最終章 B 2

 

天使VS悪魔

 

 

 

〜死神〜

 

俺達はヘパイストスの格納庫らしき、場所から侵入していた・・・

奴の言った通り、ここは未来の白き月らしく、あちらこちらにはどこと無く、見覚えのある設備が置かれている・・・

しかし、一つだけ変わっていたところがある・・・

ここの通路はシャイニング・スターが通れるくらいに大きい・・・

というより、アルフェシオンが通れるように設計されているという事か・・・

 

タクト達が知るよしは無い・・・

ここに、元凶が潜んでいる事など・・・

 

さぁ・・・真相を知りなさい・・・

 

「!?」

「きゃっ!?」

次の瞬間、俺の視界が真っ白になった・・・

 

SIDE OF KAZUYA

 

「な、何だ・・・今のは・・・」

「カズヤさん・・・聞こえますか?」

「リコ?う、うん、聞こえるよ。」

「周りを見てください・・・」

「ん?・・・あ、あれ!?」

 

周囲はまるで違う景色へと変わっていた。

 

ここは通路らしく、紋章機一機がようやく、通れるぐらいのスペースだ・・・

周りには何も無い・・・

 

そして、仲間の姿も見えない・・・

「私達だけなんでしょうか・・・」

「そうみたいだね・・・」

 

『ふ、ふふふ・・・よく来たわね・・・カズヤ・・・』

 

「誰だ!?」

 

『私は・・・アナタ達ときっても切れぬ関係にある者よ・・・』

 

「カ、カズヤさん!!あ、あれ・・・!」

モニターに映ったリコが恐ろしいものでも見たかような声を出して、前を指差した・・・

「・・・っ!?」

僕達の紋章機の周囲に桜の花が降り始めた・・・

サラサラと・・・

 

そして、その正面に宙に浮いた女がいた・・・

 

背中まで届く桜色の髪に、桜吹雪と荒波が描かれた着物・・・

というより・・・その女の人は、僕達がよく知っている人にそっくりだった・・・

 

「お、お姉ちゃん・・・?」

『ふふ・・・ようやく、思い出してくれたの?』

 

そのミルフィーさんにそっくりな女の人は、ミルフィーさんとの唯一の相違点である、うつろな目でリコを優しく見ている・・・

『そうよ・・・私はあなたの姉よ・・・』

 

「お姉ちゃん・・・どうして・・・」

どうして、そんな恰好をしてここにいるの?

 

『お帰りなさい・・・フェイト・・・』

 

「・・・フェイト・・・・・・」

待て・・・ミルフィーさんがリコをフェイトなんて呼び方をするか?

 

『久しいわね・・・こうして、直接あなたと会うのは・・・デザイアがあなたを独り占めしていたせいで、私はこの中でずっと、あなたが帰ってくるのを待っていたのよ・・・』

「ちょ、ちょっと・・・お姉ちゃん、言ってる事がおかしいよ・・・」

その言葉で僕はその女の人の正体に気が付いた・・・

「リコ・・・違う・・・」

「え?」

「そいつは君のお姉さんなんかじゃない・・・」

『失礼ね・・・私はれっきとした、その娘の姉よ・・・細胞の隅々から、血の一滴まで同じ、人間なのよ・・・?』

「あなたは、ミルフィーさんなんかじゃない・・・」

「・・・っ!」

カズヤの言葉にリコが警戒心をあらわにした。

 

『ええ・・・確かに、私はミルフィーユ・桜葉では無いわ・・・』

「・・・・・・」

 

デザイア・・・フェイト・・・残るはただ一人・・・

 

『私の名前はウィルド・・・運命の三女神の一人にして統べるものよ・・・』

「・・・っ!?」

アプリコットは息を飲み込んで・・・

「ウィルド・・・」

カズヤは目の前のウィルドを警戒していた・・・

 

SIDE OF OTHER ANGEL

 

「ママ〜・・・ここは一体どこなのだ〜?」

ナノナノは不安そうに、ヴァニラの名前を呼ぶ・・・

「どうやら、私達ははぐれてしまったようですね・・・」

ヴァニラとナノナノがいる場所は、行き止まりで、前にしか通路が広がっていない・・・

「ここで、待っていても仕方がありません・・・ナノナノ・・・行きましょう・・・」

「何処へ行くのだ?」

 

『そうだ・・・ここで、死ぬというのに・・・』

 

『・・・・・・っ!?』

 

二人の前に死神の紋章機が現れた・・・右手に大きなデス・サイズをかまえて・・・

 

「現れたのだっ・・・・・・あ、あれ!?」

ナノナノが攻撃を仕掛けようとしたが、指一本動かす事は出来なかった・・・

「か、身体が・・・」

『もう、動く必要など無いだろう・・・どうせ、殺されるんだから・・・』

「・・・っ!」

 

死神はゆっくりと近づいてくる・・・

『ヴァニラ・・・白き月で言った事を覚えているか?』

「白き月・・・?」

『俺はお前の過去を知っていると・・・』

「過去の事など、今は関係ありません・・・」

『いや・・・今も関係はあると思うぞ・・・そこにいるチビもお前と同じようなものだからな・・・どうなんだ?No.0000456・・・』

「番号で呼ぶのは止めてください・・・!」

『ふ、お前は昔から番号で呼ばれる事を嫌がっていたな・・・』

「何が言いたいのですか?」

『言いたい事?俺は教えてあげているんだぜ・・・冥土の土産にな・・・』

「いりません・・・」

「そうなのだ〜!さっさと自由にするのだ〜!」

『そう・・・お前達、人形は同じ事を培養槽の中で思う・・・そして、俺はいつもこう言い返した・・・自由になりたければ、自分で何とかしろとな・・・』

「さっきから、何が言いたいのだ!?」

『ナノナノ・・・ヴァニラの母親について知りたいと思わないか?』

「・・・っ!?」

「ママのママ?」

「あ、あなたは知っているのですか・・・?」

『ああ・・・教えてやるよ・・・』

 

次の瞬間、あたり一面が培養槽に化した・・・

 

「こ、これは・・・」

『そうだ・・・ピコに似ているだろう?それはそうだろう・・・あそこはブラウド財閥がヘパイストスを真似ようとした最初の製造所だからな・・・もっとも、途中で破棄されたがな・・・』

「ブラウド・・・」

『それよりもだ・・・約20年前・・・お前の母 シスター・ヴァレルはマスターの下に仕える使者の一人だった・・・その正体は四聖獣の一人玄武・・・』

「シスターが四聖獣の一人・・・」

『彼女は、マスターに誰よりも忠実に従うよき僕であった・・・しかし、その行いがカルマの怒りに触れて、彼女は見る見る内に年老いていった・・・それは、カルマの呪い故にマスターでは治癒する事はできなかった・・・』

「待ってください・・・!あなたなら・・・あなたになら、シスターを治癒する事ができたのでは無いですか?」

『ああ。』

「・・・っ!?ならば、どうして・・」

『彼女が自ら、死を望んだからだ・・・』

「そんなの嘘です!」

『良く聞け・・・ガキ。この世には生が苦痛となり、死が救いとなる者達が必ず、存在する・・・例え、救いへの道があったとしてもだ・・・

「おかしいです・・・そんなの・・・」

『本当にガキだな・・・彼女は、お前が完成した事によって、役目を終えたと思い、死んだのだ・・・』

「完成した?」

 

『ヴァニラ・・・少し、自由にしてやるから、そこの培養槽のネームプレートを見てみな・・・見れば、説明が少し楽になる・・・』

「・・・・・・」

ヴァニラは死神が指摘した箇所へモニターを拡大して、見てみる・・・そこには・・・

 

No.0000456

型式 A TYPE H series

通称 ヴァニラ

培養成功・・・

現在、稼動中・・・

 

「・・・っ!?」

『死に逝く運命にあったシスター・ヴァレルが俺に依頼した己のクローン人間・・・それが、お前だ・・・ヴァニラ・H・・・そして、6才児として、ここより出荷された・・・その時の記憶を戻してやるよ・・・人形・・・』

「あ、あ・・・」

「ママ・・・?ママ!?」

ナノナノの呼びかけにもヴァニラは答えない・・・

 

『もう、いいだろう・・・』

死神は鎌を思いきし、振り上げて獲物に襲いかかった!

 

DEATH

 

「チッ・・・はぐれちまったねぇ・・・」

フォルテのハッピートリガーは広大なフロアを一機で彷徨っていた。

 

しかし、そんな状況下でも臆さないのは流石はフォルテと言ったところだろうか・・・

 

『フォルテ殿っ!』

 

「ん?」

 

広大なフロアにもう一機の紋章機が現れる・・・

 

「リリィ!?あんたも無事だったのかい!?」

『はい・・・私一人ですが・・・』

 

人間は面白い・・・

一人でいると必ず孤独心と恐怖心にかられる癖に、他人と会うと安らぎを感じる・・・

その他人がどんなに憎い相手でもな・・・

 

人間は醜く愚かで面白い・・・

だから、殺して愛したくなる・・・

さぁ・・・殺し愛といこう・・・

 

『ふ、ふふふ・・・』

「リリィ・・・?」

 

ハッピトリガーのメインスクリーンに映ったリリィは不気味な含み笑いを始めた。

 

『まだ、気付かないのか?』

「あんたはっ!?」

 

ハッピトリガーの真正面にいたのは間違いなくイーグルゲイザーだ・・・

しかし、パイロットの声は違う・・・

 

『人間如きに成りすます事など、この俺には容易い・・・迂闊だったな・・・声と身体が同じだからと言って本人とは限らない・・・これは軍人の基本遵守事項なんだがな・・・』

 

イーグルゲイザーがアルフェシオンへと変形していく・・・

 

『現状では一対一・・・されど、パイロット、機体の性能もこちらが上だ・・・』

 

アルフェシオンがその死神の鎌を召喚した・・・

 

『さぁ・・・どうする?フォルテ大佐殿・・・』

嘲笑う死神・・・

 

「く・・・」

熟練したフォルテは知っている・・・この死神と戦っても勝てない事を・・・

気合等の精神論でこの神には勝てないと・・・

 

残る方法は一つ・・・

とにかく逃げて味方と合流する事だ・・・

無論、そんな事を許してくれる死神だとは思えないのは百も承知な事だが・・・

生き残るにはそれしかない。

 

『あ、言い忘れていた。このフロアは無限の回廊と言ってな・・・何処まで行っても出口は無い・・・言わば俺の領域の一つだな・・・』

「ちっ・・・やはりね・・・」

 

フォルテも逃がしてくれる相手だとは思っていなかった・・・

 

『ふふ・・・一人では怖くてしょうがないんだろう?』

「・・・・・・」

その言葉にフォルテは舌打ちをしたような顔になった。

 

『戦い慣れた軍人ほど、弧独心には抗えないものだ・・・現実的な戦いを知っているからな・・・そして、お前もその一人だ・・・』

「相変わらず、決め付ける奴だねぇ・・・」

『決め付けるも何も、これは過去に起きた事実だ。お前の弱点は前にも言った通りに過剰反応だ・・・フェイント等に掛りやすいタイプだな・・・だが、珍しい事では無い。』

「そうかどうかはあんたで試してみな!」

 

ハッピートリガーの連装追尾式レーザーが発射されて、アルフェシオンに襲い掛かる!

 

『フン、単純な奴め・・・』

 

死神は面倒くさそうに鎌を振り回してレーザーを斬り払った。

 

「ちっ・・・!」

『もういいだろう?』

「まだ、私は諦めてないよ!」

『いいや、テメェはここで消えな。三流・・・』

 

死神は鎌を振り上げて獲物へと襲いかかった。

 

DEATH

 

「皆は何処に行っちゃったのかしら・・・」

「駄目だ・・・誰も応答しねぇ・・・くそっ!何で外に追い出されるんだよ!」

アニスは言いようの無い苛立ちと焦燥感におわれた。

 

ヘパイストスの宙域にはカンフーファイターとレリックレイダーの姿があった・・・

 

『ようこそ・・・貧困の民よ・・・』

 

「・・・っ!?」

ランファ達は機体を反転させた。

すると、そこには・・・・・・

 

暗闇から這い出てくるかのように死神の紋章機が姿を現した。

 

彼女達も薄々気付いているだろう・・・

 

死神の獲物が自分達だという事を・・・

 

「あんた・・・皆をどうしたのよ?」

『なぁに・・・お前達が知る必要は無い。何故なら・・・』

死神が鎌をその漆黒の禍々しい手に召喚した。

 

『全員、同じところへ連れて行くのだからな・・・』

 

「ふざけんじゃねぇぞ!テメェ・・・!」

 

『口先だけは威勢がいいが・・・実力が補ってないんだよ・・・まぁいい・・・その威勢の良さも見納めになる事だしな・・・』

「あんたがあのミルフィーの兄だという事を私は呪うわ・・・ここまで、腐っているなんてね・・・」

『腐っているのはお前だろう?乞食一家の娘が・・・その内、妹達が身売りされなければいいがな・・・ふふ・・・』

「ホントに最後までイヤな奴だぜ!」

『乞食は飢えを凌ぐ為に盗賊となる・・・お前のようにな・・・』

「この野郎・・・」

『口ではそんな事は死んでもしないと言っても、大抵の人間は空腹時にはその空腹感を堪える事が出来ない・・・だからこそ、他者を襲う野盗になる。それが乞食という人間というものだ・・・』

 

「こいつッ!」

レリックレイダーのスターと呼ばれるレーザーが死神目掛けて発射される。

「アニス!援護するわっ!」

カンフーファイターもそれに続いてビームヴァルカンで援護攻撃を仕掛ける。

 

二機と死神との距離は約30000

 

『そんなチャチな攻撃で俺を倒せる等と考えた時点でお前達は終わっている・・・』

 

死神はその姿を暗闇にくらます・・・

 

ブラック・アウト

 

「ちっ!消えやがった!」

「仕掛けてくるわよ!」

二人は辺りを見渡すが辺りは漆黒一面・・・

そして、二人は気付いていない・・・

死神が鎌を振りかかろうとしている事を・・・

 

『なかなか、愉快だったぜ・・・あばよ・・・乞食シスターズ・・・』

 

死神は侮蔑の念を込めて鎌を振りかぶった。

 

DEATH

 

「薄気味悪い通路ですに・・・」

ミモレットは薄暗い廃れた通路を眺めながらテキーラに呟いた。

「どうやら、強力な領域(テリトリー)に閉じ込められたみたいね・・・」

 

スペルキャスターは広大な通路をひたすら進んでいた。

 

「私達がいた空間そのものを分割し、各個別に閉鎖空間に閉じ込めたのね・・・」

魔女であるテキーラは死神が何をしたのかに大方気がついた。

 

「悔しいけど、あいつの魔力の容量(キャパシティ)は半端じゃ無いわね・・・」

 

『そりゃあ、悪魔だからな・・・』

 

「ご主人様ッ!」

「来たわね・・・死神・・・」

テキーラは今までに無い怖い目で目の前に意識を集中させた。

スペルキャスターが停止すると、目の前に死神が姿を現した。

 

完全の体現者にして最強の紋章機 アルフェシオンである。

 

『やれやれ・・・もうじき死ぬというのにの方は夢の中か?』

「ええ、あなたに会わせるわけにはいかないわ。」

 

『それはそれは、実に妹思いな事で・・・しかし、いい加減に現実を教えてあげた方がよくないか?お前はもう死んでいるって・・・そんな寄生虫をしょっていてもしょうが無いだろうに・・・ふふ・・・』

死神の口元が愉快そうに歪む。

「あんたみたいに妹を悲しませたりはしないのよ・・・私は・・・」

『ふ・・・甘やかすばかりではいつか自滅するぞ?カズヤはリコのものだ・・・しかし、お前の妹は潜在意識の中でその事を受け入れられていない・・・その兆候が現れるのも時間の問題だろう・・・カズヤとリコが男と女の関係になった事にも大方気付いているみたいだからな・・・』

「勝手に決め付けないでくれる?あの子はそんなに弱い子では無いわ・・・それに甘やかしてきたのはあなたの方でしょう?そして、現実を受け入れないでいるのもあんたの方よ、妹達が自分から離れていった事をあんたは受け入れられないでいるのよ・・・」

『・・・・・・』

「だから、今回の騒動をおこした・・・違ったかしら?」

テキーラも死神にカウンタ−で挑発をかける。

しかし・・・

『ふ、ふふ・・・ふははは・・・はーはっはっはっはっ!!』

死神は負け惜しみ等ではなく、本心で笑い出した。

「・・・?」

してやったりと思っていたテキーラは意表をつかれた。

 

『お前は俺を甘く見ている・・・さっきも言ったが、俺は神だ・・・その程度で動じていては神は務まらん・・・俺は妹如きの事で己を見失う事は無い・・・』

「よく言うわ・・・リコを誘拐されて逆上した癖に・・・」

 

その言葉は禁忌だった事をテキーラは知らない・・・

 

『・・・・・・なら、お前にも見せてやるよ・・・』

 

「・・・ッ!?こ、これって、束・・・っ!?」

次の瞬間、テキーラは身体の自由を奪われ、その口を封じられた。

 

正確に言うと因果を消されたのだが・・・

 

『お前にも見せてやるよ・・・俺が外宇宙の連中にした制裁をな・・・』

 

死神から圧倒的な重圧感が発せられた・・・

かつて、外宇宙を震え上がらせた重圧感が・・・

 

『少しばかり調子に乗りすぎたな・・・虫ケラ・・・』

死神の手に鎌が握られる・・・

 

『覚悟しろ・・・魂すら残さねぇからな・・・』

死神は死の宣告を言い渡した・・・

 

DEATH

 

 

 

 

SIDE OF KAZUYA

 

ブレイブ・ハートとウィルドは対峙したままだった・・・

「お前が、ウィルド・・・」

『ええ・・・そして、あなたの創造主でもあるわ・・・No.000001・・・』

「ナンバー・・・?僕の事を言っているのか!?」

『他に誰がいるの?』

「人を番号で呼ぶ事しか出来ないのか?お前は・・・!」

『人?何を言ってるの・・・あなたは人形じゃない・・・』

「カズヤさんは人形なんかじゃありません!」

『あなたの為に造ってあげた人形なのよ?先代のカズヤに似せて造った・・・』

待て・・・今、こいつは何て言った・・・?

 

それはいずれわかる・・・

君たちが過去と呼ぶものが本当に過去と呼べるものだろうか?

よぉく、考えて欲しい・・・タクト・マイヤーズがあんなに血気盛んな男だったろうか?

それが、この世界の矛盾点だ・・・

 

「・・・っ!?」

次の瞬間、周りの景色が一瞬で培養槽だらけになった・・・

「カ、カズヤさん・・・?」

アプリコットはカズヤに向けて問いかけたわけでは無い・・・沢山の培養槽の中にいるカズヤへ呼びかけたのだ・・・

「な、何だ・・・これ・・・」

 

『酷い言い草だな・・・それは全て、お前の器ではないか・・・』

 

『・・・っ!?』

 

僕達の前にいたのはいつの間にかあの人になっていた・・・

「・・・いつの間にっ!?」

「お兄ちゃん!?」

 

『手短に言おう・・・カズヤ・シラナミ・・・ルシファーの細胞より、培養され、成功に至った完成作・・・フェイトのお目付け役兼ボディーガートとしての役目を与えて、NEUEへ出荷・・・』

「何を言ってるんですか・・・」

『はっきり、言おう・・・お前はあの馬鹿女のクローンだ。』

「・・・っ!」

アプリコットは目を見開いて驚いた・・・

「そ、そんなの、デタラメだ!!」

『・・・お前の記憶を戻してやるよ・・・お前が、ここから、NEUEへ旅立つ前の記憶をな・・・』

「・・・っ!」

あの人がそう言った次の瞬間、僕の頭の中にあの人の真紅の眼が見えた。

そして・・・僕の意識は闇へと堕ちていく・・・

 

「カズヤさん!カズヤさん!!」

アプリコットが呼びかけるが、今のカズヤには聞こえない・・・

『お前も、行くが良い・・・タルタロスへ・・・』

死神は妹の意識をカズヤと同じところへ飛ばしていった・・・

 

 

 

ここは、何処だろう・・・真っ暗で何も見えない・・・

 

どうして?ねぇ・・・どうして、君だけが、ここから出られたの?

 

だ、誰だ・・・?

 

辺りを見渡しても誰もいない・・・何も見えない・・・

 

僕は君と何も変わらないのに、どうして君がカズヤ・シラナミに選ばれたの?

 

なのに、声だけが聞こえてくる・・・

 

どうして、お前がフェイトに選ばれたの?

 

羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!羨ましい!

 

・・・っ!?な、何だ・・・こいつら・・・!?

 

ずるいよ・・・僕達も・・・君と同じカズヤなのに・・・

 

ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい、ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!

許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない

許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!

 

“絶対”に許さない!

 

「やめてッ!」

その時、リコが僕の隣に現れて僕の手を握ってくれた。

「リ、リコ・・・」

 

『偽善者ぶるな・・・』

 

僕が安堵の息をつく事も許されずに、妨害が入った。

あなたは、今度はリコにまで矛先を向ける気ですか・・・

 

「私は偽善者なんかじゃ無い!」

妹は兄に向かって、強気に言い返したが・・・

 

『お前が、真面目に仕事をこなそうとするのも偽善・・・何故なら、お前はミルフィーに憧れる反面で、自分も同じところまで辿り着きたいと思った・・・だから、足りない部分を真面目な芝居をする事で埋めあわせていった・・・』

「違う!違う!」

『違わない・・・姉の真似をするのは憧れ半分に嫉妬半分・・・俺はお前の事を誰よりも良く知っている・・・』

僕の方が知っている!と叫んだつもりなのに、声が出ない・・・変だな・・・

『人見知りの激しかったお前が、他人と話すようになったのは、姉が誰とでも分け隔て無く話してコミュニケーションをとっているの見て、羨ましくなったからだ・・・お前はそういう計算深い女なんだよ・・・あの馬鹿女とは正反対のな・・・』

「違う!違う!違う違う違うっ!!」

『そこまで、否定するのならカズヤに聞いてみようではないか・・・カズヤの本心にな・・・』

「え・・・」

『カズヤ・・・ミルフィーとリコ・・・どっちが良かった?』

こ、この人は・・・何て事を聞いて来るんだ・・・そこまでして、リコを陥れたいのか・・・冗談じゃ無い・・・はっきり、言ってやる・・・

「そんなのミルフィーさんの方に決まっているじゃないですか・・・」

カズヤの口から苦笑を交えた声が響き渡る・・・

「・・・ッ!?カ、カズヤさん・・・・・・?」

え・・・どうして・・・

『ほう・・・それは、何故だ?』

「だって、はジャムや紅茶にしか出来ないじゃないですか・・・それに加えてイチゴの方は様々な使用方法があって、味もいい・・・デザートには欠かせません・・・」

 

「カ、カズヤさん・・・何を言ってるんですか・・・」

 

クソ・・・!!黙れ!この馬鹿!!

ロキさんの言った通り、この人は手段を選ばない・・・

僕とリコの仲を引き裂くつもりなんだ・・・

 

『ふ、ふはは・・・中々、面白い例えだな・・・率直に聞こう・・・どちらの身体がお前の好みだ?』

「彼女も悪くありませんでしたけど・・・ミルフィーさんの方が病みつきになれましたよ・・・タクトさんがいなければもっと、派手にしていたんですけどね・・・」

「・・・・・・っ!?」

アプリコットはカズヤの言っている意味を理解した・・・

カズヤが自分の姉と男と女の関係になったという事を・・・

 

こ、この人・・・いや、こいつは・・・最低だ・・・

 

『リコ・・・今のがお前に対するカズヤの本音だ・・・カズヤもやはり、お前より、ミルフィーの方がいいとのご返答だ・・・』

「嘘です・・・嘘−−−っ!!」

「嘘なんかじゃないさ・・・僕はね・・・ミルフィーさんの方が好きなんだよ・・・」

『カズヤ・・・そのぐらいにしてやれ・・・』

白々しい芝居はやめろ!!

「ど、どうして・・・」

アプリコットの目から涙がこぼれ落ちた・・・

しかし、彼女はカズヤに対して怒ってなどはいない・・・単に、カズヤがどうして、自分の事を好きになってくれないのかという事に悲しんでいるのだ・・・

「わ、私に・・・飽きてしまったんですか・・・?」

違う!クソっ!!いい加減にしろ!!

 

そして、カズヤの口はトドメの一言を彼女に告げた。

「当たり前だろう?」

「あ・・・・・・」

そして、彼女は声も上げずに、泣き出した・・・

ただ、静かに泣き続けた・・・

ショックの大きさゆえに・・・

 

『あ〜あ〜・・・泣かせちまいやがった・・・』

お前が泣かせたんだろうが・・・!!

 

もう、限界だ・・・こいつだけは許せない・・・!

 

その時、カズヤの中に隠されていた潜在能力の紐がとかれていく・・・

カズヤ・シラナミはフェイトを守護する騎士なのだ・・・

カズヤの中に宿ったフェイトの細胞が、爆発的な速度で代謝されていく・・・

 

『遂に目覚めるか・・・』

俺は、あいつの元に行く事にした・・・

 

「・・・消えやがった・・・」

カズヤは歯軋りをして、逃げていった敵を睨みつけた・・・

そして、一時はショートしかけた彼の思考回線も徐々に落ち着きを見せていった・・・

 

SIDE OF ATOROPOS

 

「タクトさん・・・ここは一体、何処なんでしょうか・・・」

ミルフィーユは不安気にタクトに問いかけた。

「ゴメン・・・真っ暗で分からないんだ・・・」

 

『待たせたな・・・』

 

次の瞬間、俺の目の前にあいつが現われた。

 

「レイ!!」

 こいつだけは許せない!

『ふ・・・そう殺気だつな・・・真相を見せてやる・・・』

レイはそう言って、指をパチンと鳴らした。

すると、辺り一面に培養槽が現れた・・・

 

「・・・っ!?」

「な、何だ・・・これは・・・」

『これが真相だ・・・No.726742のタクト・・・』

「これが・・・真相って・・・」

 

周囲の培養槽に入れられているのはタクトやタクトや、カズヤや、カズヤや、タクトや、カミュや、カミュや、カズヤや、タクトや、タクトにそっくりの人形達だった・・・

 

「カミュさん・・・?」

「カミュ・O・ラフロイグ・・・形式 No.429100・・・タクトとして培養するが、失敗・・・比較的、精神状態が安定したものを、お前の敵役として出荷・・・そこにあるのは出荷にすら至らなかった失敗作だ・・・」

「失敗作・・・」

『気にする事はないだろう・・・お前は選ばれた成功作なんだからな・・・』

「嘘をつくのなら、もっとまともな嘘をつくんだな・・・」

『やれやれ・・・そういうところは相変わらず、どこかのクソ親父とそっくりだな・・・』

「何が言いたいんだよ・・・お前は・・・」

『まだ、分からないのか?』

「お前の話は毎回、毎回、意味不明なんだよ・・・」

 

『やれやれ・・・タクトという人造人間はな・・・全て、ロキをオリジナルにしたクローンなんだよ・・・』

「遂に頭までおかしくなってしまったのか?」

『ロキを素材にした為にオリジナルのタクトとは違って、いささか熱血的すぎるところがあるな・・・俺にとっては良い事なのだが・・・』

俺がロキのクローンだなんてデタラメも良い所だ・・・

『タクトよ・・・桜葉家に関与する者の血液型が全員O型だという事は知っているか?マスターもそこの馬鹿女も、リコも、カズヤも、ロキやエレナも・・・』

「ミルフィー・・・あいつの言ってる事は本当なのか?」

『は、はい・・・確か、その通りです・・・』

『血液型の違いとはな・・・抗原・・・つまり血液の形成が違うのだ・・・全ては微妙に違うのだが、桜葉家のO型は少し、特殊でな・・・Oと表記してあるのはゼロという意味を持っているからに過ぎない・・・桜葉家の遺伝子には代々、黄龍の血が流れており、その桜葉家の血を引くものと交わった異性には通常の人間とは違う細胞につくりかえられる・・・ロキのようにな・・・

「・・・・・・」

『そして、俺は妹達と交わる者を選んだ・・・特殊な製造法でつくられた細胞をもつ男をな・・・それが、お前とカズヤだ・・・そのヒントはお前達に関係するものに隠してある・・・因果律の命令でな・・・カズヤであれば、紋章機の型式でRAー000に隠してある・・・カミュの場合はOって名前に入ってただろう・・・それに、自己紹介もさせただろう?』

 

(カズヤは私が培養したものよ・・・そこの失敗作と一緒にしないで・・・)

 

(カミュさんは・・・お兄ちゃんに・・・)

ミルフィーユの中で兄に対する、怒りがこみ上げていく・・・

『そして、お前はどこに隠されてあるかわかるか?』

「知るか・・・それに、お前のよた話なんかに付き合って暇も無い・・・」

『そうか・・・ならば行こうか・・・運命の切り手・・・アトロポスよ・・・』

ATOROPOS・・・

 

アルフェシオンがダインスレイブを構える・・・

 

そして、シャイニング・スターもエクスカリバーを構えた・・・

 

『ふふ・・・すぐに仲間達の所へ送ってやるよ・・・』

「・・・っ!?お、お前・・・まさか・・・」

嫌な予感がする・・・

『ああ・・・全員、あの世に送ってやったよ・・・俺は死神だからな・・・』

 

「・・・お前っ!!」

「そ、そんな・・・嘘・・・」

ミルフィーユは信じられなかった・・・

しかし、タクトは違った・・・

死神の本性を知っているタクトは死神が嘘をついているか、ついていないかがすぐに分かるのだ・・・

『安心しろ・・・中にはこのデス・サイズで真っ二つにした奴もいたが、全員、最後は存在そのものをかき消してやった・・・魂すらも残っていない・・・従って、お前達のもとに化けて出る事もあるまい・・・それに、この後はカズヤとリコを始末せねばならん・・・ここで、死んでもらおう・・・』

「ひ、酷い・・・酷いよ・・・」

『お前の子守にもうんざりしていたところだ・・・丁度良い・・・かかって来な・・・』

「・・・・・・お前だけは・・・お前だけは・・・絶対に・・・絶対に・・・」

『絶対に許さないだろ?いい加減に聞き飽きたぜ・・・お前の熱血語はよ・・・』

 

「ふざけんじゃねええええええ!!!!」

『それも聞き飽きたぞ・・・・・・』

パイロットの怒りに連動してシャイニング・スターも爆発的な速度でアルフェシオンに突撃する!

『勢いだけでは勝てぬと・・・何度言えば分かるんだか・・・』

タクトの二刀流を同じ二刀流で返す・・・

「・・・っ!?」

そして、そのまま、右手のダインスレイブと左レッグとのフェイカーでカウンターを放ち、回避したタクトに右ニーのフェイカーで追い討ちをかける!!

「うおおおおおおおお!!!」

復讐の鬼と化した、タクトも右レッグにクラウ・ソラスを召喚して、アルフェシオンの腕を斬りにかかる!

『ふん・・・所詮は猿真似か・・・!』

レイは振り上げられたシャイニング・スターの右足を見逃さずに切断した。

「チィッ!!お前だけはあああああああ!!!」

それでも、タクトはとまらない・・・ひたすら、ガムシャラにレイに斬りかかる!

「タ、タクトさん・・・」

ミルフィーユは悲しさを忘れて、豹変したタクトの咆哮にすくみあがっている・・・

タクトの咆哮はまるで、シリウスの咆哮に似ている・・・

大切な者を失った復讐鬼の咆哮に・・・

 

「お前だけは許さねえええぇぇぇーーーっ!!!!」

『は!誰が、お前の許しなどもらう必要がある?』

怒り狂うタクトを、レイは更に挑発する・・・

 

『あのガキ共がそもそも、この俺を倒そうなどと思った時点で死んでいる・・・力量も測れぬ三流が・・・おっと、失礼・・・現実も見えぬガキが死ぬのは当然の事だろう?』

「貴様あああああああああ!!!!」

 

シャイニング・スターとアルフェシオンの剣が凄まじい速さで幾度も幾度もぶつかっていく・・・もっとも、攻めがシャイニング・スターで受けがアルフェシオンだが・・・

 

『所詮、士官学校を出ただけのガキ共だ・・・俺に勝負を挑むのなら、二等兵からはい上がって来た戦士でなければ話にならん・・・己の欲も捨てきれずに、やりたい放題に軍の資金を食い潰してきたガキ共だ・・・軍法会議にかけるまでも無く、処罰の対象ではないか・・・お前も、その一人なんだぜ?タクト・マイヤーズ司令殿・・・くく・・・』

「ダマレエエエエエエエエ!!!!」

 

『はは・・・そんなに怒るような事か?金食い虫が一掃できたんだ・・・お前が軍人だと言うのなら、ここは喜ぶべきではないのか?』

「クソッ!!アタレ!!アタレエェーーーーッ!!!!」

 

『俺は、皇国軍にはびこった害虫を駆除したに過ぎない・・・』

「害虫は貴様だっ!!!!」

 

『お前に言われる筋合いは無いなぁ・・・お優しい司令官殿・・・ふ、ふふ・・・ふははは・・・あははははは!!あーはっはっはっはっはっはっ!!』

「この野郎っ!!」

 

『いつまでも、頭に血を昇らせてないで、早く死ねよ。』

「死ぬのはお前だ!!!!」

タクトは起死回生で右のエクスカリバーを下から振り上げるが、レイは距離を離して、スゥェーだけでやり過ごす・・・

『お前じゃ、戦いにすらならねぇんだよ・・・ここで、死にな。』

レイはすかさず、カウンターに入る!

「なめるな!!」

タクトは、それでも尚、アルフェシオンに突撃しようとして・・・

 

『リベンジ』

 

リベンジ・・・相手から受けたダメージを相手に問答無用に倍返しで返す究極のカウンターである・・・その命中率は必中である・・・

 

ボッ!

 

「がはッ!?」

バシャアッ!!

シャイニング・スターのメインスクリーンいっぱいにタクトの口から吐き出された鮮血がぶちまけられた・・・

「タクトさん!!!!!」

ミルフィーユの悲鳴が上がった・・・

 

(チッ・・・浅かったか・・・受けたダメージが少ないとこんなものか・・・)

 

DEATH

 

SIDE OF KAZUYA

 

解放された僕は、リコのコックピットへと急いだ・・・

 

「リコォッ!!」

 

「・・・・・・・・・」

リコは、ひたすら声を上げずに泣いている・・・

くそ・・・僕は・・・!

僕のする事は決まっている・・・彼女を抱きしめた。

 

「離してくださいっ!!離してっ!!」

リコは錯乱した様子で僕を拒絶する・・・

くそ・・・完全に騙されている・・・

「ミルフィーさんとは何もしてない!さっきのはあの人の仕組んだ罠なんだ!!」

「嘘つき!!カズヤさんなんか大ッ嫌い!!」

駄目だ・・・このままじゃ・・・よしっ!

 

「リコッ!」

僕はリコの顔を強引に両手で掴んで、僕の顔と向き合わせた!

「僕の顔を見て!」

「いやです!触らないで!!」

パシィン!!

「・・・っ!テテ・・・」

リコは駄々っ子のように暴れている・・・

こうなったら・・・恥ずかしがってる場合じゃない・・・

「いいから僕の目を見ろ!!」

「イヤ!見たくない!!カズヤさんの浮気者!!」

あ、今の言葉には少し頭にきたぞ・・・

「いい加減にしろ!!僕とあの人のどっちを信じるんだよ!?」

「・・・っ!?」

 

カズヤの怒声にアプリコットが大人しくなった・・・

 

「もう一度、言う・・・僕の目を見て・・・そして、君の目で僕を判断するんだ・・・」

「・・・・・・」

リコがおずおずと僕の目を見る・・・

「僕が好きなのはリコだけだ・・・嘘じゃない・・・他の人は何もしてない・・・」

「・・・ほ、本当ですか?」

はぁ〜・・・案外、単純なんだから・・・

 

「本当だよ・・・リコ以外に誰を好きになるって言うんだよ?」

「お、お姉ちゃんとか・・・」

リコは拗ねた様子で言った。

あ〜!もう!!

「あのね・・・僕はリコの全部が好きなんだよ?その形の良い身体の何処に不満があるって言うのさ・・・顔だって、誰よりも可愛いし・・・」

「可愛い・・・でも、それって子供っぽいって事ですよね・・・」

あ〜・・・前にもあったなこういう展開が・・・

 

「それが、ミルフィーさんには無い君の魅力じゃないか!」

「カ、カズヤさん・・・それで誉めているつもりですか・・・」

「ああ、そうさ!僕はもうリコなしでは生きていけない身体になってしまったんだよ?その証拠にこれからは今まで以上にエッチな事をしちゃうぞ!」

「い、いいい今まで以上にって!?」

「・・・あ〜・・・それは・・・」

「???」

・・・しまった、調子に乗って見栄を張ってしまった・・・っていうか、見栄かコレって?

「ロキさんがしそうな事全てさ!!」

「えっ!!!」

すいません・・・ロキさん・・・

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

気まずい沈黙を破ったのはリコだった・・・

「・・・カズヤさんのエッチ・・・」

「は、はは・・・それ程、君にメロメロなのさ・・・」

「は、はぁ・・・」

うぅ・・・誤解は解けたけど、リコの僕に対する印象はロキさんよりになってしまったようだ・・・というか、僕はロキさんの性格がうつってしまったんだろうか・・・

 

 

タクトさん!!!!!

 

「・・・っ!?」

その時、僕は直感的にブレイブハートに乗り込んでいた・・・

 

「カズヤさん!?」

「タクトさんが危ない!!」

「えぇ!?」

「いくよ!位置は僕に任せて!」

「は、はい!!」

 

その絆を一層深めた二人により、エンジンを起動させた二人の紋章機は勢い良く、飛んでいく・・・

 

〜男の闘い〜

 

「見つけた!アレだ!!」

僕達が辿り着いた場所は培養槽が広がっているスペースだった・・・

そこに倒れているシャイニング・スターを発見した。

「右足だけやられているみたいだ・・・」

僕は付近に死神の気配が無いのを確認して、機体を近づけていった・・・

 

「タクトさん!タクトさん!!」

僕はシャイニング・スタ−に呼びかけた。

 

しかし、タクトさんからの返信が帰ってこない・・・

な、何だ・・・胸騒ぎがする・・・

「カズヤさん!行きましょう!」

「うん!」

 

言いようの無い不安に駆られた僕達はパイロットスーツを身につけて、シャイニング・スターのハッチを開けた・・・

「・・・ひっ!?」

リコが息を呑んだ・・・

ミルフィーさんに抱き抱えられたタクトさんの死体を見て・・・

タクトさんは胸が撃ち抜かれていた・・・

 

「・・・あの人ですか・・・?」

僕はミルフィーさんに確認をしたが・・・

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

ミルフィーさんはひたすら、謝っているだけだった・・・

「お姉ちゃん・・・」

 

(来いよ・・・今度はお前の番だ。)

「・・・・・・」

僕は、ミルフィーさんを擦って慰めているリコを置いて、ブレイブハートに乗り込む・・・

あいつだけは絶対に許せない・・・

あの人はもう、レイ・桜葉じゃ無い、死神のメシアだ・・・

 

僕は、ブレイブハートとクロスキャリバーのドッキングを解除した。

「・・・っ!?カズヤさん!何をする気ですか!?」

 

「リコはここで、ミルフィーさんを頼む!!」

「ま、まさか・・・カズヤさん一機で戦うつもりですか!?」

「いいね!?絶対にここを動いちゃ駄目だからね!」

「待ってください!一人じゃ無理です!」

「悪いけど、時間が無い!!」

僕はブレイブハートを出口に向けて飛ばした・・・

絶対に逃がさないぞ!!

 

(カズヤ・・・アナタの力を見せてもらうわよ・・・)

 

僕はひたすら、まっすぐ進んでいる・・・

死神が僕を呼んでいるのなら、何処にいこうが、出口に着く筈だ・・・

 

そして、予想通り、僕は死神が待っていた出口へと出てきた・・・

 

『ようやく・・・来たな・・・残るは、お前と妹達の二人だ・・・』

「お前は・・・フォルテさん達も・・・」

『ああ、ゴミは処理した・・・』

そう・・・僕が抱いた嫌な予感とはこの事だったのだ・・・

シャイニング・スターが倒されている時点で・・・気付いていたんだ・・・

 

「もう、お前はリコのお兄さんなんかじゃ無い・・・悪魔そのものだ。」

『何を今更・・・しつこいな・・・最初から俺は悪魔だと言ってきただろう・・・』

 

敵の紋章機は僕の紋章機と同じで飛行形態になっていた・・・

黒いラッキースターと言えばわかるだろう・・・

 

『しかし、俺も甘く見られたものだ・・・ブレイブハート一機で来るとはな・・・』

「いけッ!!」

こいつと話す事はもう何も無い・・・

僕はフライヤーを総射出して、死神を攻撃しろと命じる。

 

『ふ・・・いい判断だ・・・それでこそ、軍人だ・・・』

死神は見えないサーヴァント達へカズヤのフライヤー全79機を全て撃破しろ、と命じた・・・しかし・・・

『むっ・・・?』

 

生き残ったフライヤー三機がアルフェシオンに攻撃をしたのだ。

もちろん、それはアルフェシオンのボディをすり抜けていったが・・・

 

『・・・はじめてだ・・・油断していたとは言え、回避できなかった攻撃は・・・』

「・・・・・・」

僕はそのまま、死神に攻撃を続ける事にした。

こいつと話す事は無い・・・

 

カズヤのフライヤーは逃げに回った死神を執拗につけまわしては攻撃する。

 

『ふ、ふふふ・・・ふははは・・・』

「・・・・・・?」

死神は僕の攻撃をかわしながら、気味の悪い笑い声を出した・・・

 

『いや〜・・・お見事、お見事・・・お前は凄いよ・・・・・・・・・本当にな・・・』

な、何だ・・・死神の気配が・・・

 

『なら、本気で相手をしてやろう・・・』

 

「!!!!」

 

その時、この宙域が凍りついた・・・

眠れる獅子を起こしてしまったカズヤ自身も・・・

 

戦況は一瞬で変わった!

今まで、受けに回っていた死神が自分から攻撃を開始したのだ。

死神は今まで、使用しなかったビームファランクスや、実弾兵器まで使い始めた。

「は、早い!?」

 

しかも、敵の弾速はもの凄く早い・・・

それは死神が火器からホーミング(追尾)性をカットしているからだ。

それも、その筈だ・・・この死神にホーミング(追尾)性など必要ないからだ・・・

 

『どうした・・・俺を殺すんだろう?』

そして、逃げ回るカズヤに執拗に攻撃を加える!

 

「くっ!?ぐあっ!」

 

天性の才能を持つ、カズヤが全力で回避に専念しているのにも関わらず、死神の攻撃が複数、ブレイブハートに被弾した。

 

『どうした、カズヤ?・・・この程度で終わりなどと言うなよ・・・』

「うわあああーーーー!!!」

死神は容赦なく、カズヤを滅多撃ちにし始めた・・・

 

「カズヤさん!?」

カズヤの悲鳴がアプリコットに伝わってきた・・・

二人の意識は限りなく繋がっている・・・その為に、些細な変化も見落とさないのだ。

 

ミルフィーユはタクトに抱きついたまま離れない・・・

「お姉ちゃん・・・ごめん!」

 

アプリコットはクロスキャリバーに乗り込むとカズヤの気配を頼りにヘパイストスの出口を目指していく・・・

「カズヤさん!!」

 

 

 

 

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