最終章B

天使 VS 悪魔

 

皇国暦 421年

 

最凶の敵であった混沌の体現者 神皇 カルマとの戦いに勝利したタクトが率いるエンジェル隊・・・

 

彼らが絶対者たるカルマに打ち勝ったのはレイ・桜葉の協力のおかげであった・・・

 

しかし、皆は大事な事を忘れてないだろうか・・・

 

レイ・桜葉は完全の体現者であり、最強の敵でもある事を・・・

 

そして、奇跡の体現者 タクト・マイヤーズの最大の天敵である事も・・・

 

そう・・・戦いはまだ終わってはいない・・・

 

私は貴方に最初に言った筈だ・・・

 

私が定めた四つの体現者は戦い続ける・・・

 

最後の一人になるまでお互いを殺しあう・・・

 

どちらかが、消滅するまで・・・

 

それが私の世界で生きる者達の定め・・・運命だと・・・

 

貴方はフェイトを選んだ・・・だからこそ、終焉への道を示そう・・・

 

さぁ・・・物語は終焉と突入する・・・

 

 

〜決死の覚悟〜

 

「お前達も聞いての通りだと思うが、昨夜 0:00レイ・桜葉は再び、死神のメシアを名乗り、わが皇国軍に向けて一方的な宣戦布告をしてきた。」

そのレイ・桜葉の育ての親でもあり、師でもある、皇国軍人事部の阿部竜二ことアバジェスは淡々と事実を述べた。

 

「皆の者・・・誠に申し訳ない・・・」

そう言って、頭を下げたのはレイ・桜葉の娘であるシヴァ女皇である・・・

 

「いえ・・・謝るのは私達です・・・まさか、お兄ちゃんが・・・」

そう返答したのはレイ・桜葉が溺愛していた二人目の妹ことアプリコット・桜葉だ。

 

「シヴァ様・・・シャトヤーン様は・・・」

そう、聞きづらそうに聞いたのはミルフィーユ・桜葉・・・

 

「ずっと、部屋に閉じこもっている・・・よほど、父上・・・いや、あやつの裏切りに答えたのだろうな・・・」

 

「裏切り・・・お兄ちゃんは意味もなくそんな事をするような人では無い筈なんですけど・・・」

彼女は兄をタクトと同等以上に愛している・・・故に誰よりも彼の裏切りに真実味を見出せないのだ。

 

しかし、彼女とは180°違う見解を持っている者もいる・・・

 

「だけど、現状はあいつが俺達を攻撃しようとしている事だけが事実だ・・・」

 

「タクトさん・・・」

ミルフィーユもさすがにタクト相手には最愛の兄の弁護もできない。

 

「ごめん・・・でも、あいつだけは許せないんだ・・・」

そう・・・タクト・マイヤーズこそがレイ・桜葉の天敵である・・・

そして、最強の敵に対抗できるパイロットだろう・・・

 

約、一年前・・・レイ・桜葉が死神のメシアと名乗ってネオ・ヴァル・ファスクを引き連れて皇国軍と大規模な戦闘を行った際・・・

司令官であった、タクトは彼によって人型戦闘機に改造されたGA-007 七番機(現在のシャイニング・スター)に駆り・・・

彼の搭乗機、最初であり、最強の紋章機 GRA-000 零番機 通称 アルフェシオンと幾度と無くぶつかり合った・・・

そして、タクトもエンジェル隊もいまだにこの最強の敵に勝った試しが無い・・・

不敗だからこそ、最強なのだ。

 

今度の敵 レイ・桜葉こそエンジェル隊にとって最大の天敵なのだ。

 

そんな化け物を相手にしたタクト達が今、存命しているのはネオ・ヴァル・ファスクとの戦いは神皇 カルマに向けての実践練習に過ぎなかったからだ。

 

そして、レイ・桜葉ほど、エンジェル隊の弱点を熟知している者はいない・・・

 

何故なら、エンジェル隊の紋章機はすべてその開発者でもあるレイ・桜葉が彼女達、天使の癖や潜在能力までを隅々まで計算してカスタマイズを施した戦闘機に他ならないからだ・・・

 

つまり、向こうには切り札があり、こちらには切り札が無いのだ・・・切り札とは隠し持っている秘策や武器の事を指す・・・予測できないからこそ、切り札なのだ。

 

否・・・訂正しよう。その完全の体現者に対抗できる者が一人だけいる。

 

それが奇跡の体現者 タクト・マイヤーズだ。

 

彼の紋章機シャイニング・スターはラッキースターと七番機により、蘇った奇跡の産物なのだ。

そして、タクトもいくつもの奇跡を引き起こしてこれまで生き残り、成長していったパイロットでもある。

 

もはや、奇跡が奇跡とは呼べなくなる程の奇跡を引き起こして・・・

 

だからこそ、勝機は0%では無いのだ・・・

 

勝ち目が無い訳では無い・・・

 

「ミルフィー・・・タクトの言う通り、今のあいつは俺達を殺しに来る死神でしか無い・・・躊躇すればお前が殺されるだけだ。」

とても軍人とは思えないサバイバルな服装の男がタクトの言葉をフォローした。

 

「そんな言い方はやめて・・・」

 

「悪りぃが・・・あいつは有言実行の完璧主義者だ。今や、敵のいないこの状況下で宣戦布告をしてくる理由は俺達への殲滅以外に思い当たらん。」

その男は黒髪で程よく日焼けしている・・・年は40前半なのだが、その整った顔立ちが彼をもっと若く見せている・・・

 

「お父さん・・・」

ミルフィーユがそう呼んだ男こそが、リョウ・桜葉・・・レイ、ミルフィーユ、アプリコットの三兄妹の父親である。

 

「ミルフィーよ、ロキの言う通り、戦う事に躊躇すれば殺されるのはお前だぞ。」

アバジェスは珍しくリョウ・桜葉の言う事を肯定した。

 

このアバジェスとリョウ・桜葉ことロキと神界時代で幾度と無く争った宿敵であり、前の完全の体現者と奇跡の体現者である。

また、ロキはこのアバジェスの一番弟子でもある。

カルマの策略により、二人は激しい死闘を繰り広げた。

その戦いの行方はロキの勝利に終わった・・・

 

アバジェスは神界で最強の英雄と言われ、やがては神皇の代理たる神王の座に就いた程の戦闘の天才であり。弟子であったロキがその天才に奇跡の連続で勝てたようなもので、奇跡でも起きない限り、このアバジェスは倒す事は不可能だったであろう・・・

 

では、何故、ロキはそこまでの奇跡を引き起こせたのだろうか?

それは彼に宿るものに起因があった・・・

彼は鬼の血を引いており、意図的にその力を開花できたのだ・・・とはいえ、この程度で魔神や邪竜を退治してきたアバジェスが負けてくれる筈が無い。

実は神王の上に君臨する絶対者・・・初代神皇の正体はロキ、本名 古牙 亮の兄こと古牙 望だった・・・

ちなみにその古牙 望はブラウド財閥の総帥、ゼイバー・ブラウドとしてNEUEを存続させながらも先の戦いでセルダールを崩壊に追いやり、その責任を皇国のシヴァとそれを守護するエンジェル隊達に被せて討伐を試みたが、レイの参戦及び彼の作戦により、失敗して最後は命を落とした・・・

 

そして、二代目の神皇にロキは強制的に選ばれた・・・それ故に彼には驚異的な力が備わっていたのだ。

しかし、そんなロキもタクトに敗れ、今では元の人間(鬼はそのままだが・・・)として生きている。

 

「この際だから、教えておくが・・・レイはこのEDENとNEUEを守る為に外宇宙から守ってきた守護神だ。」

 

外宇宙・・・EDENとNEUE以外の宇宙で・・・その規模などは一切不明である。共存できる仲間もいれば、レイの逆鱗に触れ消滅させられたミカエルのような天敵もいるのだ。

 

「あいつは元々人間では無い・・・それ故に生命に対する見方や生死に対する思想が我々と同じとは限らん・・・」

 

そして、アバジェスの言う通り、レイは人間では無い、神なのだ。神界の時代では冥王 ハデスとして死者の魂を選定していたが、冥王の器には収まりきらない程のその潜在能力やその技量の謎は誰に分からない・・・

 

「あいつが、外宇宙からこの世界を守っている時はそれはもう、あの手この手で守り通してきた・・・たった一人でな・・・」

 

たった一人で多数の宇宙が複合した宇宙船団からこの世界を守り通す・・・そん難儀を果てせた神が、神話の中にいただろか?

 

「あの時のレイはまさにキラーマシンだったよ・・・ブラック・アウト(ステルス)で相手に忍び寄り、抵抗もさせずに撃墜する・・・そして、何より・・・」

 

あいつ目的の為には手段を選ばん・・・欺瞞、虚偽、裏切り・・・そんな卑怯な手段もあいつは躊躇無く使ってきた。」

ロキがアバジェスの言おうとした事を代わりに告げた。

 

「卑怯な手段まで・・・」

レイと師弟関係のようなものにあったカズヤ・シラナミはそれは本当ですかと言わんばかりに聞き返した。

 

「ああ、あいつは戦士だからな・・・」

 

「戦士・・・」

そう言えば、あいつと最後に会った時、俺はあいつからそんな事を言われた気がする・・・

 

『お前は結果的に守れずに壊してしまう騎士か?それとも、必ず守るために壊す戦士か?』

 

そして、俺はこう言ったな・・・大切なものを絶対に守りきる騎士だと・・・

 

そしたら、あいつは更に聞き返したな・・・

 

『お前が守るものとは大切な者の事か?それとも、大切な世界の事か?』って・・・

 

その問いかけに俺はこう答えたんだ・・・

 

「両方だ!」って・・・

 

そうしたらあいつは最後にこう言った・・・

 

『馬鹿が・・・そんな技量がお前にあるものか・・・』と・・・

 

あの時、俺は直感的にわかっていたんだ・・・

 

あれがあいつの宣戦布告だって・・・

 

あいつは俺や天使達を試そうとしている・・・

 

本当に両方を俺達が守れるのかどうかをその力でもって・・・

 

そして、同時に俺との決着をつける・・・

 

だからこそ、紋章機の修理が終わるのをわざわざ待っていたんだ。

 

あいつは俺にこう言っているんだ。

 

紋章機とエンジェル隊を使って俺を倒してみろと・・・

 

相手があの死神のメシアの紋章機となれば、戦艦を使うのはご法度だ・・・

 

あいつの前では戦艦とはただ、ジャンクにされる為のものしか過ぎない・・・

 

あいつとの戦いはおそらく紋章機と紋章機の戦いとなるだろう・・・

 

そして、あいつとの戦いは史上最高難易度のものと化すだろう・・・

 

しかし、生き残りたければ俺達は・・・俺は勝たねばならない・・・

 

あいつには言葉は通用しない・・・あいつがかかって来いとのメッセージを送ってきた以上・・・

 

俺は言葉ではなく、力で示さなければならないのだ。

 

「作戦開始は翌日のAM 8:30だ・・・それまでに各自で覚悟を決めるように・・・」

 

覚悟・・・アバジェスから告げられた過酷な現実・・・

 

「今回の作戦は本当に犠牲者を出しかねない・・・レイは本気でお前達を殺しに来る。故に俺からはお前達に強制はしない・・・」

 

アバジェスは目を瞑って静かに言った・・・

 

「覚悟を決めた者だけ、紋章機に乗り込め、覚悟の無い者は何があっても紋章機には乗るな・・・辞退したからといって糾弾するつもりは全く無い・・・以上だ。」

 

それが、解散の合図となった・・・

 

 

 

〜決戦前夜の月

 

SIDE OF FATE

 

ここは、カズヤの部屋・・・

部屋の主は来る決戦へ自問自答をしていた。

 

僕は今でも信じれないでいた・・・

あの人が、本当に僕達の敵になるという事に・・・

それが、現実だとは分かっている・・・けど、僕は信じたくないんだ。

あの人のおかげで今の僕がいると言えるし、あのキチガイことカルマとの戦いに勝てたのもレイさんのおかげだと言ってもいい。なのに、あの人が僕達を試したいからとの理由だけで、再び襲い掛かってくるのだろうか?

 

それにあの人はリコやミルフィーさんのお兄さんなんだ・・・

ずっと、彼女達を守ってきたお兄さんなんだ・・・

そんな人がこんな時にどうして敵として牙を剥くのか・・・

 

わからない・・・わからないです・・・レイさん・・・

 

「レイさん・・・どうして、再び僕達と戦おうとするんですか?」

 

カズヤは今は行方の知れないかつての恩師に疑問を投げかけた。

 

ピー・・・ピー

 

その時、いきなりインターホンが鳴り始めた。

しかし、カズヤには来訪者が誰なのかに気付いていた。

 

「カズヤさん?私ですけど、いいですか?」

 

「うん、待ってて・・・」

 

カズヤはベットから身を起こしてドアのロックを解除に向かった。

 

「すいません・・・唐突に・・・」

「何、変な気を使ってるのさ・・・」

 

先程の件で後ろめたさを感じて申し訳なさそうに頭を下げる恋人ことアプリコットをカズヤは苦笑しながら招いた。

 

「もう、僕に遠慮する事も隠す事なんて無いだろう?」

「は、はい・・・」

 

アプリコットはカズヤの隠す事もという言葉に顔を赤らめた。

 

二人は既に切っても切れぬ仲にある。

互いの全てを知り合った仲である。

つまりは男と女の本来の関係に成り得た者同士だ。

 

カズヤがアプリコットを抱く前に彼女から、自分が姉に対してずっとコンプレックスを抱いていた事を聞かされている。

それは、カズヤだけが知っているアプリコットの本音だ・・・

 

「で、でも、遠慮するところは遠慮しないとカズヤさんに嫌われちゃいそうです・・・」

「どうしてさ?僕には遠慮しないでってあんなに言ったのに・・・」

 

言う方はそれでもいいのかも知れないが、言われた者の方は少し、困るだろう・・・

 

「そ、その、はしたない女のコに見られちゃいそうで・・・」

 

僕は今だに羞恥心を持ち続けているリコが可愛く思えてしまって、少し意地悪をしたい衝動にかられた。

 

「はしたないも何も・・・あの時程、はしたないリコは想像できないけどなぁ〜」

「・・・っ!!!」

 

どうやら、その言葉は直球ストレートのようでリコの顔は絵の具の赤だけで色塗りが出来そうな位に真っ赤だった・・・おもしろい・・・

「カ、カズヤさんの・・・馬鹿ーーーーっ!!!!」

「わ〜!ごめんごめん!」

 

泣きながら、飛び出して行こうとする彼女を僕は慌てて引き止めた。

 

それから、5分間の間・・・カズヤが様々なお詫びを確約してようやくアプリコットは泣きやんだ・・・

 

「もう、本当にカズヤさんって時々意地悪くなっちゃうんですら・・・」

 

泣き止んだとはいえ、リコは機嫌を直したわけでは無い。

 

「はしたなくてもいいよ。僕はどんなリコでも好きだから・・・」

「な、なんか、複雑な気持ちです・・・その言葉は嬉しいんですけど、どんな私でもと言われると、少し微妙です・・・」

「?・・・どうして微妙なのさ?」

 

真顔で不思議そうに首をかしげるカズヤを困った目で見ながらアプリコットはカズヤに聞きとれないほどの小声で、私だって可愛い女のコなんですよ?と付け加えた・・・が、彼女の期待に反してカズヤが気付く事は無かった・・・

 

「はぁ〜・・・」

 

ちなみに彼女が自分の事を可愛い女のコと自称しているのは彼女の桜葉家の血にながれている自己顕示欲の表れである。

両親であるロキやエレナ・・・そして、兄のレイに姉のミルフィーユにもそういう一面がある。

更に、彼女はため息をつきながら小声でカズヤさんの鈍感と付け加えた。

 

僕はこうやって誤魔化している・・・

それはおそらく、彼女も一緒だ・・・

信じられないんだ・・・レイさんが裏切った事が・・・

信じたくないんだ・・・レイさんが最後の敵だという現実が・・・

 

(ふふ・・・彼は最強の敵よ・・・最後ではないわ・・・)

 

「リコ・・・君がここに来た理由がおそらく僕と同じだと思うんだけど違うかい?」

「・・・私は、カズヤさんの傍に居たいです・・・」

「うん・・・僕もだよ・・・」

 

僕は彼女から離れたくないんだ・・・

 

情けない話だけど僕はレイさんが怖いんだ・・・

 

僕達はお互いを確認しあうように抱き合う・・・

お互いの肌の感触と温もりを感じながら・・・

 

明かりは窓から差し込む白き月の明かりのみ・・・

 

僕とリコがこうやって毎日のように性行為をするのは快楽を得る為ではない・・・

 

安らぐんだ・・・

安心するんだ・・・

 

彼女が傍に居てくれればそれだけで安心するんだ・・・

彼女が傍に居てくれれば僕はあの人相手にも戦える・・・

例え、相手が最強の敵だとしても・・・

 

 

 

SIDE OF DESIRE

 

レイ・桜葉の宿敵であるタクト・マイヤーズは宿敵のである妹ミルフィーユ・桜葉の部屋にいた。

なんという皮肉な運命だろうか・・・

ミルフィーユの立場からすれば最愛の夫が最愛の兄と本気で殺し合うというのだ・・・

 

(何を今更・・・最初からわかりきっていた事じゃない・・・体現者達はその戦い(運命)から逃れる事は出来ないって事ぐらい・・・)

 

「・・・・・・」

しかし、一番難しい心境にいたのはレイの宿敵であるタクトだろう・・・

最大の宿敵は最愛の妻の最愛の兄なのだ。

彼女が兄をどれだけ慕っているかは周知の事実だ。

 

しかし、タクトにとってはレイは最強の天敵なのだ。

例え、彼女の最愛の兄であってもこちらを殺そうとしているのならばそれを命懸けで阻止しなければならない。

それにタクトがレイと分かり合えないし、分かり合おう等とも思わない・・・

 

「お兄ちゃんが何の理由も無しにこんな事をしてくる筈がありません・・・」

 

でも、俺はそれを肯定してやる事は出来ない・・・

ミルフィーには申し訳ないがあいつが敵として宣戦布告をしてきた・・・それだけが事実なのだ・・・

 

本来、混沌の体現者 カルマとの戦いが終結した直後で俺達は戦わなければおかしかったんだ・・・

 

あいつは馴れ合いすぎたんだ・・・

 

でも、それじゃあミルフィーがあまりにも可哀想だ。だから・・・

 

「ミルフィー・・・戦いを始める前に、もしくは戦いながらあいつの本心を探ろう・・・」

「・・・・・・」

「厳しいけど、俺達は軍人なんだ・・・

 

その言葉にミルフィーは小さくハイとだけ頷いた。

 

彼女の沈んだ顔を白き月の明かりがおぼろげに映す・・・

 

 

 

SIDE OF

ANOTHER WILLD

 

遂にこの時が来た・・・

ラグナロクの時は近い・・・

しかし、俺には遣り残している事がある・・・

 

ひとつ・・・ガキ共の成長を最終確認すること・・・

 

カズヤがリコと交わった以上、俺という偽りの存在はもう長くは現存できないだろう・・・

しかし、それはそれで良い・・・

俺は元より、なのだ・・・

あの馬鹿女が望んだ、偽りの兄にしか過ぎないのだ・・・

 

無への帰還こそが俺の唯一の望みだ。

 

だからこそ、俺はその時までに、決着をつけなければならない・・・

主人公との戦いに終止符をうたなければならない・・・

 

俺の手には古びた花の髪飾りが寂しげにしている・・・

俺をずっと不敗でいさせてくれた幸運のお守りだ。

 

なんという事か、この俺が運などという奇跡に頼るとは・・・

 

ふ、俺も落ちぶれたものだ。

人間に感化されすぎたらしい・・・

俺は奇跡を否定する体現者ではないか・・・

 

白き月の中で死神は愛機を愛しそうに見上げていた・・・

 

「タクト・・・今度こそ、決着をつけてやるぞ・・・」

 

 

SIDE

OF

ATOROPOS

 

俺は彼女の寝付いた後でシャイニング・スターのところまで来ていた・・・

そして、そこにはロキがいた・・・右手に赤いハチマキを持って・・・

 

あいつは俺の心境をわかっているんだ・・・

 

俺があいつとの決着をつけようとしている事に・・・

 

俺は無言で赤いハチマキを受け取った。

 

「お前の全てをぶつけてきな。」

 

あいつは、それだけ言って去っていった。

しかし、俺はその短い言葉からロキからのメッセージを受け取っていた。

 

最後まであきらめずに戦い抜け

 

それがあいつからのメッセージだった・・・

 

そして、俺は愛機を見上げた・・・

 

「シャイニング・スター・・・絶対に勝とうな・・・」

 

そして、次の日・・・エンジェル隊は誰一人欠ける事無く、集合した・・・

 

天敵

 

「諸君等の勇気ある志願に敬意を表する・・・」

アバジェスは紋章機に乗り込んだ勇者達に敬意を表した。

「我々の目的はレイ・桜葉の逮捕もしくは討伐だ・・」

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

天使達の覚悟はすでに決まっていた・・・

だからこそ、誰も喋らない・・・

 

その時だった・・・

 

来い、天使共・・・

 

「消えやがった・・・!?」

格納庫で待機していた紋章機達が一瞬で消えてしまったのだ・・・

「あ、阿部殿・・・まさか・・・」

「はい・・・レイがタクト達を呼び込んだのです・・・決戦の舞台へと・・・」

 

 

 

「・・・ここは一体どこなんだ・・・」

僕達が辿り着いたそこはABUSOLUTEに似たような薄暗い空間だった・・・

ABUSOLUTEに似ていますけど、少し違います・・・何もありませんね・・・」

アプリコットはあちらこちらを見渡している・・・

 

「薄気味悪い場所ですわね・・・」

「ああ・・・おそらく、あたし達をここに連れてきたのはあいつだろうね・・・」

「あんの野郎・・・」

アニスは拳をパシンと打ち合わせた。

 

今、ここにいるのは僕達エンジェル隊だけだ・・・

 

違うな・・・

 

タクト・・・俺を感じるか?

「・・・っ!?」

 

「・・・感じる・・・あいつがいる!!」

「え?」

タクトさん・・・一体、何を・・・

 

「出て来いっ!!レイ・桜葉っ!!」

 

『ふ、死神のメシアと呼んでもらいたいものだな・・・』

 

「・・・・・・っ!?」

 

「ふざけるな!この野郎!さっさと出て来いっ!!」

『やれやれ・・・』

 

次の瞬間、タクト達の目の前に漆黒の紋章機が現れた。

その漆黒の紋章機は以前よりも禍々しさを増していた・・・

 

『あまりにもトロいから、こっちから呼び寄せてやったぜ・・・』

 

「お、お兄ちゃん・・・本当に・・・」

「レイさん・・・アナタは・・・本気で僕達と戦う気なんですか・・・」

 

『ふ・・・何を今更・・・』

あの人の声は完全に死神のものへと変わっている・・・

 

「どうしてなんですか・・・」

僕の声は震えている・・・恐怖と・・・裏切りに対する怒りで・・・

「どうして、裏切ったんですか!?」

 

そして、あの人がメインスクリーンに姿を現した・・・

あの人はいつも通りの姿で、あの仮面をつけていた・・・

 

『裏切るも何も、初めから俺とお前達は敵同士では無いか・・・』

「な・・・」

 

アルフェシオンの背後にうっすらと六枚の翼が現れている・・・

おぼろげな翼が・・・

 

『忘れたのか?天使共・・・この俺が悪魔だって事をな・・・』

 

アルフェシオンから明確な敵意が発せられた・・・

分かる・・・レイ・桜葉は本気で戦うつもりなのだ・・・

 

「お前が悪魔だろうが、天使であろうが、知った事では無い・・・」

『・・・・・・・・・』

「お前は俺の天敵・・・それだけだ・・・」

『ふ・・・よく分かっているじゃねぇか・・・』

 

シャイニング・スターもアルフェシオンを威嚇し始める・・・

 

「お兄ちゃん!どうして、こんな事をするの!?」

『馬鹿か、お前は?さっき、言っただろうが・・・俺とお前達は敵同士だって・・・』

「違う!どうして、敵同士になるの!?」

 

この世界を壊したいからに決まっているだろう・・・』

 

『・・・ッ!?』

 

「・・・・・・」

やはりな・・・そう言うと思ったよ・・・

 

嘘つき・・・あなたは更正する理性じゃないの・・・この世界を壊したいのは欲望である私の筈よ?・・・ふふ・・・それとも、更正を諦めて処分する事に変えたのかしら・・・

 

黙っていろ・・・

 

「何で、壊したいんだよ・・・」

『本気で分からないのか?』

 

あの野郎は、俺達を明らかに侮蔑している。

 

『EDENを見たか?NEUEを見たか?どいつもこいつも、救い用の無い馬鹿共ばかりだ・・・』

「あんたねぇ・・・そうやって、決め付けてる自分自身が一番の馬鹿だって分からないの?」

ランファは呆れたような口調で、死神に言い返したのだが・・・

 

『馬鹿はお前だ。俺はこの世界の創世紀からお前達を今日まで見てきたんだぞ・・・』

「それが、どうしたって言うのよ・・・」

『分からないか?お前の生まれた星のように、乞食の多い星は大抵、他の星を襲って飢えを凌ぐ・・・まさに餓鬼だ・・・まず、これが救い用の無い馬鹿の一つのパターンだな・・・』

「決め付けるなって言ってるのよ・・・」

『は!NEUEが無くなった今、お前みたいな貧乏人が夜盗に化すのは時間の問題だ・・・俺はそんな歴史をいくつも見てきたのだ・・・』

「何で、そうやって決め付けられるのよ?」

『お前みたいな人間が生まれた星など、レベルが知れている・・・人間は空腹には逆らえない・・・お前の家族も似たようなものだったではないか・・・フランボワーズ・・・』

 

「そんな事をいっているあなた自身のレベルが低いと分からないのですか?」

『お前如き、商売人のボンボンに言われる筋合いは無い・・・それに、お前の親父の悪行に心を痛めた母親はお前を見捨てて逃げたでは無いか・・・金目的でダルノーにつけ込んだ娼婦だったくせにな・・・あははは・・・』

「でっち上げとは見下げ果てましたわね・・・」

「ふ・・・俺は別にお前に評価される為に生きてる訳では無いし・・・そもそも何、現実逃避してるんだよ・・・お前は今でも、その事でダルノーを恨んでるんだろう?」

「相変わらず、決め付ける方ですわね。」

『決め付け?ほう・・・ダルノーの金が無ければ生きる事も出来なかったガキがよくも、そんな大口が叩けたものだな・・・』

「あたしから見れば、あんたの方がよっぽど、ガキだよ・・・今の世界に我慢出来ないだけのガキさ・・・」

『ふ・・・この俺をガキ呼ばりとはな・・・逆を言えばお前はただ単に、この世界に柔軟してしまった腑抜けでは無いか・・・なるようになるという奴だろう?世界に抗う事も出来ずに為すがままに生き続けるだけの猿では無いか・・・』

「そんな風に、ベラベラと屁理屈ばかり言っている時点でたかが知れてるんだよ・・・」

『たかが知れている?ふ、ふふ・・・身の程知らずめ・・・20数年しか生きていない貴様如きに俺の底が分かるものか・・・そして、この世界の事も分かっていない・・・理屈が通じない世界というのは何もかも曖昧にしたいお前達が勝手に作り上げた虚構ではないか・・・これも俗に言う何とかなるの世界だろう・・・一部の真面目な者達にすがる怠け者の十八番の理屈だな・・・』

「この世界を分かった気でいるガキ程、タチの悪い奴はいないね・・・」

『ふ・・・面白いよなぁ・・・』

「何がだい・・・」

『こうして、話している時は対等な立場なのに・・・いざ、戦いとなれば狩猟者と獲物になるんだからな・・・

「あたし達をなめんじゃないよ・・・」

 

『ナメてるのはそっちだろうが・・・人間如きが・・・』

 

俺は分を弁えぬ(わきまえぬ)、人間の喉を圧迫させた・・・

簡単だ・・・この空間に命令を出せば良い・・・

それだけで、因果が動く・・・

「がっ・・・!?」

フォルテが突然、喉を押さえて苦しみ出した。

『何、俺に勝てる気でいるんだ?テメェ・・・』

 

「フォルテ!?」

 

『こんな風に、首を絞められただけで死んでしまうお前達が俺に勝てる訳無いだろうが・・・いい加減に自分の技量を弁えろ・・・雑魚め・・・お前等など、触れるまでも無く簡単に殺せる・・・というか・・・ここで、死にな・・・三流・・・』

 

こいつ・・・

 

「みんな!アルフェシオンを総攻撃するぞっ!!あいつの意識を乱してフォルテを救出するぞ!」

『了解っ!!』

 

天使達は一斉に攻撃を開始するが・・・

『相変わらず、甘い狙いだ・・・』

アルフェシオンは持ち前の機動性を活かして、いとも簡単に最小限の動作だけで、全て回避してしまった・・・

「チッ!」

俺は、シャイニング・スターをあいつの懐にワープさせようとしたのだが・・・

 

ERROR・・・

WITH SPACE FREEZE・・・

 

「空間が凍結!?」

『つまらん小細工は必要ないだろう?どうせ、お前はここから生きては帰れないし、ゲートの力を駆使すれば、俺の方が有利になるのだからな・・・』

 

アルフェシオンの姿がロストした。

 

BLACK OUT

 

ブラック・アウト・・・常識を超えた速度で動く事により、相手のカメラや、人間の視界などで捕らえきれない速度で姿をくらます死神の舞である。

 

「消えた!?」

 

タクト達が死神の姿を捜している間に、アルフェシオンは黒いラッキースターへ変形した。

『ふん・・・・・・』

死神はフォルテへの呪詛を取り消した。

「っは!はぁ・・・はぁ・・・ど、どういうつもりだい・・・」

フォルテは死神へ問いかけるが死神は返事をしてこない・・・

「フォルテさん!」

「あ・・・?ああ・・・あたしは大丈夫だよ・・・カズヤ・・・」

 

「くそ・・・何処にいるんだ・・・」

タクトは死神の気配すら辿る事はできなかった・・・

しかし、NEUEの騎士として覚醒したカズヤは違った・・・

 

「そこっ!」

カズヤが死神が移動していると思われる箇所に12機のフライヤーを飛ばした。

バチューーーン!!

「・・・っ!?」

しかし、何も無い所から発射されたレーザーにより、12機のフライヤーは全て落とされた。そう・・・これこそが、死神の見えないフライヤーだ。

 

『やれやれ・・・』

姿をくらましていた、黒いラッキースターがその姿を現した。

 

「そこっ!!」

アルテミスをチャージしていたちとせはドンピシャのタイミングでアルテミスを飛ばすが・・・

『フン・・・』

 

黒いラッキースターは彗星の如き速さでアルテミスを回避した。

 

「諦めるな!撃ち続けるんだ!」

 

フレイル、アロー、チャクラム、ボルト、スターと名付けられたルーンエンジェル隊のレーザーが黒いラッキースターを追撃するが・・・

 

「は、早い!」

驚愕するリリィ・・・

無理も無い・・・黒いラッキースターはレーザーの速度を上回る速度で振り切ってしまったのだ・・・

ムーンエンジェル隊もビーム・ファランクスや、実弾系のミサイルなどで死神に攻撃をしかけるが、死神の紋章機はそれらを引きつけてホーミング性を殺した後で、180°違う方向に瞬時に逃げてしまう為にまるで当たらないのだ・・・

 

 

「まだよ!!」

テキーラが追撃のクリスタル・ビットを飛ばす!

 

『・・・・・・』

「う、嘘・・・」

 

またしても、何も無い空間から放たれた、レーザー砲により、クリスタル・ビットはおとされた・・・

「私を忘れないで下さいましっ!」

今度はミントが7機のフライヤーを飛ばすが・・・

「・・・っ!」

その結末はカズヤとテキーラと同じだった・・・

 

(まったく・・・どこまでも、世話が焼ける天使共だ・・・)

 

次の瞬間、隠れていた悪魔の使い魔達がその姿を現した。

 

「な、何だ!?」

 

タクト達の周囲に現れたのは無数に広がる死神のフライヤー達・・・

 

『気付かなかったのか?俺のサーヴァント達が潜んでいた事に・・・』

 

デス・サーヴァント・・・それが、死神のフライヤーの真名だ・・・

 

やがて、黒いラッキースターは最強の紋章機 アルフェシオンへと戻った・・・

 

『これなら、外宇宙の連中の方がよっぽど、歯ごたえがあったぞ?』

失望の感想を述べる死神・・・

そう・・・この死神こそ、外宇宙がEDENとNEUEに手を出せなくなった原因・・・

その強さに怯えて・・・

 

そして、タクト達にとっても最強の敵でもある・・・

 

『こいよ・・・逃げも隠れもしねぇからよ・・・』

死神はタクトに向けて挑発した。

 

「こいつ・・・!!」

 

シャイニング・スターはアルフェシオンへと向かっていった・・・

 

『相変わらず、単純な奴め・・・』

死神の両腕から粒子状のワイヤーが射出された・・・

 

ALL MODE・・・CATCH・・・)

 

「・・・っ!?」

見えないワイヤーが正面から向かって来るシャイニング・スターの手足と胴体に巻きついていく・・・

真名は悪魔の尻尾・・・サタンテイル・・・

 

「うわぁーーー!?」

「きゃーーー!?」

「お姉ちゃん!?」

 

束縛されたシャイニング・スターはアルフェシオンの為すがままに振り回された。

今回、周りに戦艦等が無かったのは幸いだっただろうか・・・

 

『ふん・・・死ね・・・』

死神の手にはダインスレイブを変形させたデス・サイズ(死神の鎌)が握られていた。とても大きな、そのデス・サイズは遠距離まで届くのでは無いかとの錯覚も覚える。

 

「させない!!」

クロス・キャリバーのハイパーブラスターがアルフェシオン目掛けて、発射された・・・

しかし・・・ハイパーブラスターはアルフェシオンの手前で見えない何かに弾かれた・・・否、見えない壁に弾かれたのだ・・・

「ま、まさか・・・」

 

『その通りだよ、リコ・・・このアルフェシオンにはINフィールドが展開されているんだ・・・ラスト・リヴェンジャーのような模造品ではなくてな・・・』

 

「みんな!総攻撃をかけてフィールドを突破するぞ!」

 

『了解!』

カズヤの号令の下、天使達は次々と砲撃を仕掛けた!

 

『ふん・・・そんなに当てたいのならくらってやるよ・・・』

 

何を思ったか死神はシャイニング・スターを解放して投げ飛ばした・・・

「・・・ッ!?うわーーーー!?」

 

何をしてるの?せっかくのチャンスを・・・

 

チャンスなど、俺にはいつでも存在する・・・

 

そして、アルフェシオンは一歩も動かずにカズヤ達の総攻撃を受けた。

 

しかし、アルフェシオンはフライヤーや、アルテミスなどの高威力の武器を直撃で受けているというのにまるでビクともしない・・・

 

「ま、まさか・・・」

 

天使達に次第に恐怖心が芽生える・・・

死神は何の小細工も無しにカズヤ達の総攻撃を甘んじて受けているのだ。

 

『さて・・・もう、あたる必要も無いだろう?』

 

次の瞬間、カズヤ達の攻撃は次々とアルフェシオンをすり抜けていったのだ!

 

「な!?」

「カ、カズヤさん・・・今の・・・」

 

目の錯覚なんかじゃない・・・何故なら、アルフェシオンは今でも攻撃を回避する事無くかわしているのだから・・・

 

「ど、どういう事だよ!」

「親分!攻撃が当たらないのだ〜!!」

 

「これは一体・・・」

『ふ・・・これこそが無の境地だよ・・・ちとせ・・・』

「・・・っ!?」

 

「ふざけるなっ!!」

『・・・・・・?』

 

体勢を立て直したシャイニング・スターがアルフェシオンに斬りかかった。

 

『無駄な事を・・・』

またしても、アルフェシオンはまるで動こうとしない・・・

 

そして、シャイニング・スターのエクスカリバーがアルフェシオンの装甲を斬り裂くかと思いきや・・・

ス・・・!

「くっ!」

タクトは諦めずに何度もエクスカリバーで斬りかかるが、それらは全て簡単に回避されてしまった・・・

「ど、どうなってるんだ!?」

「タ、タクトさん・・・」

『時には諦める事も肝心だと、何度言わせれば気が済むんだ?お前は・・・』

「るっせぇ!!」

 

結局、タクトの斬撃は一撃も当たらなかった・・・

 

「・・・エ、エクスカリバーでも駄目なのか・・・」

『ふ・・・カルマとの戦いで、似たような状況があっただろうに・・・』

「・・・・・・?」

 

『まぁいい・・・それよりも、これで諦めがついただろう・・・お前達の攻撃手段はどれも、通用しない・・・』

「まだ、諦めない!!」

アプリコットはハイパーブラスターのエネルギーを最大限まで高めて、発射した。

 

『無駄だ・・・』

 

そして、ハイパー・ギガ・ブラスターは空しく、アルフェシオンをすり抜けただけだった・・・

「ど、どうして・・・」

 

『言い忘れていたが、俺はそのものだ・・・それ故にお前達の攻撃手段など俺には通用しない・・・例え、アストラル・サイド(精神世界)へ介入してもな・・・』

 

「ヘキサクロスブレイク!!」

今度はテキーラが六星陣の縮退魔法で挑むが・・・

何も起こらなかった・・・

 

『ば〜か・・・無にどうやって、介入するんだよ・・・』

 

「くっ!ヘキサクロスブレイクっ!!」

テキーラは諦めずにもう一度攻撃を加えたが・・・

 

『お前、馬鹿だろう・・・?』

 

DELETE

 

俺は、ヘキサクロスブレイクの因果そのものをかき消した。

「・・・っ!?」

 

『もういいだろう?・・・降伏しろなどと言わん・・・ここで、死ね。

『・・・っ!?』

 

全員に恐怖が芽生えた・・・

死神の死刑宣告だ・・・

 

『お前達には失望した・・・ここで死ね・・・』

 

アルフェシオンがかつて無いほどに輝き出す・・・黄金色に・・・

 

そして、背中には六枚の黄金の翼が現れ、その手には黄金の槍が握られた・・・

黄金の槍 グングニルである・・・

 

同時に、フライヤー達が姿をくらました・・・

巻き添えをくらわないように本能的に避難したのだ。

 

「ま、まさか・・・」

タクトの脳裏にシリウスが使ってきたTHE END OR OVERKILLが蘇った・・・単体にとてつもない爆発をくらわせる大技である・・・

 

『アルティメッド・エンドッ!!!!』

 

死神が目標である、天使達の中心部を目測で定める!

 

しかし、死神が仕掛けてくるものは違う・・・

タクト達を拘束する必要など無い・・・

拘束せずとも、この攻撃を回避する事などできないのだ・・・

 

『オア・・・!!!』

 

死神が投擲体勢に入る・・・

 

 

死神には魔法陣など必要無い・・・

因果律にアクセスする必要は無い・・・

何故なら、死神は因果律の半身なのだから・・・

 

『ジェノサイドオオォォーー!!!』

 

そして、死神は黄金の槍を投げつけた!

 

「シャイニング・スターーーー!!!!」

俺はシャイニング・スターに皆を守ってくれ!と頼みこんだ!

 

「目を閉じて、耳を押さえろおおおおおーーーーー!!!!」

 

シャイニング・スターの前方10000kmを爆心地にして黄金の槍に込められた魔力が一気に解放された!!

視界は一瞬で真っ白となった!!

 

そして、この宙域を余す事なく、爆炎が飲みつくしていった!

 

ULTIMED END 

OR

 GENOSIDE

 

「うわーーー!!」

カルマの攻撃を防いだシャイニング・スターのフィールドを展開していても、カズヤ達の紋章機は激しく揺さぶられる!

 

神の雷・・・

 

 

やがて、爆炎が治まる・・・

 

「くっ・・・!」

 

『ほぉ・・・存外にしぶといな・・・』

 

死神は悠々と翼をはためかせて、絶え凌いだタクト達を嘲笑っている・・・

天使と悪魔の力の差は一目瞭然だった・・・

 

完全の体現者・・・レイ・桜葉ことルシラフェル・・・

その実力は神皇 カルマをも上回る・・・

 

「く・・・駄目だ・・・こっちの攻撃が通用しない上に、あの攻撃力と機動力・・・それに、あの人はこちらの弱点を知り尽くしている・・・」

カズヤは目の前にいる最後の敵を悔しげに見ている・・・

 

『どうした?天使共・・・歌って踊れて、戦えるアイドルでは無かったのか?』

死神は仕掛けてこない天使達を挑発する・・・

『そうだな・・・戦えるアイドルならば、それなりの舞台を用意せねばな・・・』

 

死神は背後に白い月を呼び出した・・・

 

「あ、あれは・・・白き月?」

『・・・この月はヘパイストス・・・これより、約数十年後の白き月だ・・・』

「す、数十年後・・・?」

そ、それって、未来の・・・

『その通りだよ。カズヤ・・・そして、全てが始まった地でもある・・・』

 

そう・・・カルマが生まれた場所であり、あなた達が生まれた故郷よ・・・

 

アイドル共・・・俺と戦う気があるのならば、ヘパイストスまで来るが良い・・・そこで、真相を教えてやるよ・・・お前達が知らない出生の秘密をな・・・そして、その後で必ず殺してやる・・・』

 

そう言うと、死神の姿は霧散していくように消えていった・・・

 

「タクトさん・・・」

ミルフィーユが肩身のせまそうな声で俺の名前を呼んできた・・・

 

彼女の心境は察するが、俺はあいつとの決着を付けなければならない・・・

 

「みんな・・・行こう・・・ヘパイストスへ・・・」

 

全員の了承を確認して、俺達はヘパイストスへと向かった・・・

 

タクト達は知るよしも無い・・・

その月の中で死神が鎌を研ぎ澄ませて待っている事を・・・

 

 

 

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