最終章A3

 

最後審判

 

「な、なんだ?レイ!今度は何をした!?」

タクトとレイの周りはそれはまさに様々な景色が変わったりする異空間だった。

「これは・・・・まさか・・・・メビウス・リング(運命の輪)か!?」

メビウス・リング・・・・それは永遠に続く運命をも呼ばれる・・・・

そう、この空間こそが時間、混沌、始まりと終わりから解き放たれた絶対領域・・・・いわば因果律の体内である。絶対なるもの因果律の・・・・最後の審判が下る

「そうか・・・因果律め・・・ついに最後の審判を下すか!!」

「何・・・・?」

 

「ロキ・・・・どうやら因果律が二人を最後の候補者と認めたようだな・・・」

「ああ、これでこの勝負には結果が出る事になったな・・・・」

「アルフェシオンが攻撃を極めた機体ならシャイニング・スターは防御を極めた機体だ。したがって戦況はタクトが有利だな・・・・」

「技量面や知性はレイの右に出る者はいない・・・・あいつは確かに完全な者だろう。しかし、根性と意思の強さならタクトも負けてはいない。」

「ルシラフェルは集団戦を得意とするいわば対軍の戦士だ。集団の相手はその数の多さが災いして時には諸刃の刃となる。あいつはその隙を誘発させるのが上手かった・・・しかし、対してタクトは一対一のバトルでここまで成長してきたいわば対人の戦士だ。一対一のバトルならルシラフェルにとて引きはとるまい。」

「タクトがあきらめない限り、この勝負は絶対に終わらない・・・だから、最後まであきらめるなよ・・・タクト・・・最後の最後の最後まで・・・これがお前の最後の戦いなんだからな・・・何が何でも負けるなよ!!」

 

イメージ曲 FINALFANTASY 次THE EXTREME

 

「・・・タクト・・・どうやら因果律はこれを最後の試練としたようだ・・・・奇跡の体現者のお前が勝てばもはや神皇のような外敵は現われず、

ルシファーの願った世界が訪れるだろう・・・夢と希望という不安定な未来が・・・」

「そして、完全の体現者であるお前が勝てば約束された安定された世界が訪れるというのか・・・・・しかし、そこには可能性と確率性というものがなく、“新しきものが生まれる事が無い”

「そして、ルシファーの世界では次々と新しきものが生まれ、古きものを脅かし、再び、弱肉強食の世界が始まる・・・・・

夢と希望の代償で俺達は未知の恐怖を常に、背負う事になる・・・・」

「・・・・しかし、お前の世界はすでに死んだ世界だ。故に、生まれる事がなくなる・・・・それが終わりを司る、ルシラフェルの世界か・・・・・それがお前の望む世界なのか?」

「ふ、勘違いをするな・・・・始まりを司るルシファーの世界は今のこの世界の延長だ・・・つまりはルシファーの世界こそ何も変わらない世界さ・・・・因果律が手を出さずとも俺たちは争い続けるさ・・・・ここ、メビウス・リングのようにな・・・・」

メビウス・リングに神界戦争、エオニア戦役やEDENとNEUEの抗争が映しだされた・・・・

「確かに俺達は争ってきた・・・お前の言う通り・・・終わった世界は終わりの無い世界にもなり得るだろうさ・・・しかし、お前の世界では生き物は生きれても、人は生き残れない、夢と希望を失った人は生きる事ができなくなる!!」

「それは生きるというありがたさを知らない弱者の都合だ・・・」

「皆が全員、お前のように強くはないんだよ!」

「だから、それはお前達の都合だろう?」

「・・・お前は・・・・!」

シリウスの言った通り、進化は人を育て・・・人を食い潰す・・・他の生き物を巻き込んでな・・・」

「違う!シリウスだって最後は!!」

「いいから聞け・・・EDENとNEUEの違いとは何だ?」

「・・・・何が言いたい?」

「こんな事を考えた事は無いか?何故、EDENにだけロスト・テクノロジーがあり、何故、NEUEにだけ魔法という概念があるのか?

「・・・・・・」

「教えてやるよ、EDENとNEUEの正体を・・・要は未来と過去の違いだ。分かるか、NEUEの魔法という概念が構築者アバジェスにより、ロスト・テクノロジーとなった・・・・すなわち、ロキのいた神皇のビッグ・バーンにより焼き尽くされた世界がNEUEだ。そして、NEUEは延々と俺の加護(退化)により、時をさかのぼらせ、神皇が創造したものを修復した世界。

永遠に時をさかのぼり、終わらない世界 それがNEUE・・・・

そして、ルシファーの加護(進化)により、NEUEを元に復元された進化の世界。魔法という概念を復元できなかった為に、進化という概念を忘却させない為にアバジェスがその概念を擬似的にロスト・テクノロジーとしてばら撒いた・・・偽りの希望をな・・・・

永遠に時を進み、やがては滅びる世界 それがEDENだ・・・!

つまりは、NEUEは俺が望んだ世界で

EDENはルシファーが望んだ世界だ!!

絶対なる過去への扉!

絶対領域の扉を開けれるのは

この二つの並行世界を渡り歩けるのは“候補者のみ”

絶対なるものそれは全ての始まりと終わり、そして完全な無。

それが始まりのルシファーと終わりの俺そして無の神皇だった。

アブソリュートという名前が俺の残したヒントだったんだよ・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「だからこそ、俺はカズヤに教えた。EDENの民とNEUEの民はいずれ争う事になると・・・本来はカズヤが完全の体現者になり、お前とここで戦う筈だった・・・だが・・・」

レイは無残に破損したブレイブ・ハートを見つめた。

レイは軽く笑って続けた・・・・

「しかし、カズヤは因果律に候補者として認められなかった・・・何故なら・・・カズヤもお前の(ルシファー)の世界を望んだからだ。故に、俺がアバジェスから候補者の後継者に選ばれたんだよ。」

「そして、俺はロキから後継者の座を奪い取った・・・」

今度は神界でのロキとの死闘が映し出される。

「あの時、お前はあの奇跡の体現者を打ち破り、候補者としてこの世に蘇り、三つ目の候補者・混沌の神皇を打ち破った。そして、俺の前へと導かれた・・てのが因果律のシナリオだろう・・・しかし・・・」

俺は機体の最終リミッターを外して黒き光の翼を展開させる。

俺も機体の最終リミッターを外して白き光の翼を展開させた。

俺達の戦いは俺達が決める・・・そうだろう?」

「ああ・・・!」

「それに、もはやナノマシンは無く、再生は不可能だ・・・このメビウス・リングからは因果律の最後の審判が下されない限り出る事もできない。」

「ならば、俺がこれからするべき事は決まっている!!」

「俺もすべき事は決めてある・・・俺は今の秩序を守る為にお前を殺す!!」

「俺は今の秩序を壊す為にお前を倒す!!」

細かい理屈などはいらない・・・互いに気に入らない、邪魔だから排除するだけのことだ・・・

ただし、二人には信念がある・・・

レイは現状を維持する為に

タクトは現状を打破する為に

レイは確実を求める為に

タクトは可能性を求める為に

これからが本当の闘いだった。

 

「沈めぇ!!」

アルフェシオンから全1000機のフライヤーが放出された。

レイはフライヤーをとっておいたのだ。

「さっきのように弾けるなんて思うなよ!」

もはや、アルフェシオンには相転移させる事もできず、ステルスをかける事もできない・・・しかし、その完全さと攻撃力はいまだに健在である。

 

アバジェスを基に作られた紋章機の特権である。

アバジェスは万能さと攻撃手段

そして攻撃の極限

「チィィーーッ!!」

ディレイやフェイントをかけた様々なフライヤーが舞のように飛び回ってシャイニング・スターを襲ってくる!

「オラァーーー!」

タクトは進路をアルフェシオンに向けてフライヤーを撃墜しながら距離を詰めていく。アルフェシオンの懐に潜り込めば、フライヤーは攻撃できなくなると思ったからだ。

「俺に常識は通用しない!!」

ところが、フライヤーはアルフェシオンに当たるのを承知でビームを発射してきた。

「!?」

タクトは慌ててレイから飛びのき、レイはタクトを追撃してきた。

フライヤーの内、何発かがアルフェシオンに当たるが、アルフェシオンにダメージは無い。否、ビームはアルフェシオンをすり抜けたのだ。

「くそ!そんなのありかよ!?」

「ありなんだよっ!!」

レイがタクトに接近して斬りかかってきて、タクトがそれに答えるかのように応戦する。フライヤーが次から次へとシャイニング・スターへと被弾していくが、シャイニング・スターはまだ、倒れない。

その防御力と悪運の良さ、その不屈の魂は健在である。

ロキを基に創られた七番機の特権

それは不死身の鋼鉄の体・・・・

忍耐の極限

「もらった!!」

フライヤーの撃墜に気を取られているタクトに勝機を感じたレイがデス・ブラスター・キャノンをシャイニング・スターに向けて発射した。

アルフェシオンのデス・ブラスター・キャノンが正面から、全方位から無数のフライヤー達が迫ってくる!!

「!!」

タクトは無意識にアルフェシオンのデス・ブラスター・キャノンを交わして右へ逃げていき、デス・ブラスター・キャノンが逃げ遅れたフライヤー約160機をなぎ払った!!

「チィ!悪運の強い奴め!!」

まさに偶然・・・

ルシファーを基に創られた一番機の特権

それは幸運

幸運の女神の加護

タクトは追撃してくるレイから逃げながら近くのフライヤーを撃墜していく・・・この絶体絶命の状況でも決してあきらめない。

カズヤから借り受けたものブレイブ・ハート

それは勇敢な心

勇敢に突き進み、時には他者を励まし歩ませる優しき心

完全なるレイに挑むタクトの心を魂を支えるもの

不屈の精神

それは魂の極限

言わばこれが二人の最大の違いだった・・・・

タクトは差し伸べられた手を受け取り、

ここまで強くなった言わば狼・・・・

対してレイは手を差し伸べられないように

一人でここまで強くなってきた一匹狼なのだ・・・・・

故にタクトは協力を否定するレイが許せず、レイは自分の力だけで戦おうとしないタクトが許せないのだ。

「これ以上、そんな幸運が続くと思うなよ!!」

レイはすでにタクトの周りにフライヤーで包囲網を布いていた。

「これが避けられるか!?」

レイは配置していたフライヤーのビームを一秒の誤差なく発射した。

「く・・・!!」

フライヤーによるビームの豪雨を浴びながらフライヤーの包囲網から抜け出そうとタクトは被弾覚悟で一方向に逃げていく。

全方位からのフライヤーの一斉射撃が始まった。

「ぐあ!・・・ぐ・・!ぐお!!」

レイはフライヤー同士が共倒れにならないようにタクトを軸としてその周りにフライヤー二機のペアを対称に配置している。間にタクトがいないフライヤーのペアはお互いのビームで相殺するように無駄無く配置されている。まさに完全の体現者である。

「いくら装甲が厚かろうが無限ではあるまい!」

レイの言うとおりシャイニング・スターの損傷率は既に40%を突破しているのだ。動いても動かなくてもフライヤーの豪雨を避ける事などはできないのだ。

「まだまだあぁーー!!」

しかし、タクトにはロキから授かった不屈の精神がある。

タクトの不屈の精神がシャイニング・スターにこれ程までの防御力を与えているのだ。

(何故だ!?もう400発は被弾させたのにまだ倒れないのか!?・・・今のあいつは・・・化け物なのか!?)

次々とフライヤーのビームがシャイニング・スターに被弾していく。

「ぐ!ぐわ!・・・・・ッ!あきらめてたまるかあぁーー!!」

タクトはそれでもあきらめずにフライヤーのビームをエクスカリバーで弾き返してはフライヤーの数を減らすのに専念した。

「く!」

レイはアルフェシオンの両手を外し、タクトに気付かれぬようにフライヤーに紛れさせて飛ばした。

シャイニング・スターにまともなダメージを与えられるのはダインスレイブしかないからだ。その上、遠距離からの攻撃ならアルフェシオンはリスクを負わないで済むからだ。タクトは接近してくるアルフェシオンの腕に気付かずフライヤーの数を減らしていく・・・

「くそ!何機あるんだよ!!」

悪態をつくタクトの背後を一本目のダインスレイブが襲った。

「危ねっ!!」

またしても偶然的にタクトはダインスレイブを弾き返した。

「・・・・!もう一つ!」

二本目のダインスレイブもまた弾き返した。

「ちぃ!しぶといんだよ!!」

レイはひたすらフライヤーの豪雨でシャイニング・スターを撃墜しようとするが一向にシャイニグ・スターは倒れない。

そうこうしている間にどんどんフライヤーの残弾数が減っていった・・・

「・・・・ビームの数が減った・・・・?」

タクトはフライヤーのビームの数が減っているのに気が付いた。

1000機はあったフライヤーの数はもはや残り10機をきっていた・・・・・

「くそ!・・・・化け物め!!」

「いくぞ!!レイ・桜葉!!」

タクトは背水の陣の覚悟で一気にレイに向かって突進していく

「舐めてんのか!コラァッ!」

シャイニング・スターにフライヤーのビームが最後の抵抗を続けるがタクトはそれを撃墜しながら突き進む。

そしてタクトは遂にアルフェシオンのフライヤーを全機撃墜した。

「な、何て・・・・奴だ・・・・」

初めて追い込まれたレイは驚愕した。

タクトは遂にアルフェシオンに接近する事に成功した。

「うおおぉぉおーーーーー!!」

タクトはレイと同じく二刀流で斬り合いに持ち込んだ。

二人は一見対極に見えるが一つ同じ特性を持つ。

それはレイもタクトと同様追い詰められるほど強くなる事だ。

「・・・ッ!・・・だがなこれぐらいで俺をやれると思うなよ!!」

レイは起死回生の如く、タクトの斬り合いに応戦する。

二本になってもレイの強さは大して変わらない。

レイもタクトと同じく、負けん気とど根性の持ち主なのだ。

「うおおおおーーー!!」

そして、タクトも一歩も退かずに斬り合い続ける。フライヤーが無くなった以上、二人には退路は無いのだ。

「堕ちろぉぉーーー!!」

レイが機体を反転させタクトの上をムーンサルトを描きながら斬りつけてくる。

「ちぃ!」

タクトも負けじとレイと同じ方向に機体を反転させ円を描いてアルフェシオンの対等の位置をキープしながら斬りつける。

「やるな・・・・・!!」

「お前こそ・・・・死神のメシアだった事だけはあるぜ・・・・!」

「そっちこそ因果律が俺の前によこした事だけはあるな・・・初めてだぜ、“結果が見えない勝負”は!!」

二機は互いを賞賛しながらも壮絶な斬り合いを続ける。

その姿はまるでロキとアバジェスとの闘いを連想させる。

「てめぇは気にいらねぇが、この闘いは面白いぜ!!」

「ああ、それには同感だ!!」

「思えばあの桜林でお前と始めて会った時からお前が気に入らなかった・・・!何も知らないくせにルシファーの馬鹿な夢に同調していたお前が・・・!!

「そっちこそ!ルシファーの夢を嘲笑い・・・確かめもせずに否定したお前を許す訳にはいかない!!・・・今でも!!」

最強の聖剣と究極の魔剣が何度もぶつかっては衝突音と火花を散らす。

まさにこの二人の闘いの激しさを強調している。

「ならばシリウスの言葉を思い出せ!ルシファーの信念、進化に進んでいく人間共が何をしてきたかを!!」

「何が言いたい!!」

こうなると分かりきっていたからあいつに教え続けたのさ・・・“それはお前のわがまま”だろうとな!!」

「なんでそこまでして人の希望を壊すんだ!?人の未来を決め付けるんだ!?」

「は!ならば黙ってこの結末を教えなかった方が良いというのか!?」

デス・ブラスター・キャノンの為に距離をとろうと距離をとろうとするアルフェシオン・・・

「だから勝手に決め付けるなと言ってるんだぁーーー!!」

逃げるアルフェシオンを追撃するシャイニング・スター・・・満身創痍のブレイブハートのブーストが奇跡的にまだ生きているのだ。

メビウス・リングの中で飛び交う二機・・・

「時は流れていくものなんだろう!?」

「そうがどうした!?」

異空間の中を白き彗星と黒き彗星がぶつかっては離れて、再びぶつかっていく・・・

「シリウスが言っていた通り、人の一生は短い・・・だからこそ俺達は後世に何か残さなければならないんじゃないのか・・・!?」

「自分を破滅させる者は決まってそういう風に利口ぶってきた・・・・後世に残す?それこそが安定した世界だろう・・・!!」

「安定した世界=幸せだとは限らないだろう!?」

「幸せ?生きていける以上の幸せがあるもんか!!」

「生きていても地獄は地獄だろう!?」

「無計画な博打に出て滅びるよりはましだろうが!!」

今のタクトとレイには実力にそれほどの差はない。アバジェスやロキとの生身での戦いが、タクトに冷静に相手の剣筋を読む事を見につけさせていたからだ。

「うおおぉぉぉぉーーーーー!!」

「おらあぁぁぁぁ−−−−−!!」

両者共すでに互いの限界を超えた状況で戦っている。

遂にタクトがレイと同レベルの域にまで追いついたのだ。

「現実しか信じられない臆病者があぁぁーーーーー!!」

「現実を直視しきれない小僧があぁぁーーーーーー!!」

タクトがアルフェシオンの左足を

レイがシャイニング・スターの右足を

切断した。

「く!まだまだぁ!!」

「ちぃ!まだだ!!]

二人はぼろぼろになりながらも斬り合いをやめない・・・

互いに分かっているのだ。相手が最後の敵である事を・・・

故に、全てを出し尽くす!!

二人の攻撃には魂が込められている。

「うおおおおおおおーーーー!!」

二人は休む事無く斬り合い続ける。

「一人で戦えない軟弱者が!!」

レイはシャイニング・スターの右足を切断し、

「自分しか信用できない弱虫が!」

タクトはアルフェシオンの頭を切断した。

長かったこの二人の戦いもようやく終焉の時が近づいていた。

こうなったらシャイニング・サンで賭けに出る!!

見える?奴の考えが見える!もらった!この勝負!!

七番機 シャイニング・スター・・・一番機ラッキースターと融合し成長し続け、最強の聖剣 エクスカリバーを片手に様々な強敵を倒してきた奇跡の体現者。

零番機 アルフェシオン・・・本名 神々の黄昏 ラグナロク 神々を脅かす神の制裁者の機体。神を脅かす最強の魔剣 ダインスレイブを片手に神々を制裁してきた完全の体現者。

シャイニング・スターの翼が光り始めシャイニング・サンの発動準備を

アルフェシオンの翼が光り始めオメガ・ブレイクの発動準備を

知らせる!

「これで決める!!」

「これで決まる!!」

二人は同時に最大出力で最強の必殺技を放った。

 

「シャイニング・・・・サァァァァァァン!!!!」

「オメガ・ブレイク!!!!」

 

まるで二人の生いたちがぶつかるかの如く、進化と退化がぶつかり合う。

退化に変化は存在しない。

確実にプラスになる結果をたたき出す。

進化には不確かながら変化がある。

それがプラスになるかマイナスになるかが不明なのだ。

眼球を焼き尽くすかのような虹色の閃光が撒き散らされる。

そしてタクトは視界ゼロの中必然的に真正面にいる筈のアルフェシオンに近寄り、最後の一撃を叩きこむ!!!!

「うおおおおぉぉぉーーーーー!!」

そして神眼をもつレイには真正面から向かってきているタクトが丸見えだった。

「馬鹿めぇっ!!」

レイはあえて後手に回りカウンターでタクトを迎え撃つ。肉を切らせて相手の骨を断つのだ。

読み合いの真価が発揮されるのは接近戦である。相手の行動を見切った者こそが例外なく接近戦の勝者となる。

「レイィィィィィーーーーー!!!」

「タクトォォォーーーーー!!!」

シャイニング・スターがアルフェシオンに斬りかかる!!

!!!!!!

漆黒は確か

白きは不確か

タクトが気が付いた時は七番機の手足が切り取られていた。

「くっ!?」

「俺の勝ちだ、タクト・・・・。」

レイの詰め将棋の締めは自機へのダメージはゼロ、相手には100%のダメージを与える無敗のカウンターにある。

「どうした!?お前の主張してきた口とやらで俺が倒せるか!この状況から生き延びる事ができるか!?」

レイは冷徹な声で問いかけながらダインスレイブの先端をコクピットに押しつけた。

(ロキは何て言ってきた?それを思い出せ・・・・!)

「どうした、あきらめないんだろう?早く俺を倒して見せろ!」

「そうだ・・・俺はあきらめない・・・約束したんだ!だから負ける訳にはいかない!」

朦朧とする意識の中、タクトは自我を保つ為自分に言い聞かせる、レイの考え一つで自分の運命が変わる事も知っていた。

「フン、相変わらずの口ぶりだな・・・・それでこの状態をどうやって切り抜ける?動いた瞬間にお前は死ぬ事になる。まさか命乞いなどとは言うなよ・・・」

「・・・・・」

レイはタクトのコクピットにダインスレイブを押し付けている、少しでも動けば振りかぶること無くダインスレイブでコクピットを貫く事ができるだろう・・・だがすぐにとどめを刺さなかったのは何故か?

レイの頭に旅立つ前の妻シャトヤーンとのやり取りが蘇る。

「あなたはあの方(タクト)を殺す事はできない。」

(馬鹿な・・・俺はそこまで甘くはない!)

シャトヤーンの言葉を頭を振って振り切る。

「あの方はミルフィーユと似すぎている・・・・。」

(だからこそこいつが歯がゆいんだよ・・・!!)

「似ているからこそほっておけない・・・」

(リコやシヴァに影響を及ぼすからに決まっている。)

「あなたがミルフィーユとタクトに向けている感情はリコやシヴァに向けているものとは違う。親愛を超えた感情を抱いている。」

(ふん!それは嫌悪感だ!)

「憎さ余って可愛さ百倍なのです・・・・。」

(それを言うなら可愛さ余って憎さ百倍だ・・・)

「ふふふ、もう少し素直になられればいかがですか?」

そんな馬鹿なことは無い・・・見ておけシャトヤーン。

「ち!この頑固野郎め!ここまで追い詰められてもまだ分からないのか!?この現実を見ろ!この世界には口で理解し得ない者がいる!そいつらから口だけで守れるのか!?お前が今ここで死ねば誰がミルフィー達を守るんだ!?」

レイの言う事にも一理ある事は分かっていた。

それでも俺は例え勝機ゼロの中でもあきらめられきれなかった。ここで敗北を認めるのは死んでいった者達への冒涜になると感じていたからだ。それは死んでもしてはいけないことなのだと・・・

「大事な者を守りきれずに何が人だ!どんな手段を用いても勝ち抜いて守りとおすのが騎士だろう!

生存を賭けた戦いに口は必要ない!戦争での大義名分な正義など只の自己満足と偽善でしか無い!!

(それは・・・・間違いではない・・)

レイは歯軋りしながらその綺麗な真紅の眼で満身創痍のシャイニング・スターを睨みつける。

「そもそももう一人のゲートギーパーなど探す時点で間違っていたんだよ!あの馬鹿女がNEUEに干渉しなければ神皇が復活する事も無かった!

(それは違う!)

「こんなにも弱いくせにどうして不安定な博打(新しい世界に旅)に出るんだ!お前達は!!俺がどれだけ業を煮やしたか分かるか!?本当はゲルンとの戦いまでで終わる筈だった!それをお前達が!あの馬鹿女が更なる富を求めたせいでそれを予知した因果律は新しい試練を!神皇をよこしたんだぞ!

「何・・・・?」

分かるか?ラグナロクで消滅した神皇が復活したのは因果律が外界に手を伸ばしたお前達を試す為に用意した試練だったんだよ!!

「試練だと・・・・」

アバジェス、ロキ、シリウス、神皇、そしてこの俺がお前達に与えられた最後の試練なんだよ!因果律が望むのは正義では無い!強くたくましい生命、生きようとする者だ!!

「・・・・・」

「・・・大した力もないくせに・・・未知への冒険だと・・・?笑わせんじゃねぇぞ!?コラァ!!」

(このレイ・桜葉が最後の試練だというのなら・・・俺はここで負けるわけにはいかない!!)

“銀河の天使”が命がけでこの世界を守ってくれたのは

新しい可能性を求めて戦ってきたのだから・・・

安定した生活を望むのならレイのいう事は正しい・・・

しかし、俺はルシファー(ミルフィー)が賭けた未知への可能性を信じたい・・・突拍子のない彼女だが、いつでも彼女は俺の幸運の女神だった・・・そう、この俺達の世界も未知への可能性を求めてルシファーが望んだ世界だ。

目の前にいる創造主であるルシラフェル(レイ)もその未知への可能性を最初は信じていたのではないか?

だからこそお前はこの世界を創造したんじゃないのか・・・?

「なんとも楽観的な考えだ・・・まさにあの馬鹿女と瓜二つだな・・・言っておくがな俺がこの世界を創造したのはあの馬鹿女が駄々をこねたからだ!」

俺の心を読んでいたレイは見下したかのように言い捨てた。

「やめろ!ルシファーの希望を馬鹿にするな!!」

俺はルシファーが最後に残した言葉を思い出した。

『兄はまだ希望というものを知らされずに生きているんです。私が兄の居場所を奪ってしまったのに・・・・

それでも兄はいつも影ながら私を守ってくれました・・・

そして今、その兄が神皇になりかけているんです・・・

だから私は行きます。兄の元へ・・・

だから今度は兄には幸せになって欲しいんです・・・

私を行かせてください、未来の為に・・・

私はきっとタクトさんの事を忘れませんから・・・』

彼女はそう言い残してお前に吸収される為にその身をささげたそう、本来はルシファーに助けられたお前が一番に信じてあげなければならないのに・・・!

彼女が自分を捨ててまで賭けたこの世界への希望を否定する事は許さない・・・・!

「もう一度言う・・・ルシファーが命をかけてまでお前に託した希望を否定する事は絶対に許さない!!」

「許さないだと?お前、自分の立場が理解出来ているのか?」

「そういうお前こそ・・・・誰のおかげで今ここに存在できているのか分かっているのか・・・・!」

「ふん!!聞こえるかルシファー!?今まさに、お前の愛した男が死ぬ間際だ!この男を見捨てる気か!?」

レイは高らかとルシファーを挑発し続ける。

「この男はどこまでもお前の夢を信じ続ける救いようの無い馬鹿な男だ!俺は制裁者としてこの不良品を処刑する!助けてやったらどうだ!?もっとも“今の”お前に俺が倒せるのならな!」

その時、レイが一瞬剣を振り上げるようにコクピットから剣を離したの俺は見逃さなかった。

「この大馬鹿野郎−−−−−ッ!!」

「ぐわっ!?」

俺はその隙にアルフェシオンにタックルをかました。

これ以上彼女を侮辱する事が許せなかった。

細かい理屈なんて知った事では無い!

「こ、この馬鹿野郎!!!そんなに殺されたいか!?」

 

「決め付けるなと言っている!!お前の理屈だけじゃ今の世界は無い筈だ!生き物は皆、不完全なんだ!希望が無ければそこで止まってしまう。例えリスクを背負ってでも、俺は希望を持って生きたいんだ!!」

 

「それが独りよがりだと何故、気付かん!?この宇宙の全ての者と分かりあえると、まだ思ってるのか!!」

 

お前の指摘通り、全てと分かり合えるなんて無理だろう・・・だけど、だからってあきらめたり、今すぐに結論を出したりするのはおかしいんだよ!例え少数でも分かり合える仲間を俺は増やしたい。お前の言う通りに向こうが生存を賭けて侵攻して来たのなら俺は戦い続ける!!

 

その曖昧な希望が今までの戦乱を呼び起こしたんだよ!何故、リスクを背負ってまで希望と進化にこだわる!?」

 

今多くの人々が望んでいるのはお前の持論ではない!お前はただ恐れているだけじゃないか!!この世界をこのままにしておきたいだけじゃないか!お前は未来を信じられないだけの臆病者だ!!そんなお前にこれからどうなるなんて分かるものか!!世界は常に進化し続けるものなんだよ!!」

 

「こ、この・・・!!!!」

鬼の如く激怒したレイがコクピットにダインスレイブの狙いを定めて迫ってくる。

(俺は最後まであきらめない!!)

そして、捨て身のタックルをかけようとするタクト。

次の瞬間、アルフェシオンが爆発を起こした。

「なっ!!!!」

二人は同時に驚いた。

アルフェシオン戦闘不能により、機能停止・・・・

「アルフェシオンの損傷率が97%だと!何が起きたんだ!?」

「これは・・・・」

「因果律を無視しない限り、こんな事は・・・ま、まさか!今のダメージはリベンジか!?」

リベンジ・・・・シリウスの必殺技で因果律を無視して自機の受けたダメージを倍返しで返す、何者にも避ける事は許されない究極のカウンターである。

「あ、ありえない・・・七番機が・・・あいつが・・・どうして会得していたんだ!?」

漆黒は確か、されど有限。

二機が通常空間に戻された。

「シリウスが助けてくれたのか?いや・・・」

(あいつだ!あの馬鹿女にしかこんな奇跡は起こせない!)

「・・・・・・またお前かよ・・・」

「ありがとう、ミルフィー、やはり君は俺の幸運の女神だよ。」

レイの顔から完全のルーン文字の刻印が消失した・・・

それは因果律がタクトを勝者として認めた事になる。

(因果律が選んだのは不確定な“奇跡”か・・・)

ここに最後の審判が下された。

 

白きは不確か、されど無限。

 

「ふざけんな!!」

 

「レイ!?」

「因果律がどうした!?俺は俺の意思でここまで来たんだ!!因果律が最後の審判を下したからと言って、はいはいと従えるかよ!!ルシファーが未来を見れたように俺には過去が見れた!全ての始まりが見えた!だからこそ俺は過去を変えて安定した世界を創ってきた!神皇を滅ぼす為に、ロキアバジェスを助けて、結末を変え、お前をここまで導いてきたんだ!!

その為のパイロット・・・そして、この紋章機・・・!!

それがのオペレーション・ラグナロクだ!!

俺は過去を知ってここまで安定した世界を作り上げてきた!!

過去は変わらないが・・・未来を変えられる・・・!

だがルシファーとお前みたいに過去を知らずにただ闇雲に夢の未来像を待つだけではそれこそ何も変わらない!!過去を知り、人は過ちを治していく・・・だからこそ、神皇を倒すまで俺はルシファーの方針に黙って従ってきたんだ!!

しかし、その無謀な希望が何をもたらしてきた!!

エオニアは死に、シリウスも死んだ!!

ルシファーの無謀な夢が何をもたらしてきたああああぁぁぁーーーーー!?」

アルフェシオン・・・・再起動・・・・・

「もう、やめろ!!」

「まだ、終わりじゃねぇ!!例え武器が無くなたって!!まだ、0%じゃねぇんだよおおおおぉぉぉーーーーー!!」

レイはアルフェシオンの最後の力でタクトから距離をとって・・・・

最後の勝負に出た!!

もはや、互いに残された手段は体当たりのみ・・・

「来るか・・・レイ!!」

故に残る武器は互いの根性のみ・・・・

「タクトォッ!これで・・・最後だあぁぁぁぁーーーーー!!!」

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」

白い彗星黒い彗星は最後の力でお互いの雌雄を決しにでる

そして・・・二つは真正面からぶつかり・・・・

「ぐうううぅぅぅーーーーーー!!!!」

「ぐわああぁぁーーーーーーーー!!」

白い彗星黒い彗星を撃ち砕いた!

 

ここに二人の決着がついた!

 

「さぁ・・・・止めをさせ・・・」

レイは眼を閉じて言い放つ。

「断る、本当はぶん殴ってやりたいところだが・・・ミルフィー達からお前を助けてくれって言われているんだよ・・・」

タクトも目を閉じて言い返す。

「何・・・・・?」

「お前みたいな奴でも必要としている人達がいるんだよ。だから止めを刺しはしない・・・一緒に帰るぞ。」

「甘いな、回復したら今度は俺が止めを刺すぞ。」

「その時は勝負のやり直しだ。何度でも倒してやる・・・。」

「ふん!この程度の腕前でよくそんな事が言えたもんだ。」

「それに、シヴァやシャトヤーン様もお前の帰りを待っているぞ・・・」

「・・・・・・」

「リコやカズヤだってな・・・」

「負けたのは俺だ・・・そして勝ったのはお前だ・・・ならば、俺はそれに従うしかあるまい・・・だが、そんなのは死んでもゴメンだぜ・・・」

「そんな事はさせない。お前の命はルシファーから授かったものだ。」

「恩着せがましい奴だ・・・」

「・・・それでも帰らないと言うのなら俺にも考えがある。」

「考えだと・・・?」

「・・・お前の全裸映像を全宇宙に無料配布してやる。」

「な!?」

「それを壁紙にするリコやシヴァ様か〜〜♪」

「脅迫か!?テメェ!!」

「いやいや、取引だよ・・・よっと・・・!」

タクトはアルフェシオンのコクピットによろよろと張り付いた。

「さぁて・・・どうする〜♪」

「ぐ!ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・・!!!」

レイの体がわなわなと震え上がっていた。

「どうするのっかな〜〜♪」

レイは満身創痍の体でコックピットを開け同じく満身創痍のタクトを見つめて、パイロット・スーツのヘルメットを“どついた”

「イテ!」

「ったく!・・・相変わらず滅茶苦茶なやつだな・・・!」

相変わらずぶっきらぼうなレイの言葉にタクトは驚いてレイの顔を見上げた。

「・・・フン!」

レイはそう言い捨ててそのミルフィーユに似た綺麗な顔を赤く染め、手を差し出してきた・・・。

タクトはその手を握りかえした。

「帰ろうぜ、レイ・・・」

赤い綺麗な美少年の顔が更に赤くなる。

「ふ、ふん!リ、リコやシヴァの為だからな!か、勘違いするなよ!!いいな!!俺はお前を認めた訳じゃないんだからな・・・!勘違いしたら殺すからな!!いいな!」

「あはは!本当に素直じゃ無い奴だ・・・本当に性格は妹達とは似てないなぁ〜」

「な!?」

「でもシヴァ様にはどこと無く似ているよ。あはははははは!」

「な、なな!ざけんなよこらぁ!!」

「本当に性格に似合わないかわいい顔をしているよ!あ、あはははは!は、腹がい、イテェ・・・!!」

「てめぇっ!!怪我が治ったら覚えとけよ・・・!!」

ひとしきりレイを笑いとばした後・・・タクトは救難信号を出しシリウス達からの伝言を伝える事にした。

「ああ、そうだ。シリウス達から伝言がある。」

「何?」

「いや〜〜、陰険などこかの誰かさんのおかげでシリウス達と再会できたんだよ・・・」

「そりゃ、よかったな・・・」

「もう過去の事は忘れて、シャトヤーン様とシヴァ様と楽隠居してくれだそうだ。」

(!!!!)

「もう皆お前のこと許してるんだってさ。」

やばい目が熱く・・・・

レイは慌ててコクピットからタクトを締め出しコクピットを閉じる。

「レイ?」

「・・・馬鹿野郎・・・楽隠居て歳じゃねよ。」

そう言いながらもレイは溢れる涙が止まらなかった。

(こんな無様な姿、誰にも見せられねぇ。)

(ほら、やっぱりお兄ちゃんもタクトさんの事が好きだったんだよ♪)

どこからか聞こえてきた馬鹿女の声に俺は目をぬぐって言い返した。

「やかましい、消えろ、この馬鹿女。」

 

そして、運命の輪は回り続ける・・・

 

最終章A 完

 

 

 

*運の道標でリコを受け入れると真・最終章へと進みます。

 

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