後日談 真のつわもの

 

 

 

 

 

「ったく・・・・レイの奴、毎日報告書を出せなんて絶対に嫌がらせだよなぁ・・・・・」

 

ここはルクシオールの居住区、現在はルクシオールの艦長にして紋章機シャイニング・スターに乗っているエースパイロット タクト・マイヤーズは毎日、就寝の前に教育係のレイ・桜葉に運航状況などの報告書を持っていくことになっている。

 

レイ・桜葉は最強の紋章機アルフェシオンのパイロットにしてかつての最強の敵だった男である。

 

   ・・・・元は神様・・・・今はただのシスコン兄貴である。

   レイの部屋は自分で造ったロスト・テクノロジーの保管庫もかねている為、艦内一の広さを誇っている。

 

しかも、レイの技術により特殊加工を施されており、室内は実際の面積よりも広く装飾などは皇王の部屋よりも豪華になっている。

 

「全くあいつの教育はやりすぎなんだよなぁ・・・・」

 

ぶつぶついいながらタクトはレイの部屋の前に着いて、インターホンを押してレイが出てくるのを待った。

 

「・・・?おかしいなぁ・・・・モニターに留守の表示は出てないしなぁ・・・」

 

レイは風呂の中にもインターホンを設けていているし、寝ている時は眠れる獅子起こすものには制裁あるのみと表示されている筈なのだが・・・・モニターには入出中の合図であるハートに囲まれたミモレットのマークが出ている。

 

「相変わらずあいつの美的センスは分からないなぁ・・・・よくあんな開発者で紋章機が変なものにならずに済んだものだ。」

 

出てこないタクトは思い切ってOPENのボタンを押す事にした。

ドアはあっさりと開いた。

 

「あ、あれ・・・?まぁ、いっか・・・おーい、報告書もって来たぞ〜」

返答は無い・・・レイは地獄耳なので聞こえないわけが無いのだが・・・

 

「う、さ、酒臭いな・・・また飲んでいたのか・・・」

 

食べるのが嫌いで(酒を)飲むのが好きという超がつくほどの変人のレイは酒には目が無く毎晩、飲酒をしている。

 

「おーい!いるんだろ!出てこないとこの前お前がリコを隠し撮りしていた事をばらすぞぉ〜・・・」

 

いつもなら跳び蹴りが飛んでくるところなのだが・・・相変わらず返事は無い・・・照明はついているのだが・・・

 

「・・・ん?・・・あっ・・・」

 

タクトは足元の絨毯に人が倒れているのを見つけた。人はミモレット柄のパジャマを着ていてうつ伏せに倒れている。

 

ミモレット柄のパジャマを着て倒れているのは間違いなくレイだった。頭の近くには血痕の跡と粉々に割れたバイザーがあった。

「ま、まさか・・・死んでいるのか・・・?」

 

タクトは恐る恐るレイをひっくり返すとそこには・・・

「きゅ〜〜〜〜〜」

 

という表現が似合いそうなぐるぐる目をしたレイの顔があった。

折角の美顔もその目と鼻血のせいですっかりギャグ調になっていた。

 

「・・・・・・」

 

微妙な顔でタクトはレイを起こそうとするが、依然としてレイは目を覚まさない。

「・・・・・・・・・」

タクトは冷静に現状を把握する。

 

レイが気絶している→日頃から苛められている→周りには誰もいない→部屋は防音装備→ドアをロックすれば密室→完全犯罪が可能。

 

「チャ〜〜ンス♪」

 

どことなく、タクトの心の中にどす黒い感情が芽生えてきた。

 

「お〜いシスコン・・・起きろシスコン、起きろってばシスコン。」

 

禁句その一を言ってもレイは目を覚まさない。普段なら叩きのめされる程に激怒する禁句なのだが・・・

 

「お、面白い・・・!!」

 

味をしめたタクトは日頃の鬱憤を晴らす事にした。

 

「シスコン、ジュニコン、ロリコン、猫フェチ、尻尾フェチ・・・いっつも偉そうにしやがってこうしてやる!」

 

タクトはあくまで起こす為に横になっているレイの鳩尾にサッカーボールのシュートのようなトー(つま先)キックを入れた。

 

「い゛っ!!!!!!」

 

その瞬間、つま先に激痛が走った。まるで分厚い鉄板を蹴ったかのように・・・

「ヒィィィィィィィィーーーーーーーー!!」

 

タクトは悲鳴をあげながら堪らず転がりだす。

 

ようやく痛みが治まった頃、タクトは冷静に考えてみる。

 

「こいつを倒したっていうのは驚いたよなぁ・・・・」

 

それもその筈、レイは神でもあるので人間に倒せる男ではない。タクトはこの男の強さを知っている。

タクトは気絶したレイの容態を心配し・・・

 

「う〜ん・・・犯人と仲良くなればこいつの天下が終わるんだよなぁ・・・何とかして見つけないと。」

 

もっぱらレイの心配どころか別のところで心配していた。

 

「こいつが目を覚ますまでが勝負だな・・・」

 

タクトは早速、犯人の捜査に出る事にした。

 

「今日こそこいつの支配から解き放たれるんだ!」

 

エンジェル隊や乗組員に事情を話し、目撃情報などを集め、タクトにしては珍しく犯人の割り出しに力を入れていく・・・

 

アプリコットやカズヤを除いたエンジェル隊からは知ってても教えないとか、天罰が下ったんだいい気味とかか、レイ・桜葉って誰?という内容の返答が帰ってきた。

 

さすがのタクトもレイが少し可哀想に思えてきた・・・

 

一方その頃、レイは・・・・

 

「・・う・・・う〜ん俺とした事が・・・KOされてしまうとはうかつだった・・・」

 

ナノマシンで傷の手当てを済ましたレイは秘蔵のワインが一本無くなっていることに気付いた・・・・。

 

「あ〜!お、俺の、ギャラクシーボンバー40年物があぁぁーー!?」

 

レイは手をムンクの叫びのように頬にあてて悲鳴を上げた。

 

「お兄ちゃん!大丈夫!?」

 

その時、リコとカズヤが慌てて俺の部屋に入ってきた。

 

「リ、リコ!?カズヤも!」

 

「あ、あの僕達、タクトさんからレイさんが何者かに襲われて怪我をしたって聞いて・・・」

 

「あ、ああ・・・それはすまなかったな・・・実はな・・・」

 

レイはバツが悪そうに頭をかき経緯を話した。

 

そして、タクトは最後にミルフィーユの元へ来たのだがインターホンを押してもミルフィーユから返事は無かった。

 

「ミルフィー?いないのか・・・?」

 

俺はレイの件があったので心配になり、OPENをおした。するとドアはすんなり開いた。

 

「あ、あれ・・・?」

ドアがすんなり開いたので少し、拍子抜けしてしまった。しかし、部屋に漂う独特の匂いに俺は気付いた。

 

「な、何だ?酒臭いな・・・」

 

「あっれぇ〜ヒック!タクトいゃねぇか〜ひっく!」

 

今、ミルフィーの声らしきものが聞こえてきました・・・

「え〜と・・・ミルフィーさんいるの・・・?」

 

「何だよ、人の部屋に勝手に入ってきて・・・・ひっく!」

 

「実は中身がフォルテとかいうオチかなぁ・・・」

 

「はぁ?あんなおばんと一緒にするんいゃねぇよ!ひっく!大体そのネタはお前のいない世界で体験済みだ・・・」

 

「はい?」

「それよりも付き合えよひっく。」

 

俺はミルフィーさんを見てギョッとしてしまいました。

床に座り、片手にはワイングラス・・・おまけに目が三日月みたいに据わってます・・・まるでレイのようです。

 

すこし面白くてかなり怖いです。

 

頬には赤みが差しています・・・そしてしゃっくりを繰り返します・・・つまり・・・この状態を一言で表すと・・・

 

「ミルフィーさん・・・・酔っ払っています?」

 

俺は酔っ払い相手にお約束の台詞を言いました。

 

「なにぃ!ひっく!わらひはよっぱらってなんかないろ〜!!」

 

こちらも酔っ払いお約束の台詞で返してくれました・・・

しかも微妙に呂律が回っていません・・・

酔っ払ったミルフィーが立ち上がり俺に近寄ってくる片手にワインのボトルを持って・・・

 

酔っ払ったミルフィーは据わった目で俺を睨みつけ・・・

 

「飲め!」

 

これまたお約束の台詞を言ってくれました。

 

「ミ、ミルフィーさん?もう寝る時間ですよ・・・?」

 

俺は上擦った声で止めようとしたのだが・・・

 

「ああん!?あっかやろう!酒ってのはこういう時に飲むものらろうあ!!」

 

またしてもかなり微妙に呂律が回っていない口で説教されました・・・ あまりの酒癖の悪さに涙が出てきそうです。

 

「・・・おまえ・・・さっきからなんかノリあ悪いな・・・」

 

「め、滅相もありません!!」

 

俺はミルフィーの前にシュッたと正座して機嫌を伺おうとしたのだが・・・

「わらひの酒あのめねぇなぁんっていうのか・・・!?」

 

またしてもというか酔っ払いの鑑のような台詞をお聞かせくださいました・・・よほど頭の中がぐるぐるしているのでしょうか?

 

「あいたい(大体)少し目を離せあ他の女に手ぇあしやあって!こうなったら無理矢理のましたらぁーーー!!」

 

酒乱ミルフィーが俺に飛び掛ってきた。その片手にはワインのボトル、その殺気はレイにも匹敵してた。

 

「ヒィィィィィィィィーーーーー!!」

 

タクトは本日二回目の悲鳴を上げる事になった。

 

 

事件の真相はタクトがレイの部屋につく一時間前に話はさかのぼる。

 

レイは入浴後についついベットで眠り込んでしまっていた。

 

「ZZZZ・・・ZZZZZZ・・・ん・・・?」

 

ふと、俺の息ができなくなる。というか口が塞がれている・・・口には柔らかく暖かく、気持ちよい感触が・・・ってぇ!!俺が慌てて目を開けるとそこには俺にキスをしている真っ最中の俺の顔・・・・否、馬鹿女の顔があった・・・ってオイ!!

 

「何さらすんじゃああぁぁぁぁぁー−−−−!!!」

 

俺の強烈な右アッパーが馬鹿女を見事に吹っ飛ばした。

吹っ飛んだ馬鹿女はものの見事に絨毯に転がる。

 

「いった〜〜い!も〜う何するの〜!?」

馬鹿女が涙目で抗議するが、無視してバイザーを装着した。

 

「それは俺の台詞だ!大体どうやって忍び込んできたんだ!?ロックがかかってだろう!?」

 

「うぅ〜・・・・そんなの知らないよ〜!ボタンを押したら勝手に開いたんだもん!」

 

しまった!俺はドアのセキュリティータイプをパスワード入力が面倒くさいのでDNA、血液型、指紋などで識別する生体認証タイプにしていたのだ。

 

「・・・ミルフィーお前・・・O型だったよな・・・?」

 

「う、うん・・・ぐすん・・・」

 

べそをかきながら肯定した・・・やっぱり・・・

 

「ノオ−−−ッ!!」

 

俺は頭を抱え込んで自分の愚かさを呪った。

 

うぅ・・・ごめん・・・シャトヤーン・・・

 

そういえばリコがO型なのでタクト、カズヤそして俺とこの馬鹿もO型にしてたんだった・・・・献血の際に便利かと思って・・・

 

      そんな理由で人の血を設定したんですか・・・あなたは・・・

 

「お兄ちゃん、どうしたの?なんか苦しそうだけど?」

 

「どっかの誰かさんが奇天烈な起こし方をしてくれたおかげでな・・・」

 

「え?やだな〜照れるななぁ〜」

 

「誉めてねぇよ!さっさと帰れ!この馬鹿女!これは命令だ!」

 

嫌な汗をかいた俺はもう一度シャワー浴びる事にした。特に口は念入りに洗う事にした。

 

「ったく・・・こんな事がシャトヤーンに知れたら離婚になるかも知れん、シヴァにも絶縁されるかもな・・・何としても黙殺せねば・・・」

 

俺はミルフィーの記憶をまたいじろうと考えながら、風呂から出たのだが・・・

 

「酒臭っ!!」

 

部屋に広がる酒の匂い、そして俺の秘蔵の銘酒をラッパ飲みしているミルフィーの姿があった。

 

「お、お前・・・・・何をして・・・・それは・・・・それは・・・・俺が楽しみにとっていた・・・・銘酒 奈落極楽落とし!」

 

銘酒とは上等なお酒の事、なかなか手に入らない物・・・

この奈落極楽落とし一本、乗組員の月給に相当する程の高級品である。

 

「き・・・貴様ぁ!!!」

 

レイの青い目が怒りで真紅の眼にかわる。これはレイが本気になる合図でもある。

 

レイの体からは赤いオーラが立ち込める。普通の人間な恐怖のあまり金縛りにあうだろう・・・しかし・・・

 

「ん?何あ・・・もうえ(で)てきたのかよ・・・しっかしこれ辛口あよな・・・すっこしきついぜ・・・!」

 

といいながら空になった酒瓶をぺっと放り投げた。

 

レイの体が小刻みに震え出す。

 

あたりの空間もひしひしと震え出す。

 

「なんあぁ・・・?そのめはぁ・・・やんのかこらぁ?」

 

ミルフィーユがゆらリと立ち上がる。

 

「てめえぇぇぇぇーーーーーー!!!」

 

本気で怒ったレイが渾身の左ストレートを繰り出す。

その腕力は人間レベルではない!

 

相手が普通であるならばの話だが・・・

 

ミルフィーユはレイの左ストレートに右ストレートで対抗する。

 

「む!?」

 

その瞬間稲妻のようなミルフィーユの左ストレートがレイの顔面に炸裂してレイのバイザーは粉々にされレイが床に倒れ込んだ。

 

ミルフィーユが放ったのは

 

古賀陽輪流 最終奥義・・・狼牙一閃

 

通称 ライトニングカウンター

 

生前のミルフィーユの父ロキがアバジェスやレイの阿部陰月流に対抗する為にあみ出した奥義である。

 

陰月流に隙は無い。しかし、攻撃の際には必ず隙が出る。

暗殺拳故に常に先手が前提であるので、その威力を逆利用するのが後手の陽輪流である。

 

(*お詫び) もしかしてアバジェスとレイって馬鹿?などとは思わないであげてください。

 

狼牙一閃が早すぎた為にもう一度分かりやすく解説します。

 

レイのストレートも稲妻のような速さだったのだが、ミルフィーユは正確にレイのストレートに合わせて右手を当てた。

 

ミルフィーユは拳を傷めない為に手首を90度回転させてある。

 

「ぬ!?」

そして、レイの左ストレートのおかげで右回りの遠心力を得たミルフィーユはあらかじめ用意していた左ストレートでレイを沈めた・・・。

 

(お詫び) 何者かにより一部偽装された文章がありますので訂正しておきます。迷惑をお掛けした事を深くお詫び申し上げ致します。

 

レイのストレートも稲妻のような速さだったのだが、ミルフィーユは正確にレイのストレートに合わせて右手を当てた。ミルフィーユは拳を傷めない為に手首を90度回転させてある。

 

そしてミルフィーユはレイの左ストレートのおかげで右回りの遠心力を得たミルフィーユは・・・

 

「へ?」

 

間抜けな声を出したレイの顔面に稲妻のカウンターストレートを叩き込んだ!!

 

「ブルゴギジャン!!!」

 

解析不能な言葉を残し、レイは無様に倒れ込んだ。

 

「けっ!思い知ったか!ばーろい!!」

 

「きゅぅ〜〜〜〜〜〜〜」

 

レイは目をなるとのようにぐるぐるとまわしながらダウンした。

 

俺の状況説明が終わると微妙にカズヤは引きつった笑い顔をしリコは珍しく目を細めて俺を睨んでいた。

 

「ふ〜ん・・・お姉ちゃんとキスしたんだぁ・・・へぇ・・・」

 

「えぇ!違う!されたんだよ!!」

 

「嘘つかないで!お姉ちゃんがそんなはしたない事するわけ無いでしょう!お兄ちゃんの不潔!!」

 

リコは部屋を飛び出していった。

 

レイ・桜葉は頭に100tハンマーの衝撃を受けました。

 

「リコ!?すいません!」

 

カズヤもリコを追いかけて部屋を飛び出していった。

 

「はぁ・・・誰か何とかして下さい・・・この桜葉三兄妹の三角関係?を・・・とほほ・・・」

 

タクトのように情け無い顔で俺はため息をつきながら酒をあおるのだった・・・はぁ・・・俺何か悪い事したのか?

 

注) 日頃の行いが・・・ふぎ!?

 

そう考えるとあの馬鹿女に対する怒りがこみ上げてきた・・・

 

「そうだ・・・よく考えたらあいつのせいだよな・・・おのれ・・・あの馬鹿女め許すまじ・・・・この恨み晴らさいでおくべきか・・・・!!」

 

注)い・い・で・す・か!?こんな人がこの世界の創造主なんですよ?まぁ、いかにもこの人らしい考え方ですがね・・・こればれたら私も制裁されてしまうんでしょうか?ぷっ・・・(´_ゝ`)

 

ムギャ!?ギエ!ギャァーーーー!!(制裁中)堯福Д゜;)

 

「制裁だ・・・!堕天使 ルシファー!貴様を制裁する!!」

 

(ボソボソ・・・いや・・・あなたも同類ですよ・・・?)

 

俺は戦闘用の服を着こんでいく事にした。陽輪流が相手ならそれを倒すのも阿部陰月流二代目継承者としての役目だろう。

 

リコからは面会謝絶を言い渡されている為、俺はカルーアの部屋を訪れた・・・

 

「あらあら〜どうしましたの〜こんな夜更けに・・・」

 

「ミモは?」

 

「ミモレットちゃんならそこにいますわ〜・・・」

 

「い、嫌ですに・・・もう、枕は嫌ですにぃーーー!!」

 

レイは逃げようとするミモレットをあっさり捕まえてしまう。

 

「た、助けてですに〜!カルーア様〜!!」

 

「ミモ・・・」

 

レイはミモレットに頬をさぐりつけるように抱きしめた。

 

「む、むぎゅ・・・お、男同士でキ、キモイですに・・・」

 

「ミモ・・・もし俺が生きて帰れたら・・・」

 

「こ、この人は、な、何を言ってるですに〜・・・?」

 

レイからきらきらなオーラが立ち込めている。

 

「生きて帰れたらまた一緒に寝ような?お前のふかふか感は忘れられないんだ・・・」

 

「だ、だからイヤですに〜。」

 

「さて・・・行くか・・・」

 

ミモレットを名残惜さそうにレイは部屋のドアまで戻り・・・

 

「じゃあ、行ってくるな・・・ミモ・・・」

 

「何かよく分からないけど、頑張るですに〜・・・」

 

「ありがとう・・・じゃっ」

 

戦場に赴く兵士のように出て行った。

 

「あの方は何をしに来たのでしょうか〜?」

 

「ミモにも解析不能ですに〜・・・」

 

俺は決戦の舞台へと赴く、敵の名はミルフィーユ・桜葉・・・

あいつはアルコールを摂取する事で最強の格闘家となる・・・

 

俺を突き動かしているのは・・・

それは天下を取り戻す為か?

それとも妹に対する兄としての尊厳を守る為か?

古牙陽輪流に対する阿部陰月流の使命感か?

ルシファーに対するルシラフェルとしての本能か?

完全の体現者として奇跡の体現者への使命感か?

黒き者として白き者が憎いからなのか?

 

答えは全部だ!

 

だから俺は命を懸けて勝負に向かう。

 

(かなり自己中な考えですよね・・・)

 

やがて、俺はミルフィーの部屋の前にきた。

 

覚悟を決めろ!

魂を見せろ!

レイ・桜葉!!

 

ドアを開けるとそこには敵がいた・・・

 

「・・・ん?何あ手前・・・またのされにきたのか?」

 

敵 ミルフィーユ・桜葉は酒瓶を片手にテーブルについていた。

 

「・・・・・・」

 

俺は無言で歩み寄っていく・・・

 

「・・・・・・?」

 

しばらく歩いていくと何故か床に突っ伏しているタクトの姿が見えた。かなりやばい状態らしい・・・だから、俺は・・・タクトを・・・

 

「ゴーーツゥゥーーーヘェェールッ!!」

 

思いきっし蹴っ飛ばした。

 

タクトはまるでサッカーボールのようにバウンドして部屋の中を飛び回った。そしてタクトが収まってから・・・俺はミルフィーに宣戦布告をしてやった。

 

「借りを返しにきたぜ・・・」

 

俺は構える。

 

「なんあよ、やんのかコラ?」

 

ミルフィーが頭をかきながら立ち上がった。

 

俺はすかさず攻撃に出た。もちろん不用意にストレートを出しはしない。狼牙一閃は上段へのパンチに対してのみ使える技だからだ。

 

「フン!」

 

俺は下段蹴り上段蹴りと変化を加えながら足技を駆使する。

 

「・・・・・・」

 

目のすわったミルフィーはひょいひょいとかわしていく。

 

「ち・・・」

 

さすがはロキの血を引く者だけあってその動きは洗練されている・・・今度はミルフィーが仕掛けてきた。

 

俺は、急所へ攻撃されないようにガードしていく、格闘技で負けない為の最大のセオリーは急所を打たせない事である。

鳩尾や腱鎖関節(肩と鎖骨の間)などの急所は鍛えられてない為、直撃を受ければそこで終わりだ。

 

どこにこんな力を持っていたのかミルフィーの攻撃はガードしていても確実に俺にダメージを与えている。

 

それに対してミルフィーの陽輪流は後手にまわり、寝技や立ち技に重点をおいた格闘技で、俺の陰月流は前手にまわり、急所への攻撃やカウンターなどに重点をおいた暗殺術だ。

 

前手なのにカウンターとは変だと思うだろうが、そこがミソなのだ。ミルフィーは所詮、酔っ払い・・・

いきなりラッシュをかけてくるなんて素人の所業だ。

ラッシュとは本来相手を倒せる状況で追い込む時に仕掛けるものだ・・・

 

いきなり、仕掛ければスタミナが切れてしまうだろう・・・

俺はミルフィーのスタミナ切れを待っているのだ。

 

今、カウンターを出せば狼牙一閃を喰らうだろう。狼牙一閃とは本来、カウンターへのカウンターなのだ。

 

ロキやタクトがアバジェスを倒したのもアバジェスの十八番のカウンターを逆利用したからだ。

 

だから、ミルフィーの集中力がきれた時に必殺のカウンターを叩き込む!・・・つもりなんだが・・・一向にミルフィーに隙が見えない。

 

それどころか俺のガードが持ちそうに無い。

 

「く・・・!」

 

俺のガードが撃ち崩され、顔面ががら空きになり・・・

「ヤッ!!」

 

バキィ!!

 

「ペプシ!!」

 

伝家の宝刀の右ストレートがレイの顔面に綺麗に決まった。

父親譲りの完璧なストレートだった・・・

 

「きゅ〜〜〜〜〜〜〜・・・」

 

結局、この後タクトとレイは一緒に医務室に搬送された・・・

 

「・・・ったく・・・またこいつ(レイ)と同じ部屋なのかよ・・・」

 

「この俺が・・・負けた・・・ミルフィーなんかに負けた・・・」

 

レイは相変わらずうわ言のように何かをぶつぶつ言っていて何の反応も返してこない・・・

 

「はぁ・・・まさか、ミルフィーが酒一つであそこまで変わるなんてなぁ・・・」

 

ロキが何故あんなに彼女に酒を恐れていたのかがようやく分かった気がする・・・

 

「・・・タクトばかりか、よりにもよってミルフィーにまで・・・」

 

まだ、何か言ってるし・・・・・

 

「・・・ッ!」

 

隣でレイがビクッとなった。こいつの直感は鋭い・・・

何かを感じたんだろうか?

 

その時、誰かが入ってきた。

 

「タクトさ〜ん、お兄ちゃ〜ん、お見舞いにきましたよ〜♪」

 

「・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・コロス・・・」

 

「・・・ッ!」

 

「あれ?どうかしましたか?」

 

そこにはいつも通りのミルフィーの姿があった・・・

 

「ふ、ふふふふふふふ・・・ふふふふふふふふふ・・・」

 

隣ではレイが気味の悪く含み笑いをしていた・・・

 

拳をプルプル震わせ、目を真っ赤に染めて・・・

 

 

 

 

 

 

真のつわもの

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