2007年 818日・・・

東京都 ビッグサイト・・・

 

「うっわ〜!すごい人の数ですね〜!」

「やれやれ、これじゃあ動く事すら難しいそうだ・・・」

 

俺ことタクト・マイヤーズとミルフィーユ・桜葉は

コミック・マーケットと呼ばれる“イベント”に来ている・・・

太陽の光が眩しい・・・

 

*注意 実際は曇りでした・・・

 

「ほらほら見てくださいよ。リコがタオルの絵柄になってますよ!」

 

ミルフィーが店頭に飾られてるタオルをねぇねぇと言わんばかりに指差している。

現在、俺たちは西館の四階にいる。

ここは、企業が自分達の商品を販売している場所で、一般には企業ブースと言われている。

結局、そのリコの絵柄のスポーツタオルを購入した後、俺たちは外に出てみた・・・すると・・・するとだね・・・

 

「う、うわ〜・・・」

 

ミルフィーユは口を開けたまま目の前の光景を見ていた。

そこには変装した者達の前に列を作って並ぶ者達・・・そして、何よりも変装した者の集団だった。

私は、近くにいる男の人にこの仮装大会の事を聞いてみることにしました。

 

「あ、あの!すいません!」

「はい・・・おぉ!?凄い!ミルフィーそっくりっすね!」

「え、えぇ!?」

 

え!え!?私が私にそっくりってどういうことですか〜!?

 

「お願いします!一枚取らせてもらないッスっかっ!?」

「え、な、なんですか!?」

 

その男の人はカメラを構えてお願いしますと私に聞いてくる。

何か、視線が怖いです〜!

タクトさ〜ん!

 

「おい!何してるんだ!!」

 

タクトがカメラを構えた男の前に立ちはだかる。

 

「タクトさ〜ん!」

 

半泣き状態のミルフィーユがタクトの背後に張り付く、その様はまるで、大人にすがりつく子供そのものである・・・

 

「何って・・・コスプレイヤーさんの撮影ですけど?」

 

男は何か悪い事でもしましたかとばかりにキョトンとしている。

 

『コスプレイヤー?』

 

タクトとミルフィーユは同時に首をかしげた。

 

「というか、そちらのミルフィーのコスプレをしてる人も撮影を意識して衣装を揃えたんでしょ?」

「ミルフィーのコスプレって・・・そもそも、私のコスプレって何なんですか〜?というか、コスプレって何ですか?」

「へ・・・?」

 

男が不審そうな表情に変わった時だった。

男が二人の視界から消え去ったのは・・・

 

「あ、あれ!?さっきの人がいなくなっちゃいましたよ!?」

「さぁ・・・急用を思い出したんじゃないかなぁ?」

「ほぇ〜・・・そうなんですか〜」

「うん・・・」

 

今、一瞬だけ見えた“紅いハチマキの男”の事はミルフィーには教えない方がいいだろう・・・

・・・・・・にしても

ここは何かいいなぁ〜

何と言うかさ・・・大胆というか・・・

分かるだろ?男の浪漫(ロマン)さ!!

 

「・・・・・・」

「ん?」

 

いつの間にかミルフィーが俺の真正面に立っていた・・・・・・ニコニコと満面の笑顔で・・・

 

「タ・ク・ト・さん?」

「は、はい・・・何でしょう・・・か?」

 

そのミルフィーから発せられる異様な威圧に思わず“怒らないで下さい口調”になってしまう俺・・・

 

「ふふ・・・さっきからどうしたんですか?女の子達の方ばかり見て〜」

 

「い、いや〜・・・そん・・・」

 

そんな事する訳がないじゃないかと言おうとしたところでミルフィーが遮って続けた。

 

「うわ〜♪“凄く大胆でセクシーで妖艶な衣装を着た人達”が沢山いますね〜」

 

確信した・・・

ミルフィーは間違いなく怒ってる・・・

 

「あんな衣装を見せ付けられたら“私なんか”もはや、視界にすら入らないですよね〜?」

 

怖っ・・・!!

何かこの感覚は・・・

言葉が出ない・・・

どこぞやの“陰険シスコン悪魔”を思い出させる・・・

 

(上等だ・・・この野郎・・・)

「エッチなタクトさんにはさぞかし天国のような場所なんでしょうね〜♪よかったですね〜タクトさん?」

 

怖い・・・怖いよ〜・・・

 

「すいません・・・」

「え?どうして謝るんですか?」

「え?」

 

ミルフィーはまだ笑っているーっ!?

 

「私も(タクトさんより)格好良い男の人を見たらタクトさんの事なんか全然!これっぽっちも!気にならないですし〜!」

 

・・・と、ミルフィーユさんはニコニコとお互い様ですよ〜と目線で教えてくれました。

 

「う・・・うぅ・・・」

 

その後、俺はミルフィーの機嫌を直す為にあの手この手を駆使しました。

はぅ〜真面目に怖かった〜・・・

それから、俺達は人の波に流されそうになりながらも西館から東館へと向かった。

 

「ここは通路です!立ち止まらないでくださ〜い!」

「うわ〜!流されます〜・・・」

 

連絡通路はまさに、人の波であった・・・

東館へ行く者と西館へ行く者で分けられており、原則的に左側通行らしい・・・なんか、車道みたいだ・・・

 

「ふえ〜・・・」

 

今度、ミルフィーユが目にしているのはコミケの本命とも言えるサークルコーナー・・・

 

「沢山の本ですね〜・・・あっ?」

 

といいつつミルフィーはてくてくとサークルの机へと歩いていった・・・

 

「あ、あの、この本、読ませてもらってもいいですか?」

 

とミルフィーが手にとったのは自分の表紙の本・・・

そして、その裏に何やらADULT ONLYという文字が見えたような気が・・・

 

「は、はい・・・ど、どうぞ・・・」

 

と販売員の女性が怪訝そうに表情を曇らせてミルフィーに本を手渡した。

 

「きゃーーーーーーーーー!!!?」

 

ミルフィーが悲鳴をあげたのは本を開いて、僅か五秒後のことだった・・・

 

「はぅ〜・・・もう、びっくりしましたよ〜・・・」

「はは・・・まぁ、こんなこともあるよ・・・」

「そ、そうでしょうか・・・?」

 

首を傾げるミルフィーを午後後半の優しい昼の光が照らす・・・

そろそろ、時間だな・・・

 

「ミルフィー、そろそろ帰ろうか?」

「あ、はい!」

「楽しかった?」

「はい!」

「そうか・・・そ・・」

「ふざけんなぁぁぁーーーっ!!!」

 

ドゴォッ!!

それはよかったと言おうとしたその時、俺は何者かに殴り飛ばされた!

 

「タクトさん!?」

 

ミルフィーユはぶっ飛ばされたタクトのところまで駆けつけて彼を抱え起こした。

 

「コミケを舐めてンのか・・・テメェ等は・・・」

 

そんな二人の前にロキが仁王立ちしながら睨みつけていた・・・

 

「いきなり、何をするんだ!?」

「何で、お父さんがこんな所にいるの!?」

 

あ・・・突っ込むのそこなんだ・・・

 

「やかましい!!んなこたぁどうでもいいっ!!」

「よく無いだろう!俺が何をしたって言うんだよ!?」

「お前、コミケがどういう場所なのか知ってるのかよ・・・?」

「イ、イベントだろ・・・!?」

「違う!コミケはな・・・戦いの場所なんだよ!!」

「は、はぁ!?」

「コミケを楽しむなんていうのは初日で“目標”を片付けた奴が言うセリフなんだよ!!」

 

さっぱり、意味が分からないのは俺だけじゃないだろう・・・

 

「お前、西館の企業ブースに行った時、多くの待機列を見なかったのか・・・?」

「あ?・・・ああ、思い出してみれば何か沢山並んでいたな・・・って、それがどうしたって言うんだよ!?」

「あれが、何の為に並んでいるのかも知らねぇなんて抜かしやがったら殺すぞ!」

「・・・グッズを買う為じゃないのか?」

「エブリシィィィングッ!!」

 

ズビシ!と俺を指差してくる・・・

おそらくは正解!と言ってるつもりなんだろうが・・・

お前、単語間違えてるからさ・・・

そして、ここからロキによるコミケ指南が始まった・・・はぁ・・・

 

 

まず、初めに言っておくが、これから教える事は本気でお目当ての品を手に入れる気がある奴を相手に教えるコミケ戦術だ・・・

従って、中には反感をもつ奴もいるかもしれねぇが、それぐらいしないと勝ち抜けないとだけ覚えておいて欲しい・・・

なぜなら、損するのはおまえだからだ。

では、前日からの話にいくとしよう・・・

俺は流石にそこまではしないが・・・徹夜待ちというものがあるほどにコミケの競争率は高い・・・

ただ、この徹夜行為は禁止になっている・・・のみも関わらず、厳重に罰せないのは、朝の五時半から動く交通機関が麻痺を起こしてしまう為だ・・・

ただし、警察や警備員が見回りをしてるそうだから、するのなら、回りの連中に溶け込んでおくことだ・・・

だから、お台場や有明近くのホテルをとり、2〜4時にタクシーで向かえば、かなり前の方に並べる筈だろう・・・

ただ・・・企業ブースに用があり、なおかつ、本命がひとつならば、徹夜せずともJRの新橋駅から出るゆりかもめ線の始発に乗れば間に合う。

何故なら、企業もそれだけの在庫を残しているからだ・・・

そこで、俺は秋葉原からゆりかもめの始発に乗る方法を教えようと思う。

まず、持ち物についてだが、前日に十分にアクエリアスなどのスポーツウォーターと軽食を鞄に用意しておき、はやめに寝ることだ。

後、キャリーは違反では無いが、敏捷性に欠ける上に周囲の人にぶつかったり進行を妨害するので、お前がモラルのある奴なら控える事・・・

ベストなのは手提げ袋にリュックサックだろう・・・ポシェットも有効だ。

目標は秋葉原駅に4時20分までに着くことだ。この時間帯には駅内に入れるはずだ。

そして、4時38分の京浜東北線(青のラインマークの四番のりばで東京方面)の始発に乗って新橋駅まで向かう。

そして、降り口を降り、ゆりかもめの案内標識に従ってゆりかもめ駅の入り口へ向かう。

この時間には既にそれっぽい連中がシャッターの前に並んでいるので、出来るだけシャッターに近いところで5時20分ぐらいまで待つ・・・

 

そして、ここからが修羅場だ・・・

シャッターが開くと同時に連中は二階の改札機へと向かう・・・

中には走る奴もいるが、危ない上にマナー違反なので、早歩き程度にするのがいいだろう・・・

そして、このゆりかもめ線の注意点はイスに座ってはいけないという事だ・・・

おそらく、自分達がのるのはお台場方面になる筈だが、乗る時には入り口付近にいるのが、賢い。

何故なら、ゴールの国際展示場の降り口は同じ扉だからだ。

そして、ゆりかもめを降りると一斉にエスカレーターが詰まる・・・この時、階段が空いていれば迷わずそちらへ行くんだ!

 

そして、一般参加者の方へと向かって行き、列の最後尾に並ぶんだ。

ちなみに厳密に言うと正門になる。

くれぐれも間違えるなよ?

初めて並んだお前は目の前に広がる光景に呆然とするかもしれねぇが・・・

しかし、ここからが、本番だ・・・

基本的に初日にゆりかもめの始発に乗ってきて列に並んだのなら、その列が動き出すのは8時半ぐらいだろう・・・

なぁに、心配しなくてもその時間は係員が教えてくれるさ・・・ただし・・・列の状況によってはその通りに動かない時もある・・・

それほどに、凄まじい列なんだよなぁ・・・

さて・・・この途方も無い待ち時間の間だが・・・

基本的に、移動は自由だ・・・

食事をしに行くもよしだし、用を足しにいくのも結構だろう・・・

しかし、当然注意点もある・・・

基本的に貴重品は肌身離さず持っておくことなんだが、しかし、離れる際には何か自分の荷物をその場に置いていくのは自然と定着している・・・

それにこれは列に戻る際、ほぼ間違いなく自分の列を忘れてしまうので、目印にもなる訳だ。

置いていくのは飲物やタオルなどを入れた自分の手提げ袋を置いておけばいいだろう。

そして、隣の人とは軽い程度に話しかけてみるのも良いことだ。要は自分が隣に並んでいたと証明できるのはその隣の人間だからだ。

そして、移動時間(8時30分)の30分前に必ずトイレに言っておく事だ・・・

コミケは外に仮設トイレを設けているのだが、何処に行っても長蛇の列が出来ているだろう。

だからこそ、早めに行っておくんだ・・・

ここで、男性諸君にお願いと注意点があるんだが、トイレの最前列で待っている時、果たして小で並んでいるのか、大で並んでいるのかを確認してほしい・・・実際には大の方のつもりで長蛇の列ができていて、小だけにしか用が無い奴が迷惑を被るからだ。

さてはて、八時半ぐらいに列が動き始めると思うんだが・・・

間違いなく最初の列は崩れる

この時、下手に正義感を働かせて前に出ようとしないと結果的にはかなり損をする事になる・・・

従って、多少は強引に進む事が必要である・・・

ただし、階段を上る際には本当に足元に気をつけるように特に前の奴がキャリーを持ってる場合には尚、注意が必要だ。

企業ブースを目指すなら向かうは右側だ・・・ひたすら右を目指せばいい。そのうち、階段を上り詰めたところにある広場で、一般ブースとコスプレイヤーの列に別れる筈だ・・・

まぁ、初日ならこの広場に来る頃には10時半を回っているだろう。

この間に最前列の企業ブース狙いのサークル脱走組や徹夜組は既にブース内で買い物をしているだろう・・・

 

ここで、話が逸れるんだが、このサークル脱走組を敢て皮肉っているのには理由がある。

このサークル脱走組は7〜8時ぐらいに訪れたのにも関わらず最前列と並ぶ・・・

無論、これはコミケ準備会も公認はしていない、違反行為である・・・

準備会も明らかに無人のサークルなどにはレッドカードは出してはいるが、一人を残して二人が列に潜り込むのまでは把握できないのが現状だ・・・

何せ、サークルの数は1万3千を超えるのだから、無理も無い・・・

とコレは表向きの理由で・・・真相は次の通りだ・・・

まず第一にコミケ準備会の連中は俺達を“客ではなくコミケの参加者”として見ているという事で、嫌ならば来るなと返してくる連中であるという事を頭に置いておいてほしい・・・

次に、このコミックマーケットの維持費が参加している企業(20,000円)とサークル(7,500円)からの出資金からまかなわれているということ・・・

まぁ、もっと単純に言うとだな、企業はサークルの連中に二次創作権(同人誌の作成の許可みたいなもの)を与える代わりに自分達の商品を売らせろと準備会に言ってる訳だ。

それ故にサークルの中には企業との付き合いが濃い者をおり、その交流を阻害してはならないという項目で準備会はサークル脱走組を黙認してる訳だ。

 

とまぁ、これ以上言うと胸クソが悪くなるので、話を現場に戻すとしよう・・・

いよいよこの広場から各ブースに分かれる訳なんだが、ゲーマーズ(ブロッコリー)などの中規模なブースは広場の奥隅にある西館四階の入り口などに看板を立ててる場合が多い・・・

とくにゲーマーズは状況によっては立て札を立てない時があるので、そんな時は大急ぎでゲーマーズのブースへ赴き、最後尾の確認をとることだ。

 

後、例年はtype-moonやリリカルなのはの・・・(やべぇ・・・企業ブース名忘れた・・・)の列は並んだが、最後十二時半までは列から抜けられないことを覚悟する事・・・

ただし、こんな大きい店舗は在庫を初日3二日目、三日目で2の比率で販売する事がお約束みたいなものなので、ブースにその事を確認して二日目の一発目に行けばメインの品は何とか手に入るみたいだ・・・

ちなみにリリカルなのはは凄い列のわりには在庫はかなり残っていた・・・(ちなみに俺はリリカルなのはにまったく、興味がないので、グッズまで見なかったんで了承してほしい・・・)

後、ブースで売られるグッズについては予めネットなどで公開されているから、事前に目を通しておいて買う物を絞っておくといいだろう。

 

後、この分厚いカタログについてなんだが、準備会曰くには伝統の本らしく、特に変更するつもりも無いみたいだ・・・

さて、このカタログについてなんだが、おそらく企業ブースの位置を見つけるのは至難の業だろう。

ところが、とらのあななどではカタログの発売日の何日か後で企業ブース専用のカタログが無料配布されているのでそれを手に入れると大分楽になるだろう。

 

とここまでで、あらかたの説明は終わった・・・

もし、お目当ての商品を買えたのなら、閉幕の四時までコミケ会場や企業ブースを歩き回ってみるといい。

今までと言った事と矛盾するかもしれねぇが、コミケは楽しむ場所だ。

そもそも、コミケはお祭りであり、サークル活動者達の交流の場所だという事は忘れてはならない・・・

最後に気をつけて欲しいのはコミケ・・・つまりはコミケットを管理している準備会は俺達をお客様ではなく、参加者として見ている事を意識しておいてほしい。

つまりは、何かトラブルが起きたとしても、準備会は基本的に沈静化にしかあたらないという事だ。

また、万が一企業ブースの運営方法に文句があった場合は、目安箱に意見を書いておく事だ。

どうやら、この目安箱は小まめに見ているそうなので明らかに在庫管理のずさんなブースがあり、多数の意見が出れば準備会はその企業に対して改善勧告を出す事ができる。(と準備会が言ってたんだがな・・・

 

 

「どうだ・・・これでコミケがどんな場所なのかが良く分かっただろう・・・って、あれ!?」

 

ロキがタクト達に視線を移した時、そこには既にタクトの姿は無かった・・・

 

追伸 コミケでのお金の使いすぎには真面目に注意しましょう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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