運命の道標

 

*途中の選択肢によって最終章Aと最終章Bへ分かれます・・・

 

神皇ことカルマとの決戦を終えた僕達はトランスバールへと帰還していった・・・

 

僕達は戦いに勝ったんだ・・・

勝った筈なんだけどなぁ〜・・・

 

「ね、ねぇ・・・リコ・・・」

「・・・・・・」

 

カルマを討伐してから白き月に辿り着くまでに2日目・・・

そして、それが昨日の今日なんだけど・・・

 

「リコ・・・リコさん・・・?」

「・・・・・・」

 

実はここ最近、リコの機嫌がすこぶる悪い・・・

一体、僕が何をしたというのかが分からない・・・

 

「あの〜・・・リ、リコちゃん?」

「・・・・・・!」

あ、今反応した。

よ、よぉ〜しっ!

 

「リコたん・・・?」

おや?何か面白くなってきたぞ・・・!

「ちょ、ちょっと・・・」

「リ〜コにゃ〜ん♪」

「いい加減にしてください!」

 

「う、うわっ!?」

び、びっくりした〜!

 

「何ですか!?その“リコにゃん”って呼び名は!」

「い、いや・・・それは・・・」

 

「馬鹿もんっ!!それは、まさに猫属性という萌え要素だっ!」

 

「うわっ!」

「きゃっ!」

突然、現れたリコのお父さんことロキさんに驚いた・・・

 

「分かるか!?それが萌えだ!萌えだっ!!分かるか?萌えだあっ!!」

ロキは拳を振り上げて高らかに叫んだ・・・

一見、ただの変人にしか見えないこの男こそ・・・

レイ・・・ミルフィーユ・・・そしてこのアプリコットの父親でだったりする・・・

 

「今の貴様に・・・猫娘を名乗る資格は無い!・・・恥を知れっ!!」

 

お前が恥を知れ・・・By・・・金色の人・・・

 

そう言ってロキはズビシッ!と娘を指差した。

また、この人はどこから、入り込んだのやら・・・

 

「お父さん!!」

「は、はい・・・?」

いつもより、強気な娘にロキは思わず、低姿勢になる。

 

「な、なんでしょうか?リコさん?」

「お父さんこそ、何か用!?」

「い、いえ・・・別にこれと言って用は無いんですけど・・・」

「だったら、出て行ってっ!!」

「は、はいぃ!!失礼しました!!」

 

ロキさんは文字通り、神速の勢いで飛び出して行った・・・

・・・・・・少し、ロキさんが可哀想かも・・・

 

それにしても、やはりいつものリコらしくないな・・・

というか怒ってるんだよな・・・

「ねぇ・・・リコ・・・どうして、そんなに怒っているの?

僕は本心からそう言ったんだけど・・・

「・・・・・・っ!?」

リコはその言葉に過剰に反応した・・・いや・・・怒りが増したような・・・

 

「そ、それ・・・本気で言ってるんですか?」

リコは声を震わせている・・・ちょ、ちょっと・・・

「ちょ、ちょっと待って!本当に分からないんだよ!」

「・・・・・・・・・」

リコは本気で僕を睨んでいる・・・

「リ、リコ!せめて怒ってる理由だけでも教えてくれ!」

てっきり、増々怒るのかと思いきや・・・

「はぁ〜・・・」

突如、ため息をついてそんな事を言い出した・・・

な、何だよ・・・

「何だよ!せめて、怒ってる理由ぐらい教えてくれてもいいじゃないか!!」

 

相手の事を想えば想っている者程に、些細なすれ違いや意思の伝達が出来なかった時に焦燥感は大きく感じてしまうのだ・・・

 

「私が怒ってる理由が分からないカズヤさんがいけないんです!」

「僕だって、完璧な人間じゃないんだ!分からない事だってあるよ!」

「違いますっ!!カズヤさんは忘れているだけなんです!!」

「わ、忘れている?」

 

「・・・っ!?ほ、本当に忘れたんですか?

「・・・・・・っ!?」

リコの目から涙が・・・!?

リ、リコ・・・え、ちょっと・・・何で泣くの・・・?

「リコ!ゴメン!本当に覚えてないんだ!教えてくれっ!!」

 

「もういいです!カズヤさんのバカーッ!!」

 

そう言って、僕は部屋を追い出されてしまった・・・

はぁ〜・・・おもいきっし、泣かせちゃったな・・・

僕の馬鹿馬鹿馬鹿・・・!

リコは理由も無しに怒るような娘じゃないのに・・・

 

「どうしよう・・・今のままじゃ、リコは取り合ってくれないなぁ・・・」

 

誰に相談したらいいものやら・・・

 

「・・・あれ?あれはレイさん?」

丁度、僕の少し前の通路をレイさんが歩いていた・・・

 

「レイさん!レイさーん!」

僕は彼の名前を呼びながら、彼の元へ向かった。

レイさんこと・・・レイ・桜葉さん・・・

ミルフィーさんとリコのお兄さんで、かつては死神のメシアを名乗って僕達の最強の敵となった人・・・

ミルフィーさんを極度に嫌い、リコを限りなく溺愛するお兄さんだ。

ちなみにタクトさんとは冗談抜きで仲が悪い・・・

 

「?・・・カズヤ、どうかしたのか?」

レイさんは仮面をつけたままこちらを振り返った。

「じ、実は・・・リコと・・・」

「ああ、喧嘩したんだろう?」

       「え・・・?えーーー!?」

な、何で知ってるんですか!?

「いや、だって、リコのバカー!って声が聞こえてきたからなぁ・・・」

うわ!外に聞こえていたのか!?アレ・・・

「で、でも・・・素通りしていこうとしましたよね?」

「いや、あれはお前をこっちに誘い込む作戦だ。」

「な!?」

「まんまと引っ掛かったな・・・」

ニヤリと笑うレイさん・・・

この人は・・・本当に策士だ・・・

しかも、また勝手に人の心を読んでるし・・・

「はぁ〜・・・」

「まぁ、そうため息をつくな・・・な?」

ポンポンと肩を叩いてくれながら、励ましてくれるレイさん・・・

しかし、原因はあなたにあるんですけどね・・・

 

「まぁ、あれだな・・・あいつが怒っているのは、お前があいつとの約束を忘れているからだろうな・・・それも、おそらくは大事な約束だろう・・・あそこまで、一方的に怒る程に大事な約束だったんだろうさ・・・」

大事な約束・・・本当に思い出せないんだけど・・・

 

さぁ、選びなさい・・・

 

あなたがフェイトを選ぶのなら・・・

彼女を誰よりも愛しているのなら・・・

永遠に愛していけるのならば・・・

このまま進みなさい・・・

 

それとも、そこまで彼女を愛する事が出来ないのならば・・・

最後の話(最終章A)へと進みなさい・・・

 

運命の道標

 

 

リコを選んだ方、もしくは最終章を読み終わった方はこのまま進んでください。

 

(いい加減にカズヤの記憶を返せ、もういいだろう。)

(いいわ・・・戻してあげるわ・・・)

 

あ・・・しまった・・・僕は大馬鹿だ・・・

 

「レ、レイさん・・・僕は大馬鹿です・・・今、思い出しました・・・」

「いや、大馬鹿はあいつだから、安心しろ。」

「・・・・・・」

それは・・・フォローしてくれているんですよね?

「ああ。」

・・・ありがとうございます・・・

それと、その人の心を覗く癖は止めてください・・・っ!

「なぁ、カズヤ・・・」

「は、はい・・・?」

レイさんが突如、真面目そうに喋り出した・・・

正直・・・こういうところはロキさんに似ているので対応に困ってしまう・・・

「先に言っておく、これからリコに何をしようと俺は何も言わん・・・」

「そ、それって・・・」

「お前は、リコと結婚する気も無いのに、付き合っているのか?」

「あ・・・・・・」

レイさんの目は恐ろしいまでに本気だ。

「しかし、お前はそんないい加減な覚悟で付き合っている訳ではないだろう?」

僕の心の底を覗きこむかのような視線・・・

「お前はリコを愛していけるか?これから何があってもずっと・・・

「はい!」

考えるまでも無い!

僕には彼女しかいないんだから!!

「ならいい・・・達者にやれよ・・・」

「は、はい・・・」

レイさんは片手を上げて去っていった・・・

 

取り残された僕は今後の事を考えていた・・・

リコを完全に怒らせてしまった・・・

このまま、謝ってもおそらく機嫌は直らないだろうな・・・

リコって怒ると怖いからなぁ・・・

どうしようか・・・

 

1.お父さんのロキさんに相談してみる・・・?

2.お姉さんのミルフィーユさんに相談してみる。

 

というわけで父親のロキさんに相談してみる事にしたんだけど・・・

 

「ふぅ〜・・・」

ロキさんは、自室のベッドの上でぐったりとうなだれていた・・・

正直、まともに話しが出来るとは思えないんだけど・・・

「何の用だよ・・・」

「は、はい!」

そのどす黒い声に思わず引いてしまった・・・

どうしよう・・・彼女との結婚の約束を忘れてましたなんてとてもじゃないけど言えない・・・というか言えば間違いなく殺される・・・

僕は、鬼になったロキさんの姿を知らないが、ロキさんが僕の首根っこぐらい簡単に引きちぎれるのは知っている・・・

「何の用だよ・・・くだらねぇ用だったら、ただじゃおかねぇぞ・・・」

ロキがベッドから身を起こして、カズヤを睨みつけた。

 

「い、いえ!だ、だだ大事な用ですっ!!」

うわ!まずい・・・選択肢を間違えた!!

 

「実は・・・」

僕は事情を説明した・・・

というか、この事情を説明をしているって事は、ロキさんに“リコを僕に下さい!”と言っているようなものだと気付いたのは僕が全て言い終わった時の事だった・・・

 

「喧嘩イベントキターーーーーーッ!」( °∀ °)

 

「はぁ・・・?」

さっきまでの落ち込みようは何処吹く風やら、ロキさんは完全に復活した。

「で?で?リコは泣いていたのか?」

「は、はい・・・」

「そうか、そうか・・・それほど、お前との婚約が嬉しかったって事か〜・・・」

ロキさん、それは結婚の承諾と受け取っていいんでしょうか?

「よしよし、これは萌えポイント大だ!」

「・・・・・・」

どうやら、この人はこういう修羅場などが面白いらしい・・・

この人、最低だ・・・

今なら、断言できる・・・

選択肢を間違えた・・・

 

 

「はい?何ですか〜?」

というわけで、タクトさんの部屋にいたミルフィーさんに相談する事にした。

「・・・・・・」

それにしても・・・・・・

「タクトさん・・・気持ち良さそうに寝ていますね・・・」

「うん♪」

現在、タクトさんはミルフィーさんに膝枕をされたまま気持ち良さそうに寝ていた。

そして、ミルフィーさんはそのタクトさんの耳掃除をしてあげていたのだ。

「えへへ♪タクトさんたら、始めてからほんの少しで眠っちゃったんだよ〜。」

別にそんなに恥ずかしいことでは無いのかもしれないけど、僕は少し恥ずかしかった・・・というか・・・少し羨ましいです・・・タクトさん・・・僕もリコに・・・って!今の状況下でそんな事ができるわけが無い。

「あ!そうだ♪カズヤ君もしてあげるよ♪」

「うわ!良いですよ!!」

というか、もしかして今のあなたはルシファーさんなんですか?

ルシファーさんなら僕の心を読むことなんて簡単だろう・・・

「あ、酷いな〜・・・確かに記憶は戻ったけど、そんな事はしないよ〜・・・」

「す、すいません・・・」

「もう、カズヤ君が羨ましそうに見てたから、してあげようと思ったのに〜・・・」

それは完全に否定はしませんけど、その羨ましそうという表現は止めてください。

「良いから、素直にされて置け!!」

「イタッ!!」

どこからともなく、現れたロキさんの一撃によって、僕の足はコントロールが効かなくなってしまった・・・

「な、何をするんですか!?」

「お、お父さん!?」

 

そんな僕達の声を無視して、ロキさんはタクトさんを担ぎ上げ・・・

「萌えイベントよ、永遠なれっ!!」

等と、訳の分からない表現をして、素早く立ち去っていった。

「個人的には耳掃除より、耳掻きの方が萌えーーー!」

最後に訳の分からないどうでもいいような事を言い残して去って行った・・・

 

「あ〜ん!タクトさ〜ん!!」

タクトさん・・・ごめんなさい・・・恨むなら今、あなたを誘拐していったロキさんを恨んでください・・・

そして、立てなくなった僕は自然とミルフィーさんに膝枕されるような形になる・・・

うう・・・もの凄く恥ずかしい・・・リコだったら、自然に振舞えるんだけど・・・

「じゃあ、耳掃除いくよ〜♪」

まさか、リコのお姉さんにこんな事をされているんなんて・・・

「こちょこちょ〜♪」

ミルフィーさんの肌から伝わる体温と、耳のはしる気持ちよさに僕の眠気は急加速していく・・・す、凄い・・・タクトさんが眠る訳だ・・・だ、駄目だ・・・眠い・・・

 

 

 

「ん・・・」

僕はうっすら目を開けると、そこは僕の部屋だった・・・

何だ・・・夢だったのか・・・

そうだよな・・・ミルフィーさんが耳掃除をしてくれている時点でおかしいと思ったよ・・・

はぁ〜・・・あんな場面をリコに見られようものなら・・・

「・・・・・・・・・」

駄目だ・・・恐ろしくて想像したくない。

「・・・?」

それにしても、やけに右頬が温かくて、柔らかい・・・

も、もしかして・・・夢は現実だったのか・・・

そう言いながら僕が顔を起こすと、そこにはリコの姿があった・・・

「何だ・・・リコだったのか・・・」

「・・・っ!!」

あ〜良かった〜・・・アレが夢であった事は間違いなさそうだ。

「はぁ〜・・・」

 

「カ・ズ・ヤさん?」

何だろう・・・リコは“にこやかに”笑っているのに声がぎこちないぞ・・・

どうしたんだろう・・・さっきまでの事が夢だとしたら、彼女が怒るような事は何もして無い筈だぞ・・・

夢のおかげで、“大事な約束も”思い出したし・・・

 

「ま、待って、君との約束を思い出したんだ・・・」

「へぇ・・・そうなんですか・・・」

う!?怒ってる・・・どうして?

 

「私、さっきカズヤさんに謝ろうとしてあちらこちらを探し回ったんんですけど・・・」

・・・・・・今、何て言いました?

「そして、タクトさんの部屋でカズヤさんを見つけたんですけど・・・」

ニコニコ♪

うわ〜・・・もの凄く嫌な予感がする・・・

選択肢を間違えるとBAD ENDに行きそうです・・・レイさん・・・

 

「あ、あの〜それで・・・その後は・・・」

「それは、カズヤさんが一番、よく知っているんじゃ無いんですか?」

ニコニコニコ♪

 

たった今、僕の中の疑念は確信へと変わりました・・・

そして、リコが怒っている理由もよぉ〜く分かりましたよ・・・

 

「そして、部屋の中を見たらあ〜ら、ビックリ♪」

 

おそらく、非常にマズイ展開へと事態は発展しているようです・・・

 

「え〜と・・・一つ聞きたい事があるんですけど、どうして、カズヤさんがお姉ちゃんに耳掃除をしてもらいながら、寝ていたんですか?気持ち良さそうに・・・」

 

覚悟を決めろ・・・カズヤ・シラナミ・・・

 

「ね?どうして、あんな事になっていたんですか?」

 

「・・・そのですね・・・どこからお話したらいいものか・・・」

「最初から話してください♪」

「は、はい・・・そうっすよね〜!」

落ち着け・・・僕・・・口調がおかしくなってるぞ・・・

 

「そのですね・・・僕は途中で約束を思い出してですね・・・」

「その時点で私のところに謝りにくるところじゃないんですか?普通♪」

「い、いやぁ・・・まったく、面目ないです・・・で、でもですね・・・桜葉さんに何のお詫びもしないで、謝るのはどうかと思って、ミルフィーユさんに桜葉さんの好きな食べ物を聞こうかと思いまして・・・」

「へぇ〜・・・それで、どうして耳掃除をしてもらう事になったんですか?」

ああ・・・声のトーンが下がってる・・・

「そ、その・・・眠っているタクトさんを見てたら・・・」

「お姉ちゃんから聞きました・・・それで、誘われるがままに・・・」

「ま、待って!それは・・・!!」

ロキさんに足腰立たなくされてしまって・・・

「はい・・・でも、足腰立たなくなったからって、膝枕は少し、やりすぎだとは思いませんか?」

「そ、そうですよね〜・・・」

遂にリコの怒りが爆発するかと思いきや・・・

 

ポタ・・・

 

あ、あれ・・・リコ・・・

 

「酷いです・・・どうして、私に言ってくれないんですか?」

「リ、リコ・・・」

「私は確かにお姉ちゃん程にプロポーションもよく無いです・・・」

「そ、そんな!リコの方が可愛いよ!」

「可愛いって、子供っぽいって事ですよね・・・」

リコが本当に泣き出した・・・

ちょ、ちょっと!リコ・・・ど、どうしたんだよ・・・何かおかしいぞ・・・

「ど、どうして・・・僕が君を一番愛している事は君が一番知っているだろう?」

「で、でも・・・カズヤさんは約束を忘れてました・・・」

「ご、ごめん・・・それだけは何を言っても許されない事だけど、僕は君に出会って以来、一回も君以外の女の子に心を揺さぶられた事は無い!」

「嘘です!!」

「・・・っ!?」

「お姉ちゃんにドキドキしていたじゃないですか!!」

「あ・・・・・・」

僕はその言葉を返す事が出来なかった・・・

「いいんです・・・昔からそうでしたから・・・」

「え・・・?」

「昔からそうでした・・・私は何をやってもお姉ちゃんには勝てませんでしたから・・・

な、何だ・・・いきなり・・・

「カズヤさん・・・」

リコが僕の頬を撫でて来る・・・・・・っ!?

リコが僕の頬を撫でた瞬間、痺れた・・・

比喩表現なんかでは無い、本当に痺れたんだ・・・

そして、リコの目を見た瞬間、僕は目を離す事が出来なくなった・・・

リコの目は・・・真紅の眼になっていた・・・?

 

カズヤ・・・どうするの?

 

「カズヤさん・・・・・・」

「ん!?」

リコが僕の顔を掴んで口を重ねてきた。

「私がもう少し大人だったら、お姉ちゃんじゃなくて私を見てくれますか?」

 

リ、リコ・・・なのか・・・

 

それが、あなたの運命よ・・・

あなたはフェイトが待ち望んだ人なのよ・・・

だからこそ、あなたはここにいるのよ・・・

沢山の候補者の中から選ばれた・・・人形なのよ・・・

 

「私は全てはカズヤさんのものです・・・」

リコの目が潤んでいる・・・

 

アプリコットの花言葉は誘惑・・・

 

カズヤの神経は麻痺していく・・・

騎士は姫には抗えない・・・

 

身体に力が入らない・・・

「やめて・・・リコ・・・」

僕は初めて、リコに恐怖した・・・

 

「・・・っ!?」

リコが息を呑むような声を上げたかと思うと、僕の体の自由が戻った・・・

「わ、私・・・なんて事を・・・」

 

アプリコットは自分の両手を恐ろしげに見ていた。

「カ、カズヤさん・・・」

「リコ・・・一体、どうしたの?」

「私・・・私・・・」

リコは力無くうなだれた・・・

僕は体をゆっくり起こした。

 

リコは顔を上げずに話し始めた・・・

 

「私・・・最近、おかしいんです・・・」

「・・・・・・」

「カズヤさんが傍にいないと落ち着かないんです・・・」

それは・・・君だけじゃない・・・

 

「駄目です・・・このままじゃ・・・・・・」

「何が駄目なのさ・・・」

リコは僕の顔を見てくれない。

 

「カズヤさん・・・良いんですよ・・・私の事を忘れても良いんですよ・・・」

「・・・何、馬鹿な事を言ってるんだよ・・・」

「私はこんな変な子なんです・・・」

「そんな事ない・・・」

「私・・・今、完全に正気を失っていました・・・このままじゃ、いつかカズヤさんを危険な目に合わせてしまいます・・・」

「そんな事ない!!」

「・・・カズヤさんだって、身をもって知った筈です。」

・・・・・・

 

さぁ・・・選びなさい・・・

“アナタ”はフェイトを受け入れられる?

フェイトを受け入れたら最後・・・

二度と、後戻りする事はできないわよ・・・

フェイトを受け入れるのなら、彼女が背負っている運命を背負う事になるわ・・・

アナタにその覚悟はある?

フェイトでは不満?

言っておくけど、生半可な覚悟で“私の妹”を受け入れたら許さないわよ・・・

 

 

※ここが、最後の選択肢です。

受け入れられる人はこのまま進んでください。

受け入れなれない人は最終章Aへ進んでください。

 

 

僕は・・・彼女を守ると誓ったじゃないか・・・

自分の身可愛さに彼女を見捨てるなんてできるか!

 

「リコォーッ!!」

「・・・!」

僕は彼女を強引に起き上がらせた。

「リコ!ゴメン!!」

「え・・・」

「君がこんなに思い詰めていたのに・・・僕は・・・」

僕は彼女を抱きしめた。

もう、これ以上彼女を一人には出来ない・・・

「カズヤさん・・・駄目です・・・」

「駄目じゃ無い!」

「・・・っ!?」

「今更、言えた義理じゃないけど、約束しただろう?」

僕はリコの目を見据えて言った。

「戦いが終わったら、結婚するって・・・」

「カ、カズヤさん・・・」

「僕は・・・君の傍にいたい・・・いや、君の傍にいさせてくれ!」

「ほ、本当に私なんかでいいんですか?」

「なんかじゃない・・・僕にはリコしかいないよ・・・」

心臓が爆発しそうだけど、これだけは言わなければならない・・・

「僕について来てくれ・・・ぼ、僕と結婚してくれ・・・」

「は、はい・・・」

 

リコが、僕を受け入れてくれた・・・

お互いの気持ちには気付いていたけど、未だに信じられない・・・

 

「カズヤさん、一つお願いしてもいいですか?」

「何?」

何だろう・・・?

「私を抱いてください」

「・・・・・・」

 

・・・・・・分かっていたんだ・・・リコが僕に何を望んでいたのかを・・・

そして僕も同じ事を考えていたんだ。

リコとの揺ぎ無い繋がりが欲しいって・・・

それを離れたくないという言葉で誤魔化していたんだ・・・

僕も彼女も・・・

 

僕達は自然と体を抱き合わせた・・・

彼女の息遣いが胸に伝わってくる・・・

「リコ・・・緊張してる・・・」

「カズヤさんのもドキドキしていますよ・・・」

「あ、当たり前だろ・・・ドキドキしない方がおかしいよ・・・」

「えへへ・・・そう言ってくれると何だか嬉しいです。私でもカズヤをドキドキさせられるんですね・・・」

「何、馬鹿な事を・・・・・・っ!?」

リコがその髪飾りを外した時、僕の理性は飛びかけた・・・

美しすぎる・・・

彼女は天使だ・・・

そうだ・・・僕は初めて彼女と会った時から・・・彼女に惹かれていたんだ・・・

どうしてだろう・・・

 

それが、あなたの“本能”だからよ・・・

 

最初はお姉ちゃんに似ているからだと思っていたのに・・・

それは、私の勘違いだった・・・

だったら、どうしてここまで、好きになってしまったんだろう・・・

お姉ちゃん相手に嫉妬してまで・・・

 

それが、あなたの“運命”だからよ・・・

 

「カズヤさん・・・私・・・お姉ちゃんみたいにスタイルよくないから・・・」

今、僕達は何も身につけていない・・・

彼女の身体は窓から差し込む月の光に照らされている・・・

その裸身は凄く幻想的で僕の理性を焦がしていく・・・

「リコにはリコの良い所がある・・・それでいいんじゃないのかな?」

「で、でも・・・」

「リコだってもっと成長すれば、ミルフィーさん以上のスタイルになるかもしれないし、僕は今のリコも好きだよ。その優しい心も、その美しい体も・・・」

鈍感ゆえの過激な発言にアプリコットの羞恥心は上がっていく・・・

「カ、カズヤさん・・・わ、私、心臓が爆発しちゃいそうです・・・」

「恥ずかしがらずにもっと、自信を持って・・・リコはとっても可愛いんだ。誰よりも・・・」

「・・・・・・」

二人の目はお互いの目を離さない。

「自信を持って・・・リコは可愛い・・・だから、今、僕の心の中はドキドキしている・・・本当に僕みたいな男が、君と一つになれるのかなって・・・半信半疑なんだよ?」

「ひ、ひひひ一つになるって・・・!」

「あ、あの〜・・・これから何をするか分かっているの?」

「は、はい・・・一応はですけど・・・」

そ、そうなんだ・・・知ってるんだ・・・

「ど、どうやって、知ったの?」

「そ、そのですね・・・昔、お父さんが旅に出る前に部屋を掃除してくれと頼まれて、掃除をしていたんですけど、そうしたら・・・」

「そういう関係の本などが、出てきたんだね・・・」

何か、ロキさんの悪意を感じるのは僕だけだろうか?

「はい・・・部屋一面に散らばっていましたから・・・」

・・・・・・それは、確信犯だよ。

あの人は一体、何を考えているんだ!?

「そ、そのこれからする事って、その・・・」

「・・・多分、リコが想像してる事で合っていると思うよ・・・」

は、恥ずかしくて、直には言えない・・・

何て、言って切り出すんだよ・・・

「その・・・こういう時には普通、何かを使うんでしょうけど、今は、何も持ってないですし、私はカズヤさんを直に感じたいですし・・・」

“リコ!エッチしようっ!!”

言える訳ないだろう!!!!

馬鹿か!?僕はっ!!

そんな事言ったら、おそらく・・・BAD END直行だ・・・

というか・・・さっきから、リコの顔色ばかり窺っている自分が少し嫌になる・・・

「カズヤさん!カズヤさんってばっ!!」

「う、うわっ!な、何?」

「さっきから、カズヤさんったらぼけ〜っとしちゃって・・・」

「い、いや・・・これからどうしようかって考えててさ・・・」

「あ・・・・・・」

僕達の間を気まずい沈黙が流れる・・・

「カズヤさんも、こういう事をするのは、初めてなんですか?」

「キ、キスだって、君が初めてだったんだよ?そ、そんなの・・・聞かなくたって・・・」

「そ、そうですよね・・・私、少し変ですね・・・」

 

・・・いい加減に覚悟を決めろ・・・カズヤ・・・

“彼女”に誓っただろう・・・

彼女の全てを受け入れるって・・・

彼女を支えていくって・・・

 

「リコ・・・」

僕は覚悟を決めた・・・

その意味を彼女も汲み取ってくれたのだろうか・・・

「カズヤさん・・・」

僕達はそのまま抱きあった・・・

素肌が触れ合って、それは温かさと、快感をもたらす・・・

「手順は私が教えますから、気持ちを落ち着けてください・・・」

「あ、ああ・・・」

 

そして、僕達は一つになった・・・

僕は、何度も何度も彼女を求めた。

 

この時・・・一つの新しい命が生まれた事に誰が気付こうか・・・

 

二人はNEUEから来たアダムとそれを待っていたEDENのイブだという事に・・・

 

「・・・遂に来たか・・・この時が・・・」

レイ・桜葉は右手で空になったワイングラスを弄びながら外にある白き月を見た。

「フェイトが目覚めたな・・・そして、その“騎士”も・・・」

レイの真紅に染まって眼は白き月を悲しげに映していた・・・

「すまんな・・・シヴァ、シャトヤーン・・・俺は再び、死神にならねばならなくなった・・・」

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

僕達は疲れ果ててしまっていた・・・

まさか、こんなに体力を酷使するとは思わなかった・・・

「ご、ごめん・・・リコ、痛かっただろう?」

「実は・・・今でも痛いです・・・」

「ごめんよ・・・僕だけ・・・」

「ふふ・・・いいんですよ・・・」

リコが僕の顔を優しく抱き込んだ・・・

理性が・・・とんでい・・・きそ・・うだ・・・

「私、嬉しいです・・・これで、カズヤさんと私は一心胴体になったんですから・・・」

は、はは・・・相変わらず、何気にダイレクトな事を言うんだから・・・

それにしても・・・不思議だ・・・リコにこうされていると安らぐ・・・

(あなたは騎士になったのよ・・・かつてのタクトがそうであったように・・・)

「カズヤさん・・・今日はこのまま、眠りませんか?私も疲れちゃいました。」

「う・・うん・・・丁度、僕も・・・眠いんだ・・・」

(それは、あなたの遺伝子情報が更新されているからよ・・・)

「・・・おやすみなさい・・・カズヤさん・・・」

そうして、僕の意識は堕ちた・・・

 

僕とリコが子供を芝生の公園であやしている・・・

子供は女の子だ・・・

女の子は元気に走り回っている・・・

リコに似たその女の子は本当にリコに懐いている・・・

これは・・・僕が望んだ夢なのだろうか・・・

そうか・・・これは夢なんだな・・・

 

(いいえ、それはあなたの記憶よ・・・)

 

でも、妙に現実的な夢だな・・・

 

(酷い父親ね・・・それは“確かな過去”の記録なのに・・・)

 

 

「・・・ヤさん・・・カズヤさん・・・」

あ、リコの声がする・・・起きなきゃ・・・じゃあね・・・“エクレア”・・・

 

(・・・・・・・・・ようやく、呼んでくれたね・・・またね・・・)

 

そう・・・“またね”・・・・・・

 

僕が目を覚ますとそこにはいつものリコがいた。

髪の毛も元通りに結ってある・・・

「お、おはよう・・・」

「は、はい・・・」

き、気まずい・・・

「そ、その・・・何だ・・・」

「はい・・・」

「もう、痛くない?」

「・・・っ!?」

・・・・・しまった・・・思わず・・・

「だ、大丈夫です・・・い、痛くないです・・・」

「そ、そう・・・」

そう・・・じゃ無いだろう!僕の馬鹿馬鹿馬鹿!!

「カズヤさん・・・」

「は、はい・・・何でしょうか?」

落ち着け・・・口調がおかしい・・・

「愛してます♪」

チュッ

「・・・・・・僕も」

 

それから、僕達は常に一緒だった・・・

周りの視線も気にせずに・・・

一分で間でも彼女が傍にいないと僕の心は不安に駆られる・・・

 

(それは、そうよ・・・あなたはフェイトの騎士なんだから・・・)

 

夜になれば、体を重ね合った・・・

 

「カズヤさん・・・また、明日も・・・」

「うん・・・僕も・・・」

 

リコの身体から得られる快楽と彼女が与えてくれる安らぎを僕は求め続けた。

その様はもはや“愛”という感情を通り越していたような気もする・・・

 

そして、そんな二人の蜜月が二週間続いたある日の事だった・・・

 

アバジェスの部屋で師弟が何やら神妙な顔つきで話している・・・

「そうか・・・行くか・・・」

師であるアバジェスは寂しそうに弟子を見ていた。

「はい・・・リコはカズヤと本契約を結んでしまいましたからね・・・今頃は二人の細胞の情報は書き換えられているでしょう・・・だからこそ、毎晩お互いの繋がりを・・・お互いの体液を求めている・・・それが、“因果律”があの二人に組み込んだプログラムですから・・・明日ぐらいにはカズヤとリコの更新は終了する筈です。」

「のう・・・レイ・・・本当に他に手段は無いのか?」

「ありません・・・そして、私は覚悟を決めております・・・」

「そうか・・・覚悟か・・・」

「はい、マスター・・・私はこれより、“ヘパイストス”へ向かいます・・・そこで、タクト達を待ちましょう・・・そこで、私は本来の役目をまっとうします・・・」

 

決着をつけるぞ・・・

タクト・マイヤーズ・・・

 

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