第三章

 

ラスト・リヴェンジャー

 

そんな!!

 

〜NO WAY!!〜

 

僕達がドライブ・アウトをするとそこにはセルダール本星とその周りを埋め尽くさんがばかりに展開していたブラウド財閥の艦隊とゼックイが待ち構えていた・・・

どう見てもセルダールへ歓迎している陣形ではない・・・

 

「ブラウドめ・・・やはり、最初から話を聞くつもりなどまるで無いか・・・」

「シヴァ様、敵は間違いなく、仕掛けてくるつもりです・・・これをご覧下さい。」

そう言ってアバジェスが拡大したモニターを見ると・・・

「こ、これは・・・クラストブレイカーではないか!?」

クラストブレイカー・・・かつてヴェレルがこのセルダールをお脅迫する際に使用していた惑星の地脈を貫通する別名プラネット・ペネトレイター(惑星貫通弾)である・・・

「ブ、ブラウドめ!何処までも・・・!!」

「ヴェレルに戦艦やこのクラストブレイカーを提供していたのはやはりブラウドか・・・」

「アルモ、敵からの呼びかけは来たか?」

レスターがアルモのシートに肘をかけて聞いた。

「いえ!こちらから呼びかけても全く反応がありません!」

アバジェスは紋章機に出撃命令を出した。

もはや、ブラウドが話しに応じるつもりは無いからだ・・・

 

天使達が宙域に出た。

 

「な、何という事を・・・!ブラウドは陛下をこれで脅迫していたのか・・・」

「ブラウド・・・許せないです・・・」

リコの声が怒りで震えていた・・・

「こんなものバーンとやっちゃいましょう!」

「そうよ!あれさえ破壊すれば奴等のカードはなくなる筈よ!」

「そいつはどうかねぇ・・・」

血気立つ、天使達の中でフォルテは冷静だった・・・

「どういう事ですの?フォルテさん。」

「忘れたのかい?連中は脅迫するまでも無くNEUE最強の戦闘部隊なんだよ?」

ブラウド財閥は表向きでその資源惑星を守る為にと戦闘部隊を持っている・・・

「そんな連中がわざわざあんなもので脅迫するってのが妙なんだよ・・・」

「きょ、教官・・・まさか・・・」

「ああ・・・奴等は最初からアレを使うつもりでいたんじゃないのかって思うのさ・・・」

「な、何て事だ・・・このままではセルダールが・・・!」

「まだ、そうと決まった訳じゃねぇだろ!取り乱すな!」

アニスがリリィをフォローするが・・・

「聞こえるか・・・エンジェル隊・・・」

アバジェスが神妙な様子で全パイロットに呼びかかけてきた。

「ブラウドのゼックイ達が動き出した・・・そして、クラストブレイカーもだ・・・」

「何と!?へ、陛下・・・」

「戦闘開始ですね・・・」

絶対にあんなものを落とさせやしない・・・!

「そうだ・・・クラストブレイカーは全部で20機・・・何としても阻止せよ!」

『了解!』

僕達は一斉にクラストブレイカーへと向かった・・・

互いに挨拶は無い・・・

クラストブレイカーとの距離は140000km・・・

それを庇うかのようにゼックイと戦艦の大群が集結している・・・

でも、僕達が目指すのはクラストブレイカーだ!

「速度の遅い機体は速度の早い機体の進路を開いてください!」

「了解!任せときな!新しいハッピートリガーの力を見せてやるよ!」

「わたくしも新しいトリックマスターの力をお見せいたしますわ・・・!」

「二人のリペアは私が担当します・・・!」

「ちとせさんは戦艦の周囲からクラストブレイカーだけを狙ってください!そして、テキーラとリリィ、ナノナノはちとせさんの援護を!」

「わかったわ!シラナミ!」

「了解した・・・!」

「了解なのだ!」

「任せてください!狙撃こそがこの紋章機の真骨頂ですから・・・!」

言うが早いかちとせは早速、約140000km先のクラストブレイカーに向けてアルテミスのチャージを開始した・・・

「カズヤさん!行きましょう!」

「うん!速度の速い機体は僕と一緒にクラストブレイカーへ向かいましょう!」

「カズヤ君!私も行くよ!」

「はい!行きましょう!」

「ちょっと!私も!」

「そうだぜ!姉さんと俺の紋章機も早いぜ!」

「うん!」

僕達、特攻隊はフォルテさん達の援護を受けながら進んでいく!

「絶対にさせません!」

クロス・キャリバーの砲身にエネルギーがチャージされる・・・

そして、クロス・キャリバーのハイパー・ギガ・ブラスターが発射され、二連の黄金のビーム砲が前方にいたゼックイや戦艦を呑み込んでいき、それはセルダール本星の頭を駆け抜けていった・・・

「す、すごい・・・」

「馬鹿!感心してる場合じゃないでしょ!」

「まずいぜ、ゼックイがせっかく出来た活路を埋めていきやがる!」

クラストブレイカーまで後、127000km・・・

「よぉ〜し!今度は私の番!」

今度はラッキースターの砲身にエネルギーがチャージされていく・・・

「いっけぇーーー!ハイパーキャノン!!」

前大戦を終幕させた桜色の巨砲が宙域を駆け抜けていく。

「よぉし!行くぞ!!」

僕達はクラストブレイカーへと向かった・・・

 

「当てる!」

一撃必殺の矢がクラストブレイカーに向けて飛んでいき、その間に立ちはだかっていたゼックイや戦艦を貫通してクラストブレイカーに直撃し、貫通弾は爆散した。

当然、自律回路を持ったゼックイ達がちとせに襲い掛かる。

「させるか!」

イーグルゲイザーの強化された長距離レーザーガンがゼックイ二機をまとめて貫通して仕留めた。アンフィニに換装された為に出力が上がっているのだ・・・

 

「とうとう、カズヤさん達は行ったようですわね・・・」

「その代わり、あたし達の周りには敵さんが一杯だよ・・・」

「もの凄い数ですに・・・」

フォルテ達の周りにはカズヤ達が落とし損ねた残存部隊が群れていた。

「丁度、いい機会ですわ・・・お行きなさい!」

ミントの号令により生まれ変わったフライヤー達がゼックイ達に襲い掛かる。

「1、3、4、6・・・プラズマ・・・2,5,7,8はレーザーでお願い致しますわ・・・」

二種類の発射モードを有するフライヤーは小刻みに軌道を変えて残存部隊を滅多打ちにする!

それでも、何機かのゼックイが強行突破をしてきて、フォルテやテキーラに攻撃して来るが・・・ゼックイのビームキャノンは紋章機のオリハルコン装甲を突破できない。

「よぉ〜し・・・撃ちまくるよ!!」

フォルテの紋章機はハード面以外追加されていないが・・・

「今日からは弾切れなんて無しさ・・・ガンガン行くよ!」

フォルテの宣言通りにハッピートリガーはフルオープンでゼックイ達を蜂の巣にする。

「ちょっと、ちょっと私を忘れてない?」

テキーラは出力向上を利用して新しい攻撃を用意していた。

「行くわよ・・・メルト・サーヴァント!」

スペルキャスターより、光の妖精が現れ、ゼックイや戦艦に張り付いていく。

その数、約20機・・・

「メルトッ!!」

次の瞬間、張り付かれたゼックイと戦艦が一瞬にして熔けていった・・・

(ほ〜う・・・面白いじゃねぇじゃかよ・・・)

 

「ココ!残りのクラストブレイカーの数は!?」

「後、12機です!カズヤさん達が奮闘しています!」

「よし!このままいけば・・・」

(このままいけばいいがな・・・)

「・・・っ!?」

俺はぼやける視界で辺りも見回すがそこにあいつの姿は無い・・・

「・・・・・・」

俺の心臓の脈拍が言いようの無い不安で上がっていった・・・

嫌な予感がする・・・

 

「こんなものーーー!」

カズヤの13機のフライヤーがクラストブレイカーを蜂の巣にして撃破した。

「後、9機!」

アプリコットも四連ホーミングレーザーで妨害してくるゼックイを撃墜する!

さすがにクラストブレイカーを守るというプログラムはされているらしくてゼックイ達はカズヤ達に集中的に襲い掛かってくる!

「敵さんが追っかけてきます〜!」

ラッキースターの背後にはゼックイが二機、張り付いている!

「あんたって娘はほんとにもーーー!!」

ランファはのアンカークローでゼックイ二機を撃破した。

「あ、ありがとう・・・ってランファ!後ろ!」

カンフーファイターの背後から13機余りのゼックイがビームキャノンを一斉放射してきた。

「いった〜い!当たっちゃった〜!」

「まったくシャレにならないわよこれ!!」

ミルフィーユとランファは機体を小まめに動かして回避していくが、何発かが被弾する。カンフーファイターはASフィールドで防ぐがラッキースターは直撃だ・・・

ラッキースターとクロス・キャリバーの距離は約32000km・・・

四連ホーミング・レーザーの射程外だ・・・

「お姉ちゃん!」

「く・・・っ!」

カズヤがフライヤーを射出してミルフィーユ達の方に飛ばす・・・

「待ちな!姉さん達!こっちに向かって全力疾走するんだ!」

僕達の背中を守っていたアニスがミルフィーさん達にこちらに来るように促した。

「分かったわ!ミルフィー、行くわよ!」

「う、うん!」

ラッキースターとカンフーファイターがカズヤの方に最大全速で突っ走る!

そして、その背後からゼックイ達が追いかけてくるのだが・・・

「少し、威力が上がっているから我慢してくれよ!」

レリックレイダーからシルバーの小型のミサイルがゼックイの群れに発射されて・・・

「ジェノサイドボンバアァァーーー!!」

皆殺し爆弾がゼックイ相手にその効力を発揮した。

そして、その衝撃波でラッキースターとカンフーファイターが揺さぶられる。

「うわ〜!?揺れますーーー!」

「ちょっとーーー!」

「ちょっと!アニスさん!お姉ちゃん達に当たったらどうするんですか!!」

「うるせぇ!」

「うるさくなんかありません!」

「ふ、二人共ぉ・・・今は喧嘩してる場合じゃないよ・・・」

辺りのゼックイ達はもはや底を尽きていた。

そして、その時、遠方のクラストブレイカーが爆散した。

ちとせさんは遠方のクラストブレイカーから撃墜してくれている・・・

「カズヤ君!残り九機だよ!」

「はい!」

 

「本当に良くやってくれている!」

シヴァは大活躍している天使達に感動している。

そして、ブリッジのクルー達も天使の奮闘ぶりに興奮気味だ。

「・・・・・・」

しかし、タクトとアバジェスは神妙な顔つきだった・・・

上手くいき過ぎているのだ・・・

しかも、ロウィル達も姿が見えない。これだけ重要な作戦にも関わらずにだ・・・この作戦をしくじればセルダールは解放されて彼等は自分の首を絞める事になるのだ。

 

「最後の一つ!」

僕は最後のクラストブレイカーを撃破した!

「はぁ・・・はぁ・・・や、やったぞ!」

既に辺りのブラウド艦隊は全滅している・・・

 

「良くやったぞ!エンジェル隊!!」

 

全員が喜んでいるその時だった・・・

セルダールの近くにロウィルの戦艦が出現したのは・・・

「な!?あれは!」

 

「カ、カズヤさん!あれ!!」

僕はリコに言われるまでも無くあの戦艦に気付いていた。

戦艦から人型戦闘機が3機出撃してきた。

言うまでも無く、メシア隊の偽者達だ・・・

「何で、今頃になって・・・」

「・・・・・・」

ミルフィーユは偽アルフェシオンを怪訝そうに見ている。

 

シュコーシュコー・・・

(ミルフィー・・・)

「違う・・・お兄ちゃんじゃないけど・・・どこかで会った気がする・・・」

 

「カズヤ!」

どうやら、フォルテさん達が追いついてくれたようだ。

 

ガシャンガシャン!

(タナトス・・・ヒュプノス・・・ミルフィーには手を出すな・・・)

 

そして、三機のゼックイ達が動き出した。

「来る!?」

僕達もそれに応じた!

 

シュコーシュコー・・・

(来たな・・・テキーラ・・・殺してやるよ・・・!)

 

メシア隊は遠距離から砲撃を仕掛けてきた。

そして、僕達も砲撃を仕掛ける!

 

「あうぅ!」

「にぃー!?」

「テキーラ!?」

テキーラの機体に偽アルフェシオンのフライヤーが集中攻撃を仕掛けている。

「こいつ!離れろ!!」

僕はフライヤーで死神のフライヤーを撃ち落とした!

 

ギリギリギリ・・・

(ちっ!)

 

「やらせません!」

ミルフィーユはレーザーファランクスを偽アルフェシオンに向けて発射した。

 

シュコー・・・シュコー・・・

(君が俺を攻撃するなんてな・・・)

 

何故か、偽アルフェシオンが単独で距離を取った。

「逃がしません!」

(お兄ちゃんの偽者なんて、絶対に許しません!)

 

(くっくっくっ!そいつが誰だか分かっていて追撃しているのかデザイア・・・)

「待って、お姉ちゃん!」

「行こう!」

僕達はミルフィーさんの後を追う事にした!

 

「もう!何なのよ!こいつらはー!」

ランファが悪態をついているのは偽ゼックイの二機だ・・・

この二機はランファ達の攻撃をことごとく回避して絶妙なコンビネーションを披露しながら、たった二機でエンジェル隊を相手にしているのだ。

「戦い慣れていますわね・・・」

「まったく、嫌な敵を思い出せるねぇ・・・!」

ミント、フォルテも激しい砲撃を仕掛けるが、それでも二機のゼックイは回避する。

 

「貴方は一体、誰なんですか!?」

 

教えたい・・・彼女と話したい!

しかし、このマスクを外せば俺は理性を失いかねない・・・

そうだ・・・今の俺は神だったんだ・・・よし・・・彼女と話そう・・・

 

『ミルフィー・・・攻撃を止めて・・・』

「え、あれ?頭の中に・・・」

『俺が君の頭に話しかけているんだよ。』

「えぇ!そ、その・・・あなたはその紋章機に乗っている人ですか?」

『そうだよ・・・』

「・・・っ!貴方は何であんな事をしたんですか!?」

『怒らないで・・・俺の話を聞いてくれ。』

「な、何ですか・・・?」

『俺は君の敵じゃない・・・』

「ならば、こんな事は止めてください!」

『それは出来ない・・・』

「どうしてですか!?」

『どうしても何も君の為なんだよ・・・?』

「え?」

『君を救う為に俺は戦うんだ・・・』

「そ、そんなのおかしいですよ!」

『おかしくなんて無いさ・・・だって、俺は君の・・・』

(デザイア相手に余計な事を喋るな・・・)

「・・・・・・あれ?」

ミルフィーは目の前の偽アルフェシオンに呼びかけるが応答は無かった・・・

「お姉ちゃん!!」

「待って!この人は攻撃してこないから!」

「ど、どうして、そんな事が言えるんですか?」

「その人がそう言ったからだよ。」

「え!お姉ちゃん、その人と話したの!?」

 

(おいおい、今回は戦闘モノなんだぜ・・・誰が和解イベントなんかするって言った?タイトルはNO WAY!!・・・そんな!!なんだぜ?『実は私は味方なんです!』『えーーー!そんなーーーー!!』っていう三流ネタじゃねぇんだよ・・・)

 

NO WAY!!〉

  The MADDEST GOD

        has a grudge against  DESIRE

〜その狂神デザイアを恨んでいる!〜

 

「カズヤさん!ゼックイが一機本星の近くに!」

その時、ちとせさんからセルダール付近にゼックイが一機ドライブアウトしてきたとの報告が来て僕達は視線を偽アルフェシオンかセルダール本星に向けた。

「な!?あ、あんな所に!」

「見て下さい!あのゼックイ何か持ってますよ!」

リコの言う通り、拡大して見ると・・・

「ライフル・・・?」

ゼックイが持っているのは大振りなライフルだ・・・

「カズヤさん!あのゼックイを撃墜します!」

「はい!お願いします!ちとせさん!!」

イグザクト・スナイパーのアルテミスがセルダール付近にいたゼックイに目掛けて照準を搾り出す。アルテミスの照準は皇国軍兵器の中でも最高レベルの性能を持つ。

「当たれ!!」

ヒュドッ!!と鋭い音を立てて一撃必殺の矢がゼックイ目掛けて放たれた。

『ふふ・・・死神のメシア様を舐めるなよ・・・!』

次の瞬間、誰もが驚いた。

バヂィィーーーン!!

ゼックイが見えない筈のアルテミスの矢を叩き斬ったのだ!!

「な!?」

ちとせは驚愕した・・・

「カ、カズヤさん・・・い、今のって・・・」

リコの声も上擦っているが、僕の心も穏やかではない・・・

アルテミスの弾の面積は小さい・・・しかしながらその威力は凄まじい・・・

ビームサーベルなんかで叩き斬ろうなどとすれば、腕が持たない筈だ・・・

にも関わらず、あのゼックイは叩き斬った・・・

「まさか・・・あのゼックイは・・・」

その時、僕は見たそのゼックイのライフルがセルダールに向けられているのを!

「ま、まずい!!」

僕はフライヤーをゼックイのライフルに向けて飛ばすが、ゼックイがセルダールに向けて放った小型貫通弾(ミニチュア・ペネトレイター)の弾側の方が早かったのだ・・・

あ、ああ・・・何て事だ・・・!

最悪の結果になってしまった・・・

「カ、カズヤさん・・・今、セルダールに向かって撃たれたのって・・・」

僕はリコの質問に答えられない・・・

そして、アバジェスさんから撤退命令が来た。

「エンジェル隊、作戦は失敗だ・・・」

「それはどういう事だ!」

リリィが耐え切れずにアバジェスさんに詰め寄るけど・・・

「もう一度、言う・・・作戦は失敗だ・・・後、およそ13分でセルダールは崩壊する・・・崩壊の衝撃波に巻き込まれない内に全機、ただちにルクシオールに帰艦しろ・・・」

「八分もあれば十分だ!陛下だけでも救出せねば!」

「冷静に考えろ!13分では大気圏突入は無理だ!!」

アバジェスから告げられる現実・・・

 

NO WAY!!

 

「あ、ああ・・・陛下・・・陛下・・・陛下・・・」

リリィの声が震えている・・・そして・・・

「へいかあああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!」

リリィの痛々しい悲鳴が響き渡った・・・

「・・・酷い・・・酷いよ・・・」

リコはさめざめと泣いている・・・

「これじゃあ・・・ロームの時と同じだよ・・・」

そして、ミルフィーさんも泣いている・・・

なのに・・・なのに・・・敵の攻撃は止まない・・・

 

「くそぉ!こいつ等ーーー!!」

フォルテは怒りの咆哮を上げながら二機のゼックイに追撃する・・・

しかし、それでも二機のゼックイは絶妙なコンビネーションで攻撃を回避していく・・・

 

「くそ・・・!」

俺はぼやける視界で格納庫へ行く。

飛行タイプの紋章機で人型タイプに攻撃を当てるのは難しい。

「待て!どこに行く!」

「七番機に決まっているだろう!」

「そのぼやけた目で何が出来る!」

アバジェスが俺の肩を掴んで制する・・・

「このままじゃミルフィー達が衝撃波を巻き込まれる!」

俺はアバジェスの手を振り解いて格納庫へ急いだ!

 

『うわっはっはっはっ!あっはっはっはっ!!あーはっはっはっはっはっ!!!』

僕の頭に耳障りな声が響いてくる・・・無視するんだ・・・

無視しろ・・・みんなを帰艦させる事に専念しろ・・・

『あはははは!!最高だぜぇ・・・お、おお前等・・・!!』

アバジェスさんも言っていたじゃないか・・・無視しろって・・・

『いつも通り防げると思っていたんだろ?う、うは!くっくっくっ・・・わ、わりい・・・あ、あまりにもおかしくて上手く喋れねぇっ!!うっくっくっ!!あーはっはっはっはっ!』

無視・・・無視・・・無視・・・無視・・・無視・・・

『我ながら見事に決まったぜぇっ!?こう・・・ど真ん中っ!!・・・キターッ!!って感じでよぉ〜・・・いや〜・・・ずっと待っていたかいがあったってもんだ!!』

無視する為にはどうすればいい?

天使達をルクシオールに帰艦させるのはどうすればいい・・・?

『リリィの聞いたか?へいかあああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!だってよ!うわっはっはっはっ!陛下〜陛下〜!!バッカでぇ・・・!』

そうだ・・・こいつ等を全員始末すればいい・・・

『大体、最初から必ず防げるなんて思っている方が不自然だっちゅーーの♪』

屑がさも楽しそうに笑う・・・

まるで、欲しい物を手に入れた子供のように・・・

『戦争モノってのには“犠牲”が定番だろ?サクリファイスって・・・あはは♪』

もう、限界だ・・・

紋章機達・・・僕のいう事を聞いてくれ・・・

みんな、帰艦するんだ・・・

クロスキャリバーがブライブハートから分離してルクシオールへ帰艦していく。

「カ、カズヤさん!?」

「な、何だ!?紋章機が勝手に・・・!?」

 

「どうしたんだい・・・ルーンエンジェル隊の紋章機が離脱していくよ・・・」

「な、何ですの・・・」

 

僕の周りにはミルフィーさんとランファさんしかいない・・・

「二人共・・・帰艦してください・・・」

「カ、カズヤ君一人じゃ無理だよ!」

「そうよ!」

「いいから帰艦してください!!」

僕はそれだけ言うとフォルテさん達の帰艦を妨害しているゼックイに向けてフライヤーを射出した。その数は70機・・・絶対に逃がさない・・・!!

70機全部を厳密にコントロールする必要は無い・・・

「お前達はーーーー!!!」

常識外れの数のフライヤーが二機のゼックイに向かっていく。

僕はフライヤーに命じた。

ALL MODE STEENGER

フライヤーのレーザーは鋭い針と化して逃げようとする二機のゼックイに襲い掛かる!その様は蜂が集団で襲いかかる様と似ている・・・そして、その狙いからは逃げられない・・・隙間無くレーザーが打ち抜いていく・・・まさに蜂の巣だ・・・

 

(70機のフライヤーを操るとは・・・今のカズヤはまさに、レイそのものだ・・・)

 

二機のゼックイが原型を留めないジャンクと化した・・・

「次はお前だーーー!!」

僕はメインである、あの屑の元へと向かった!

「お前だけはーーーーー!!!!」

 

「カ、カズヤさん・・・?」

アプリコットは豹変したカズヤに恐怖感を抱いていた・・・

「カズヤ・・・一体どうしちゃったのだ・・・」

 

カズヤのブレイブハートがゼックイ?へ猛然と向かっていく!

「貴様アァーーーーー!!!!」

『ようやく目覚めたか?NEUEの騎士よ!

「黙れ!この野郎!!」

二機のゼックイを始末した70機のフライヤーが信じられない速度でゼックイ?へ向かっていくが・・・

『ふふふ・・・いいぜ・・・特別だ・・・俺が直に遊んでやるよ・・・!』

「ふざけるな!!」

ゼックイの周りにフライヤーらしきものがドライブアウトしてきた。

その数は何と100機を超えている・・・

オリジナル対オリジナル・・・こんな余興は二度とない・・・』

カズヤも新たに30機のフライヤーを射出する・・・

もはや人間技では無い・・・

『ふほほ!面白い!!これだからゲームは止められない!!』

二機のフライヤーが小規模な戦争を始めた。

「12,45,79,17、96、32・・・」

カズヤは100機余りのフライヤーをコントロールしている!

『ふふ・・・ふふふ・・・おもしろい・・・おもしろいいいいいぃぃぃーーー!!』

そして、キチガイもカズヤのフライヤーに対応していく!

勝つのはかそれとも神の子か!

 

「あ、あれが・・・カズヤなのか・・・」

シヴァはモニターで展開されている壮絶な撃ち合いを呆然と見ていた・・・

「・・・・・・」

(カズヤは神の領域に達した・・・しかし、相手は絶対者だ・・・)

 

「44,67,100,2,5,91・・・」

『見事だ!ここまで我にくいつけるとは!』

二機のゼックイのフライヤーは底を尽きない、一機撃破されればすぐに新しいフライヤーが飛び出してくる・・・

『ん?』

キチガイはセルダールから上がってくる数隻のシャトルを発見した。

『ほう・・・あれは・・・』

「まずい!あれは!!」

そのシャトルはおそらくは速やかに脱出してきたものだろう・・・

『ふははは!他人を蹴散らして這いずり上がってきた勝者か?』

キチガイのフライヤーの内の何個かがシャトルの方へ向かって飛んでいく。

「ヤメロオオォォーーーーー!!!!」

僕は即座にキチガイのフライヤーに向けてフライヤーを飛ばしたが・・・

『あはは♪これは神様からのご褒美♪』

キチガイのフライヤーが次々とシャトルを撃ち落としていった。

そして、残る一隻は逃げようと軌道を変えるが・・・

『戦闘機で逃げなきゃ駄目っしょ?』

キチガイのフライヤーが襲い掛かり最後の一隻も同じ運命を辿った・・・

「あ、ああ・・・」

『なぁ、カズヤ・・・今、ふと考えたんだけどな・・・どうして、人間が少ししか乗れない戦闘機は頑丈で沢山の魂が集うシャトルはあんなにノロマでヤワなんだろうな?

「・・・っ!!!」

『あ、分かった!“コスト削減”ってやつかぁ〜あはは♪バッカだよなぁ〜・・・命より金の方が大事だなんて、生きてる意味ねぇよ♪くっくっくっ!あっはっはっはっはっ!』

「生きてる意味がないのは・・・お前だ・・・」

カズヤの体が怒りで震え出す・・・

『人間一匹より意味はあると思うぜ?だって神様だもん♪』

「このおおぉぉぉーーーーーーーーー!!!!」

怒り狂うカズヤは知りもしないだろう・・・

コスト削減・・・

これが、元凶を産みだすきっかけになった事を・・・

 

「カズヤ君!」

ミルフィーユは人間離れした射撃戦を展開している二機の元へと向かった。

『デザイア!?』

だが、それが不味かった・・・

 

「七番機急いでくれっ!!」

七番機は完全とはいえない調子ながら、カズヤとミルフィーの元へ向かってくれていた・・・視界はぼやけたままだが、あれだけの射撃戦だ・・・流石に分かる・・・

 

「カズヤ君!カズヤ君!!」

「お前だけは・・・お前だけはーーーー!!」

今のカズヤにはミルフィーユの声さえ届かない・・・

『チ!今はテメェの相手をしてる暇はねぇ!!』

(メインディッシュが来たのだからな・・・デザイア・・・ノコノコ来やがって・・・!)

すでにキチガイの注意は全てミルフィーユに注がれている・・・

『デザイアアァーーー!!』

「うわーーーっ!!」

ゼックイ?から黄金のオーラーが発生してカズヤを弾き飛ばした。

「カズヤ君!?」

『クソガキの心配より、テメェの心配をしたらどうだ!デザイアーーーー!!』

カズヤのフライヤーを撃ち落しながら本性を現した復讐鬼・・・

「貴方は誰なんですか!?」

『俺はお前の天敵だーーーーー!!!』

ゼックイ?が右手をラッキースターに向ける・・・

予定変更だ!!テメェはここで木っ端微塵にしてやるうううぅぅぅーーーーー!!!』

復讐鬼がしようとしているのはヘル・バイス・・・

そう、かつてレイ・桜葉がタクトを殺した呪術で、イメージした敵を必ず縮退化させて消滅させるという、必殺技なのだ・・・

その時だった・・・

どこからともなく放たれた幾筋ものレーザーがゼックイ?に着弾したのだ。

『チ!ぶっ殺すぞ!!コラアアァァァーーーー!!!』

そう言ってゼックイ?が振り返るとそこには偽アルフェシオンがいた。

そう、何とゼックイ?を攻撃したのは偽アルフェシオンだったのだ!

『何のつもりだぁ・・・テメェ・・・』

キチガイの怒りが声に如実に現れている・・・

 

シュコー・・・シュコー・・・

『ミルフィーに手を出すな・・・』

『あん!?』

シュコー・・・シュコー・・・ゴポッ!・・・

『ミルフィーに手を出すな・・・!』

『舐めてると、テメェも消すぞ・・・コラァ・・・』

その時、キチガイの頭にレイの言葉が蘇った・・・

『この程度でお前の復讐を終わらせて良いのか?』

ここで、この偽アルフェシオンを始末すると、キチガイの復讐劇に大きな影響が出る。

キチガイは歯軋りしながら、復讐鬼の要望を受け入れる事にした・・・

 

「ミルフィーーーーー!!!」

「タ、タクトさん!?」

その時、ようやくタクトが追いついた・・・

ゴポポ・・・!

『タクト・・・!?』

『ほう・・・思わぬお客さんじゃねぇか・・・いきなりエンディングか・・・?』

シュコー・・・ゴポ!・・・ゴポポ!!

(タクト・・・!タクト・・・!!タクト・・・!!!)

復讐鬼のマスクが今にも外れそうだ・・・

理性を保つ為の鎮静剤を供給しているマスクが・・・

狂犬を抑えている檻が今にも外れそうだ・・・

 

『タクト・・・久しぶりだな・・・』

「その声は・・・!」

この嫌悪感・・・間違いない・・・あいつだ・・・!

七番機ゼックイ?がラッキースターを挟んで対峙している・・・

「お前は・・・創造主!」

『あったり〜♪』

「貴様か・・・セルダールを撃ったのは・・・」

『あはは♪そんなの分かってんじゃん♪』

この野郎・・・性懲りも無く・・・!

「タクトさん!どうして出てきたんですか!?」

「そんな事はどうでもいい!ミルフィー!帰艦するんだ!」

「良くないです!今のタクトさんは戦えないじゃないですか!」

「ミルフィー!そこはタクトに任せて帰艦しろ!」

ミルフィーユにアバジェスから帰艦命令が下された。

「でも、このままじゃタクトさんが危険です!」

「お前がそこにいるとかえってタクトが戦いにくいんだ!いいから帰艦しろ!!」

「そ、そんな・・・で、でも!」

(大した思いやりじゃねぇか・・・反吐が出るねぇ〜・・・)

「頼む・・・ミルフィー・・・俺を信じてくれ・・・」

「タクトさん・・・」

『オラ・・・ラブコメしてる場合じゃねぇぞぉ・・・!』

ゼックイ?の手に前大戦で見た不可思議な漆黒の霧状の剣が現れた。

「・・・っ!行け!ミルフィー!!」

「・・・わ、わかりました・・・」

ラッキースターが反転してルクシオールの方に向かっていく・・・

『ムカついたから予定変更だ・・・死ねぇっ!!』

ゼックイ?のフライヤーがラッキースターに襲い掛かった!

「やらせない!」

ラッキースターに襲い掛かろうとしたフライヤーが別のフライヤーに撃破された。

『うぜぇな!誰だコラァーーッ!!』

怒るキチガイ・・・無論、阻止したのはカズヤだ。

「お前の相手は僕だ!」

『おいおい・・・違うだろう・・・お前の相手は・・』

その後、キチガイが何て言ったのかは分からない・・・

「駄目だ!カズヤも下がるんだ!」

「タクトさん!お願いです!あいつだけは許してはおけないんです!」

「これは戦争だぞ!感情で戦っていては命をおとすぞ!」

「時には感情的になる事も必要です!」

「カズヤ・・・」

「だから・・・僕にも戦わせてください・・・タクトさん・・・」

「タクト・・・カズヤの参戦を許可する・・・一緒に戦うんだ・・・」

「・・・・・・分かった・・・カズヤ、行くぞ!」

「はい!」

七番機とブレイブハートがゼックイ?と対峙する・・・

『ふふ・・・おもしろい余興だ・・・』

ゼックイ?は例によってフライヤーを展開する。

俺はぼやける視界が徐々に晴れていくのが分かる・・・

何でだろう・・・体が・・・本能が・・・あいつを倒せと言っている・・・

「でやあぁぁーーー!!」

俺がエクスカリバーで斬りかかって案の定、奴も剣で受け止める。

『ふふ・・・本当に面白い余興だ・・・』

奴が距離を取ってこちらに斬りかかってきた。

俺は何度も斬りかかる!

L.E(ライフ・オブ・エピオン)システムに俺の思考が上手く伝わっているらしい・・・

『ほう・・・この前とは見違えるように素早い剣捌きだ・・・』

俺はあいつがフライヤーのコントロールを誤るのを待っていたのだが、それほど、甘い相手でも無かったらしい・・・さすがは創造主と言うべきか・・・

「当たれっ!!」

『まるで、ミニチュア版のレイみたいだな・・・?』

キチガイはカズヤのフライヤーがタクトに当たらないように展開されていると読んでいてタクトの傍から離れずに付近にいる最低限のフライヤーだけを撃破する。

 

ゴポポ・・・!

(もう・・・我慢できない・・・獲物(タクト)が目の前にいるのに・・・)

そして、遂に復讐鬼はそのマスクを外してしまった・・・

外れたマスクから赤い液体状の鎮静剤が零れだし、コックピット内にばら撒かれていくが、気にする必要は無い。零れていく人の血はこの紋章機に飲み込まれていく・・・

 

俺がキチガイと斬り合っていると・・・

「テメェの相手はこの俺だあぁぁーーーーーー!!!!」

背後から何かが斬りかかってきたので俺は下に逃げてやり過ごした。

『なぁ〜にやってんだ・・・コラぁ〜?』

「タクトは俺の獲物だ・・・お前は邪魔をするな・・・!」

どっかの誰かさんと同じ事を言うな・・・まぁいいや・・・せいぜい頑張りな・・・』

 

〈NO WAY!!〉

 

Batlle with

THE FIERCEST ENEMY

〜最も凶暴な敵との戦い〜

 

俺は斬りかかってきた戦闘機を見た・・・

斬りかかってきたのは偽アルフェシオン・・・

そしてその両腕にはどこかで見覚えのある爪が生えていた・・・

 

(イメージ曲 ブレス・オブ・ファイア 后―鰻癲

 

「・・・久しぶりだな・・・タクト・・・」

「そ、その声は・・・」

次の瞬間、復讐鬼の姿がタクト達のモニターに映し出された。

『な!?』

全員が目を見開いた・・・

何と!モニターに映ったのはあのシリウスだったのだ!

 

NO WAY!!

 

「シリウス・・・お前・・・生きていたのか・・・」

「一回は死んだんだぜぇ・・・?どっかのクソアマのせいでなぁ・・・!」

そう言ってシリウスのレンズのような左目がアプリコットの目とモニター越しに合った。

シリウスは前大戦時、白き月での決戦の最中でアプリコットが放ったハイパー・ギガ・ブラスターに飲み込まれて死亡した筈なのだが・・・

「シリウス君!シリウス君!!」

(おっとぉ・・・デザイア・・・このゲームのルールには従ってもらうぜ〜・・・)

 

鎮静剤の投与が打ち切れたシリウスにはミルフィーユの声は届かない・・・

それが創造主の定めたルール(運命)だ・・・

 

「シ、シリウス君・・・そ、そんな・・・そんなぁーー!!」

アプリコットはモニターを凝視できない・・・

そしてそれは他の者も同じだ・・・

「見てるか?リコ・・・この俺の新しいボディを・・・」

そう言うとアーム部分の血圧式シリンダーがシリウスの血液を押し上げる・・・

「う・・・!」

シヴァは耐え切れず口元を押さえて吐き気に耐えた・・・

「な、何て事だい・・・」

戦場慣れしたフォルテでさえもそのシリウスの異様な姿を直視できない・・・

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!!」

「リコ・・・」

アプリコットは嗚咽交じりにシリウスに謝った。しかし・・・

「どうして、謝る・・・?」

「え・・・?」

「凄く快適だぜぇ・・・もう熱くも無い・・・寒くも無い・・・」

それはそうだろう・・・もう、シリウスの体には神経が通っていないのだから・・・

「あ、あぁ・・・」

リコの精神はもはや限界だ・・・

「回収された時はあちらこちらが千切れていてあまりの痛さにショック死しそうだったが、それが今ではどうだ?もう、痛い事も無い・・・気持ち良い事も知らずに済む・・・もう・・・食欲や欲情という本能に流される事も無い・・・良い事だ・・・ふ、ふふふ・・・」

「・・・・・・・・・」

ルクシオールの付近で待機していたクロスキャリバーのエンジンが停止した・・・

「リコ・・・!?リコォーーー!!」

「まずい!クロスキャリバーを収容しろ!!」

 

『あっはっはっ!見ろよ!フェ、フェイトの奴、気絶しやがった♪』

(ざまあみろ・・・デザイア・・・でも、こんなのはまだまだ、序の口だぜ・・・)

「何がそんなに面白いんだ!貴様ぁっ!」

『今のこの状況がに決まっているじゃねぇか♪』

「このイカレ野郎っ!!」

カズヤとキチガイは戦闘を再開した。

再び壮絶で精妙なフライヤーの撃ち合いが始まった・・・

 

「シリウス・・・お前はどうやって・・・」

「どうやって蘇っただんだ・・・か?俺の体はブラウドに直して貰ったんだよ。」

「・・・・・・」

「というか、言わなくても分かるだろう?」

機械で形成された右腕が掲げられてそうだろう?というジェスチャーをした。

「それにしても新しいボディは便利だぜぇ・・・お前等みたいに飯を食う必要も無ければ風呂に入る必要も無ければ排泄する必要も無い・・・」

シリウスの体の各循環器系統に繋がれた透明のチューブの中を血液が駆け巡る・・・

シリウスの体はもはや人のものではない・・・サイボーグそのものだ・・・

「タクト・・・宣言通りに会いに来たぜ・・・」

「お前か・・・お前だったのか・・・いつも夢の中で俺を殺すって言っていたのは・・・」

「ああ・・・その通り・・・そして、宣言通り・・・ここで殺してやるよぉ・・・!」

シリウスがデスクローを構えた・・・

ならば、シリウスの俺に対する憎悪は計り知れない・・・

もはや、この復讐鬼(シリウス)は話が通用する相手ではない・・・!

俺もエクスカリバーを構えた・・・

「さぁ・・・殺し合いといこうぜ・・・お前への愛情はねぇよ・・・

「こっちもいらないよ・・・」

NEUEの星々を壊滅した復讐鬼は二つのデスクローを交差させている・・・

その様はまさに某映画の切り裂き魔のようだ・・・

「ヒャアアアァァァーーーーーー!!!!」

先に動いたのは狂犬だった!

「・・・ッ!」

七番機のエクスカリバーが崩壊の前兆である溶岩が噴出して真っ赤に化したセルダールの明かりを受けて夕焼け色に輝きながら狂犬の爪とぶつかる!!

「うおおぉぉーーー!!」

「ああ!?」

今度はタクトから斬りかかるが、人間離れした反射能力を持つ狂犬はスウェーで回避すると、七番機のアームシールドを軽くえぐった!

「ちっ!」

「くっくっくっ!どうした!どうしたーーー!!!」

狂犬はそのまま二本のデスクローで斬りかかる!

「このぉっ!」

タクトが狂犬の左腕のデスクローを剣で受け止めるが・・・

「ウゥッヒイィィーーーーーーー!!!」

狂犬の右腕のデスクローが七番機の腹部をかっさくように薙ぎ払われた!

「くそっ!」

タクトはフロントブースターをふかして後ろに逃げるがまたしても少しえぐられた・・・

タクトに襲い掛かる狂犬はまさにの敵だった・・・

 

「当たれ!」

『嫌ぷ〜♪』

一方、カズヤとキチガイの戦いも熾烈を極めていた!

カズヤの相手はの敵だ・・・

「22、4、87、7、48、83・・・!」

二機のフライヤーはいまだに小規模な砲撃戦を仕掛けている。

『ふふふ・・・素晴らしい!素晴らしい出来だとは思わないか!?我がシリウスは!』

「・・・っ!?お前か・・・お前だったのか・・・ブラウドを操っているのは!!」

『短絡的な発想だなぁ〜まぁ、ブラウドに技術を提供しているのはこの俺だがな・・・

「黙れ!この元凶がぁーーーーー!!」

カズヤのブレイブハートの速度ドンドン上昇していく!しかし、キチガイのゼックイ?の速度も脅威的な上昇を見せてブレイブハートに喰らいつく・・・・

『オラァ!』

そして、遂にキチガイがブレイブハートの上をとって、串刺しにするかのように突き刺そうとしてきた・・・ここは人型戦闘機の長所と言うべきだろう・・・

「当たるかーーー!!」

そして、カズヤはブレイブハートのブースターを最大にしてその一撃を回避した。

『チッ!』

ここは飛行型戦闘機の長所と言うべきだろう・・・

 

「タクトオオオォォォーーーーーー!!」

獰猛な狂犬は七番機に何回も飛びかかってくる!

「シリウスゥゥーーーーーーー!!!」

しかし、タクトとていつまでも負けている訳ではない!

「ぐおっ!?貴様ァァ!!」

二刀流で責めてくる狂犬の爪を受け止めて狂犬を蹴り飛ばして距離を稼ぐ!

「このままじゃ・・・よし、イチかバチかだ・・・!」

俺は右手にエクスカリバーを残したまま、左手に同じ剣をイメージする。

左手に熱い感触・・・いける!

何と七番機の左手にもう一本のエクスカリバーが現れた・・・

「凄い・・・本当に出来た・・・」

まるで、レイ・桜葉のようにも見えるが・・・

「・・・進化か・・・進化・・・人間はどこまでも進化を進むか・・・」

てっきり罵倒するかと思われたがシリウスは神妙な顔で二本のエクスカリバーを睨んでいる・・・その人間の右目は明らかに嫌悪感を現している・・・

そして、嫌悪感を現していたのはシリウスだけでは無い・・・

 

『進化・・・進化・・・ったく、人間って奴はどこまでも救いようが無いな・・・』

キチガイは珍しく真面目な声で七番機に目を向けた。

『カズヤ・・・お前はその目でどう見てきた?』

「何が言いたい!!」

カズヤはそんな戯言に耳を貸すつもりは無いと言わんばかりにフライヤーの操作に集中する。しかし、その問いがキチガイの本心からのものだとは気付かずに・・・

『進・・・そ・・を促す・・・に我はロ・・・トテ・・・ノジーを放った・・・EDENの民が・・・そ・・・かさに・・・気・・・・・て・・・・変・・・ばと・・・・い・・・・・・』

「何を言っている!!」

セルダールの崩壊音でキチガイが何て言っているかがカズヤには聞こえなかった。

この言葉を聞きとれていればカズヤの運命は大きく変わっていただろう・・・

ほんの些細なことが時に運命には大きく関係する事があるのだ・・・

『でも、人はどこまでも進化に流される・・・だからこそ自分の首を絞めるのだ・・・』

「進化に流されるだと・・・!?」

今度ははっきり聞き取れた。

『ふふ・・・まぁいい・・・それよりも・・・面白くなりそうだ・・・』

キチガイはカズヤへの注意を怠らずにシリウスの様子を見ていた・・・

 

「ぐ!ぐぐぐ・・・!?」

突如シリウスが苦しみだした・・・

「・・・っ!?な、何だ・・!」

いや、それだけでは無い・・・!シリウスの機体に紫色のオーラが立ち込める・・・!

俺は妙な胸騒ぎを覚えてシリウスから離れた。

「あ、ああ・・・あああーーー!!!」

シリウスに神経は通ってない・・・しかし、シリウスには一つだけ感触が残っている場所がある・・・それは・・・魂・・・つまりは心だ・・・

「き、気持いい・・・!!あれ?気持ち良いぞ!?イ、イヒヒッヒーヒッヒッヒッ!!」

 

『ふふ・・・セルダールの魂を吸い出したか・・・』

キチガイはさも楽しそうに口元を歪めた・・・

 

「エ、エ、エ、エクスタシイイイイイィィィィィィーーーーーーーーーヒーーーヒッヒッヒッヒャーッハッハッハッハッハッハッハアアアアァァァーーーーーーーー!!!!!」

偽アルフェシオンの装甲が溶解していき、漆黒のボディの下に赤紫の装甲が見えてくる・・・その装甲にはまるで血管のような模様が現れている・・・否、誰も知るよしもあるまい・・・その血管は正真正銘・・・この紋章機の血管そのものだという事を・・・

 

「な、何だ!あれは!?」

シヴァは既に腰を抜かしてへたり込んでいる・・・

「・・・あれは紋章機です・・・」

「な、何だと・・・!?」

「あれは・・・レイと私が開発した最後の紋章機です・・・そして、欠陥品であったが為に厳重に封印をしてこの欠陥品以来、我々は紋章機の製造を中断しました・・・

 

NO WAY・・・!

 

「な、何だ・・・俺の紋章機が怯えている・・・?」

「アニスさんだけではありません!私の紋章機も怯えていますわ!」

「ご、ご主人様・・・しっかりするですに〜!!」

ミモレットが体を揺する・・・テキーラから冷や汗が吹き出ているのだ・・・

「だ、駄目・・・あいつは桁違いよ・・・人間で対抗できる化け物じゃない・・・!!」

「こ、怖いです・・・」

「ママ・・・!体が痛むのだ〜!!」

それはそうだろう・・・ナノマシンですら目の前の化け物を恐れているのだ。

 

NO WAY・・・!!

 

グオオオオオオオオオオーーーーー!!!!!

喜びの咆哮を上げる紋章機・・・

「フィ、フイイイイイィィィィバアアアアアァァァァァーーーーーーー!!!!」

ボン!!ベキベキィッ!バギャ!!

偽アルフェシオンは溶解を起こし、余分な装甲を引き剥がしてドンドン変わり果てていく・・・否、元の形へと戻っていく・・・GR−×××へと・・・

GR−×××・・・シリウス専用ゼックイに成りすましていたの紋章機である・・・

 

(ふふふ・・・タクトがシャイニング・サンを使えば今回の収穫は大成功なんだが・・・)

キチガイは完全に固まっているカズヤに敢えて何もせずに様子を見ていた。

最初に言っておく・・・このキチガイはカズヤは殺さない・・・絶対殺せない・・・

 

「阿部殿・・・あの欠陥品とは一体・・・」

「あの欠陥品は絶対に壊れないんです・・・

「壊れない・・・って・・・」

「我々、人間が細胞が永遠に活性化していれば死なないようにあの欠陥品もあるエネルギーを徴収すれば永遠に死なないのです・・・」

「そ、そんな・・・ば、馬鹿な・・・」

「我々は元凶に打ち勝つ為にあの欠陥品を開発しました・・・しかし、あの欠陥品は生まれながらに自意識が強かった・・・」

「馬鹿な・・・紋章機に意思があるなんて・・・」

「及ばずながら申し上げますが、紋章機にも魂・・・意思があります・・・そして、アルフェシオンエクストリーム特にその傾向が強かったのですが、あの欠陥品はそれすらも凌ぐ強い意思を持っていた・・・そして、あの欠陥品はこともあろうか・・・」

アバジェスはモニターに映った欠陥品を忌々しく見て続けた・・・

あの紋章機はこともあろうか・・・混沌をエネルギーとして摂取しているのです・・・

「混沌・・・あの混沌をですか!?」

混沌・・・全てのエネルギーの起源と言われるもの・・・

「その為にあの欠陥品はいくらダメージを受けても修復してしまいます・・・」

「ば、化け物か・・・」

「それどころかあの欠陥品は損傷を受ける度に進化してしまうのです・・・

「な、何と・・・!それでは一度、起動すれば打つ手が無いではないか!?」

「その為にレイオメガ・ブレイクを使って何度も退化をさせたのですが、遂には退化にさえ耐性をもってしまい、手に余った我々は奴を封印するので手一杯だったんです・・・まったく・・・面目ない・・・」

進化ばっかり求めたからこんな目に逢うんだよ・・・ざまぁみろ・・・)

 

「な、何・・・この感じ・・・前にどこかで・・・」

ミルフィーユはモニターに映っている欠陥品に妙なデジャビュを覚えていた。

彼女は知らないだろう・・・その欠陥品こそが、惑星 リウスに創造主により封印されていた禁断の紋章機であった事に・・・

(ふふ・・・それを起動させたのはお前で、シリウスを覚醒させたのもお前だ・・・デザイア!・・・ふ、ふっふっふっ!あーーーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!)

 

「我々が、あの欠陥品を封印したのにはもう一つ理由があります・・・あの欠陥品は最初は混沌を摂取していましたが、その味に飽きてしまい、新しい味覚を求め・・・遂にその新しい味覚を発見しました・・・

「そ、それは、何ですか・・・?」

「それは、人の魂です・・・」

「な!?」

「はい・・・惑星リウスも惑星ピコも今回のセルダールも全部、あの欠陥品が人の魂を喰らい尽くしたいが為に襲撃されたのです・・・そして襲撃されたNEUEの惑星は既に30を超えています・・・あいつは言わばソウル・イーター(魂喰い)です・・・

「ブラウドめ・・・!何て事を!!」

シヴァはシートをダン!と殴りつけた。

「奴は混沌がある限り不死身です・・・だからこそ、人が全滅しても困らない・・・そして、混沌を消滅させる事はレイでさえも不可能なのです・・・」

 

(イメージ曲 クロノ・トリガー 世界変革の時 【ラヴォス戦 2】)

 

「ふぅ〜・・・すっきりしたぜ・・・」

そして遂に復讐鬼がその姿をさらした・・・

「そうか・・・そいつが成りすましていたのか・・・」

崩壊していく紅い星の明かりが二機を照らす・・・

正体を現した戦闘機は歪な人型戦闘機だった・・・

赤黒い装甲にあちらこちらに浮かぶ血管・・・

前の時とは大分違うが基本的な部分は変わりない・・・

間違いなくその機体はGR−×××だった・・・

 

『シリウス・・・とっておきの舞台を用意してやるぜ・・・』

 

次の瞬間、セルダールからプロミネンスが走って見る見る内にセルダールは溶岩の星へと化した・・・

「あ、あれは・・・!?」

タクトは燃え盛る星を見て前大戦時の最後の舞台を思い出した。

溶岩の熱気が七番機を襲う・・・

七番機が溶けないのはそのオリハルコン装甲のおかげであろう・・・

「くっくっくっ!今の俺にはとっておきの舞台じゃねぇか・・・!」

そう言うなり、狂犬がタクトに襲い掛かった!

「・・・ぐわーーーーっ!?」

狂犬がタクトに体当たりをして溶岩の星へ飛ばした。

「タクトさん!?」

「ミルフィーーー来るなああぁぁーーー!!」

「・・・っ!?」

「こんのおおおぉぉぉぉーーーー!!!」

何とか踏ん張って溶岩の星に落ちまいとする七番機に狂犬は更に喰いついた!

「俺と一緒に楽しい所に行こうぜええぇぇぇーーー!!!」

「くそっ!何てパワーなんだ!?」

パワーではアルフェシオンにも劣らない七番機が必死に抵抗しているのにも関わらず、狂犬の紋章機はグイグイとその下腹部に生えたディザスターテイル(大災難の尾)が七番機の胴体に絡み付いて放さないのだ!

 

〈NO WAY!!〉

 

THE MAN 

is a in Desperate struggle for My Angel

 

〜その天使の為に死闘を演じる〜

 

 

 

「と〜うちゃ〜く♪」

狂犬はまるで七番機を溶岩に放り込むようにディザスターテイルから解放した。

七番機はあやゆく溶岩に落ちそうになった・・・

何故かこの溶岩の星には引力が強く掛っている・・・

「く・・・!」

「さぁ・・・溶岩デスマッチといこうやあああぁぁーーーー!!」

二つのデスクローを構えて狂犬が飛び掛ってきた。

「やられてたまるかあぁぁぁーーーーー!!」

そして、タクトも二つのエクスカリバーで応戦する!

剣を絡めとるような爪・・・そして、そんな爪から身を守る剣。

「くっくっくっ!嬉しいぜぇ〜またテメェと殺り合えるのがよぉーーーー!!!」

 

『・・・カズヤ・・・』

「・・・っ!?」

『今回はこれまでだ・・・お前も引け・・・ここにいればお前も巻き込まれる・・・』

「ふざけるな!逃がすか!!」

しかし、キチガイのゼックイは霧散してしまった・・・

『お前みたいな馬鹿でも・・・まだ死なせる訳にはいかないんだよぉ・・・』

「な、何だ!?」

タクトとシリウスが繰り広げる激闘の轟音がカズヤの聴力を妨害してキチガイが最後に言い残した言葉が良く聞き取れなかった・・・

「うわっ!?」

そして、ブレイブハートがオートパイロットに切り替わってルクシオールへ帰艦する。

「ま、待ってくれ!タクトさんがまだ!!」

しかし、ブレイブハートは進路を変えない・・・

 

「ヒャアアァァァーーーーーーー!!!!」

ガキイィィン!!!

嫌な轟音が響き渡る!

「くっ・・・!」

サイボーグと化した狂犬にはどうとも無い事だが、生身のタクトにはこの上なく、応える衝突音だ。

「おい!せっかくだぁ!仲良くご入浴タイムといこうぜえぇーーーーー!!!」

俊敏な狂犬がタクトにエクスカリバーを振らせないように飛び掛った。

「ぐううぅぅぅぅーーーー!!!」

そして、何と狂犬は七番機ごと溶岩へ飛び込んだ!

灼熱地獄の温度が七番機のコックピットを襲う!

「ぐあああああぁぁぁぁーーーーーー!!!!」

「ひゃーーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」

アプリコットに教えたようにその体はもはや熱さを感じる事は無いのか、タクトの苦悶の叫びを聞いている狂犬ことシリウスの顔はとっても嬉しそうだ・・・

「うおおおぉぉぉぉーーーー!!!」

タクトは自分を捕まえているディザスターテイルを切断し・・・

「ヒギャアーーーー!?」

狂犬を蹴り飛ばし、七番機はその反動力で溶岩から抜け出した!

「グアアーーーー!?」

「はぁ・・・はぁ・・・」

パイロットスーツを着てなければ焼け死んでいただろう・・・

「ヤロオオオォォーーーー!!!逃すかああぁぁーーーー!!!!」

地の底からタクトを引きずり込もうと溶岩の海から上昇してくる狂犬!

ザッバァーーーーン!!!

飛び跳ねた溶岩が飛沫(しぶき)を上げる!

「痛かったぞ・・・この野郎・・・!!!」

しかし、次の瞬間、切断された尻尾がロジックパズルのように復元していく・・・

「あ・・・あぁぁ・・・気持ちいい〜・・・」

体に走る快感にうっとりする狂犬・・・

タクトは顔をしかめてその様子を見守っていた。

「ふぅ・・・ふぅ・・・この時がたまらなく気持ち良いんだ・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・お、お前は感触が無いんじゃなかったのか?」

タクトは息を整えながら狂犬の矛盾点を指摘した。

「確かに俺の体には感触は無い・・・しかし、こいつと俺はL.Eシステムフルリンクしてある・・・それ故にコイツ(欠陥品)の感触は俺に伝わってくるのさ・・・」

「そ、その機体にもL.Eシステムが備わっているのか・・・?」

L.Eシステム・・・LIFE OF EPYON SYSTEMの略称・・・

その名は“次の命”と命名されている・・・

レイ・桜葉が開発したインフィニ専用の連動システムである・・・

このシステムはGRA-000やGA−007にも使用されているシステムだ。

H・A・L・O(有機脳人工脳連接装置)の原型ともなったシステムでもあり、基本的には似たようなものなのだが、このL.Eシステムは確率を制御する目的ではなく、純粋にパイロットの思考を紋章機へ伝えるだけの役割を担っている言わば第二の命である。

「くっくっくっ!当たり前だろう?でなければこんな格闘戦が出来るわけ無いだろう。」

「・・・・・・」

「そしてなぁ〜こいつとリンクを深めれば深める程に反応速度は飛躍的に上がるんだけどよぉ〜・・・ちなみに1リンクする度に反応速度が2倍上がるんだ・・・フルリンクは10段階目だから、今の俺の反応速度は20倍に増加されてるって訳なんだよ・・・だがな・・・だけどな・・・このリンク数が上がる度に紋章機の感触が俺にも伝わってくるってペナルティが上がるわけよ・・・何というかご都合主義というか・・・どこかで聞いたような設定だぜ・・・まったく・・・あいつの設定は単純で困る・・・」

余計な事をベラベラ喋っているテメェも消すぞ・・・コラァ・・・)

「まぁ・・・痛いのも気持ち良いのも大歓迎なんだ・・・だからこそ、他の奴にも痛みの中で得られる快感というやつを教えてみたいんだよ・・・お前を殺した後でな〜・・・」

狂犬が再びデスクローを面妖に構えた。

「お、お前は・・・もう人間じゃない・・・」

「ふ、ふふふ・・・嬉しい誉め言葉だよ・・・そして、お前も俺達の仲間入りだ・・・」

「ふざけるな!この野郎!!」

今度は七番機が狂犬に斬りかかる!!

「ふざけてなんていないさ・・・No.726742のタクト・・・」

狂犬もタクトを溶岩に引きずり込もうと応戦する!

二機を避けるようかに舞い上がるプロミネンス・・・

 

まさにお互いの生死をかけただ!

 

タクト狂犬にとって、これは戦いではない・・・一対一の闘いだ・・・

闘いとは困難な者に立ち向かう事を指す・・・

 

「もう一度聞く!お前は何でそこまでしてでも俺を憎む!」

「お前こそ!その胸に手を当てて思い出してみろおぉぉーーー!」

狂犬が再びタクトを溶岩に引きずり込んだ。

「ぐおおおおーーーー!!!」

今度はディザスターテイルだけでなく両腕で七番機を捕獲している!

「この灼熱地獄の中で己の業を悔やみながら死ねえぇぇーーーーーー!!!」

「死んでたまるかああぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!」

タクトは空いていた右手のエクスカリバーで左腕を掴んでいた狂犬の右腕を切断して、狂犬が悲鳴を上げる前にディザスターテイルと左腕を切断した!

「ひぎゃああああああぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!」

「くっ・・・!」

耳を突くような悲鳴をあげる狂犬をよそにタクトは溶岩へと抜け出した。

「あ、あんの野郎ーーーーーーー!!!!!」

案の定、切断された手足と尻尾が瞬時に復元した狂犬は溶岩から抜け出した獲物目掛けて溶岩の海を上昇した!

「絶対に逃がさねぇぞおぉぉーー!!!オラアアァァァーーーー!!!!」

凄まじい速度で溶岩の星から逃げようとする七番機に飛び掛る狂犬!

「くそいい加減に頭にきたぞ!!」

遂に執拗な狂犬の追撃が頭にきたタクトは敢えて引き返して追撃してきた狂犬にタックルをくらわして、狂犬を溶岩の海に叩き込んだ!

「ぐおおおおおおーーーーー!?」

狂犬の機体は星の岸壁に激突して大きなクレーターを作る、そして亀裂の入った場所に粘度の低い溶岩が流れ込み星の体内を侵食していく・・・

「クソガアアアアアアアーーーーー!!!」

狂犬が怒りの咆哮を上げて溶岩の海を突き抜けてタクトを目掛けて飛び掛る!

(見せてやるぜぇ!!“大いなる災い”をなぁ!!)

GR−×××から大いなる災いの尾が伸び、それが七番機の腰に突き刺さった!

「ぐあっ!?」

「エネルギーが減ったからテメェから養分をよこせえぇぇーーーー!!!」

「な、何だ!?七番機が・・・」

タクトは知らないだろうが、このディザスターテイルは蚊が人の血をすう時に血を吸って有害成分を残すのと同じ様に七番機からエネルギーを吸収して七番機に何と!あのA・N(アンチ・ナノマシン)ウィルスを注入しているのだ!!

「七番機にエラー警告!?この尻尾か!?」

「ひひひ・・・イーヒッヒッヒッヒッヒッヒイイイィィィーーーーーー!!」

俺は尻尾を切断しようとするが、シリウスの紋章機が七番機の両腕をがっしりと掴んで放さない・・・

「無駄だ!無駄だぁ!!七番機を始末した後でテメェをバラバラに解体してこの溶岩の海にぶちまけてやっからなああああぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!」

「く・・・!!」

俺は狂犬の機体から放たれる威圧感に呑まれそうになった・・・

もはや、躊躇している場合ではない・・・

シャイニング・サンを使う・・・!!

 

〈NO WAY!!〉

 

〜NEUE消滅〜

 

俺は精神を集中させる・・・

七番機・・・病み上がりで悪いが頼む・・・!!

七番機の背中に六枚の光の翼が展開される・・・

「うおっ!?」

翼の展開により狂犬の機体が弾き飛ばされた・・・

七番機がまばゆい白銀色に輝き出す・・・

シャイニング・サンの予兆現象だ・・・

 

(おお!収穫大成功だな!!

「ほう!」

狂神狂犬が喜んだのにタクトは気付かなかった・・・

 

「いっくぞおぉぉーーー・・・!」

 

「まさか!シャイニング・サンを撃つ気か!?」

 

(さぁ・・・撃て・・・撃てええぇぇぇぇーーーーーーー!!!!)

 

「アハハハ・・・・・・!!」

狂犬の機体が両手を十字架のように大きく開いた。

「うてよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「よせえええぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!!」

 

「シャアアァイニング・・・サアアアァァァーーーーーーーンッ!!!」

 

進化の光が狂犬を飲み込んだっ!

「アアア・・・あああああああああああああーーーーー!!!!!」

 

辺りの視界は真っ白に化した・・・

 

「な、何て事だ・・・遂に・・・目覚めてしまう・・・」

「あ、阿部殿・・・?」

NEUEの・・・終わりだ・・・

 

「はぁ・・・はぁ・・・や、やったか・・・」

「くっくっくっくっくっくっ・・・!!」

「・・・っ!?」

「くっくっくっあっはっはっはっははっはっはっ・・・!!」

 

やがて視界が晴れていく・・・

既にセルダールは無い・・・

そして、そこには大きな翼があった・・・

その翼は混沌の翼・・・色が常に変わっていく・・・不吉な翼・・・

そしてその大きな二枚の翼を生やした狂犬の紋章機があった・・・

「なっ!?」

「あははは!!タクト・・・愛してるよっ!!」

 

(あ、あれは・・・欠陥品の本来の姿だ・・・)

 

「シャ、シャイニング・・・サンが・・・効かない・・・?」

「ふふふ・・・お前は本当に可愛い程に馬鹿だよなぁ・・・コイツは不老不死ではなく・・・不死身なんだよ・・・終わりの無い相手に進化を促すとどうなると思う・・・?

「ま、まさか・・・」

「その通りだよ・・・シャイニング・サンコイツにとって最高の促進剤なんだよ・・・!」

 

グオオオオオオオオオオオーーーーー!!!!

 

「ふっふっふっ・・・そうだな・・・お前の紹介をしておこうか・・・」

シリウスの紋章機がモニターに映っている・・・

 

「な、何だ!?あの戦闘機は!!おい!姉さん!!」

「私も知らないわよ・・・あ、あれも紋章機なの・・・?」

 

その歪な姿は見る者全て威圧する・・・

 

「良く見るがいい・・・!これが俺の紋章機・・・GR-×××・・・」

 

ラスト・リヴェンジャー

 

「ラ、ラスト・リヴェンジャー・・・?」

「そう、“最後の復讐者”さ・・・何故なら、これからの世界に復讐は無い・・・何故なら、復讐心を生み出す人間は消えてなくなるのだからなぁ・・・!!くっくっくっくっ!!ふははは・・・あーはっはっはっはっはっ!!あーーはっはっはっはっはっはっ!!」

狂ったように笑い続ける復讐鬼・・・

「この紋章機を止める事はアルフェシオンにすら出来なかった・・・そして、俺はお前達を皆殺しにする・・・EDENもNEUEも全てこの俺が喰い尽してやるうぅーーーーっ!」

 

お、俺は・・・な、何て化け物を目覚めさせてしまったんだ・・・

 

「さぁ・・・まずは貴様からだああぁ〜・・木っ端微塵にしてやるうぅぅぅーーー・・・!!」

覚醒したシリウスは血走った目で獲物を見据えた・・・

 

「タクトぉぉ〜〜〜・・・こおぉんな話を知ってるか〜い〜」

シリウスは気持ち悪いぐらいの猫なで声でタクトに話しかけた・・・

「とある極寒の地域ではな・・・あのプリチ〜♪なアザラシを食べるらしいんだぜ・・・」

七番機の真下に黄金の魔方陣が描かれた・・・

その魔方陣は時計に似ている・・・円のふちに12個小さい円が描かれている・・・

そして、小さい丸の中に文字が描かれている・・・それは十二人の神を意味する・・・

そしてそれは同時に因果律へのアクセスを意味する・・・

これから放つ桁外れな大技の為に因果律へ使用許可を取っているのだ・・・

「そして、その捕獲方法ってのがこれから使う攻撃方法そっくりなんだ・・・」

「な、何だ・・・体が動かない・・・!?」

それはタクトと七番機の動作という概念がかき消されたからだ・・・

この魔方陣は概念ですらかき消してしまう・・・

 

NO WAY!!

 

魔方陣の中心に東西南北に先程の12個の小さい円より一回り大きい円が描かれていてそこにもやはり文字が描かれている・・・

それは、四匹の四聖獣を意味する・・・

さて、この魔方陣に見覚えが無いだろうか・・・?

そう、この魔方陣はインフィニティ・シールドだ。

神王 アバジェスが所持していた究極の盾だ・・・

本来は東に青龍・・・西に白虎・・・南に朱雀・・・北に玄武が

描かれている筈なのだが今では反時計周りして・・・

それが北に青龍が・・・東に朱雀・・・南に白虎・・・西に玄武が

描かれている・・・

この魔方陣の仕組みを説明しておこう・・・

つまりは北に玄武がくれば盾となって、北に青龍がくれば矛となる・・・

中央に現れたのが神王 アバジェスならば、盾になる・・・

しかし、中央に現れたのが冥王 ハデスならば矛となる・・・

 

「ヒイィィーーーヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!!!!」

 

獲物を捕獲したシリウスが歓喜の奇声をあげ、ラスト・リヴェンジャーも七番機から距離を取りながら上昇していく・・・・

 

「捕獲者はなぁ〜・・・氷の大地に丸いまるぅ〜い穴を掘る・・・そして獲物が来るのを静かに待つ訳だ・・・こんな風にモリ(槍)を構えてなぁ〜・・・」

ラスト・リヴェンジャーの右手に非常に長い黄金の槍が現れる・・・

 

「しまった!グングニルを使う気か・・・!?」

ロキの世界の神話では北欧神話の主神 オーディンが英雄 ジグムンドの持つエクスカリバーの原型になった魔剣 グラムを叩き折ったと言われる伝説の銀の槍である・・・しかし、この黄金の槍は違う・・・この黄金の槍には本来の名前がある・・・それはその名前に隠されている・・・それはアバジェスでも知らない名前・・・

グングニル・・・これは本来の名前を神界前期の言葉で表した名前・・・

タルタロス・・・これは本来の名前を神界後期の言葉で表した名前・・・

そして本来の名前は・・・

 

ラグナロク

 

NO WAY!!

 

その槍の矛先にはウィルドのルーン文字が描かれている・・・

それはウィルド・・・

ウィルド・・・潜在能力・・・究極・・・運命の女神・・・を意味する・・・

黒でもあり白でもある・・・

光でもあり、闇でもある・・・

最初の神故にゼロ・・・

ウィルド・・・

その名前は言わば、究極の者の証である・・・

 

NO WAY!!

 

「そして、ま〜るい、ま〜るい穴から顔を出してきた激プリチ〜♪なアザラシちゃんのそのつぶらで愛くるしい〜ぃ♪おめめとおめめの間になぁ〜・・・」

グングニルが虹色に輝き出し、七番機の真正面にダーツのような的のように魔方陣が移動する・・・まるで狙うのはここだと言わんばかりに・・・

「くそ!・・・動いてくれーーーっ!!」

「とても鋭利なモリ<槍>をブッ刺すううぅぅぅーーーー!!!訳よ!!冷たくて暖かくて痛くて気持ち良い〜〜〜♪感触を感じながらアザラシはこう思うんだ・・・ああ〜これが僕の運命なんだって・・・殺される運命だったんだ・・・しょうがないって・・・」

そして、ラスト・リヴェンジャーも虹色に輝き出す!

虹色・・・一定しない色こそが混沌の象徴だ!!

ラスト・リヴェンジャーが投擲体勢に入った。

ラスト・リヴェンジャーに描かれた紋章はウィルドの紋章・・・

GAシリーズがデザイアの紋章を・・・

RAシリーズがフェイトの紋章を・・・

そして、オリジナルたるインフィニ搭載機にはこのウィルドの紋章が与えられる・・・

その紋章が光り輝く・・・

「う〜ふっふっふっ!!逝くぞ・・・?」

シリウスは獲物に狙いを定めた・・・

「くっ・・・!!」

獲物であるタクトは逃げられないように魔法障壁で囲まれた!!

 

「ジ!!エンドオオオオオオーーーー!!!!」

 

遂にグングニルが七番機目掛けて放たれた!

七番機とラスト・リヴェンジャーの距離は約66666km・・・

そして、グングニルは一秒に6666kmを駆け抜ける速度で獲物に襲い掛かる!

 

「オアッ!!!!」

 

グングニルがうなり声を上げて魔方陣へと・・・!

 

「オオォォーーーバアァァーーーキルッ!!!」

 

突き刺さり、魔法障壁の中で宇宙を消滅させるほどの大爆発が発生した!!

 

「ぐああああああああああああああ!!!!!」

 

「ひゃーはっはっはっはっ!!死ね!死ね!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!死っねええええええぇぇぇぇーーーーー!!!」

THE END

OR

 OVERKILL

 

「タクトさん!?」

ミルフィーユが悲鳴をあげるようにタクトの名前を呼んだ。

 

「うああああああああああああーーーーー!!」

凄まじいタクトの絶叫!

魔法障壁の中を全てを消滅させるほどの大爆発が延々と襲う!

その様はまさに終わりか過剰な殺害・・・

THE END OR OVERKILL・・・

 

NO WAY!!

 

「このままじゃ・・・タクトさんが殺されてしまう!お願いだブレイブハート!戻ってくれーーーーー!!!!」

しかし、それでもブレイブハートは戻ろうとしない・・・

 

もはや動けるのは何者の指示も受けないラッキースターだけだ。

ラッキースターが七番機へ向かっていく。

 

「お願い!!もうやめてえぇーーーーーーーーーー!!!!」

 

ミルフィーユが正真正銘の悲鳴をあげた!

 

「ぐっ!?」

そして、シリウスが苦しみ出したのも同じだ・・・

タクトを襲っていた爆発も治まって七番機が解放された・・・

「ぐ、ぐあああ・・・!?な、何だ・・・?」

ラスト・リヴェンジャーの動きが止まった・・・

(オイオイ・・・マジかよ・・・)

 

「ルクシオールを七番機へ!今の内にタクトを回収する!他の紋章機も今の内に帰艦させろ!コード1021を打てば帰艦する筈だ!!」

アバジェスは迅速な指示を出す!

「りょ、了解!」

レスターそして、オペレーターも迅速に行動に移した!

 

「う、うぅ・・・・・・」

七番機の損傷は尊大でタクトの意識もうつろだ・・・

はっきり言えば、七番機に焦げてないところなどない・・・

オリハルコン製の装甲でもこのダメージ・・・

グングニル・・・まさに神が下す神罰・・・

 

NO WAY!!

 

「シリウス君!もうやめてっ!」

ラッキースターが遂にラスト・リヴェンジャーの近くまで来た。

「声・・・が・・・聞こえる・・・?」

俺の耳にはおぼろげにしか聞こえない・・・

「私を!私を好きにしてもいいからタクトさんを殺さないでぇ!!」

聞こえてくる懐かしい声はでも今は涙声・・・誰だ・・・?

「お願い!シリウス君っ!!」

この声は・・・どこかで聞いた気がする・・・彼女がルシファーの力に覚醒して一時的に強運を無くした時に・・・必死に他の手段でラッキースターを動かそうとしていた時に似ている・・・でも、どうして・・・また、そんなに泣きそうな声で、お願い・・・なんて言うの・・・?俺はここにいるのに・・・

シリウスの目がモニターに映った焦げた七番機を発見した・・・

あれ・・・は・・・タクト・・・どうして・・・?俺も・・・・・・・なのに・・・

 

どうして・・・?どうして・・・!?どうして・・・!?どうしてそいつなの!?

 

NO WAY!!

 

「ぐ、ぐぐ・・・うあ・・・うああ〜・・・!!」

復讐鬼の生身の右目から涙が零れた・・・それが何を意味するのかは分からない・・・

 

「格納マニピュレーターを射出!強制収用するぞ!いいな!!」

「はい!」

 

ルクシオールから非常用格納アームが伸びて七番機を捕獲してルクシオールへ収納していく・・・

「ミルフィー!お前も帰艦しろ!!」

「は、はい!!」

 

(お〜い・・・奴等が逃走の準備をしているぞ〜・・・)

 

依然としてラスト・リヴェンジャーは動かない・・・

ラスト・リヴェンジャーは本来パイロットの命令を聞かない欠陥品なのだが・・・

「どうして!どうしてぇ!!こんなつもりは・・・!!」

シリウスは子供のように泣き続けた・・・

 

(チッ・・・!もう良いわっ!!デザイアは俺が殺るっ!!

 

ラスト・リヴェンジャーにマスター・コードが入力されていく・・・

創造主からの直接介入コード・・・

ラスト・リヴェンジャーでさえも創造主には逆らえない・・・

何故なら、創造主は混沌そのものだからだ・・・

 

やがて、ルクシオールがミルフィーを回収した・・・

 

『逃がさねぇぞおぉぉ!!デザイアアアァァァアアアア!!!』

 

そして、ラスト・リヴェンジャーの制御システムがマスター・モードに変わった・・・

つまりパイロットが復讐鬼から真の復讐鬼へと変わったのだ・・・

 

(ゲート・・・オープン・・・間に合ってくれ・・・)

 

ラスト・リヴェンジャーが黄金色に神々しく光り輝く・・・

それはオメガ・ノヴァの予兆現象だ・・・

 

最終新星・・・オメガ・ノヴァ

ハイパーノヴァ・・・ビッグバーン・・・そして巨大なブラックホール・・・

それは・・・宇宙の創造と宇宙の終焉を体現した・・・

それは・・・絶対を体現した・・・

創造主のみが所有する最強の直接攻撃である・・・

 

今回は手加減無しで木っ端微塵にしてやるぜぇ・・・!!』

創造主がオメガ・ノヴァを発動させようとしたその時・・・

 

「これで・・・気が済むのか・・・?」

『チッ!またテメェか!!』

「良いのか?お前の復讐はこの程度で・・・」

「この“クソ馬鹿”は役に立たん!!」

「確かにそいつではいささか役不足だろうが、俺なら天使達に本物の地獄を見せてやれるが・・・?」

「何・・・?」

創造主がその言葉に反応した・・・

「お、お前が本気になるというのか?

「ああ・・・時がくればな・・・

「ほ、ほう・・・おもしれぇじゃねぇか・・・最初の神様が本気になるってか・・?」

「ああ・・・」

「フェイトも巻き込むのか・・・?」

「カズヤとフェイトがいなくなれば、お前が一番困るだろう・・・あの二人以外を俺のタルタロス(地獄)へ落とす・・・そして、ラグナロクにより、全ては無へと帰す・・・」

「ふ、ふは♪最高だぜ・・・相棒・・・だから、お前しかいないのだ・・・」

「・・・・・・・・・」

ウィルドは創造主を真名で呼んだ。

もはや、ウィルドしか知り得ぬ創造主の本当の名前だ・・・

「何だ?相棒・・・」

「今回で終わりにするぞ・・・あの馬鹿が死ねばそこで全てを終わりにする・・・」

「おいおい・・・マジかよ・・・」

「そして、あの馬鹿運命の輪を断ち切れなければそこで終わりだ・・・」

「・・・それが、お前の本気を見せてくれる条件って訳か・・・」

「ああ・・・俺はもう眠りたいんだよ・・・もう、何も考えたくない・・・」

「し、しかしよぉ〜・・・」

「頼む・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・いいぜ・・・今回は見逃してやろう・・・」

ラスト・リヴェンジャーの発光現象が治まった・・・

 

そして、ルクシオールはNEUEからEDENへと脱出した・・・

 

「ただし・・・NEUEは全て頂くぞ・・・?さもなければこいつのインフィニが暴走を起こしてしまう・・・そうなれば、せっかく用意したEDENも喰われちまうからな・・・

かまわん・・・残存艦隊は既にトランスバールへ向かっている・・・」

そいつが起動した時点でNEUEは手遅れだ・・・

「ほう・・・ゼウスめ・・・手筈通りだな・・・」

「俺はジュノーにてお前達を待つ・・・」

「ん・・・?」

「はぁ・・・お前が描いた脚本だろうが・・・」

「あ〜そうだった・・・」

「食い尽くすのは勝手だが、ゼイバー・ブラウドは残しておけ・・・」

「あ〜それなら大丈夫♪」

「・・・・・・?」

あいつ等も既にEDENに向かわせたから・・・」

「・・・ならば、用件はそれだけだ・・・」

「ふ、ふふふ・・・相変わらず目的の為には手段を選ばない悪魔さんだぜ・・・」

 

ルクシオールは一ヶ月たった後のEDENのジュノーへと帰り着いた・・・後のアバジェスの言う事によると一ヶ月後に出てしまったのはラスト・リヴェンジャーの影響だという事だ・・・ラスト・リヴェンジャーの混沌の波長が時間にまで介入したのだ・・・

ラスト・リヴェンジャー・・・まさにの敵である・・・

 

そこには白き月とジュノーがあった・・・

 

平穏な故郷・・・

 

しかし、ジュノーは今、まさに絶体絶命の危機を迎えていた・・・

 

「な、何だと・・・」

シヴァは信じられないといった様子でジュノーの評議長からの報告を聞いていた。

 

一つ目は・・・NEUEが消滅した事・・・

 

二つ目はNEUEの残存軍とブラウドの残存軍が共闘を表明・・・

 

その名をNEUE共和軍に改名・・・

 

三つ目はトランスバール皇国軍が遂にシヴァ女皇の退位を発表・・・

 

そして、四つ目はトランスバール皇国軍がNEUE共和軍との共闘を表明した・・・

 

事実上、最強の戦闘集団がここに誕生した・・・

 

EDEN、NEUEの複合艦隊・・・

 

名こそは違っても皇国軍と共和軍が敵になる事に変わりない・・・

 

そして、二つの軍が宣戦布告を言い渡したのはここジュノーだった・・・

 

そして、これらの要因となったのはゼイバー・ブラウドの演説である・・・

 

ブラウドの演説が行われた後のたった二週間でここまで事態は急変してしまったのだ・・・恐るべきはゼイバー・ブラウドの戦略政治というべきか・・・しかも、タチの悪い事に現在のゼイバーは利益に興味が無いだけに、一つや二つの星が消えたとしても何とも思わないのだ・・・

 

白き月へ帰艦したルクシオールのクルー達に録音された演説が見せられている・・・

ちなみに、この席にタクト、ミルフィーユ、カズヤ、アプリコット、はいない・・・

5人は先の戦いのダメージでそれ所ではないのだ・・・

タクトの怪我は甚大で、ミルフィーユがつきっきりで看病をしている・・・

アプリコットは失語症にかかり、カズヤがその看病をしている・・・原因はシリウスの変わり果てた姿に精神的な負荷がかかりすぎた事が原因だと言われている・・・

 

リリィも帰艦した当時は取り乱していたのだが・・・それは後でまた語るとしよう・・・

 

モニターには心痛な顔で芝居をしているゼイバーが映った・・・

NEUEを死に追いやった黒幕である・・・

ジュノーと白き月にいる者にはまさに悪魔のような男に見えるだろう・・・

 

「皆さん・・・ゼイバー・ブラウドです・・・先にこ申し上げ通り・・・私とソルダム陛下がセルダールにてシヴァ女皇を待っていたのは既にご存知の事かと思います・・・」

 

ゼイバー・ブラウドは以前とは違う部屋にいた・・・

 

「ちなみに私がいるのは私の住まいではありません・・・しかし、これこそがシヴァ女皇との話し合いを求めた結果がもたらした状況です!!」

 

ゼイバーの背後のスクリーンに、たった一つのクラストブレイカーが配置されたセルダールが映し出された・・・そこには言うまでも無く、タクト達が実際に出会ったブラウドの艦隊や20機ものクラストブレイカーは映し出されていない・・・この映像はブラウドが偽造したものだ・・・映像の偽造などこのNEUEの黒幕には容易い作戦なのだ・・・情報戦こそがゼイバー・ブラウドの真骨頂だ・・・

 

「これが何であるかは、大方予想できましょう・・・これは星の地脈を貫通して星を破壊する禁断の兵器・・・クラスト・ブレイカーです・・・無論、これは我々が仕掛けたものなどではありません・・・これを仕掛けたのは言うまでも無く、シヴァ女皇です・・・」

 

ゼイバーは机の上で腕を組んだまま静かに目を閉じて続けた・・・

 

「私とソルダム陛下はあくまでそのクラストブレイカーがあくまでシヴァ女皇の交渉道具だと思って敢えて、迎撃はしなかったのです・・・でも、現在NEUEがこうなった以上・・・それは私の対応の仕方と認識が甘かったと言われても仕方ありません・・・でもこれだけは信じていただきたい・・・今は亡きソルダム陛下と・・・」

 

今は亡きソルダム陛下・・・その言葉に真相を知っているリリィは反応する・・・

そして、いけしゃあしゃあと喋っている黒幕を睨んでいる・・・

 

「そして、私は最後の最後までシヴァ女皇の正義の心を信じていたのです・・・偶然の職務で生存してしまった私が今更、そんな事を抜け抜けと言えた立場では無いのですが・・・それだけは信じて欲しいと願います・・・」

 

ゼイバーが椅子から立ち上がって丁寧に頭を下げた・・・

そして、ゆっくりと顔を上げた・・・その顔には怒りが如実に表れている・・・

 

「しかし・・・皆さんも知っての通り、私達が信じていたのにも関わらず、交渉の席を用意していたのにも関わらず・・・!シヴァ女皇はあのクラストブレイカーを撃ち込んだのです!!何故だぁ!?シヴァ女皇・・・!いや・・・シヴァ・トランスバール!!!!何故、撃ったのだ!?何故だあああああああぁぁぁーーーーー!!!!」

 

ダアァンッ!!!

 

ゼイバーがその物静かそうな雰囲気に似合わない程に怒りをあらわにして机を叩いた・・・無論、これも芝居だ・・・しかし、ゼイバーによるこれまでの無償による支援活動で救済された者達には芝居に見えないのだ・・・純粋な者が多ければ多いほどに流されやすいのだ・・・純粋な者が多いEDENとNEUEでは・・・

 

「私達の故郷(ふるさと)は既に無い・・・私達は自由を求めていた為にシヴァと皇国との関係を気付いてきた訳では無い筈だっ!自由などは二の次だ・・・私は生きていけれさえいければそれで良いと思った!なのに!シヴァはそれさえも許さなかった!それは何故か?お前が隠蔽しようとしても私には分かる!それはお前(シヴァ)が自分に後ろめたさがあったからに過ぎなーーーい!!」

 

ダン!ダンッ!

 

かつて、アドルフ・ヒトラーが用いたと言われる人の注意をひきつける最良の方法。

 

「以前、申し上げたようにこちらには証人がいると申し上げました・・・ご紹介しましょう・・・我が、ブラウド財閥の諜報部所属のシグルド・ジーダマイヤー氏です!」

 

「どうも・・・トランスバールの方は私の顔に見覚えがあると思います・・・先程、ゼイバー総帥に紹介されたシグルド・ジーダマイヤーです・・・」

 

ゼイバーの後ろのスクリーンに映ったジーダマイヤーは元の中年の男の姿に戻っている・・・どうやら、自分がゼウスである事を明かすつもりはないらしい・・・

 

「まずはEDENの皆さんに聞いていただきたい!私には良い噂がありません・・・13代目皇王ジェラール・トランスバールの犬だと言う悪い噂があるのも知っています。」

 

ゼウスのいう事は本当だ・・・皇国軍内部でも彼の悪評は捨てる程にあった・・・

中にはジェラールに取り次いで、エオニアを陥れたとの噂もある・・・

 

「しかし、それらの行動は全て、ジェラールの正体を掴む為の諜報活動だという事を信じていただきたい・・・無論、そんなに信じていただけるとは思っていません・・・しかし、情けない事に今の私にはこうやって結果を報告する事しか出来ないのです・・・」

 

「プライドを捨てた神が信用してくれとは片腹痛い・・・」

アバジェスは腕を組んだままかつての部下を侮蔑した。

 

「その結果、私はジェラールの正体を掴みました・・・ジェラール・トランスバールとはレイ・桜葉が成りすましていたに過ぎないという事を・・・」

ブラウドはゼウスを右手で制して続けた・・・

「もう、お分かりでしょう・・・これが絶対王政の裏世界の実態・・・いや・・・絶対王政の運命とも言える盲点でしょう・・・!分かりますか?エオニアが死亡した今、純血の王族など存在しないのです・・・つまり、シヴァはトランスバールの王族では無いのです!彼女はこの事実が明るみに出るのを恐れてジーダマイヤー氏を戦死したかのように暗殺未遂しようとしてその結果はご覧の通り・・・」

ゼイバーは隣のジーダマイヤーの肩を叩いた。そして、ゆっくりとカメラの方に向き直った・・・その顔は決意に満ちた顔だった・・・

「そして、今回は私とソルダム陛下を暗殺する技量が無かった為にセルダール本星ごと破壊・・・皆さん・・・これでも、彼女を尊敬しますか?尊敬できますか!?

 

「くそ・・・ブラウドめ言いたい放題に・・・」

シヴァは悔しそうに握り拳を握り締めた。

 

「こんな暴挙を神が許す筈が無い!いや、この暴挙を許す神など我々が信じるに値しない!否っ!!今の我々に必要なのはまやかしの神でも無ければ王でも無い!

ダン!ダン!!

「少なくとも私個人はそう思う、我々はただ生きていければそれで良いのではないでしょうか?否っ!生きていける・・・それだけが何よりもの幸せではありませんか!」

 

ゼイバーの口調が強気なものに変わる・・・ゼイバーに賛同して戦おうとする者には何よりも英気を与えるご褒美となる・・・

 

「ここで、私がこれから行う事を皆に伝えておきたい!私は今回の首謀者であるシヴァをこのままにしてはおけない!私は彼女を厳正に処罰する!それを妨害しようとする者が現れたのなら、例え、それが何者であろうと容赦はしない!!皆さんもご存知でしょう・・・シヴァの配下には天使と呼ばれる者達がいる事を・・・天使・・・!天使!!でもこれを見て天使という存在を今一度、よく考えていただきたいっ!!」

 

ゼイバーの背後のスクリーンでは紋章機達がNEUE宙域で暴れている様子が映し出された・・・そして、次は重力崩壊を起こして崩れていく惑星が次々と映し出されていった・・・そして、無表情な顔で紋章機の操縦をしている顔までも・・・鮮明に・・・

 

「デッチ上げもここまでくると大したもんだぜ・・・」

「馬鹿・・・本当にシャレにならねぇんだぞ・・・」

アニスも決して本気で賞賛したわけではないが・・・ロキも本気で注意した訳ではない・・・こうでも言わないと、ブラウドの強行演説に我慢ができないのだ・・・

 

「私は天使という者を天の使いと解釈しております・・・しかし、だからと言って私は天使を正義の味方などとは考えなーーーい!」

 

ダン!ダン!ダン!!

 

「何故なら、NEUEを破滅させたのは紛れも無くシヴァという天に仕える天使達が行ったからです!彼女等天使達は・・・攻撃を仕掛けてくる時にこう言って来ました・・・“これは制裁だ”と・・・何が制裁か!?何が天の制裁か!!何が!?何処が!?被害者であるNEUEの民が一体何をしたと!?

 

ゼイバーはNEUEの民に何か非があったのなら証言してみろ!と聞かんばかりに両手を大きく広げて問いかけた!一体、何の為に!?と言わんばかりに・・・

 

「・・・政治に介入すら出来ない人々まで無差別に殺めたこの暴挙のどこが制裁かあああああああああーーーーーーーーッ!!

 

ダアァン!ダアン!!ダアァン!!!

 

このゼイバーの強い天使への糾弾の言葉は正義心の強い者には興奮剤として、悲しみにくれる者には何よりもの励ましとなる言葉となる・・・

 

「制裁とは貴様達、殺人鬼へ決行されるべきものだ!決して、真面目に生きている者を一方的に虐殺する事では無い!だから私は今日ここで天使達に宣言します!!」

 

シヴァ達はブラウドが次に何て言うのかは既に予想できていた・・・

 

「制裁は貴様達に与える!この私が命に代えてもっ!!」

 

ダアアアン!!!

 

そこで、ブラウドの演説は終わった・・・

 

そして、ゼイバー・ブラウドは遂に宣言したのだ・・・

 

シヴァとエンジェル隊を制裁すると・・・

 

NO WAY!!

 

「阿部殿・・・これは本当に公に認められた演説なのか!?」

シヴァの目はこんな暴挙が許されるのか!?と言いたげだ・・・

「はい・・・残念ながら・・・実はこの後でゼイバーはもう一回演説をしているのです・・・それが今回の事態へと発展する要因となりました・・・」

(ほらな・・・全てのものには因果があるだろう・・・?

 

映し出されたのは先程と同じ背景で、ブラウド自身も同じ服装だった・・・

 

「皆さん・・・ゼイバー・ブラウドです・・・」

 

ゼイバーは相変わらず、机の上で手を組んで静かに目を閉じている・・・しかし、その表情には何かを決断したような緊張感が漂っている・・・

 

「最初に申し上げておきたい・・・私がこうやって演説をするのは今回で最後になるでしょう・・・

 

「・・・・・・?」

シヴァと天使達は首をかしげた・・・

 

「その理由をこれから皆さんにご説明しましょう・・・」

 

ゼイバーの背後に設置された浮遊するスクリーンに惑星ジュノーが映し出され・・・その映像は横に移動していき、やがて・・・白き月とそこに帰艦しようとしているルクシオールを映し出されていた・・・

 

「これを見てお分かりでしょうか?・・・これは、惑星ジュノーへ移動した逃亡中の白き月とNEUEから帰艦してきた偽りの制裁者達の姿です・・・」

 

偽りの制裁者とはシヴァとエンジェル隊の事を指しているのだろう・・・

 

「・・・我々はこれを発見次第・・・すぐにジュノーへの事態の説明を求めました!」

 

そして、次にはジュノーの警護艦隊がブラウドの艦隊に攻撃を仕掛けている映像が流されている・・・例によってこれはでっち上げの為の偽映像である・・・

 

「しかし、返答はこの映像の通りでした・・・しかし、私は最初からこう言った返答があるのではないかと確信して、無人艦隊を配置しておいたのです・・・奴等の横暴さを証明する為に・・・そして、私の作戦通り、奴等はその本性を現しました・・・」

 

シヴァ達やジュノーはもはや、奴等呼ばわりされている・・・その上、私の作戦通りなどのゼイバーの強気の言葉を聞く限り、既にEDENの世界でも一定の支持層を確立しているのが読んでとれる・・・

 

「私が確信していたのは証言者がもう一人いるからです・・・」

 

ゼイバーが促すまでもなくその男は静かに隣に現れた・・・かつて、ヴァル・ファスクのNo.2と呼ばれた猛将・・・ロウィル将軍である・・・

 

「・・・皆さん、私は皆さんもご存知のヴァル・ファスクの副将を務めていたロウィルと申します・・・しかし、それは先に紹介されたジーダマイヤー氏と同じく、表向きの顔に過ぎず、本来はブラウド財閥の諜報部員なのです・・・」

 

続けようとしたロウィルをゼイバーが左手で制した・・・

 

「彼は、ジュノーとヴァル・ファスクの繋がりについて調べていてくれていました・・・皆さんはご存知ですか?ジュノーとヴァル・ファスクは共謀者だという事を・・・

 

「本当にとんでもない事をでっち上げたな・・・」

 

この時、既にロキはゼイバー・ブラウドのミスを見抜いていた・・・

 

「EDENの皆さんは既に、ご存知かも知れませんが、ジュノーは元々、ヴァル・ファスクに支配されていた星で奴等(エンジェル隊)が解放した事になっている星です・・・」

 

ゼイバーは軽く嘲笑った・・・すでにジュノーとヴァル・ファスクの茶番劇はお見通しだと・・・言わんばかりに・・・隣にいたロウィルも合わせて軽く嘲笑った・・・

 

「私がロウィル氏を派遣したのは奴等の茶番劇を見抜く為でした・・・よぉく考えて見て下さい・・・何故、ヴァル・ファスクはジュノーの民に最低限の文化と生活を許可していたのでしょうか?または、そんな必要があったのでしょうか?否・・・断じて否っ!!」

 

ゼイバーの目が開かれた・・・何とも威圧的で神秘的な目・・・

 

「私もこれ以上こんな茶番劇には付き合っていられない・・・皆さん、よぉく思い出してください・・・あなた方、EDENの民が我々NEUEの民と交流を始めたのはジュノーのライブラリで発見されたクロノゲートを使い始めてからでしたね・・・?もう、お分かりでしょうか?私が何を言おうとしているのかを・・・」

 

ゼイバーは腕を組んだまま続けた・・・

 

「先に申し上げたようにクロノゲートは我々が製造したものであり、ロウィル将軍がジュノーとヴァル・ファスクへの交流の為に渡した物なのです・・・それをはたかも自分達が発見し、解明したかのように演じて、NEUEへの交流を今、始めたように見せかける・・・・・・これが茶番で無くて一体、何だと言うのです!?」

 

ダアァン!

遂に、ゼイバーが机を叩いた。

 

「私がジュノーとヴァル・ファスクの首脳陣・・・そしてトランスバールの歴代の皇王と接触をしていたのにも関わらず、奴等はその真実を隠蔽してきた・・・EDENとNEUEの交流が始まって以来、奴等はこの真実をあなた方には教えないで欲しいと・・・私に言ってきました・・・!!!それは何故かっ!!?

 

ダン!ダン!!

 

「それは彼等自身がNEUEを家畜程度にしか考えていなかったからです!EDENへの労力になる人件費の安い家畜とにしか・・・!その証拠にNEUEからの使者であった我がジーダマイヤー氏とロウィル氏を暗殺しようとたっ!!

ジーダマイヤー氏はロームにて皇国のシヴァとルフト准将の手により・・・そして、このロウィル氏はヴァル・ファスクのゲルンとヴァインの手によって暗殺されかけたのです!!事実、暗殺された者もいます!現在行方が分からないライブラリの管理者 ルシャーティ氏です!彼女は奴等が隠蔽してきた真実について何も知らなかったのに暗殺されたのです!!」

 

ダアアンッ!!

 

(駄目だ・・・ルシャーティの生存が知れればラスト・リヴェンジャーのリミッターが外れてEDENもNEUEのように食い尽くされてしまう・・・ゼイバーめ・・・意外に頭が働くようだ・・・こちらがラスト・リヴェンジャーに対して打つ手が無いのを知っている・・・

 

「もはやこのような暴挙をこれ以上許してはおけない!

これ以上、断じて許してはならなーーーーいっ!!」

 

ドオォン!

 

「よって、私は宣言する!!

この暴挙を行った犯罪者達と命を懸けて戦うと!」

 

これが、ゼイバー・ブラウドからの正式な宣戦布告となった・・・

 

「最初に私が申し上げた理由とは私がこの戦いで生きて帰ろうとは思っていないという事です・・・私は戦う・・・!亡きソルダム陛下の御遺志を継いで・・・生き延びたこの大切な命を今回の戦いに捧げると!!」

 

「陛下のご遺志だと・・・どこまでも陛下を侮辱するか・・・!」

リリィは腰元の剣を握り締めた・・・

それこそがソルダム陛下の遺志だと言わんばかりに・・・

 

「先陣は我々、ブラウドがきります!私も前線に赴いて戦うつもりです!私と共闘して頂ける方がいるのなら私に申し出て欲しい!EDENの皆さん!共に戦おうではありませんかっ!正義を成す為に!!我々が願うのは自由ではありません!ただ生きる事・・・それだけです!本当にただそれだけの事なのですっ!それを阻害せんとするまやかしの王や聖母・・・そしてそれに仕える天使などにこれ以上惑わされないっ!絶対に!絶対に惑わされなああああああああーーーーーーーーーーいっ!!!!

 

ドオオオン!!!

 

ゼイバーが今までとは比べものにならない強さで机を叩き、立ち上がって右腕を天に届かんがばかりに振り上げた!!

 

「正義こそは我にありっ!!悪こそは奴等ありっ!!」

 

ゼイバー・ブラウドは善と悪とはっきり区別をつけた。

ただ、個人的には思う・・・

正義が善だと誰が決めた・・・

 

「正義こそは我にありーーーっ!!」

 

そして、これが宣言通り、ゼイバー・ブラウドの最後の演説となった・・・

 

「この演説の後でブラウドは多くの支持者を集めました・・・トランスバール星系はおろか・・・レナミス星系の各星々まで・・・中には皇国レジスタンスやトランスバールにやむを得なく従っていた国までが参戦を表明しています・・・」

ゼイバーの演説放送の録画を公開した後でアバジェスは淡々と説明した。

「馬鹿な・・・反乱軍(レジスタンス)や不穏分子までもが今では皇国軍に組するというのか・・・」

「あのクソ野郎は、譲ちゃんと俺達が今までの皇国の暴挙の黒幕だとでっち上げて、遺恨や反感を持っていた奴等の復讐の矛先をあんたに向けさせたんだ・・・

ロキはシュボッっとZIPPOで煙草をふかした・・・

 

NO WAY!!

 

「良くも悪くもゼイバーの演説で共闘など絶対にあり得ないと思われていたレジスタンス等が皇国軍と共にガイエン星系を攻めるというのです・・・逆に参戦を表明をしてないのは争い事を極度に嫌っている国や我は関せずといったわずかな勢力のみ・・・権限を持たない一般市民のほとんどはゼイバー・ブラウドを指導者として認めているようです・・・中には一般市民からの突き上げを恐れて参戦を表明した国もあります。」

アバジェスは参戦を表明した星系と国のリストをシヴァに見せた・・・

シヴァが総合統計数の一覧を見るとその数はゆうに5万を超えている・・・

「こ、こんなに・・・」

「NEUEのせいで忘れがちかもしれませんがEDENとて宇宙です・・・ゼイバー・ブラウドが古来より非公式で交流してきた連中も含めればその程度の数で済んでいるのはまだ不幸中の幸いです・・・言い忘れてましたが、ブラウド財閥は外宇宙とも交流をしているのです・・・あの使い捨ての駒だったヴァル・ファスクのように・・・よって、増援もあり得ますね・・・」

外宇宙・・・EDENとNEUE以外の宇宙である・・・

レイ・桜葉ことルシラフェルがこのEDENの創世以来戦ってきた連中だ・・・

 

「外宇宙・・・こ、これがブラウド財閥の本気か・・・」

 

シヴァは今までとは比べものにならない敵に圧倒されていた・・・

 

「仕掛けてくるぞ・・・最強の艦隊がな・・・」

 

NO WAY!!

 

そして・・・

 

ブラウド財閥との決戦の時が近づいていた・・・

 

総帥であるゼイバーがああやって制裁実行を断言した以上、ブラウド財閥は何としてでもシヴァを討たなければならない・・・これ以上しくじれば、ブラウド財閥の信用が崩れてしまうからだ・・・故に、次の戦いにブラウドは全戦力を投入してくるだろう・・・

 

後にこの戦いはEDENの創世以来、最大規模の艦隊戦となった・・・

 

ブラウド大戦の始まりである・・・

 

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