・終幕

 

ラグナロク

 

〜天使大戦〜

 

NEUE辺境の星 アスティオ・・・

 

誰に立ち寄る事もなく、誰も干渉しようとしなかった為、この星は戦争を知らなかった。

 

しかし、そんな静かな星は今や放射能により死の星と化し、その宙域では最強クラスの強者達がぶつかっていた!

 

 

「タクト、以前は手加減したが今回はそうはいかんぞ?」

 

「うるさい!」

 

シャイニング・スターの相手は4大天使の一人ラファエル・・・

 

「出でよ、わが剣(つるぎ)・・・ホッド・ブリアー」

 

ホッド・ブリアー・・・一振りすればその軌跡には炎を跡を追うようにほとばしる。

 

「前回と違うと言った割りには同じ武器か?」

 

「確かに前回と同じ武器だ・・・しかし、言った筈だ。今度は手加減はしないと・・・」

 

ラファエルの右手に炎そのもののような長剣が姿を現した。

 

「こい、スレイヤー・オブ・デステニー・・・」

 

タクトの右手に虹色の剣が姿を現す・・・

 

この世で切れぬものはないという究極の剣・・・

 

「運命の切り手よ・・・お前に一つだけ教えておこう・・・」

 

「・・・・・・何だ?」

 

「お前は真犯人を探しているとの事だが・・・」

 

「・・・?」

 

「その必要はない。いずれ、お前は必ず真犯人自らお前の前に姿を現す・・・いや、既に現している・・・ただ単にお前が気付かないフリをしてるだけだ。」

 

「・・・どういう事だ?」

 

・・・それ以上は台本無視になるぞ。

 

「だからだ・・・今は真犯人の事を考えるのではなく目先の事だけを考えろ・・・」

 

「何なんだ・・・お前は・・・」

 

何だ・・・このラファエル・・・

 

前にどこかで会ったような気がする・・・

 

「貴方は・・・もしかして・・・」

 

「勘違いするな・・・これからの勝負がつまらないものになるのが嫌なだけだ。」

 

「ああ、だろうさ・・・」

 

「タクト・マイヤーズ・・・あの時つけれなかった決着を今、つけてやる。」

 

「来るっ!」

 

先に動いたのはラファエル

 

俺の目ですら追いきれない速度で距離を詰めてくる!

 

懐に潜られたらそこでコックピットを貫かれて終わりだ!

 

直感的にというのだろうか・・・

 

あいつがINフィールドを易々と貫通してくるのが何故か力強く予想できる・・・

 

これが、エクレアの恩恵というやつか?

 

「やはり距離をとるか・・・」

 

ラファエルは楽しそうににやけつつタクトへの攻撃を再開する。

 

ラファエルは接近戦においてはレイと同格の位置にいるタクトに対して互角以上の剣戟を見せる!

 

「こ、こいつ・・・強い!?」

 

タクトの頬を冷や汗が流れる・・・

 

「さっきはああ言いはしたがまだ、本気など微塵も出してなどいないぞ・・・」

 

「くっ!なめるなー!」

 

そして、エクレア、シリウスとガブリエルの戦いも勃発していた。

 

「見損なったぞ・・・」

 

「どういう意味かしら?」

 

「まさか、お前が欲情に負けるとはな。」

 

「貴方が知ってるという事はやはり彼は見ていたという事ね・・・相変わらずの下衆っぷりね。」

 

「エクレア、どうした?」

 

「聞こえているんでしょう?もう一回、言うわ・・・貴方は下衆よ。」

 

このアマ・・・・・・上等だ。

 

「下衆の前に貴方から片付けてあげるわ。」

 

オリジンが神々しく光始める。

 

「覚悟はいい?」

 

「それはこちらの台詞だ。改良されたオメガの性能にを思いしらせてやる。」

 

オメガも禍々しく輝き始める。

 

やがて、オメガの手前に燃え盛る炎で形成された龍が姿を現す!

 

「ちっ!エクレア!」

 

「分かってる!」

 

オリジンの手前に黒い龍が姿を現す。

 

「お、おいテキーラ・・・あいつら、一体何をしようとしてんだ?」

 

「知らないわよ、そんな事・・・そんな事より来るわよ!」

 

クリスタル・ピットを展開して差し迫る新型戦闘機の大群を威嚇する。

 

「黒龍・・・黄龍の影と称されその力は黄龍と同クラス・・・師が私には託してくれなかった龍・・・」

 

「始めに言っておくわ。私が黒龍を使役できるのは託されたからではない、私が独自に召還する術を編み出しただけ・・・貴方にはそれだけの才がなかっただけの事よ。」

 

「な、何だと・・・」

 

「お、おい・・・言いすぎだ。」

 

「その鼻っ柱をへし折ってやる!やれ!獄龍!」

 

燃え盛る龍は黒龍にからみつく!

 

お互いに咆哮をあげながら噛み付き、ぶつかる!

 

「エクレアーッ!」

 

「しつこいのよ、あなたは・・・」

 

召還者同士も剣を抜いてぶつかる!

 

一方・・・・・・

 

「あの時、お前に味合わされた屈辱・・・今日この日をどれ程、待ちわびた事か・・・」

 

「・・・・・・相変わらず小さい奴だ。」

 

「そうやっていきがっていられるのも今日までだ。」

 

光の天使の周囲に無数の光の氷柱が現れる。

 

更にミカエルの右手には彼の剣が握られる。

 

「哀れだな、ミカエル・・・」

 

「何だと?」

 

「ガブリエルは既に“記憶を取り戻している”・・・」

 

「何を言っている!?」

 

「だが、お前は未だに記憶を取り戻せないままにあいつの犬と成り果てている。」

 

「貴様が言えた事か!神王の犬が!」

 

氷柱がレイへ襲いかかるが、レイはお得意のブラックアウトで回避する。

 

「くっ!」

 

ミカエルはめげずにレイを執拗に狙うが、レイは何度でも回避し、命中する気配はこれっぽっちもない

 

「こんな子供騙しで俺を仕留める事などできん・・・」

 

そして、レイはスレイヤー・オブ・デステニーを召還する。

 

「ほざくな!」

 

「どうやら、徹底的に叩きのめさないと理解できないようだな。」

 

次はレイが攻に転じる!

 

「・・・っ!」

 

ミカエルは光の剣ライト・ブリンガーで究極の剣を受け止める。

 

叩き折られないところは流石にミカエルの剣といったところだろうか

 

「あいつらしい・・・確かに力は増大させてある・・・」

 

ミカエルの反撃を全て見切り、レイはお得意の詰め将棋に持ち込みながらも此処にはいない相手をあざ笑う。

 

「しかし、学習が足りない所は変わらない・・・」

 

やがて、ミカエルが詰め将棋に対して力づくで突破しようとする。

 

そして、レイはそれを予知していた。

 

「・・・・・・」

 

レイは虹色の剣でライト・ブリンガーを持っていたミカエルの右手を切り飛ばした。

 

「ぐっ!?」

 

神経を持たないエーテル体といえどもあるべきものを失ったミカエルはもはや戦いどころではない。

 

「どうだ?何か思いだせるか?」

 

「思い出すのは貴様の事だけだ!」

 

「・・・ったく、救い様の無い奴だ。」

 

「ミカエル!?」

 

兄の危機を感知するガブリエル

 

その一瞬の雑念が致命的だった。

 

エクレアの黒龍が黒い息吹を燃え盛る龍に吹きかけると燃え盛る龍はあっという間に消滅した。

 

「しまった!?」

 

「だから甘いのよ、あなたは・・・」

しかし、エクレアは追撃しない。

 

「ガブリエル、ミカエルを連れて引きなさい。」

 

「何・・・」

 

「これ以上は無意味よ・・・ミカエルではどうあがいてもレイには勝てない。」

 

「・・・・・・」

 

「それでも、戦うというのなら・・・次は本気でいくわよ・・・レイもね。」

 

「・・・それで、おめおめと逃げると思ったか!」

 

「・・・・・・いいえ、馬鹿だと思ったわ。」

 

エクレアはどこかあきらめたかのようなため息をつきながら、目をキラーマシンのものへと切り替える

 

「どうしてあなたはいつも分かってくれないのよ・・・」

 

一方、タクトはラファエルに追い詰められていた。

 

「この程度の技量であの死神(レイ)を打ち負かしたとはとても信じがたいな・・・」

 

「うるさい!」

 

「気に障ったか?」

 

「このぉっ!」

 

タクトは荒い言葉とは裏腹に計算され尽した剣戟を披露するのだが、ラファエルはそれを完全に見切っているようで嘘のようにあたらない・・・

 

戦闘機とラファエルの体積の比の差の関係もあるがそんな事など小さな理由の一つでしかない。

 

(一体、こいつは・・・何者なんだ?)

 

タクトは知る由もないだろう・・・

 

四大天使の中で最弱のランクに位置するラファエルではあるが、その秘めたる技量は四大天使を遥かに超越した領域に達している事を・・・

 

あのレイ・桜葉ですらラファエルを仕留める事は難しいであろう・・・

 

そして、そのレイはミカエルへ虹色の剣を突きつけていた。

 

「正直、貴様の生死など俺の感知するとこではない・・・だが、エクレアの願いで手加減はしておいた。何処へとなり行くがいい・・・今の一撃は特殊な封印術でな・・・もはや、お前に戦う術はない・・・」

 

どうする?とレイは剣の仕草でミカエルに伝える。

 

「なめるな・・・なめるな!」

 

しかし、ミカエルは諦める事が出来なかった。

 

「お前達、“兄妹”はいつもそうだ!」

 

「お前・・・記憶が・・・」

 

「ああ、そうだ!とうに記憶など戻っている!」

 

「・・・それで、あえてあいつに従うのは何故だ?そうやってあいつの道楽に付き合う理由は何だ?」

 

「貴様が憎いからだ!」

 

レイは大きなため息をつきながら言った。

 

「・・・・・・本当に救いようがないな。」

 

レイが覚悟を決めようとしたその時だった。

 

「そこまでにしていただきましょうか?」

 

仲裁に入ったのはガンチ・デイチル

 

「・・・・・・」

 

「兄妹揃って、相変わらず甘いですね・・・」

 

「お前の馬鹿っぷりも相変わらずだ。」

 

「それと、下衆っぷりもね。」

 

「うるせぇ!」

 

「芝居はどうした?もう茶番は終わりか?」

 

「どうせ、お前等以外には聞こえねぇよ!」

 

「やれやれ・・・」

 

「お前等、どういうつもりだ!」

 

「お前は馬鹿か?」

 

「あぁ!?」

 

「最初に言った筈だ。俺はお前を殺しにきたと・・・」

 

「何故、俺を裏切る!?」

 

「呆れた・・・本当に分かってないのね・・・」

 

「何がだ!?」

 

「私達はもう付き合いきれないって言ってるのよ。あなたのやろうとしている事が分かっているから。」

 

「・・・・・・上等だ。」

 

「口癖だな・・・相変わらず」

 

「こっちも覚悟を決めた・・・お前等も覚悟しやがれ!」

 

「本当に口癖だな・・・」

 

右腕を失ったミカエルはそれでもレイを倒そうと呪文を詠唱し始める。

 

「ミカエル、もういい・・・下がりなさい。」

 

「お、お待ち下さい!」

 

「下がれ・・・」

 

「ガ、ガンチ様・・・?」

 

「下がりなさい・・・その二人の相手は私がしますから、貴方はガブリエルの護衛を努めるのです。」

 

「は、は!」

 

ミカエルはガブリエルの方へと向かうがそれをレイは止めようとはしない。

 

レイの意識はラスト・ジャッジメントへと注がれている。

 

「来るか・・・ガンチ・デイチル」

 

「ええ、正直これ以上貴方達に邪魔をされるのもシャクにさわりますしね・・・」

 

ラスト・ジャッジメントの外観の代名詞とも言える巨大な主砲が発射体制をとる。

 

「ちっ!味方機もおかまいなしにアレを使うか。」

 

「下衆らしいやり方よ!」

 

レイとエクレアはお互いにバラバラに別れる。

 

ガンチが馬鹿ではない限り、主砲は固まった方に発射されるであろう

 

「全機!ラスト・ジャッジメントの主砲がくるわよ!」

 

「全員、攻撃を止めて敵旗艦の正面から離れろ!」

 

「な、なんなのだ〜」

 

「お、おい!あの船、やべぇぞ、何か紫電が走ってるしよ!」

 

新型機と交戦に入っていた他の天使達も状況のまずさを感知してその場から撤退する。

 

「ラファエル、貴方も下がりガブリエルを道案内してさしあげなさい。」

 

「・・・・・・御意」

 

タクトと交戦に入っていたラファエルもその場から離れ、アスティオの方へと向かう。

 

「こ、この!逃がすか!」

 

「よせ!主砲の餌食になるぞ!」

 

「く、くそぉ〜・・・!」

 

「ふむ、理解が早くて助かる・・・さて、ガブリエル来い・・・この戦いに勝ちたいのならな・・・」

 

「了解した・・・」

 

ガブリエルも後に続くようにアスティオを目指す

 

「・・・ルシラフェル、俺はまだ諦めた訳ではないぞ。」

 

そして、ミカエルも後に続く。

 

「・・・・・・しかし、攻撃をする術がない訳ではない。」

 

レイは三人に向けてフライヤーを放つが・・・

 

「甘い」

 

レイのフライヤーはラファエルに切り払われる。

 

「・・・・・・まさかな」

 

レイはある事に気が付きそれ以上、追撃しようとはせずに撤退に従じる。

 

「くそ!でも、このままアスティオに向かわせたら・・・何の意味もなくなるじゃないか!」

 

「駄目!今、追えばあの主砲に撃たれるわ!それこそガンチの思うツボよ!」

 

「その通り、今、貴方はご自分の心配をされた方が賢明ですよ?」

 

ラスト・ジャッジメントの主砲はタクトの方へ向けられている。

 

「狙いはあくまで俺か・・・!」

 

「それはそうでしょう?主人公さん。」

 

(逆に瞬時に相転移すればラスト・ジャッジメントの懐に飛び込める!)

 

「ふふ・・・この“ゴモラ”の威力こそ、我がブラウドの力と知りながら死になさい・・・」

 

(ラスト・ジャッジメントの正面から僚機が全て退いた・・・発射した瞬間、背後から攻め込む!)

 

「さぁ・・・覚悟はいいですか・・・」

 

(頼む、シャイニング・スター・・・)

 

「消し飛びなさい」

 

ギャオオオオ!!

 

もはや、放射音とは思えないノイズを発しながら最強の主砲が唸りをあげてタクトへ襲いかかる!

 

「ミルフィー!」

 

「はい!」

 

ミルフィーユの潜在能力が本来であれば不可能な完全な相転移を可能とさせ・・・

 

シャイニング・スターをラスト・ジャッジメントの背後へとつかせた。

 

「よし!いっけぇーー!!」

 

タクトはスレイヤー・オブ・デステニーでラスト・ジャッジメントへ斬りかかった・・・

 

いかなる物も切り裂く運命を殺す剣・・・

 

「ぐっ!?・・・な、何・・・」

 

本来、いかなる物ですら切り裂く虹色の剣はラスト・ジャッジメントに張られたフィールドに弾かれた。

 

「ス、スレイヤー・・・オブ・デステニーが・・・通用しない?」

 

「はは・・・」

 

護衛目的の副砲がタクトへ砲台を向ける・・・

 

「愚か・・・誠におろかですね・・・」

 

「ち!」

 

シャイニング・スターはその場を離れる。

 

その少し後でそこは副砲の砲撃の嵐と化した。

 

「ブラウドの旗艦がそう簡単に堕ちるとお思いでしたか?やれやれ、皇国の英雄もこれではただの蛮勇に過ぎませんねぇ・・・」

 

「こうなったら・・・」

 

あの“必殺技”で・・・

 

レイとの戦いで使用したあの衝撃波をあてれば・・・

 

「ほう?どうやら、何かを仕掛けようとしてますね?」

 

次の瞬間、ラスト・ジャッジメントの周囲に十二神をもじったような人型戦闘機が姿を現した。

 

そして、その真ん中には神々しく光る戦闘機の姿があった。

 

「あの戦闘機・・・ガンチ・デイチルか!」

 

「こうして、貴方と遭遇するのは初めてですか?」

 

「初めてで結構さ・・・お前は今日ここで斬る!」

 

「おぉ〜これは実に野蛮な・・・やはり寄生虫の英雄といったところですか・・・ははは・・・」

 

「俺はこの世でたった一人だけ殺したいと思っている奴がいる・・・」

 

「タ、タクトさん・・・・・・」

 

「そいつは人を人とは思わずおもちゃと同じような感覚でしか見ていない・・・」

 

「おや、それはそれは実に理にかなっているじゃないですか。」

 

「そして、お前もそいつと同じだ!」

 

「それは光栄の限り・・・」

 

「ふざけるな!」

 

この嫌悪感はどこからくるのだろう・・・

 

この嫌悪感・・・

 

ずっと前にも感じた事がある・・・

 

そうだ・・・

 

ネオ・ヴァル・ファスク大戦の際、俺はゼイバー・ブラウドと会った時にも似たような嫌悪感を抱いた。

 

そうだ・・・

 

こいつはゼイバーと似ている・・・

 

雰囲気とかそういうものじゃなく・・・

 

中身が・・・魂が同じ色をしているんだ。

 

人を人と思わない傲慢さ・・・

 

ブラウドの増援の数は意外に少数なものだった。

 

「カズヤから報告があった機体と同系統のものか・・・」

 

「今日はサービスで残りのメンバーを一斉に集合させたのですがいかがでしょうか?」

 

「・・・・・・」

 

何が狙いだ?等と言えば奴は味をしめるだろう。

 

「・・・・・・そうか、そういう事か・・・」

 

レイは即座に十二神達へフライヤーで攻撃を仕掛ける。

 

そして、成す術もなく襲い掛かられた十二神達はフライヤーの攻撃を受け・・・

 

「な、何・・・」

 

「やはりな・・・」

 

レイのフライヤーの粒子砲が十二神が貫通するどころか吸収されたのだ。

 

「カズヤにこいつ等を回したのはこの為か ・・・」

 

「ふふ、保険ですよ。まぁ、そんなものがなくても私の勝利は変わりようがありませんがねぇ・・・くくく・・・何故ならこのラスト・エンジェルの真価もそこにあるのですから・・・」

 

「ネタバレはご法度ではないのか?」

 

「なるほど・・・確かにその通りですね・・・」

 

「レイ!さっきから何を言ってるんだ!」

 

「タクト・・・あの十二機の相手は俺とエンジェル隊でする」

 

「あ、ああ・・・元からそのつもりでいたが・・・」

 

「いいか良く聞け・・・そいつ相手に絶対に必殺技を使うな・・・何があってもだ。」

 

「そ、それじゃあ、倒せないじゃないか!」

 

「いいから黙って聞け・・・今回の戦いでガンチを倒す事は不可能だ。」

 

「何でそんな事が言い切れるんだよ?」

 

「そんな余裕が俺達に無いからだ。」

 

「どういう意味だ・・・何を知ってるんだ?」

 

「言葉通りの意味だ・・・もうじきに分かる・・・」

 

「さっぱり分からねぇよ!」

 

「それまでガンチを足止めするだけで構わん・・・絶対に奴には剣以外で応戦するな・・・いいな?」

 

「おやおや、私も過小評価されたものですねぇ・・・」

 

「し、しかしだな・・・」

 

「いいな?」

 

「タクトさん、ここはお兄ちゃんの言う通りにしてあげて下さい。」

 

お兄ちゃんが二度同じ事を言う時はそれはこれから起こる事態に対しての最善の対策がある時・・・

 

「わ、分かったよ・・・」

 

「という訳だ。ガンチ・・・」

 

「ふぅ・・・相変わらず、貴方は“私の余興”を邪魔してくれますねぇ・・・」

 

ラスト・エンジェルの右手に虹色の剣が召還される。

 

「まぁ“終幕”も近い事ですし、私自身もこれ以上遅延するのを避けたいというのがありますし・・・まぁ、いいでしょう・・・どうせ、最終決戦もあることですし・・・」

 

「本当の馬鹿だな、自分から策を漏らすとはな・・・」

 

「ふふ、わざと漏らす事で得る事もあるでしょう?」

 

「それは状況による・・・少なくとも俺の前で暴露する事ではなかったな。俺が言っている意味は理解できるか?お前は致命的なミスを犯したと言っているんだ。」

 

「・・・・・・上等ですねぇ・・・行きますよ!」

 

ガンチ達が一斉に動き出した。

 

「いいか、エンジェル隊も増援の戦闘機には通常火器のみで応戦してくれ。これでいいか?」

 

「ああ・・・」

 

「よそ見などしている余裕がおありですか?」

 

ラスト・エンジェルはタクトへの距離を一気に詰めながら斬りかかってきた。

 

「・・・ちっ!」

 

ラスト・エンジェルの虹色の剣がタクトの同じ剣と衝突する!

 

「こ、こいつ・・・意外とパワーが・・・」

 

「おや?意外でしたか?残念ながらラスト・エンジェルはまだまだ未完成ゆえにまだまだ色々と非力なのですよ・・・“くっくっくっ・・・”」

 

何だ?この嫌な予感は・・・

 

この戦闘機と戦っていると何とも言えない危険なオーラを感じる・・・

 

「どうしました?動きを止めたりして?」

 

「タクトさん・・・この人・・・」

 

「ああ、俺も同じ気持ちだよ。」

 

「どうしました?幸運の女神様?」

 

「・・・っ」

 

「お、お前・・・!?」

 

彼女(ミルフィー)を時空の女神と言う人間は沢山いる・・・

 

しかし、彼女を幸運の女神と言う奴は・・・

 

「お前は一体何者なんだ?」

 

「くっくっくっ・・・思わせぶりな事を言う私にも責任があるのかもしれませんが、少々しつこい性格ですよね?あなたも・・・」

 

ラスト・エンジェルの体が怪しく光始める・・・

 

「ふふふ・・・」

 

ラスト・エンジェルは左手を大きく横に突き出す。

 

「ま、まさか・・・」

 

「そのまさかですが反応が遅すぎましたね。」

 

「くっ!?」

 

俺が気付いた時には既に束縛結界が張られていた。

 

「アザラシの捕獲を知っていますか?」

 

「こ、これは・・・あの時の・・・」

 

俺が目にしたのは黄金の槍グングニルを手に取ったラスト・エンジェルの姿だった。

 

一方、その頃エクレアはガブリエルを追跡していた。

 

四人の天使達は放射能に冒された星の洞窟内へと潜り込んでいた。

 

四大天使のガブリエル、ミカエル、そしてラファエル・・・そして、エクレアとシリウスである。

 

「ガブリエル!待って!」

 

エクレアは後方より呼びかけるがガブリエルより返事はない・・・

 

ガブリエルは覚悟を決めている・・・

 

この先、自分に待ち受ける運命もガブリエルは知っている・・・

 

それでもガブリエルは止まらない・・・

 

彼女は恐れている・・・

 

己の主が倒れ、未来が変わり今目の前にいるエクレアが消えるのを恐れている・・・

 

そして、同時に自分を見てくれなかったレイに対して底知れぬ憎悪を抱いている・・・

 

故にここで立ち止まる訳にはいかなかった・・・

 

「もうすぐだ・・・儀式の間がもうすぐ見える。」

 

「何を始めると言うんだ?」

 

兄ミカエルは知らない、これから起こる事態を・・・

 

「どいて!邪魔よ!」

 

エクレアは人間の範疇を越えた超絶魔法を詠唱しに入るが、それは嘘のようにかき消された。

 

「エクレア、運命を受け入れろ・・・」

 

「ラファエル・・・あなた、まさか・・・」

 

エクレアは己の魔法をかき消したラファエルにある一つの心当たりを持った・・・

 

「シリウス・・・アレを使ってでもガブリエルを止めるわよ?」

 

「ああ、言われるまでもねぇ・・・」

 

オリジンの両手に死の爪が召還される・・・

 

デスクロー・・・狂犬の爪である。

 

「いくぞ!オラァァァァァーーーー!!」

 

狂犬と化したオリジンが獲物達へと襲い掛かる!

 

一方、タクトとガンチの局面は・・・

 

「アザラシは捕獲される事を知らずに眉間の間にに銛(もり)で頭蓋骨と脳を貫通され自分の頭に冷たい感触を最後に即死します。」

 

「・・・っ!」

 

ミルフィーユは辛そうに目を瞑る。

 

「友達になれると思っていた人間から殺された等と思う暇もなく・・・」

 

一方、タクトはガンチを睨みつけている。

 

「さぁ・・・行きますよ?」

 

THE END

 

ラスト・エンジェルが投擲体制に入る・・・

 

「いい悲鳴を上げて下さいね!」

 

そして、ラスト・エンジェルはシャイニング・スターを目掛けて黄金の槍を投げつけた!

 

OR

 

「はははは!!」

 

OVER KILL

 

「タクトさん!」

 

「や、やられる!?」

 

シャイニング・スターに直撃しようかとした次の瞬間!

 

突如、現れた漆黒の紋章機の虹色の剣によって黄金の槍は粉々に砕け散った。

 

「・・・・・・ち」

 

「気になって戻ってみればこの様か・・・」

 

「おや?十二神の反応はまだロストしてませんが?」

 

「あんな雑魚などこちらの雑魚ならばどうにでもなる・・・」

 

「・・・なるほど、わざと十二神を此処から遠ざけたという訳ですか・・・」

 

「最初に言った筈だ・・・お前を殺しにきたとな。」

 

レイのオーラが本気のものへと変わる・・・

 

「なるほど、いいでしょう・・・いい加減、貴方の存在も目障りになっていたところです。こちらも鬱陶しい手負いの獅子を殺すとしましょうか・・・」

 

ガンチのオーラも本気のものへと変わる。

 

「タクト、もう動けるだろう。」

 

「ああ」

 

「エクレア達の援護に回るんだ。」

 

「な・・・まさか、エクレアは一人で?」

 

「ここは俺が引き受ける・・・だから、お前達はエクレア達の援護を頼む。」

 

レイが頼むと言うのは稀な事である。

 

「あ、ああ・・・!」

 

シャイニング・スターはアスティオ目掛けて駆け抜けた。

 

「さて・・・嵐の前の前哨戦といきましょうか。」

 

ガンチが詠唱を始めるとアルフェシオンの周囲に散乱していた隕石が集まりだす。

 

「ふん・・・」

 

そして、レイはつまらなそうに周囲の隕石を消去させていく・・・

 

この二人が行っているのはもはや人間レベルの戦いではない。

 

最強対最凶の戦いの行方はいかに・・・

 

そして、アスティオに眠る力の正体とは一体なんなのだろうか・・・

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