

俺の拳が修行の時みたいにロキの胸を乱打する!

「効かねぇぞぉ!」

そんな俺の攻撃を苦ともせずに俺の頭を鷲掴みにして力を

いれてくる・・・ロキは俺の頭を本気で砕こうとしている・・・

こいつの握力ならば俺の石頭を砕く事もできるだろう。

しかし、俺はなんとしてもこの勝負に勝つ!

ロキは俺を持ち上げているだけだ・・・

いつもの悪ふざけかまだどこかにそんな余裕があるのだろうか・・・しかし、それがチャンスなのに変わりはない・・・

俺は掴んでいる手を両手で掴んでロキの体を浮かして投げ飛ばした。俺だって伊達に修行していたわけではない!

ロキは投げ飛ばされ、その方向にある瓦礫を踏み台にしてこちらに飛んできた・・・踏み台にした瓦礫は粉々に砕けていった・・・そしてロキのその反動力を使った流星脚が飛んでくる!俺は地面に転がってそれをかわす・・・ロキが空振りした蹴りは地面をボッコリとえぐった・・・!

本当にお互いに、勝負運が強い・・・

奇跡の体現者に選ばれたのはそのせいだろうか・・・?

今度は俺からロキにかけてゆく・・・

こいつ相手には逃げたくはない・・・

ありとあらゆるものを使ってでもこの勝負には俺が勝つ。

俺達は殺し合いをしている・・・

俺達は同時に生存を賭けた勝負をしている・・・

お互いが相手を憎んでいる訳ではない・・・

むしろ俺はロキの事を尊敬していると思う・・・

こいつは俺のにとって最高の男しても理想図なんだ・・・!

「この勝負は因果律が定めた掟だ・・・

逆らえない状況ならば・・・・

俺達はその状況の中でベストを尽くす!

それでいいんだろう!?

ロキ!!」

「その通りだ!タクト・・・!!」

俺達は勝負をひたすら続けた・・・

力でくるロキに頭で挑む俺・・・

なるほど・・・ロキが自分で考えろと言った意味が

今になって分かった・・・

お前は最初から俺と戦うつもりで俺を鍛えていたんだな・・・

そういうところもあいつとそっくりだぜ・・・

だからこそ何としてでも負けたくない!!

だからあきらめない!

それから俺達は何時間勝負を続けただろうか・・・

心臓の回転数が限界を超えてからかなりたっている・・・

そして、俺は遂に最後の勝負に出る事にした。

鉄壁を崩すにはこれしかない・・・

後はどちらの勝負運が強いかというだけだ・・・

「いくぞ!ロキィッ!」

「こい!」

ロキも覚悟を決めたみたいだ・・・

俺が何をしようとしているのかが分かっていて

それに応えてくれるというのだ。

「・・・・ッ!!」

俺は渾身の右ストレートを放つ!

そしてロキは左手を90度回転させて当てて・・・

「タァァクトォォーーーーーッ!!」

アバジェスを沈めた本家本元の狼牙一閃を放ってきた!

俺はその技を知っているだからこそロキのカウンターストレートが

来るだろうと予想したところにあらかじめ左手を置いておいた

後は互いの勝負運の問題だ。

どちらが奇跡の体現者に選ばれるのか?

べキャッ!!

その威力に左腕が粉々になるのを感じながら・・・

バキィィィーー!!

俺は最後の右ストレートをロキの鳩尾に叩き込んでいた。

そしてロキは倒れて起き上がってこようとはしなかった・・・

根性が無いのではない・・・

ロキは敗北を知ったのだ・・・

自分の勝負運が俺に負けたのを悟ったのだ・・・

何故ならロキの頬にあったルーンの刻印は消えていたからだ。

ルーンの刻印・・・

それは運命・・・

運命には逆らえない・・・

そしてロキはその運命から解き放たれた・・・

ならばこれ以上勝負する必要はない・・・

因果律の奴がセッティングしたこの馬鹿げた勝負をこれ以上、互いに続けたくは無かった・・・

俺は勝者となり、ロキは敗者となった・・・

そして、俺が奇跡の体現者(候補者)に選ばれたのだ

 

しばらくしてロキが語りだした・・・

「・・・戦う前に聞いたよな?俺がここで何をしていたかを・・

「ああ・・・」

今の俺には何となく分かっていた・・・

「俺はここで・・・死のうとしていたんだ・・・」

「・・・・・・」

「俺の中に巣くうこの混沌憎くてしょうがなかった・・・だから、毎晩ここに来ては自分を殺そうと自分の体を痛めつけていた・・・しかし、俺は奇跡の体現者だったから、死んでもすぐに蘇ってしまうんだ・・・でもな・・・俺もこれでようやくエレナの所に行けそうだ・・・礼を言うぜ・・・」

ロキは無理をして平然を装っているが、それも限界に来てるのがわかる・・・

「ば、馬鹿・・・よ・・せ・・よ・・・」

ロキはもうすぐ・・・

「あ・・・そうだ・・・・これを・・・・」

ロキが倒れたままよろよろとのポケットに手を入れて

「お前にPresent For You〜」

と言って例のチョコを俺に差し出した・・・

「わりぃ・・・極力、手加減したつもりなんだがな・・・左手・・・完全に終わっているだろう・・・」

「・・・・・・」

「まぁ、食え・・・」

俺はこのほろ苦いチョコを食べながら聞いた。

「このチョコも家においてあった装備品もアバジェスがつくったんだろう?」

「ああ・・・さて・・・言えるうちに言っておくな・・・」

ロキが俺の目を見る。こいつの最後の授業だ・・・

「お前は自分の夢をルシファーの夢を信じているんだろう?

その夢を実現させたいのなら

悪魔と言われても罵られても貫き通せ・・・

未来への方針への完全な答えなどあるわけが無い・・・

どんなに醜く愚かで残酷でもお前達は生きていたいんだろう?

(何だよ・・・チョコがしょっぱいなんて今まであったか?)

野生を思いだせ、奪われるか奪うか、そして守るかだ・・・

奪った方にも奪われた方にも責任があるんだ・・・

お前はルシファー達を守る為に戦ってるんだろう?

ならばその事だけに集中しろ・・・

誰に何と言われても自分の道は自分で決めろ・・・

相手の信念を否定するのなら何が何でも勝て・・・!!

「あ、ああ・・・」

「忘れるなよ・・・お前の敵は元凶だってことをな・・・」

「どういう事だ・・・?」

「いいか・・・元凶というものにも因果はある・・・」

「・・・・・・」

との戦いで迷った時には次の言葉を思い出せ・・・

全てのものには因果ある

と・・・何の根拠も無く超常現象などおこるわけが無いんだ・・・」

ロキの言っている事はイマイチ分からないけど、その言葉だけは覚えておこう・・・

「だからその戦いに勝つまでそのハチマキを外すなよ・・・そいつは幸運を呼ぶハチマキだからな・・・」

「わか・・・た・・・」

俺は多分泣いていたんだろう・・・

ロキのにやけた顔を見ていたら分かる・・・

「あ〜あ・・・どうせならお前じゃなくルシファーに見送られたかったなぁ〜・・はぁ・・・俺ってついてねぇや・・・・・・・・・・・」

「・・・馬鹿・・・あした・・・があるだろう・・・?」

ロキからは何もかえってこなかった・・・

ロキはすでに事切れていた・・・

混沌に狂わされ続けた鬼はようやく眠りについたのだ・・・

俺は・・・・また・・・泣いてしまった・・・

 

しばらくすると七番機がドライブ・アウトしてきた・・・

本当に懐かしい感じがする・・・

とは言っても七番機も随分とスリムになったものだな・・・

もう、こことはお別れだ・・・

しかし、俺にはまだやらねばならない事がある・・・

「七番機・・・もう少しだけ待ってくれ・・・やりたい事があるんだ・・・」

 

〜終末の日〜

 

俺は七番機で侵食されていく神界で唯一無事だった

あの場所へと向かった・・・

ここは唯一神々の闇から免れた場所・・・

二人の兄弟が時を止めている場所・・・

一面の桜の木は今だに咲き続けている・・・

俺はロキの亡骸をエレナさんのお墓まで運んでいく・・・

そして、静かに墓石の前でロキを下ろした・・・

「・・・世話になった・・・お前の娘はお前の代わりに俺がずっと守っていく・・・だから・・・お前はここで眠っててくれ・・・」

その時、背後に彼女を感じた・・・

「タクトさん・・・」

「・・・ルシファーなのか?」

俺が振り返るとそこには

アルフェシオンらしき黄金の紋章機

天の衣に身を包んだルシファーがいた・・・

その羽が今では虹色に輝いている・・・

今の彼女はルシラフェルでもある・・・

彼女は俺に近づいて・・・

そして、エレナさんの墓に横たえられている狼鬼に気が付いた・・・

彼女には彼が父親だとまだ、分かるのだろうか?

「・・・おとうさん・・・」

俺は馬鹿だ・・・分かるに決まってるじゃないか・・・

ルシファーはロキの亡骸に近づくとその顔をそっと撫でた。

「ロキは・・おれが・・・ころ・・・したんだ・・・!」

俺は泣いてしまい上手くしゃべれなかった・・・

ルシファーが俺の方に近づいてくる・・・父親を殺した俺に・・・

そして、ルシファーはその虹色の羽で俺を包み込むように抱きしめてくれた・・・

「いえ・・・タクトさんはお父さんを救ってくれたんです・・・だから・・・そんな事を言わないで下さい・・・」

「救ってなんかいない!救え・・なか・・・た!!」

俺の声は涙も混じって滅茶苦茶だった・・・

「・・・・・・えい♪」

めっとルシファーに軽く額をつかれて俺は驚いてルシファーを見上げた。

「ル、ルシファー・・・?」

そこにはルシファーの笑顔があった・・・

情けないけど・・・今はルシファーに甘えさえてもらおう・・・

 

それから幾程の時間が流れただろうか・・・

は今、毎日、桜の花が舞い続けるこの森でルシファーと最後の別れをしていた。

別れを惜しむようにお互いを強く抱きとめていた。

彼女の背後にあるのは黄金の戦闘機・・・

そして、俺の背後にあるのは生まれ変わった七番機だ。

ルシファールシラフェルはこれより神皇との戦いに赴く・・・

これから神界戦争が始まるのだ。

周りがじわりじわりと闇に侵食されていく・・・

それは偉大なる神々の暗闇だ。

全ての終焉・・・そしてその後に新生が待っている・・・

その為に彼女は戦うのだ。神皇 タイラントと。

神皇は人間の味方などでは無い。

神皇は全ての神々を統べる者であり全ての創造主ではあっても、神皇が愛するのは人間以外の創造物だけなのだ。そして人間にとっては神皇は最凶の天敵である。

全てのものには因果がある・・・

は今、毎日桜の花が舞い続けるこの森でルシファーと最後の別れをしていた。

別れを惜しむようにお互いを強く抱きとめていた。

彼女の背後にあるのは黄金の戦闘機・・・

そして、俺の背後にあるのは生まれ変わった七番機だ。

ルシファールシラフェルはこれより神皇との戦いに赴く・・・

これから神界戦争が始まるのだ。

周りがじわりじわりと闇に侵食されていく・・・

それは偉大なる神々の暗闇だ。

全ての終焉・・・そしてその後に新生が待っている・・・

その為に彼女は戦うのだ。神皇 タイラントと。

神皇は人間の味方などでは無い。

神皇は全ての神々を統べる者であり全ての創造主ではあっても、神皇が愛するのは人間以外の創造物だけなのだ。そして人間にとっては神皇は最凶の天敵である。

全てのものには因果がある・・・

神皇が人間の天敵になった事にも因果が存在する。

それはロキから教えてもらった言葉である。

別れの時が来た。俺達はどちらからとでもなく離れた。

俺はもう泣かない・・・泣く事は許されない・・・

ロキとの約束を守らなければならない・・・

ミルフィーユ・桜葉を取り返さなければならない・・・

そして、俺が七番機に乗り込もうとしたその時、ルシファーが俺の手を掴んだ。

「ル、ルシファー・・・?・・・ん!?」

ルシファーの口と俺の口が重なる・・・

柔らかくくすぐったくて暖かい感触・・・そして、頬に伝わってくる冷たい感触・・・

彼女は泣いていた。

「・・・タクトさん・・・私が生まれ変わっても私の事を忘れないでください・・・」

それが彼女の最初で最後のお願いだった・・・

「当たり前だ・・・忘れてたまるか・・・俺は君を助ける為に帰るんだから・・・」

(は!よく言う!守りきれなかった貴様が!!)

「私も絶対にタクトさんの事を忘れませんから!」

その言葉から彼女の必死な様子が伝わってくる・・・

そして彼女は一目散に黄金の紋章機へと走っていった。

こちらを振り返らずに・・・

彼女には俺と違って記憶は残らない・・・

新しくミルフィーユ・桜葉として転生するルシファーには今までの記憶は引き継がれないのだ・・・

この神界から選ばれたのは俺だけだ・・・

生き返る事を許されたのは俺だけなんだ・・・

神界を終焉させるルシファーはその役目を果たした後で深い眠りにつく・・・

ルシファーの魂だけが・・・眠りにつくのだ・・・

そして、その体は__の_のルシラフェルが受け継いで

終焉後の世界を新たに開拓するのだ。

それがEDENの創世の始まりだから・・・

彼女はその役目を果たさなければならない・・・

その背後にある

 黄金の紋章機 ラグナロク 

にて

この神界を終焉させなければならない。

神皇の一部であるこの神界を・・・

やがて彼女は最後に一度だけこちら未練そうに振り返ると紋章機に乗り込んだ。

紋章機に乗り込んだ瞬間に彼女は天使から悪魔と化す・・・

これより最初の天使ルシファー最初の悪魔ルシラフェルと化すのだ・・・

そして、俺が七番機に乗り込んだ時、あいつの声が聞こえてきた。

『タクト・・・俺と戦う気があるか・・・?』

考えるまでも無い・・・

『今度こそ叩きのめしてやる!!』

『ふ・・・それはこちらのセリフだ。貴様にもらったあの一発・・・必ず返してやる・・・』

『・・・こっちだって・・・!』

『俺を倒せばこの馬鹿女はお前の元に帰る・・・まぁ、せいぜい頑張りな・・・お前がこれから帰る所にはお前の仲間とメベトことオケアノスが交戦中だ・・・そいつを倒した時が、最後の戦いの始まりだ・・・』

『・・・・・・』

シャイニング・サン・・・』

『・・・?』

『それがその七番機の必殺技の名前だ・・・忘れるなよ・・・』

そして真っ黒に覆われていった神界とは反対に

俺の視界は真っ白に覆われていった・・・

さぁ・・・帰ろう・・・俺の世界に・・・

あいつから彼女を取り返す為に・・・

 

「そして、君達に合流したって訳さ・・・」

メンバー達は全員黙り込んでいた・・・

最初に口を割ったのはクロミエだった。

「そして、皆さん・・・その後で、神界戦争が始まったんです・・・」

「神界戦争・・・確かあの人も同じ事を言ってましたけど、それって何なんですか?」

カズヤが場の雰囲気を変えようとクロミエの話に乗った・・・

「文字通りの戦争です・・・神皇とルシラフェル様の・・・」

クロミエは一つのパネルを手元に引き寄せた。

もうこの程度の芸当でここにいるメンバー達は驚かない。

「神界が消えた後、何も無い世界で生き残った神皇とその一部の配下とルシラフェル様の紋章機が互いの生存を賭けて争ったのです・・・では今からその様子をこのぶらっくBOXからお見せいたします・・・」

クロミエはそう言うと目を閉じて何かの詠唱を始めた・・・

次の瞬間、部屋全体が暗い映像に切り替わった。

「うわ!?」

「みなさん落ち着いて下さい。これは映像ですよ。」

タクト達が見ていたのは様々にカスタマイズされたゼックイと黄金色の紋章機の戦闘だった・・・

「あ、あれは・・・」

「そうです・・・タクトさん・・・あの黄金の紋章機こそ、最初の紋章機・・・

ラグナロクです。」

ラグナロク・・・』

「神皇様の部隊は極めて無限に近いんです・・・何せ創造主ですから・・・しかし、ルシラフェル様の強さも群を抜いていましたから戦いはほぼ互角でした・・・」

全員がその言葉に頷いていた・・・

黄金の紋章機の動きは神業で様々な弾幕を難なく回避していくのだ。

そして何十機ものゼックイに囲まれてもその黄金の紋章機はすぐさまにフライヤーで一瞬で殲滅し、増援で現われたゼックイ達を蹴散らしていく・・・

「あたし達の敵がこの化け物だなんてね・・・」

フォルテの言うとおり、この黄金の紋章機のパイロットの技量はもはや人間レベルではない・・・何故なら黄金の紋章機が高速で飛ばしているフライヤーが紋章機の周りを周回しているのだが、その数は軽く60を超えているのだ・・・

まるで主も守るサーヴァントのように・・・

この黄金の紋章機は神でもあり、悪魔でもある・・・

光でもあり、闇でもある・・・

始まりでもあり、終わりでもある・・・

故に無敵の紋章機・・・

そしてそれを操縦する最強のパイロット・・・

タクト達の相手はその最強の敵なのだ。

黄金の紋章機が胸部のプレートを展開して黄金色のエネルギー砲でゼックイの大軍をなぎ払う・・・

「す、すごい・・・」

ここにいた全員がその黄金の紋章機に見とれていた。

この黄金の紋章機に近づくものは破砕機に飲み込まれた岩石みたいに一瞬で消されるのだ・・・

「さて・・・映像はここまでなのですけど、神皇を討伐したルシラフェル様はこのEDENを創世されたのです・・・原種と呼ばれる生命体を創造し、適度に文化を与えてじっくりじっくりとEDENを創世していきました・・・そして、300年前に自身も人間の一人としてEDENをヴァル・ファスクからの侵略を守ってきました・・・」

「ちょっと待ってくれ・・・あいつなら時空震を止められたんじゃないのか?」

「そうだな・・・あれだけの戦闘能力があるのなら十分に可能な筈だ・・・」

「・・・それが・・・時空震を起こしたのはルシラフェル様なのです・・・」

「な、何だって!?」

「よく思い出してください・・・メベトもルシラフェル様によって動かされていたように・・・ゲルン達もルシラフェル様に動かされていただけに過ぎません・・・」

「な、なんでそんな酷い事を・・・」

「リコさん・・・あなたのお兄さんは意味も無くそんな事をする人ではありません・・・」

(そうだぜ?あいつが時空震を起こしてなけりゃぁがEDENを全部喰らい尽くしていたんだからなぁ・・・)

「私も詳しくは教えてもらっていないのですが・・・文明が発達しすぎたEDENは禁断の開発に成功した為にやむを得ず、時空震を引き起こしたと言われています・・・」

禁断の開発・・・」

(そうだよ・・・お前達もいずれ辿り着く道さ・・・

「はっきりとしてるのは時空震が無ければ、EDENは滅んでいたとルシラフェル様は言っています・・・」

(そうだ・・・クローン・・・人を人とも思わなく第一歩・・・生かしてやっているだけでもありがたく思え・・・まぁ・・・今度は殺すがな・・・)

「そして、暗黒時代・・・ルシラフェル様は、自ら創造した白き月と黒き月にシャトヤーン様とノアさんをそれぞれの管理人としておき、ロストテクノロジーを与え、人々に一から文明開発のやり直しをさせたのです・・・」

(ふ、ふふふ・・・そうだ・・・そうやって掘り尽くすがいい!本能の赴くがままに進化を追い求めるがいい!そうやって未知の刺激を味わいながら狂っていくがいい・・・!その為の俺からのギフトなんだからな・・・

「クロミエ・・・俺が知っているのはさっき話した事までなんだけど、君は知っているんだろう?何故、あいつ死神のメシアになったのかを・・・

「・・・はい・・・お話しましょう・・・死神のメシア誕生の真相を・・・

クロミエがアプリコットとシヴァを同時に見た。

「な、何だ?」

「クロミエさん?」

「ルシラフェル様が今のようになられたのはお二人に原因があるんです・・・

クロミエの目は悲しみに満ちていた・・・

 

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