・終幕

 

ラグナロク

 

惑星アスティオ・・・

 

今、ここでは人類の存亡をかけた戦いが繰り広げられていた。

 

「そこだ!・・・エクストリームランサー!」

 

イーグルゲイザーから放たれた光の槍が十二神を模した戦闘機を二機貫いて撃破した。

 

「やるじゃない!私も負けてられないわね!」

 

テキーラはヘキサクロスブレイクを詠唱し、続いての3機を撃破した。

 

LEARNING COMPLETE

 

一方、タクトはアスティオへ進入していったガブリエルを追跡にいったエクレア達の後を追っていた。

 

「よし、大気圏突破は楽勝だったな・・・それにしても・・・」

 

タクトは大気圏突破領域より地を見渡す・・・

 

「ここも前は俺達と同じ人達が暮らしていたんだ・・・」

 

「はい、許せないです・・・どうしてあの人達はこんな事を平気で出来るんでしょうか・・・」

 

「それは人間じゃないからさ・・・」

 

はっはっはっ!これは愉快なご感想だな・・・

 

くっくっくっ!ならその人間では無い者に会いに行くがいい・・・お前が方向音痴であろうが辿りつく様にサービスしといてやるよ・・・

 

一方、レイとガンチは・・・

 

現実よ虚実の狭間で死闘を繰り広げていた。

 

この二人が本気で争うにはEDENとNEUEは小さすぎるのだ。

 

「ちぃ!ざけんなぁっ!」

 

驚くことなかれ、今のはガンチが喋ったのだ。

 

「・・・・・・」

 

レイは黙々とスレイヤー・オブ・デステニーを用いてガンチのラスト・エンジェルを追い詰めていた。

 

「チィ・・・!」

 

それに対してガンチはその桁外れな魔力を暴発させてアルフェシオンに着実にダメージを与えていく。

 

一見、レイが押してるように見えてガンチの方が有利だ。

 

確かにレイの技量は言うまでもなく最強である。

 

しかし、それだけではどうしようもない攻撃手段をガンチ・デイチルは持っているのだ。

 

「シネェェェーーーーー!!!」

 

またしてもラスト・エンジェルの魔力が暴走してアルフェシオンを直撃する!

 

「ちっ・・・」

 

アルフェシオンのINフィールドが脆い訳ではない。

 

このガンチの魔力がそれほどまでに強力なのだ。

 

「馬鹿が唯一の取り柄にものを言わせやがって・・・」

 

「は!いつ見てもお前の悔しがる様は面白くてしょうがねぇなぁ〜・・・ああ!?」

 

続いてもガンチは魔力を暴発させる!

 

しかし、レイとて黙ってばかりではない。

 

カッ!と辺り一面が白くなり、全てを焼き尽くす閃光がこの閉鎖空間を飲みつくす!

 

「ぐおおおおーーーーっ!?」

 

INFINTY

 

「き、キサマアアアァァァァーーーーーー!!」

 

「・・・・・・」

 

ZERO

 

そして、無が破壊し焼き尽くされたゴミを回収するかのように全てを飲み込んでいった。

 

「・・・ふぅ」

 

レイは誰もいなくなった空間で深くため息をついた。

 

逃げられたか・・・しかし、インフィニティがオーバーヒート起こした筈、当面は動けはしまい・・・

 

さて、後は災いをここに招きいれる下準備をしなければならない・・・

 

今回の敵は破壊の化身そのも・・・

 

このままアスティオで戦おうものならNEUEは再び消滅するだろう・・・

 

一方、アスティオの地下内部では・・・

 

「ハァ!」

 

ミカエルの光の柱がエクレア達を執拗に狙い続ける。

 

「・・・・・・」

 

エクレアは黙って様子を伺っており、シリウスはオリジンを操縦して上手く回避していく・・・

 

「・・・もう少し」

 

そうエクレアはこの周囲にミカエルの光の柱から発せられる魔力を計算している。

 

レイに敗れたといえどミカエルは四大天使の長と言われるだけはあって神皇と同格の魔力を持っているのは確かなのだ。

 

ならば、その魔力を逆手にとればいいだけの事・・・

 

一方、ラファエルは様子を諦観するだけで動こうとしない・・・

 

しかし、ミカエルは逃げ惑うだけのように見えるオリジンを倒せると信じ込んでいる為か、まるで咎めようとはしない・・・

 

そして・・・タクトが到着した。

 

「エクレア、シリウス!」

 

「何?タクトだと?」

 

「タ、タクト!?馬鹿!どうして来たの!?」

 

「馬鹿はお前だ!子供が二人して突っ走るな!」

 

「何だと!?」

 

子供というキーワードにシリウスは腹を立てる。

 

「俺がどれだけ心配したと思ってるんだ!」

 

「ごめん・・・」

 

「お、おい・・・エクレア謝る必要なんて・・」

 

「シリウス君もめっだからね。」

 

「か、かあさん・・・・・・ゴメンなさい。」

 

「・・・ったく、少しは頼ってくれよ・・・な!」

 

そう言いながらタクトは自分に放たれた光の柱を次々と叩き割っていく・・・

 

しかし、光の柱は砕けてもなお、タクト達へと襲いかかる!

 

「シャイニング・スターをなめるな!」

 

シャイニング・スターの広域INフィールドが砕けて威力を落とした光の欠片を完全にシャットアウトする。

 

「大丈夫よ・・・仕掛けるから」

 

エクレアが攻撃に転じる。

 

「何・・・?」

 

辺り一面に白い桜が舞う・・・

 

「気付かなかったの?白い桜が光の欠片を吸収していた事に・・・?」

 

「こ、これは・・・まさか」

 

「そのまさかよ」

 

白い桜が消えたかと思った次の瞬間、ミカエルは見えない衝撃波に激しく吹っ飛ばされた。

 

「ぐは・・・っ!?」

 

相手の魔力を問答無用で吸収し、問答無用の倍返しを与えるエクレア最強の呪術・・・

 

桜雲一閃

 

「決まったな・・・」

 

ラファエルはため息をつく。

 

事実、エーテル体である筈のミカエルは気絶をしている・・・

 

「後はあいつか!」

 

タクトはスレイヤー・オブ・デステニーを構える。

 

「止めなさい・・・アレには誰も勝てはしないわ・・・ましてや剣でなら尚更のことよ・・・」

 

「レイ以上に強いなら話は分かるが・・・」

 

自意識過剰かもしれないが、俺はレイ以外の相手になら有利に戦えると思っている・・・

 

「レイ以上よ・・・」

 

「え・・・今、何て・・・」

 

「そのラファエルは剣は愚か魔法についても私やレイを軽々とあしらう程に強いのよ。」

 

「ちょ、ちょっと待て!どうしてそんな奴がガンチの下でなんて動いてるんだよ!」

 

「そんなの知らないわよ・・・でも、事実よ・・・」

 

「話に割り込んで悪いが、俺はお前達を止める気はない・・・」

 

「何・・・?」

 

「この奥に進めば溶岩が織り成すアスティオの核へと辿り着く・・・」

 

そう言ってラファエルは後ろを指した。

 

「お前は一体何が目的なんだ・・・?」

 

「さぁな・・・私自身もよく分からない部分がある・・・」

 

ラファエルは自嘲気味に笑う・・・

 

愛の天使ラファエルか・・・どう見ても嫌がらせとしか思えんな・・・

 

「タクト、今はガブリエルを止めましょう!」

 

「エクレア・・・残念だが、もう間に合わん・・・もうガブリエルは力を手に入れているだろう・・・」

 

「何だって!?」

 

「それでも行くか?」

 

「行くわ」

 

「そうか・・・あまり無理をするな・・・“お前の魔力はもはや無限ではなく有限だ”ということを忘れるな。」

 

「ラファエル・・・お前は一体・・・」

 

「作者の意識が散漫になってる今だからこそこれをお前に渡しておく・・・」

 

そう言って、ラファエルは光の玉を召還した。

 

「それは・・・まさか」

 

「その通りだ。エクレア・・・いずれ究極の剣と言われるスレイヤー・オブ・デステニーですら通用せぬ敵が現れるだろう・・・」

 

「そんな・・・」

 

「だから、これをシャイニング・スターに渡しておく・・・その光の玉は時がくればおのずとその力を発揮させお前に最後の剣を渡すだろう・・・作者も知らないであろう剣をな・・・」

 

「お前・・・どうして?」

 

「考えるだけ無駄だ。さぁ、行くがいい・・・」

 

「タクトさん、行きましょう。」

 

「あ、ああ!」

 

俺達は奥を目指して旅立った。

 

〜灼熱の中呪い〜

 

アスティオの中心部・・・

 

そこはまさに溶岩が織り成す灼熱地獄・・・

 

しかし、そこはまだマントル・・・

 

その奥・・・

 

更に外核の奥・・・

 

内核の中では一人の天使が魂を焼かれていた。

 

この世界には創造主以外知らない事がある・・・

 

天使が神になる事もあると・・・

 

神皇は代々が短命・・・

 

そして後任者は創造主が選ぶ・・・

 

そして、後任者に試練を渡す・・・

 

因果律の選定

 

そして、ガブリエルに科せられた試練は・・・

 

何だ・・・目の前が真っ赤だ。

 

ガブリエルよ・・・

 

汝は男か?

 

いいえ

 

汝は女か?

 

はい

 

戦いは男の領分・・・

 

なのに何故戦う?

 

・・・・・・何故?

 

この神儀の意味は分かっているな?

 

はい

 

この神儀が終わる時

 

お前は神となる

 

神々の頂点に立つ究極神に・・・

 

はい

 

しかし、同時にお前は人ではなくなる。

 

人ならざる者へと化す・・・

 

その覚悟はあるか?

 

はい

 

・・・その覚悟の根底にあるのは何だ?

 

自分の甘さが創り出した執念です

 

執念とな?

 

はい

 

どうやらお前には素質があるようだ。

 

神皇は混沌を統べ操る者・・・

 

しかし、混沌を制御する事は叶わぬ・・・

 

全ての根源である混沌を制御するというのは

 

制御と破壊の両方を兼ねそろえるという意味だからだ。

 

故に混沌を制御する者は

 

常に精神情緒が安定しない・・・

 

だが、それでも力は出し続けねばならない・・・

 

その最も確実な方法が

 

誰かを呪う事なのだ。

 

神儀とはその手助けをする事とも言える。

 

はい

 

では神儀を始めるとしよう・・・

 

はい

 

 

タクト達を見送ったラファエルは虹色の剣を取り出した。

 

ホッド・ブリアーと称され炎にカモフラージュされていた剣を召還したのだ。

 

「神儀を始める」

 

そういうとラファエルは気絶していたミカエルを・・・

 

「がっ!?」

 

真っ二つに斬り裂いた・・・

 

声もあげられずにミカエルは消失した。

 

そして、ラファエルは前回と同じように

 

自分の首に虹色の剣を押し当て・・・

 

「今、再び目覚めの時・・・」

 

自分の首を跳ね飛ばした・・・

 

 

「あ、熱いです〜!」

 

「あ、ああ・・・シャイニング・スターもINフィールドを全開にしてるんだけど・・・」

 

それにしてもこれは熱い・・・

 

肌の熱さだけでなく

 

目の前に広がるマントルの業火がその熱さを更に促進させる・・・

 

そこは燃え盛る炎と

焼け付いた岸壁だけの世界・・・

 

ここにいる生物はタクト達とガブリエルだけ・・・

 

いや、アスティオにいる生物と言った方が正しいのかもしれないが・・・

 

「おかしい・・・」

 

「どうした?」

 

「・・・・・・ガブリエルを感じる事ができないの」

 

「お、おい・・・それって・・・」

 

「まだそうと決まった訳じゃないわ・・・急ぐわよ!」

 

タクト達は内核を目指して更に奥へと進む。

 

〜灼熱の天使〜

 

神は創造物に破壊の力を与えた。

 

なのに何故、破壊が悪いというのだ?

 

だからこそ人の中には破壊衝動があるのだ。

 

何故、それを押さえつける?

 

何故、理性で縛る必要がある?

 

何故、破壊した者を滅ぼそうとする?

 

死は全ての生きる者に平等に与えられる。

 

なのに何故・・・

 

抗う?

 

何故、己の運命と死に抗う?

 

ガブリエルよ・・・

 

お前の本心を解き放つのだ・・・

 

お前は誰が愛しい?

 

・・・・・・あの女

 

お前は誰が憎い?

 

・・・・・・あの女

 

お前は誰を愛したい?

 

・・・・・・あの女

 

お前は誰を殺したい?

 

・・・・・・あの女

 

・・・・・・認めよう、お前には神になる資格があるようだ。

 

これからお前の魂と身体は焼き尽くされる・・・

 

だから、聞いておこう・・・

 

お前は今・・・

 

ナニガシタイ?

 

この目に見えるモノ全てを壊してしまいたい。

 

この偽りだらけの世界を壊してやりたい。

 

イイヘンジダ・・・

 

お前が焼け死んだ後

 

メタトロンが蘇る・・・

 

そしてメタトロンをエネルギー源として

 

神皇の身体が構築され・・・

 

お前は魂の座へとうつる・・・

 

さぁ・・・覚悟はいいか?

 

はい・・・

 

いいだろう・・・

 

そして次の瞬間、ガブリエルの身体のあちらこちらが見る見る内に燃え上がった。

 

「あ、あああ!?」

 

死は生と表裏一体なり・・・

 

「ア・・・!?アアアアアアアア!!!!!」

 

ガブリエルは断末魔の叫びをあげながら地獄の業火に焼かれた・・・

 

「始まったな・・・」

 

レイは深いため息をついて目を瞑った。

 

一方、タクト達は外核まで辿りついていた。

 

「・・・っ!?」

 

「どうした?エクレア・・・」

 

「・・・駄目、駄目!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「皆、ここから離れるわよ!」

 

「お、おい!?ガブリエルは・・」

 

「もう手遅れよ!」

 

「え・・・」

 

「ガブリエルは・・・化け物になってしまったわ・・・」

 

「チ、遅かったか・・・」

 

「そ、そんな・・・」

 

「こんな身動きのとり辛いところで相手にできる化け物じゃないわ!早く脱出してレイと合流するわよ!」

 

「わ、わかった!」

 

タクト達はせっかく辿り着いた外核より今度は外を目指して全速力で駆け抜けた。

 

 

呪え・・・

 

全てを呪え・・・

 

呪い呪い呪い尽くすのだ。

 

呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え呪え

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「・・・・・・来る」

 

 

「ラストォオオオオ!!」

 

アニスのジェノサイドボンバーが残りの残機を全員呑み込んで消滅させた。

 

「・・・何だ、ブラウドが引き上げていく?」

 

リリィはドライブアウトしていくラスト・ジャッジメント達をいぶかしめに睨んだ。

 

「な、何よ・・・あれ・・・」

 

テキーラの言葉に皆がアスティオを見て驚愕した。

 

アスティオは見る見る内に血の海の星となったのだ。

 

陸はない・・・

 

ただひたすら血の海だけがそこにある。

 

「な、何なのだ・・・気味が悪いのだ〜」

 

そして、その血の海の星からタクト達が引き上げてくるのが分かった。

 

「オイ!タクト達が帰ってきたぜ!?」

 

「見れば分かるわよ・・・どうやらいい結果ではなさそうね・・・」

 

一つの星が一瞬にして血の海へと化したのだ。

 

推奨BGM(霊知の太陽信仰)

 

「皆!フィールドを張って!来るわよ!」

 

次の瞬間、アスティオは一瞬にして燃え上がった。

 

「な、何だよ・・・一体、何が始まるんだよ!?」

 

くっくっくっ・・・

 

「この声!」

 

くっくっくっ・・・さぁ始まるぜぇ・・・

 

「カルマ!」

 

イッツ!ショーーーータイム!

 

アハハ・・・

 

アハ?アハハハハ!

 

アハハハ・・・・!!

 

溶岩の星となったアスティオから一機の敵影を確認した・・・いや、視界に入ったというのが本当のところだろう。

 

「な、何だあれは・・・何だ!あれは!?」

 

俺が見たのは炎に包まれた人型の戦闘機だ。

 

しかし、そのフォルムには見覚えがある・・・

 

忘れる事なんかできる訳がない・・・

 

「あれは・・・ラスト・・・リヴェンジャー・・・」

 

「ち・・・」

 

元愛機の姿を見せられたシリウスは嫌悪感丸出しだ。

 

「あはは!どう!?あたしの紋章機だよ!タクト〜!」

 

「ガ、ガブリエル・・・やはりお前が乗っているのか?」

 

見せてやるよ。見たいだろう?

 

「キャーーーッ!?」

 

突如割り込んできた映像にミルフィーユは悲鳴を上げた。

 

そして他の者達も目を瞑った。

 

「ガ、ガブリエル・・・」

 

タクト達が目にしたのはラスト・リヴェンジャーのコックピット内の人間の姿だ。

 

髪の毛は炎のように燃え上がり、顔の片方が焼けただれて骨まで見え始めている。

 

そして身体のあちこちから骨が見え始めている。

 

まさに焼かれている生きる死体だ。

 

「あはは!お前達を殺しにきてやったんだよ!」

 

「ガ、ガブリエル・・・」

 

エクレアの瞳からは“旧友”の変わり果てた姿に涙を流れでていた。

 

「あは!どうして泣いてるのよ!“リコ”」

 

「え・・・リコ?」

 

今アイツ・・・エクレアに対してリコって・・・

 

チ・・・馬鹿が・・・

 

俺は強制命令を発動させた。

 

「あはは・・・あーはっはっはっ!」

 

ガブリエルは狂ったように笑い始めた。

 

戦闘機いや・・・

 

四代目の神皇ラスト・リヴェンジャーが戦闘態勢をとり始めた。

 

そして、次の瞬間

 

辺りは真っ黒な世界へと変わった。

 

「間に合ったか・・・」

 

そう言って皆の前に姿を現したのはレイだった。

 

「ガンチはどうした?」

 

「軽くどついたら尻尾を巻いて逃げた。」

 

ち、この野郎・・・

 

「あはは!レイじゃない!」

 

灼熱の天使・・・

 

「・・・人間の言葉を喋るな化け物め」

 

「あはは!相変わらず冷たいわね!いいわ!あたしの炎で貴方もそこのゴミ達と一緒に消し炭にしてあげるわぁ!」

 

「どうして・・・こんな・・・」

 

ざまぁみろ・・・

 

「分別種別は粗大ゴミと燃えるゴミなんでしょ!?あんたタチィィィィィーーーーーーーーーー!!!!!」

 

「注意しろ、あの戦闘機の動力源にはメタトロンがまるごと使用されている。」

 

「メ、メタトロン・・・」

 

無限大のエネルギーを持つ紛れも無い最強の天使でHEAVENの最終兵器・・・前回はレイが退治したが・・・

 

結局、俺達の攻撃手段を全て耐え抜いた化け物だ。

 

その破壊力はたったの一撃で一つの宇宙を跡形も無く消し飛ばしてしまう程のものだった。

 

メタトロンは言わば混沌の貯蔵庫であると同時に混沌の増幅出力を兼ね揃えた破壊神である。

 

「それとアレはどうやらミカエルとラファエルの力も取り込んでるらしく四つの波動の流れが見える・・・」

 

「つまりは何か・・・四大天使が一つになったという事なのか・・・」

 

「・・・・・・ああ」

 

「くそ・・・最悪だ。」

 

ラスト・リヴェンジャーを包む灼熱の炎の勢いが更に勢いを・・・火力を増していく・・・

 

「あはは!どうしたの!?来ないの!?」

 

「・・・・・・やはり隠してあったのは核か」

 

「核・・・?」

 

「異世界最強のエネルギーだ・・・そして、それは放射能という猛毒を撒き散らす・・・全員バイザーをとるな・・・死にたくなければな・・・エクレア、お前も・・どうした?エクレア・・・」

 

「・・・・・・許さない、絶対に許さないわよ・・・」

 

エクレアが珍しく感情を表に出している。

 

「まずはバイザーを閉めろ・・・・・・シリウス。」

 

「はい。」

 

シリウスは許さないと繰り返すだけのエクレアのバイザーを無理に閉じさせる。

 

「説明はしておくがそのバイザーさえしていれば皮膚感染もしないし、奴の攻撃もある程度は直視できる・・・しかし、その逆は分かるな?」

 

その逆・・・それは死・・・

 

「識別反応?・・・誰だ!?」

 

次の瞬間、カズヤとエンジェル隊がドライブアウトしてきた。

 

「皆さん、遅れてすいません!」

 

「すいません!」

 

「カズヤ!リコ!?みんなも・・・どうして」

 

「レイさんに呼ばれたんです!」

 

「話は後だ!仕掛けてくるぞ!さっさとフュージョンしろ!」

 

そう言いつつ、レイはガブリエル・・・いや神皇へと虹色の剣で斬りかかる!

 

先手必勝の剣!

 

「レイィィィィ!!!」

 

女性のいや・・・人間の声とは思えない雄叫びを上げながら神皇の右手に赤黒い剣が召還された。

 

ラファエルの剣 ホッド・ブリアー

 

そして、互いの剣がぶつかる。

 

「いくら、パワーがあろうが・・・」

 

レイは空いた左手にもう一本召還して零距離のカウンターをいれた・・・が!

 

「う、嘘だろ・・・」

 

「う、嘘・・・」

 

全員が信じられぬ光景を目にした。

 

1世慮躡垢覆コックピットを狙ったカウンターの一撃必殺の突き・・・

 

それを事もあろうか神皇のフィールドがその侵入を拒んだ・・・弾いたのだ。

 

「あーはっはっはっ!!!」

 

斬れぬモノは無い筈のスレイヤー・オブ・デステニー・・・

 

しかし、目の前の敵はその絶対不可侵の決まりをいとも簡単に打ち破ったのだ。

 

「シネェェェェェーーーーーーーッ!!!」

 

「チ・・・」

 

レイはすぐに後退してフライヤーで牽制にかかる!

 

しかし、究極の剣を受け止めたフィールドである。

 

結果は火を見るより明らかだった。

 

「セカンド・ガードナー・・・完成していたのか・・・」

 

セカンド・ガードナー・・・第二の守護者、絶対不可侵の因果を持つ絶対防御・・・

 

ラスト・ジャッジメントに試作機が搭載されてあるのは知っていたが、ついに完成させたのか?

 

そうとも・・・

 

ブラウドの技術力を甘く見すぎたな・・・

 

“全ての戦闘機の原点となるのがオリジンならばこのラスト・リヴェンジャーは全ての戦闘機の終着点となる・・・”

 

「フュージョン完了しました!」

 

カズヤはシャイニング・スターとのドッキングを終了させた!

 

「あはは!何よあんた達!面白い事するわねぇ!ええ!?」

 

「あれはガブリエルなのかい・・・」

 

フォルテは誰に問いかける訳でもなく呟いた。

 

「違うわ・・・アレは化け物よ・・・退治してあげなきゃいけない化け物なのよ・・・!」

 

「エクレア・・・」

 

エクレアとガブリエルの関係を知ってる俺には彼女の気持ちが分かる・・・

 

「そうだ。アイツは退治しなくちゃいけない・・・」

 

「タクトさん・・・」

 

「もし、アイツがNEUEやEDENに行けばあのHEAVENと同じ結末を迎えるだろう・・・」

 

完全消滅・・・

 

「だから・・・ここでどんな犠牲を払ってでもアイツを撃墜するぞ!」

 

『了解!』

 

「俺のこの結界とて万能ではない・・・エクレアの助力を借りたとしても、長時間は維持できない。それ程までにあの化け物の攻撃力は高い・・・」

 

「・・・・・・」

 

全員に緊張が走る。

 

「アレは四大天使の集合体・・・言わば外宇宙の残していった執念の遺産だ。」

 

「そんなものに俺達の世界を破壊される訳にはいかない・・・みんな!攻撃開始だ!」

 

天使達と神皇の戦いが再び始まった!

 

〜禍々しい太陽〜

 

カッ!

 

辺り一面は真っ白な空間!

 

暗闇の世界一つの太陽が存在する。

 

「あっはっはっ!ゴミは焼却しないとネェェェェェェェェェーーーーーーーーーッ!!」

 

その太陽は人工的に創られた戦闘機・・・

 

いや、神皇 ラスト・リヴェンジャー・・・

 

神皇の発した核の光が辺り一面を焼き尽くす!

 

「な、何て威力なんだ!?」

 

その太陽はこのバイザー越しでさえ眩い・・・

 

その威力もお墨付きときたものだ。

 

「怯むな!撃ち続けるんだ!」

 

タクト達は休む暇なく、蘇った四代目の神皇み向けて攻撃を繰り返す。

 

しかし、それらはブラウドの最先端技術セカンド・ガードナーに阻まれる・・・

 

「タチが悪すぎるわよ!コレ!」

 

ランファのドラゴンクローに関しては弾かれるどころか亀裂が生じる始末だった。

 

「ランファさん、今治療します・・・」

 

「ママ、ナノマシン達がおかしいのだ。」

 

「分かってます・・・敵の放射能というものの影響でしょう・・・でも、今はやらなくてはなりません・・・」

 

「・・・ナノマシン形成に支障ありか・・・」

 

「どうしたの!レイ!?いつもの反撃がないと寂しいじゃない!さぁ!冷酷に!私を殺してみなよ!」

 

「チ・・・調子にのりやがって」

 

ラスト・リヴェンジャーのあらゆる箇所からいや、周囲の空間からミサイルが現れてタクト達の方へと発射される。

 

「核ミサイルか!?」

 

「え・・・」

 

次の瞬間、核ミサイル達は次々と誘爆を起こして新しい太陽を次々と生み出していく!

 

「うわあああーーーーーっ!!」

 

メタトロンの攻撃をも防いだシャイニング・スターの広域INフィールドをもってもその衝撃を完全には押さえ切れない。

 

核ミサイルを搭載し、核のエネルギーを自由自在に操り・・・

 

「遅いわよ!燃えるゴミ!!」

 

常軌を逸した機動力を持ち・・・

 

「このぉっ!!」

 

「効かないんだよ!!」

 

究極の剣すら軽々と弾いてしまう防御力・・・

 

まさに外宇宙が残した執念の遺産だ。

 

「あっはっはっはっ!!あーはっはっはっ!!」

 

ガブリエルが笑うと再びラスト・リヴェンジャーの発光が勢いを増し、身体をとりまく灼熱の炎の勢いも増していく・・・

 

「熱い!熱い!熱い!アツイイイイイイイ!?」

 

再び全宇宙を焼き尽くす閃光が辺りを真っ白に染める。

 

ディス・フレア

 

動力源のメタトロンからはとめどなく強力な異世界のエネルギーと混沌の力が抽出されていく。

 

「痛い!痛い!痛い!イタイノヨオオオオオオ!」

 

ラスト・リヴェンジャーに握られたホッド・ブリアーがレーザーブレードのように辺りをなぎ払っていく。

 

「回避だっ!」

 

タクト達は巨大なレーザーブレードを上手く回避していくがその後でまたしても核ミサイルが飛んでくるのだ!

 

ガブリエルの全てを呪い尽くす魂の叫びが混沌の出力をあげていく・・・

 

ラスト・リヴェンジャーに搭載された新型のライフ・オブ・エピオンががガブリエルにリアルな痛みの感触と己の周囲をとりまく灼熱の炎を熱さを伝え・・・

 

ガブリエルの神経を過剰に刺激する!

 

「くっ・・・痛いじゃないの・・・このゴミ共ーーーッ!」

 

既に化け物と化したガブリエルには血走った左目しか残ってはいない・・・右目は既に焼失している。

 

神皇の周囲にフライヤー達が出現する

 

その数、およそ4000!

 

自動操縦式のフライヤーとはいえ、その化け物級の個数は脅威そのものだ。

 

「ち!何て奴だ!!」

 

核ミサイルに焼き尽くされてもガブリエルのフライヤー達は次から次へとドライブアウトしてく!

 

「シネェーーーーーーーッ!!」

 

そればかりかドライブアウトしてくるものの中にはミカエルの主力武器である光の柱も含まれている!

 

まさに四大天使がひとつになった破壊の化身・・・

 

「チ!エクレア!何かないのか!?」

 

「全部試してるわよ・・・!でも、結果は同じ・・・なら、今は少しでも長く結界を維持しなくちゃ!」

 

そして、この戦いは長期戦という訳にはいかない!

 

短期で仕留めねばこの化け物はEDENとNEUEを跡形もなく焼き尽くすだろう!

 

「あっはっはっはっ!!まだ焼けない?火力が足りないのね?そう・・・なら・・・!!」

 

ラスト・リヴェンジャーが再び発光する!

 

「消し炭になるまで焼き尽くしてあげるわ!」

 

「ぐ、ぐわぁぁぁ!」

 

シャイニング・スターからは既にフィールド展開率の警告が打ち出されている。

 

この人数をこの化け物じみた火力から守っているのだ無理もない・・・

 

でもシャイニング・スターはそれでも耐えてくれている。

 

俺達に成す術がないというのに・・・

 

・・・そうだ!

 

俺はラファエルから渡された光の玉の事を思い出した。

 

「何でだよ・・・スレイヤー・オブ・デステニーも通じないのに・・・今こそじゃないのかよ・・・クソッ!」

 

・・・・・・一体、何の事だ?

 

「あっはっはっ!死ね死ね!死ね死ね死ね!シイイイイイネエエエエエ!!!」

 

灼熱の天使はとどまる事を知らずひたすらこの閉鎖空間を焼き尽くす!

 

されど神皇の魔力は尽きる事を知らない・・・

 

使用されたエネルギーは混沌へと帰り、また混沌より新しいエネルギーが生み出されるのだ。

 

この混沌の循環経路を絶たぬ限り、神皇は死なずに暴れ続ける事が可能だろう。

 

そして混沌の循環経路を絶つ事はレイですら不可能な所業である。

 

「あっはっはっ・・・」

 

ガブリエルの笑い声が途切れた・・・声帯が焼けてしまったのだ。

 

しかし、言葉を失ってもガブリエルは全てを呪い続け、次々と混沌の力を引き出していく。

 

ふむ・・・セカンド・ガードナーとインフィニの間接的な干渉も見受けられんし、実験は成功だな。

 

メタトロンの稼働率も前回と比較すればほぼ100%に近い・・・

 

後は“使い捨て電池”の気が済むまで存分に暴れさせてやるとしよう・・・

 

俺のプランではアレの残量は外界に出ようとする前に尽きるだろう。

 

まだ終幕ではない・・・

 

発光現象と衝撃・・・それに比例する轟音・・・

 

もはや人間の限界を突破するような環境でも天使達は戦い続ける。

 

自分達の宇宙を守る為に・・・

 

この戦いの真意も知らずに・・・

 

ご苦労なこった・・・くっくっくっ・・・

 

「ハイパーキャノン!」

 

インフィニ最大出力のハイパーキャノンも神皇のフィールドの前では無意味だった・・・

 

「・・・・・・」

 

レイは疑問に思い始めていた。

 

変だな・・・

 

アイツは憎い相手は自分でトドメをさしたがる奴だ・・・

 

ガブリエルは確かに強い・・・

 

しかし、余りにも強すぎる・・・

 

これはアイツの趣旨に反する筈だ・・・

 

ならば、ここまで強くして暴れさせる理由は・・・

 

そうか・・・

 

俺も迂闊だった。

 

アイツの性格を考えればこんな単純な答えなどすぐに分かる筈だった。

 

「全員、攻撃を止めて!防御に専念しろ!」

 

「お、おい!どうしたんだよ!」

 

「いいから黙って今は俺の言う事を聞け!このままだと真犯人の思うツボだぞ!」

 

「な、何だと・・・」

 

「どうせ、アレ相手に攻撃しても通用しないのは全員分かってる筈だ。」

 

「でも、このままじゃ外に出てしまうじゃないか!」

 

「それはない!」

 

断言したレイに全員が注目した。

 

「今は俺の言う事を信じろ・・・必ずアイツは外には出れない・・・いや、出させない筈だ。」

 

全員がレイの言う通り、攻撃を止めて出力を全て防御にまわした。

 

「タクト、シャイニング・スターに後10分持ちこたえられるかと聞け!」

 

「あ、ああ・・・」

 

「レイ、何か心当たりがあるの?」

 

「・・・エクレア、“アイツの性格”をよく考えてみろ。」

 

「・・・・・・迂闊だったわ、そうね・・・シリウス、インフィニの出力を全てINフィールドに回して少しでもタクトの負担を減らさなきゃね・・・」

 

「そうだ、エクレア・・・この戦いは持久戦だ。」

 

そして、この“実験台”が倒れた後で真の敵が姿を現す、全てを犠牲にしてでも倒さなければならない奴がな。

 

「レイ!後9分23秒までならイケルそうだ。」

 

「全員が各個にフィールドを形成するから10分きっちり守れるように出力を調整できるように言え!」

 

「わ、分かったよ・・・」

 

「10分だ・・・10分耐え凌げばこの戦いは勝つ。」

 

アレが稼動してから既に60分が立つ・・・

 

これが実験台なら、そう長々と付き合う筈がない。

 

あいつは昔から待つという事が大の苦手だった。

 

だからこそ、自ら戦場に赴きタクト達に干渉していた。

 

1時間過ぎてからの10分以内があいつのリミットだ・・・そしてそれ以上が俺達のリミットになるのだろう・・・

 

また辺り一面が真っ白になり、すさまじい核爆発が巻き起こる!

 

「う、うぅ・・・!」

 

タクト達は守りに徹する・・・

 

それに対してガブリエルは攻撃に徹する・・・

 

ラスト・リヴェンジャーの周辺では無数の核分裂が繰り返されている・・・

 

まさに核爆発を起こし続ける化け物・・・

 

普通であれば敗北のパターンだろう・・・

 

しかし・・・例外はある。

 

「もう10分だ!もうこれ以上は耐え切れない!」

 

「・・・・・・」

 

レイはジッと黙ってラスト・リヴェンジャーの様子を伺う・・・

 

「・・・・・・何だ」

 

先ほどまで暴れ放題だったラスト・リヴェンジャーが急に大人しくなったのだ。

あれ程燃え盛っていた周囲の炎も弱々しくなり、消火してしまった。

 

「・・・まさか!」

 

「そうだ・・・戦闘機が動くなった時・・・それはパイロットの死を意味する。」

 

「タクトさん・・・敵機からの熱源反応及び生体反応がロストしました。」

 

「え・・・」

 

「エクレア・・・すまなかった。」

 

レイが珍しく謝った。

 

「・・・ううん、これで良かったんだよ・・・アイツの人形であり続けるよりかはマシよ・・・それよりも・・・」

 

エクレアはオリジンを180度旋回させるとそこに膨大な魔力の塊を投げつけた!

 

ドオオオオオーーーーン!!

 

先ほどまでのラスト・リヴェンジャーの爆発に比べると小さいがそれでも凄まじい爆発には違いない。

 

レイを除く全員がエクレアの突然の凶行に驚いている。

 

「エ、エクレア・・・?」

 

「出てきなさい!」

 

くっくっくっ・・・言われなくても出て行くつもりだったさ・・・

 

次の瞬間、エクレアが魔力の塊を投げつけた所には一機の戦闘機・・・いや、偽りのアルフェシオンがいた。

 

「あ、あれは!まさか・・・!」

 

「カルマ!」

 

その頃・・・

 

「レスター副指令!ルフト元帥より連絡です!」

 

「繋げ!」

 

「はい!ただしかなりジャミングが酷いみたいです!」

 

「構わん!」

 

「レ・・タ・・、そちらの状況はこちら・・確・・・している。至急“・・・”へ向・・いそこに・・が・・・いるかを確認・・・」

 

そして、レスターへの指令が下された。

 

 

「一部始終は全て見せてもらっていたぜぇ?」

 

レイは眉を不愉快そうに歪ませ目の前の死神から発せられている膨大なオーラに意識を集中させる

 

(このオーラ・・・まさか本物か?)

 

「くっくっくっ・・・お見事だったよ・・・まさかあの猛攻撃に10分も耐え切るとはな・・・はっはっはっ!お見事お見事・・・」

 

「貴方!彼女を実験台にしたわね!」

 

「何を今更・・・俺の事を知り尽くしてるくせに・・・だからこそ防御に転じたのだろう?それにラスト・リヴェンジャーに搭乗すれば生命を吸い取られるとアイツだって理解してお前達と戦う事を決心したんだぜ?」

 

「貴方なら彼女の行動を変えることぐらいわけない事でしょう!」

 

「い〜じゃねか、たかが虫けら一匹死んだぐらいでそんなにムキになるなよ。」

 

「あ、あなたは・・・」

 

エクレアの目には悔し涙が滲み出ている。

 

「む、虫けら・・・だと・・・」

 

あんな姿になり、死に行くのを覚悟で戦った自分の仲間を虫けらだと?

 

「き、貴様・・・」

 

「くっくっくっ!いつ見てもお前の悔しがる様は愉快痛快だなぁ・・・」

 

「お前はぁぁーーーーーーーっ!!!」

 

タクトはカルマに向かって一直線に向かっていく。

 

「くっくっくっ!その前にお前達にコイツをお見舞いしてやる!!」

 

真っ暗だったこの閉鎖空間から俺達は別の空間へと飛ばされた。

 

「ま、まさか・・・これは!」

 

辺り一面に星が次々と召還されていく。

 

「これはあの時の!」

 

そうさ、だが今回は本物を味あわせてやる!

 

レイ!これを消去する事はできまい!

 

召還された星々は次々と十の字の形をかたどっていく・・・

 

そしてその中心点にいるのは創造主カルマ

 

人はこの現状をこう呼ぶ

 

グランドクロス

 

やがて重力崩壊を引き起こしていく星々から膨大なエネルギー波が放たれ・・・

 

究極の破壊エネルギーと化してタクト達に襲いかかる!

 

「うわああああああああああああ!!!」

 

「きゃーーー!!」

 

ガブリエルの衝撃波をも凌ぐ超弩級のエネルギー波が天使達の紋章機を破壊し尽す!

 

やがて、重力の均衡が乱れた二次効果である巨大なブラックホールがトドメを刺そうとタクト達を呑み込む!

 

それはかつて神々の世界を滅ぼしたと言われる創造主カルマの神罰である。

 

神々の世界の終焉・・・

 

ラグナロク

 

「く・・・シャイニング・スターのインフィニティがオーバーヒートしてしまった・・・」

 

「駄目だ・・・紋章機が言うことを聞いてくれねぇ・・・」

 

「くっくっくっ!シャイニング・スターも中々根性があるじゃねぇか・・・そんなどうしようもない虫けら共をよくもそこまで守り通したものだ。」

 

カルマは心底愉快そうに言った。

 

「ならば、タクト!お前に今まで受けたダメージを倍にして返してやる!お前にコレを使うのはこれで2回目だな!」

 

「・・・っ!」

 

リベンジ・・・相手に受けたダメージを因果律を用いて問答無用の倍返しをくらわせるキチガイならではの恐怖のスキルである。

 

「今度は頭を木っ端微塵にしてやるぜぇ!!」

 

「やらせない!」

 

「・・・っ!?」

 

次の瞬間、オリジンが一瞬だけ激しく揺れた。

 

「テ、テメェ・・・!」

 

「エクレア・・・まさか!」

 

「だ、大丈夫・・・大丈夫だから・・・コホッ!」

 

「だ、大丈夫なものか!オイ!」

 

シリウスが吐血したエクレアを抱きかかえる。

 

エクレアはタクトへ向けられた呪いを自分へ向けさせ、それを自分の魔力で強引に相殺させようとしたのだ。

 

しかし、悲しいかなエクレアの魔力は既に有限・・・

 

故に限りなく無限に近かったカルマのリベンジを無効にするにはそれを超える魔力を消費しなければならない。

 

無論、エクレアにそれだけの魔力は残っていない。

 

オーバーした魔力キャパシティを補うにはそれ相応の代価が必要となる。

 

例えば命そのものだったり・・・

 

「お、俺のリベンジを・・・き、キサマァ!よくも!!」

 

タクトをここで仕留めようとしていたカルマはまさかの妨害に憤慨している。

 

「タ、タクトは・・・やら・・せない!私・・・はコホッ!」

 

「喋るな!」

 

「私はタクトが好きだから・・・タクトは私が守る・・・!」

 

「エ、エクレア・・・どうして・・・」

 

どうしてそこまで?

 

「テ、メェ・・・・!!!!」

 

何故、その言葉がカルマの神経を逆撫でしたのかは分からない。

 

「・・・上等だ。」

 

偽アルフェシオンの右手に黄金の槍が召還される。

 

「テメェのトドメはコイツで串刺しにシテヤラァァーーー!!!!」

 

「・・・止めろ!」

 

レイの叫びも虚しく黄金の槍はエクレアへ向けて投擲された。

 

「くっ!」

 

シリウスはオリジンを動かそうとするがコアであるエクレアが瀕死である為、思ったように動かす事ができない。

 

黄金の槍が突き刺さろうとした次の瞬間!

 

一人の天使が串刺しになった。

 

「な・・・なっ!」

 

「う、嘘・・・どうして・・・」

 

「・・・馬鹿が!」

 

「キ、キサマ・・・まだ動けたのか・・・」

 

「・・・・・・」

 

“身代わり”になった天使は呻き声すらでない・・・

 

何故なら天使の声紋は既に朽ち果てていたのだから・・・

 

「ど、どうして・・・まだ動ける!?」

 

「・・・・・・エミ?」

 

ようやくその名前で呼んでくれたわね。

 

「あなた・・・どうして」

 

恥ずかしい事言わせないでよ

 

だって、あたし達“友達”でしょ?

 

「エ、エミ・・・」

 

エクレアの目から既に涙が零れている。

 

何で忘れていたんだろ、あんたを泣かせないって約束したのにね

 

テレパシー越しにではあるがガブリエルが笑っているのがエクレアには見えていた。

 

活動停止した筈のラスト・リヴェンジャーが再び動きだし、そのままゆっくりとカルマへと向かっていく。黄金の槍を胸に突き刺したままで

 

「な、何がお前をそこまで動かす!」

 

“彼女”を泣かせたら許さないって言った筈よ

 

「ば、馬鹿な・・・馬鹿な!」

 

カルマは迫り来る死人に恐怖を覚える。

 

「止めて!エミ!もういいから!」

 

ごめん・・・あたし馬鹿だった。

 

「お願いやめてーーー!」

 

コイツはあたしが道連れにする。

 

「こ、この・・・プロトタイプの分際で!」

 

「まずい!カルマがその気になったぞ!」

 

そして、零士・・・あたしやっぱり貴方の事が・・・

 

「そんな事はどうでもいい!逃げろ!」

 

やっぱり、貴方は女泣かせな男ね。

 

「こ、この!調子に乗るんじゃねぇ!!!」

 

カルマは両手を大きく掲げる。

 

「オメガ・ノヴァで跡形なく消し飛ばしてやる!」

 

レイ・・・皆を連れてEDENに帰って・・・最後のお願いよ・・・貴方は生きて・・・

 

「・・・・・・了解」

 

レイは突貫するガブリエルに敬礼した。

 

そして、次の瞬間レイはタクト達を連れてこの空間を後にした。

 

データ収集は完成した。もうこのプロトタイプに用はない!

 

えみ・・・俺も力を貸すぞ

 

「憲二!キサマもか!!」

 

俺は大事な事を忘れていた・・・零士よりもお前の方が嫌いだった事に・・・

 

「今更思い出したところで何になる!」

 

お兄ちゃん、ありがとう・・・

 

ラスト・リヴェンジャーに再び炎が灯る

 

「この死に損ない共がああああああああ!!」

 

あんたはここであたしと一緒に死ぬのよ!

 

ガブリエルは途切れそうになる意識を脅威の精神力で維持させてメタトロン内部での核分裂を爆発的に促進させる。

 

「チ!やはり自爆するつもりか!」

 

そして、次の瞬間辺り一面は真っ白な太陽に呑み込まれた。

 

ミカエル、ガブリエル・・・閉鎖空間内にて戦死

 

「えみ・・・エミィイイイイイイイイイ!!」

 

無事生還したEDENではエクレアの悲痛な叫びが木霊した。

 

(お前の願い・・・必ず果たす・・・だから安らかに眠れ・・・憲二と共にな・・・)

 

レイはそう言って、再び敬礼した。

 

 

一方、ここはレスターの自室・・・

 

既に盗聴類の類は外してある。

 

「レスターよ・・・それでどうだった?」

 

「はい・・・現状ではターゲットの確認はできませんでした・・・」

 

「やはりな・・・これで捜査する的が絞れたな・・・」

 

「この事はタクトに報告しなくてもよろしいのですか?」

 

「タクトが知れば即座に死闘になるだろう。それに今は目の前のブラウドとの戦闘も最終段階へときておるしの・・・それにこの捜査が公になれば、ブラウドのスパイ共の妨害が入る・・・」

「ザレム・・・ですか?」

 

ルフトはモニター越しに無言で頷いた。

 

「後ろ盾のブラウドが壊滅すればザレム派達は総崩れだ。その時に強引に捜査に踏み入れば成す術もあるまい。」

 

「はい。」

 

「こんな“下等な者に画策された戦争”で人の命が失われてはならんのじゃ・・・」

 

ルフトは手元にあるターゲットの資料を握り締めた。

 

 

残るはブラウド財閥の主力艦隊・・・

 

おそらく生存してるであろうガンチ・デイチル・・・

 

四大天使を失った彼は果たしていかなる策を用いてくるのだろうか・・・

 

いよいよこの物語も真の終幕へと差し掛かる。

 

ラグナロクの時は着実に近づいている。

 

 

 

 

 

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