最終章A 1

 

全ての元凶だった神皇が滅んでから・・・約一ヶ月・・・

EDENとNEUEにより再編された皇国軍は

神皇によって被害をこうむった

各惑星の復旧作業に追われる毎日だった・・・・

これからはもはや、無秩序な戦争は起きないだろう・・・

しかし、まだ戦いは・・・

因果律が定めた戦いはまだ終わってはいない・・・

二人の戦いはまだ終わってはいない・・・

 

決戦前夜の月

 

タクトとレイは神皇との戦い以降顔を合わせなかった・・・・

いや、互いに分かっているのだ・・・・

二人に課せられた使命の日が・・・

因果律が最後の審判を下す日が・・・

もうすぐ迫っている事を・・・

レイ・桜葉は神皇との戦いの後・・・・

紋章機の開発者の一人という事もあって

整備士兼パイロットとして皇国軍に復帰させられていた・・・

 

そんなある日。

今までタクトに顔を会わせなかったレイが

タクトの部屋を訪問してきたのだ。

「・・・・」

「・・・・」

二人は睨みあって・・・目を離さない・・・・

互いに思っている事は同じだ・・・・

決着をつけるぞ・・・

候補者の戦いの合図のルーン文字の刻印が

お互いの顔に現われているからだ・・・・

タクトには“blank”(運命、未知)の見えない文字が・・・・

レイには“sowelu”(完全)の文字が・・・・

この刻印は因果律からの命令であり、逆らえない・・・

否、例え命令でなくてもこの二人は戦う。

お互いに相手の事が一番嫌いなのだ・・・・

それは候補者同士だからという訳ではない・・・・

ただ単に相手の考え方が気に食わないだけだ・・・・

タクトはルシファーの信念を受け継ぎ

変化のある毎日を送りたいのだ・・・・

例え、不安定で吉と凶が出ようが、

変わりの無い毎日は嫌なのだ・・・・

いわば積極的な思想・・・・

対してルシファーと対をなすルシラフェルことレイは

変化の無い毎日を送りたいのだ・・・・

例え、変わり映えのしない毎日でも

安定した世界ならそれだけでいいのだ・・・

いわば消極的な思想・・・・

 

タクトが奇跡の体現者に選ばれたのは

今までの戦いの功績だ・・・・

タクトは今まで天使達とありえない事を起こしてきたのだ・・・・

未熟だった筈のタクトは

奇跡的に今までの戦いを制してきたのだ・・・・

愛機 シャイニング・スターは新種で未知の紋章機

奇跡の紋章機

 

レイが完全の体現者に選ばれたのは

その完全さゆえにだ・・・・・

今だに負けを知らない最強のパイロット・・・・

愛機 アルフェシオンは完成された紋章機

完全な紋章機

 

「一週間後にガイエン星系で待つ・・・そこで決着をつける・・・」

レイはタクトの目を見据えて言い放った。

「・・・ああ・・・」

タクトもレイのバイザーで隠れた眼を見据えて了承した。

これで二人の最後の戦いが始まる事になった・・・・

「シヴァには言っておいた・・・一週間の間・・・紋章機を好きに弄くるがいい・・・・」

「・・・・・」

「・・・・俺のアルフェシオンも今度は全開でいける・・・・せいぜい悔いのないように準備しておけ・・・・」

レイはそう言うとさっさと去っていた・・・・

場面は三時間前に戻る・・・・

 

「そのような馬鹿げた事を認められる訳が無いだろう!」

レイの娘であり、皇国軍の最高指揮者であるシヴァ女皇は

レイのタクトの一騎打ちを容認しろいう要求に激怒していた。

「・・・これは認めてくれと頼んでいる訳ではない・・・・」

「何だと・・・・」

普段は娘にはとことん甘いレイだが

今回ばかりは様子が違っていた・・・

それはまさに死神のメシアの時と同じだった・・・・

「俺の要求が呑めないと言うのなら・・・・

力づくでも実行に移すまでだ・・・」

「力づくでだと・・・我々に反旗を翻すというつもりか!?」

「要求を呑まなければ、俺は一人でもお前達全員と相手をしてでもタクトを引っ張り出す・・・・どうする・・・・?」

「む・・・む・・・」

突拍子も無い発言だが、目の前のレイはかつて

ネオ・ヴァル・ファスクを率いて戦争を仕掛けてきた死神のメシアだ。

あの戦いは神皇との戦いに向けた実戦練習であったが・・・・

このレイの実力は本物だ・・・・

たった一人でも皇国軍を壊滅させることなど訳もないだろう・・・

俺とタクトはいずれ・・・殺しあう事になる・・・・

タクトも気持ちは同じ筈だ・・・・ならば、早いほうがいい・・・・」

「し、しかし・・・・」

「・・・頼む・・・シヴァ・・・・」

いつもとは違って真剣に頼む父にシヴァは渋々了承したのだ。

 

タクトに宣戦布告をしたレイはシャトヤーンの元を訪れ、

何かを話して・・・・

その次の日にアルフェシオンと共に姿を消した・・・・

 

その夜、俺はアルフェシオンへの対抗策を考えていた・・・・

アルフェシオンはシャイニング・スターよりもスペックが高く、武装も多い・・・

遠距離戦になればタクトにまず勝機は無いだろう・・・・

接近戦でも厳しいが、それしか手段は無い・・・・

そうなるとネックになるのは機動性の差だ・・・・

シャイニング・スターは決して遅くは無い、

アルフェシオンを除けば紋章機一の機動性をもっている・・・・

アルフェシオンが速過ぎるのだ・・・・

ましてやパイロットはあのレイ・桜葉である・・・・

素直に接近させてくれる訳が無い・・・・

ならばどうする・・・・

機動性を上げる為には・・・・

シャイニング・スターは改造できるところは残っていない・・・・

こちらの技術力をレイに近づける事も無理だ・・・・

もっと単純にアルフェシオンに追いつける方法は無いか・・・?

・・・そうだ・・・一つだけ方法がある・・・・

外付けのHDDのようにドッキングさせればいいんだ・・・・

最適な機体はブレイブ・ハート・・・・

そして翌朝から、

シャイニング・スターとブレイブ・ハートの

ドッキング作業がが始まった・・・

 

タイムリミットまで残り2日に差し迫る時・・・・

俺は考えていた・・・切り札を・・・

まだ・・・これだけでは足りない・・・・

あいつにはこれだけでは勝てない・・・

何か無いか・・・・何か・・・・

今までのアルフェシオンとの戦いで奴の弱点は無かったか・・・?

・・・・!そうだ・・・一つだけあった・・・・

もし、アレがまだ残っているのなら・・・・

間違いなくアルフェシオンに対して切り札になる!

俺はアレがまだ残っているかを・・・確認した・・・

 

タイム・リミットまで残り一日となった・・・

シャイニング・スターとブレイブハートのドッキング作業は完了して

アレも搭載しておいた・・・・

これ以上できることは無い・・・・

後はお互いの技量が勝敗を分けるだろう・・・・

その日の夜、俺はミルフィーユ話していた・・・・

ミルフィーユはルシファーとして

レイと同化していた時の事を

話してくれた・・・・

そして、俺はレイが何故ああまでして

完全にこだわったのかを知った・・・・

そして、決戦の日・・・・

 

「タクト・・・シャイニング・スター・・・出る!」

 

補助ブースターのブレイブハートが勢い良く速度を上げてくれる・・・

白銀の彗星が決戦の舞台へ向かい宇宙を駆けていった・・・。

 

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