逆襲の堕天使 

 

 

〜誰も運命には逆らえない〜

 

 

「ふぅ・・・これで一通り揃ったのか?」

 

シヴァはタクトへ皇国軍の編成の状況を確認した。

 

「はい、外宇宙とのメインの戦闘はエンジェル隊が引き受けます。基本的に有人による艦隊戦は無駄な犠牲者を生むだけでしょう・・・」

 

「その点は阿部殿が引き受けてくださる。」

 

シヴァは隣に座っていたアバジェスに了承の意味合いを込めて視線を送った。

 

「御意に・・・私の無人艦隊は主に壁として配置するつもりでいます。EDENとNEUEの守護にはノアを残しておきます・・・」

 

「やれやれ・・・随分と“娘”をこき使うんだね・・・」

 

「なに・・・あやつも私を親などと思ったことはあるまい・・・」

 

苦笑するアバジェスにつられるタクトとシヴァ・・・

 

しかし、本当に微笑しているのはエクレア・・・

 

「決まったみたいね・・・なら、出発は早いほうがいいわね・・・連中もラファエルが倒れたことで、血気盛んになってるでしょうから、今頃はこちらとの最終決戦の準備を整えてるでしょうね・・・」

 

「ああ・・・ガブリエルの相手は俺がするよ。」

 

「駄目、私も一緒に戦うわ・・・」

 

「え?」

 

エクレアが俺の傍まで近寄ってきて俺の胸を突っつきながら続けた。

 

「だって、タクトって危なっかしいんだもん・・・」

 

「・・・・・・」

 

その時、シヴァ女王が俺をもの凄く冷たい目で見たのを見逃さなかった・・・

 

「い、いや、大丈夫だから、エクレアは他の敵を頼むよ・・・」

 

「駄目よ・・・第一、シリウスがデザイアの傍でないと本気で戦ってくれないでしょうし・・・」

 

「・・・・・・」

 

何て現金な奴なんだ・・・

 

親の顔が見てみたい・・・

 

「そういえば、そのシリウスは何所に?」

 

「ああ、多分今頃は・・・」

 

舞台の場所は会議室からアプリコットの部屋へと移る・・・

 

「ねぇねぇ!シリウス君、これを着てみて!」

 

「うっせぇ・・・!」

 

「う〜私も見たいなぁ〜・・・」

 

「か、母さ・・ミルフィーがそう言うんなら・・・」

 

「あ、待って!着替えさせてあげるから・・・」

 

「う、うわ!?や、やめろ!この馬鹿!!」

 

「あ〜ん!私も混ぜてよ〜!」

 

「・・・・・・」

 

(ふん・・・リコの馬鹿・・・)

 

現在、この部屋にいる男は桜葉姉妹にいいように着せ替え人形にされているシリウスと部屋の片隅でむすくれているカズヤの二人である。

 

「いいなぁ〜・・・うらやましいなぁ〜・・・俺もシリウスになりたいなぁ〜・・・」

 

そして、部屋の外には覗き魔が約一名・・・

 

「あはは・・・(あのクソガキ)・・・今すぐ連れ戻し(殺し)に行ってこよう・・・」

 

タクトの声は笑っていた・・・

 

しかし、目は笑っていなかった。

 

「タクト、目が怖いぞ・・・」

 

「駄目、タクトは私と遊ぶんだから・・・」

 

「ええっ!?」

 

「でないと・・・デザイアを殺っちゃうわよ?」

 

ええ!?脅迫!?

 

どうして、カズヤとリコの子供がこんな子悪魔キャラに・・・!?

 

ああ・・・“あいつ”の影響か・・・

 

この時、タクトとアバジェスの考えは完全に一致した。

 

あいつとは言わずと知れた脅迫魔である・・・

 

「だから、ねぇ・・・?」

 

エクレアがその年には沿わない妖艶な動きでタクトに擦り寄る・・・

 

「わ、わわ・・・ちょっと!ちょっと!!」

 

「ゴホン!!」

 

シヴァ女王もその年齢に似合わない咳払いをする・・・

 

「・・・今は皇国の存亡をかけた大事な打合せだということがわからんか?ここで決まった事を今から他の者達へ伝達しなければならないんだぞ?」

 

「は、はい・・・すいません・・・」

 

申し訳なさそうに頭を下げるタクト・・・

 

しかし、エクレアは違った・・・

 

「ああ、伝達はとっくの昔にやっておいたわ・・・」

 

「な、何だと!?」

 

「はぁ・・・」

 

アバジェスはため息をついて退席した。

 

「何故、そのような勝手な真似を・・・!」

 

「勝手も何も時間が勿体ないのよ、そもそも、作戦なんて一つしかないでしょう・・・?どうせ、ガブリエル級の相手が務まるのはタクトや私なんだから・・・」

 

「だからと言って勝手に決め付けていいものではあるまい!!」

 

「何をそんなにカリカリしてるのよ・・・」

 

「好きでカリカリしてるのではない!お主のせいでカリカリしているのだ!」

 

「ああ・・・私がタクトとイチャイチャするのがそんなに不愉快な訳ね・・・」

 

・・・とエクレアはわざとらしく今、気が付きましたとばかりにシヴァの痛いところを突いた。

 

「き、貴様・・・」

 

「何だ?ポッキーをカリカリしたのか?」

 

そんな修羅場に空気を読まない馬鹿が乱入・・・

 

「うるさい!」

 

「目障りだから消えて・・・」

 

「う、うわ〜ん!!」

 

そして、状況を読んだ間抜けは号泣しながら退場していった・・・

 

「何しにきたんだ・・・あいつ・・・」

 

そんなロキを呆然と見送るタクトを他所に二人の言い争いは続いた・・・

 

しかし、この穏やかな環境は戦士達の気休めにしか過ぎない・・・

 

これから始まる最終戦争への・・・

 

 

当然、前大戦の遺恨も当然の如く残る・・・

 

「お前はシリウスで間違いないんだな・・・」

 

深夜の展望公園に腰元に剣を携えた女性がシリウスを威嚇するように睨んでいる。

 

「・・・・・・ああ。」

 

シリウス・・・前大戦時・・・カルマの呪縛に囚われ、多くの犠牲者を生み出した復讐鬼である。

 

「貴様はリウスの皇子のシリウスか?・・・それとも、タクトと桜葉姉の息子のシリウスなのか?」

 

「・・・・・・」

 

シリウスは黙ったままだ。

 

もし、ここでシリウスが前者の方だと言えば剣を携えた女性ことリリィはすかさず、シリウスを斬り捨てにかかるだろう・・・

 

かつて、前者のシリウスはケルシーとサンタローザをこれ以上ない残酷な殺害方法で虐殺した・・・

 

更に、その後でかつての仲間であったエオニアも実に無残な殺され方をしたのだ・・・

 

共闘することになったとはいえ、簡単に許せることとそうではないことが当然あるのだ。

 

「・・・・・・俺は後者の方だ。」

 

「・・・やはり、そうか・・・いくら、似ているとは言え記憶を引き継いでいるなどとはあまりにも軽薄な考えだったか・・・」

 

リリィがため息をつき自己嫌悪に浸ろうとした次の瞬間、シリウスが驚愕の事実を明かした。

 

「とは言え、俺の記憶の中にはお前達との戦いの記憶も残っている・・・」

 

「・・・っ!?」

 

「俺だけではない、エクレアにも前大戦の時の記憶が残っている・・・」

 

「どういう事だ?」

 

リリィの目は完全に殺意を放っている・・・

 

「俺達がその記憶を取り戻したのは一年前・・・どこぞやの気まぐれな神様とやらが俺達が気付かないように細工を施したみたいでな・・・」

 

「その神様とやらは誰だ?」

 

「信じてもらえるなんて思ってはいないが・・・」

 

そういいながらシリウスは頭を面倒くさそうにかきながら続けた。

 

「俺達はその神を認識できないように操られている・・・例え、その神とやらがどんなに身近にいようが俺達は認識できない・・・そして、何よりも・・・」

 

シリウスの目はそこには無い何かを呆然と見ながら続ける。

 

「俺達はその神の命令には絶対に抗えない・・・」

 

「ふざけるな・・・話をはぐらかす気か!!」

 

「・・・ふざけてなどはいない・・・その神の命令に抗えるのはレイ・桜葉とエクレア・・・そして、タクトぐらいのもんさ・・・」

 

「なら、お前のしてきたこともその神の仕業だから、自分には関係ないとでも言うつもりか!?」

 

「・・・・・・さぁ、そこまで考えたことはねぇ・・・」

 

「き、貴様ぁ・・・!」

 

リリィが剣の柄に手を添える。

 

「待ちなさい・・・」

 

突如、二人の間にエクレアが割って入った。

 

「リリィ・・・勘違いしないで・・・確かにシリウスや私がしてきたことはあなた達からすれば許せないことだと思うわ・・・」

 

「そんなのは当たり前だ。」

 

「ふん、自分だけが被害者のつもりかよ・・・」

 

「何!?」

 

「シリウス・・・」

 

「ちっ!」

 

「リリィ・・・私達がここに来たのには二つの理由があるの・・・」

 

「二つの理由?何だ、それは?」

 

「一つはこの時代を外宇宙が守ること・・・そして、もう一つの理由はシリウスが言っていた神様とやらを引っ張り出す為よ。」

 

「神を引っ張り出すとはどういう意味だ。」

 

「そのままの意味よ。私達の仲間に成りすましているその神様の化けの皮を剥がすのよ・・・今まで私達をいいように扱ってきた神を成敗するの・・・」

 

「そんな言葉に誤魔化されるとでも思っているのか!?」

 

「何でそんなにこだわるのよ?ケルシーとサンタローザは元に戻してあげた筈よ?」

 

「そういう問題ではない!」

 

「まぁ、いいわ・・・あなたがどんなに主張しても私達のこれからの行動内容に変更は無い・・・それを妨害するのなら、それなりの対処をするから・・・」

 

エクレアのその鈴のような声には奥底より響く威圧感があった。

 

「ごめんね、リリィ・・・終幕の時は近いの・・・だから、今だけでいい・・・私に力を貸して欲しいの・・・」

 

エクレアの目は完全にリリィの目を捉えている。

 

「・・・・・・」

 

リリィは言葉を失っていた・・・

 

その魅了の魔眼を見てしまったが為に・・・

 

そう・・・エクレアの持つその眼はかの死神から受け継いだもの・・・

 

やがて、リリィは何事もなかったかのようにその場を立ち去っていった・・・

 

しかし、リリィをこの場から退けたのはエクレアではない。

 

「・・・何のつもり?」

 

エクレアは背後へと振り返る。

 

「くっ!?」

 

「シリウス!?」

 

隣のシリウスが短いうめき声をあげて倒れ込み、エクレアがそれを受け止める。

 

「安心しろ・・・眠ってもらっただけだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

エクレアはその者をかつてないほどに警戒したまなざしで見つめている・・・

 

「どういうつもり?」

 

そう・・・先ほどこの者はリリィの記憶をかき消してリリィに自室に戻るように命じた。

 

そう・・・それは、まさに神の所業である。

 

「それは、こちらの台詞だ。お前こそ、余計なことばかり話してどういうつもりだ?」

 

対峙する二人

 

「私はこの物語を終わらせたいだけよ。この物語は“彼”の為じゃない・・・あなたの自己満足の為に創られたのよ。そして、だからこそ今回もあの子(カルマ)を引きずり出した。」

 

「そんな事はない、俺はあいつの無念を・・・」

 

「いいえ、あなたは心の奥底でタクトを憎んでいるのよ・・・おそらく、あなたには自覚がないんでしょうけど、あなたは誰よりもタクトを憎んでいる・・・あのレイ・桜葉よりも・・・」

 

「馬鹿な・・・何を根拠に・・・」

 

「その鍵がデザイアよ・・・“あなたと彼をこの世界に呼び寄せた言わばあなたが憎んでも憎み足りなく、愛しても愛し足りない存在・・・”」

 

「・・・・・・黙れ。」

 

「・・・・・・都合が悪くなればそうやってすぐに突っぱねるの?O型の癖に随分と器量が小さいのね。」

 

「・・・・・・本気で消すぞ・・・この小娘ぇ・・・」

 

その男から禍々しい漆黒のオーラが立ち込めだす。

 

「・・・分かったわ・・・この事には触れないでおいてあげる・・・・・・」

 

男からの殺意は未だに残ったままだ。

 

「でも・・・タクトは必ず、あなたの元まで辿り着くわよ・・・例え、あなたがどんな切り札を用意していたとしてもね・・・」

 

そう言うとエクレアはその男の前から姿を消した。

 

「その時は・・・俺が死ぬかあいつが死ぬかのどちらかだ・・・」

 

〜復讐は秒読みへ〜

 

「数は揃った・・・」

 

 

ガブリエルは“下界”への進軍準備を開始していた・・・

 

「長かった・・・“この時が来るのを幾ほど待ちわびただろう・・・”

 

フラッシュバックするのは黒き死神の姿・・・

 

死神

 

死神のメシア

 

かつて、我々を恐怖のどん底に叩き込んだ悪魔

 

妹を虐げられただけでその関係者全員を残り残らず制裁した悪魔・・・

 

兄もそのせいで殺されてしまった・・・

 

許せない・・・

 

あの死神が行ったのは制裁などではない・・・

 

ただの八つ当たりだ・・・

 

ただ一人の人間が虐げられただけで

 

66もの宇宙が跡形もなく消え去った・・・

 

その比率はあまりにも大きい・・・

 

死神・・・

 

お前があの程度で終わる訳がない・・・

 

さぁ・・・リベンジしにくるがいい・・・

 

“我々が幾億年もかけて用意した最終兵器”

 

真の制裁者

 

メタトロン

 

如何に貴様が本気をだそうともこの最強の天使は倒せまい・・・

 

既に稼動準備はできている・・・

 

さぁ・・・来るがいい・・・

 

プライドの高い貴様のことだ・・・

 

私を生かしておく訳がなかろう・・・

 

・・・・・・ああ。

 

・・・っ!?

 

ふ・・・また随分と古い化石を再生させたな・・・

 

・・・・・・

 

まぁいい・・・

 

俺も今回は“最後の戦い”なんでな・・・

 

“貴様達に付き合っている時間はそんなにないんだよ”

 

ふざけるな・・・!

 

ふざけてなどいない・・・

 

俺も今回は“本気で戦いたいんだよ。”

 

だから、お前達と遊んでる暇はないんだよ・・・

 

遊ぶだと・・・?

 

ああ・・・と言いたかったんだがな・・・

 

“作者”からのご指示だ・・・

 

お前達と遊んでやれとのご指示だ・・・

 

クソ忌々しい作者様からのな・・・

 

作者だと・・・

 

ガブリエル・・・一つだけ教えてやるよ。

 

この世界はフィクションだ・・・

 

ならば、当然・・・

 

“作者”がいる・・・

 

そして、作者がこの世界を創るきっかけ・・・

 

それが因果律・・・

 

 

・・・・・・それが、全ての起源か・・・

 

既にガブリエルの耳に怨敵の声は聞こえない・・・

 

「例え、それが真相だとしてもここで引き下がることなどできるものか・・・」

 

ガブリエルの目には確かなる決意があった。

 

例え、勝機が薄い戦いだとしてもあの死神に殺された者達の無念を果たせずにのうのうと生きることなど許される訳がない。

 

「そうやって見下しているがいい・・・死神・・・」

 

クリエイチャー達の意地というものをクリエイターに見せ付けてやる・・・

 

 

〜未来の楽園へ〜

 

翌日皇国軍はエクレアが予測したHEAVENの襲撃に向けての軍勢をと整えていた。

 

「タクトさん・・・」

 

シャイニング・スターのコクピットの中でミルフィーが浮かない顔で俺を見ている・・・

彼女も分かっているんだ。今回の戦いの規模を・・・

 

「・・・大丈夫・・・みんな・・・俺が守ってみせるから・・・」

 

俺は虚勢だとわかっていながらも彼女に笑顔で答えた。

 

ふん・・・そうやって、攻撃ではなく防御に回るのがお前の“守る”なのかよ・・・

 

消してしまえばいいんだよ・・・

 

生かしておいても“害”しかもたらないんだよ・・・

 

攻撃こそが最大の防御という言葉は誠だ・・・

 

かつて、俺はその言葉の真意を身を持って知った。

 

「カズヤさん・・・今度こそ、終わるんですよね?私達の戦いは・・・」

 

ああ、お前達の死をもってこの戦いは終局を迎える・・・

 

リコが言おうとしてることはよく分かる・・・

 

「・・・・・・」

 

僕の頭にフラッシュバックするのはあの“キチガイ”の声・・・

 

「カズヤさん・・・?」

 

「ああ・・・そうだね・・・終わらせよう・・・」

 

「浮かない声をだしてどうかしたの?パパ・・・」

 

割り込んできたのは僕達の未来の娘であるエクレア・・・正直、戸惑う・・・

 

「ん・・・あいつ(カルマ)は今度こそいなくなるのかなってね・・・」

 

「カズヤさん・・・」

 

「・・・大丈夫・・・今度こそ、カルマは消滅するわよ・・・」

 

「それはどうして・・・?」

 

「・・・女の勘。」

 

「は、はぁ・・・」

 

「男の癖にいつまでもイジイジしてんじゃねぇよ・・・」

 

と今度は同じくタクトさんとミルフィーさんの未来の息子であるシリウスが割り込んできた。

 

「う、うるさいなぁ・・・」

 

(・・・私は“もうあなたの方針に従う”つもりはないから・・・)

 

そんな会話の中、エクレアは人知を超えたテレパスで“作者”に拒絶の意を見せた。

 

「みんな・・・悪いけど、一つ言い忘れていた事があるわ・・・」

 

突如、エクレアが共通回線を使い出した。

 

「・・・・・・」

 

ロキはルクシオールの格納庫で落ち着いた様子で煙草を吸っている。

 

「実は言うと・・・“HEAVENは未来”にあるの・・・」

 

「な、なんだと!?」

 

「な、何っ!?」

 

「・・・・・・」

 

一人を除いて全員がその言葉に戸惑いと驚きを隠せなかった。

 

「な、何故、今頃になって、そんな大事な事を言うのだ!?」

 

シヴァは全員の視界を浴びていることもお構いなく、エクレアに噛み付いた。

 

「言う必要がないからよ・・・」

 

「な、なんだと・・・!?」

 

(言っていたら、あの死神が尻尾を出さなかったでしょうしね・・・)

 

「・・・・・・悪いけど、現状は変わらないわ・・・ガブリエルはほぼ間違いなくHEAVENから動こうとはしないわ。こちらで防衛線を戦力を消耗し続けていれば、それこそガブリエルの策略通りよ・・・」

 

「むっ・・・」

 

私達の真の敵はHEAVENでもなければガブリエルでもない・・・

 

「いくらなんでも、急すぎやしねぇか!?」

 

突然の作戦変更にまず、アニスが声を上げる。

 

「確かに・・・これでは、コンディションも何もないと思うのだが・・・」

 

「ええ、確かに急過ぎるのは分かるわ・・・でもね・・・」

 

私達が戦うべき相手は“逆襲の堕天使”・・・

 

「私達は生き残る為に戦っているのよ?」

 

エクレアの現実的な言葉に誰もが口を重く閉ざしてしまった・・・

 

「エクレア・・・そなたの言ってる事は分かる・・・しかし、いやならばこそ、何故、そのような大事なことを今になって言うのかせめて理由だけでも聞かせてもらわなければ皆も納得ができまい・・・」

 

エクレアはシヴァの視線をまっすぐ受け止めると深くため息をついた・・・

 

「本当に馬鹿ね・・・私が敢えて今になって言ったのは皇国軍の中にガブリエルへの内通者がいるからよ。」

 

「な、何・・・我々の中に、ス、スパイがいるというのか・・・」

 

「ええ、だからこそ今まで伏せていたのよ。私達の情報が漏れれば連中がそれに合わせて行動内容を変えるのは当たり前のことね・・・」

 

「だ、誰なのだ!?スパイは!?」

 

「・・・悪いけど、それはまだ言えないわ・・・けれど、この戦いが終わればそれはおのずと見えてくる筈よ・・・」

 

(エクレア・・・このままでは済まさんぞ・・・)

 

「そういうこと・・・じゃあ、行くわよ。」

 

エクレアのオリジンの背中に黄金に輝く光の翼がまばゆく展開される。

 

それは、未来へ誘う翼・・・

 

そして、本当の地獄への旅立ちの翼だった。

 

 

 

 

 

 

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